その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
とはいえ小説を書くのはある意味で私の癒やしであるので執筆を続けています。内容に波があることをご了承お願いします。
「やっぱり……やっぱり貴方たち何ですね? 奈落の底に落ちた三人なんですよね?」
「えっと……」
「いや、人違いだ」
「「え?」」
「ちょっと待って下さい! 南雲君ですよね? 先生のこと先生と呼びましたよね?」
「だから勘違いだって。あれは……うん、方言だ方言」
共感覚でハジメの感情を見るに……とても混乱しているようだ。様々な色がごちゃごちゃになっている。
混乱している人を見ると何故か人間冷静になれるらしい。俺は混乱を冷まして今、目の前でハジメに掴みかかっている女性のことを考える。
この人は間違いなく愛子先生だ。召喚された日に教室にいた唯一の先生であり、生徒からも人気があった。その理由は中学生ぐらいの身長と頑張ろうとして大抵空回りする所だろう。生徒からは「愛ちゃん先生」と呼ばれて親しまれていた。
とりあえず俺はイルワ支部長より受け取った依頼書を立派なひげの生えた紳士のようなおじちゃんに渡す。落ち着いてからようやく思い出したのである。
それにしても、だ。確か先生は戦争の糧食問題を一気に解決できるだけの技能を持っていたはずだ。それでクラスメイトたちとは別行動を取ってたはず……。
「他にクラスメイトがいるのは何でだ?」
そう、愛子先生の後ろには茫然自失としているクラスメイトが多数存在したのである。こいつらは何なんだ?
と、その辺りで愛子先生が落ち着きを取り戻したらしい。今度は真っ直ぐ俺たちの目を見てはっきりと尋ねてきた。
「すみません、取り乱しました。紅君、南雲君、八重樫さんですよね?」
「ああ。先生、久しぶり」
「久しぶりだな」
「こんなとこに愛ちゃんがいるなんてね」
「やっぱり……皆さん生きてたんですね」
「簡単に死ねるかよ。あんなバカ野郎たちの元へ雫を置いて死ぬとか彼女まで早死にするわ」
「分かる。勇者(笑)が近くに居たら雫は過労死するだろうな」
「二人ともよく分かってることで……」
「さてさて、飯だな」
「あ、あの紅くn──」
「へえ……異世界版カレーはニルシッシルと言うのか。俺はこれで」
「あら、焼き鮭モドキに味噌汁モドキまであるのね」
「あn──」
「俺もニルシッシルにするか。ユエたちはどうする?」
「……私は音也と同じ物」
「私もハジメさんが食べる料理を食べたいですぅ!」
「俺は……そうだな。このお茶漬けを頼もうか」
「オッケー。店員さんや、注文頼むz──」
「三人とも聞いてください!!」
無視されていることに納得がいかないのか、先生が声を机をベシベシ叩きながら張り上げる。その姿が妙に愛嬌があるとユエが零したのは恐らく知らないだろう。
「何だよ煩いな。ここは宿なんだから行儀良くしろよ」
「皆さんが答えないからでしょう! というかそちらの女性方は誰ですか!」
「……ユエ」
「シアです!」
「キバットだ」
「……私は音也の女」
「ハジメさんの女ですぅ!」
「俺は……そうだな。友人とでも言っておくか」
「そ、そうでしたか……って紅君! 貴方には八重樫さんが……」
「愛情向けられたら真摯に応えるのが男ってもんだろ? あんたが口出すことじゃない。俺の嫌いな物は糸こんにゃくと俺に楯突く人間なんだ。あまり反論するなよ」
「そ、そんな。二人同時に愛するなんてふしだらですよ!」
徐々に先生の物言いにイライラしてくる。さっきも言ったが、俺の嫌いな物は糸こんにゃくと自分に楯突く人間だ。あと、音楽を貶す者と俺の大切な物に手を出そうとする者も追加である。
「二人同時に愛せれば争いもなくなくなるさ。満足させれば文句なし……お、これ美味いな」
「流石音也だ……って本当だ。日本のカレーみたいでいけるな」
一々答えるのも面倒くさいのでスルー。いつの間にか届いていたニルシッシルを口にして感嘆の言葉を口にする。ハジメもどうやら思うことは同じようだ。
雫たちも幸せそうな顔をしてご飯を食べている。個人的にご飯を幸せそうに食べる女の子って凄く絵になると思う。
「あ、あれ? 紅君、その目はどうしたんですか?」
「ん? これは……まあ頑張った結果だ」
「それじゃあ橋から落ちた後はどうしてたんですか?」
「超頑張ってた」
「そ、それならすぐ戻らなかったのは……」
「戻る理由がない」
「真面目に答えてください!」
先生からの質問を軽く躱しながら食事を楽しんでいた……のだが、突然テーブルをぶっ叩かれた。
「おい、お前ら! 愛子が質問しているのだぞ! 真面目に答えろ!」
「なんでこう、行儀の悪い人間が多いんだ? お前の親は何を教えてきたんだよ」
「ふん、行儀だと? その言葉、そっくりそのまま返してやる。薄汚い獣風情を人間と同じテーブルに着かせるなど、お前の方が礼儀がなってないな。せめてその醜い耳を切り落としたらどうだ? 少しは人間らしくなるだろう。それになんだその白髪は。その女はその年にしてもうしわくちゃのババアなのか?」
「……ほう、言ったな?」
ゴクリとニルシッシルを全て飲み込んでゆっくりと立ち上がる。無論手にはイクサナックルだ。見ればハジメもドンナー片手に立ち上がっている。
「何だ、その態度は? 無礼だぞ! 神の使徒でもないのに、神殿騎士に逆らうのか!」
「一つ良いことを教えてやろう……人の女をあまり貶すもんじゃない。女のために怒る男の力は世界を救うぐらいに凄まじいのだからな……」
「心の器が小さい人間が……先生に好かれる訳がない」
ズパアン!
ドパンッ!
イクサナックルから衝撃波が飛び出す。さらにハジメのドンナーからゴム弾が発射された。衝撃波は雫に対して無礼な視線を寄越した男を店の壁まで弾き飛ばし、ゴム弾は弾き飛ばされた男の鎧をいとも容易く打ち砕いた。
俺は吹き飛ばされて意識を失った男に鞭のように変形させたファンガイアスレイヤーモドキで数発追い打ちして目を離した。ついでに殺気立った騎士風の男たちに義眼を見せて威圧も発動させる。
「良いか、俺たちはお前らに興味はない。お互い不干渉で行こう。何もしなければ俺も手を出すことはない。だが手を出すならば……特に俺の女たちに何かするのであれば覚悟を決めろ」
それだけ言うとこの騒ぎの間に飯を食べ終えたらしい雫とユエにキバットを連れて俺は一足早く用意された部屋に退散するのだった。
部屋内はそこそこ広く、以前泊まったブルックの町の宿と内装は似ている。とりあえず俺はベッドに腰掛けた。すると膝の上に雫が頭を乗せてきた。
「……ありがとね」
「綺麗だよ、その髪。俺は好きだ」
「音也……」
「ん……確かに似合ってる。神秘的」
「ユエも……ありがとうね」
「相変わらず一途なのだな……お前は。何から何まで本当にあの男とそっくりだ」
「そこまで似てるかい?」
「とても、だ。まるで生き写しだよ」
「へえ……会ってみたいものだな」
雫の髪を撫でながら想像する。一体キバットが出会った俺のそっくりさんはどんな人だったのだろうか? と。
ある意味で自分を客観的に見ることになってしまうのはこの際スルーである。
「……あら? 音也、溜まってるの?」
「…………は?」
「溜まってる。移動中も……」
「あらあら……言ってくれればいつでもやってあげるわよ?」
「お前らなあ……おいコウモリモドキ。しばらくしてから戻ってきてくれ」
「良かろう。ついでに北の山脈の偵察をしてくる」
「そいつは助かる。頼んだぞ」
「ふふ……さて、始めましょうか?」
「……今日はどっちから愛してくれる?」
「……少しは遠慮というものを知れよな」
────────────────────
オマケその一
「あの……ハジメさん」
「ん?」
「私のウサ耳……どう思いますか?」
「どう思うって……そうだな。俺はそこそこ気に入ってる」
「へ?」
「触り心地が良いしな……それに元来の性格なのか、俺はウサ耳に対して嫌悪感を持ってはいないさ」
「は、ハジメさん……嬉しいですぅ」
「あ、こら。いきなり抱きつくのは止めろ」
「ふふ、でも最近は無理やり引き剥がしませんよね?」
「抵抗するだけ無駄だと悟っただけだ」
「またそうやって……そろそろデレても良いんですよ?」
「何度も言わせるな。俺には……ってウサ耳で俺の顔を突くな! くすぐったいだろうが!」
「あ、ふふふ……このこの!」
「あんまり調子乗るんじゃねえ!」
ゴチンッ!
「はきゃん!?」
────────────────────
オマケその二
「む? こいつは……まさか!?」
「グルウウウ……」
「こんな所にいたのか……三百年ぶりだな?」
「グウウ……」
「……なんだ? 人の気配がするな」
「ガウウ……」
「なんだって……?!」
最近ファンガイアスレイヤーとバスターが使えてないなあ……使わないと()
恵里の処遇はどうする?
-
勇者バカ之河の被害者だから救おう
-
消せ(無慈悲)