※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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誰か腹痛に良い薬を知りませんかね……ビオフェルミンじゃ効き目がなくて()


第六楽章 出発

翌日早朝。俺たちは早速北の山脈に向けて出発することにした。イクサリオンでかっ飛ばせばあっという間に辿り着くことができるだろう。

 

「……で、あんたらは何してるの?」

「人捜しですよね? 人数が多い方が良いですから私たちも手伝います」

 

ウルの町の北門に何故か先生と数人の生徒がたむろしていた。思わず半眼になって先生たちのことを見てしまう。

 

「はあ……付いてくるのは勝手だが同行は却下だ。俺たちとは移動速度が違いすぎる」

 

そういいつつイクサリオンを取り出す。ハジメも二輪を取り出した。ちなみに先生たちは馬車で同行するつもりだったらしい。知らせてなかったとはいえ馬車ではとてもじゃないが無理がある。

 

まあぶっちゃけると同行させるのは面倒くさいってのがあるが。話したくないし。

 

「なんと言おうと私たちは同行しますよ。まだまだ聞かなきゃ行けないことがたくさんありますならね」

「めんどくさい……ハジメ、四輪にはどんぐらい詰め込める?」

「元がハマータイプだからトランク使えば全員行ける。ただ音也たちは別の方が良いかもしれない」

「その理由は?」

「雫が許すと思うか? お前との出来事を根掘り葉掘り聞かれることを」

「頼んだ」

「おうよ」

 

丸投げポーイ。俺はそそくさとイクサリオンに乗り込んだ。その後ろを雫が、前をユエが座る。いつもの布陣だ。

 

そのまま俺は魔力を流して出発した。後ろからは四輪が付いてくる……はず。ハジメの操縦技術に任せよう。

 

「音也、眠くない?」

「かなり遅くまで起きてたものね……眠かったら運転代わるわよ?」

「いや、大丈夫だ。てか自覚あるならもう少し自制してくれねえかな」

「だって……ねえ?」

「…………ん」

「おいなんだその間は」

「音也は私たちとするのは嫌なのかしら?」

「んなわけ。ただもうちょい抑えてくれって話だ。あまりお盛んだと俺が早死にするだろうが」

「……音也は生命力増強を持ってるから死なない」

「それフラグ! 建てたらダメなフラグだから止めろ!」

 

……何とも賑やかである。これから行方不明者を捜しに行くという雰囲気ではない。まるで遠足やピクニックに行く子連れの家族(見た目)である。

 

俺たちはその後も賑やかに話ながら北の山脈へ急行するのだった。

 

──────────────────

 

一方その頃

 

「ねえ南雲。紅って何で義眼になったの?」

「大迷宮から脱出する過程でああなった。今でこそあいつはあっけらかんとしてるが当時は自分が奈落の底へ落ちる原因となった人物を恨んでたぞ」

「でも……あれは紅の体力が切れたからじゃないの?」

「何言ってんだ。そんな状況を作り出したのは檜山のバカと勇者(笑)だろうが」

 

にべもなく言い放つハジメ。ハジメ自身も落ちた当初は自分が辛い思いをしなければならない原因を作った人間を恨んだりもしていたが……今はどうでもいいらしい。好意の反対は無関心。そういうことだ。

 

ただハジメが気がかりなのは香織のことである。自分が落ちたときの悲痛そうな顔、そして雫が香織のことを捨てて音也の元までやってきたこと。これらの条件に加えて勇者(笑)や檜山が絡んでるとなると香織のメンタルが再開まで保つかはとてもじゃないが分からないと考えていた。

 

「そうだ……白崎は元気にやってるか?」

「やっぱり気になりますか? 南雲君と白崎さんは仲がよかったですもんね」

「ニヤつくな先生。気持ち悪い。良いか、一つ言っておくぞ。俺が奈落の底へ落ちた原因を作り出したのは俺と白崎の関係を妬んだ人間だ。お前らの反応を見るにあれは事故として片付けたようだがな。それは違うぞ」

「ち、違うって……まさか」

「あれは間違いなく俺を狙った誘導弾だった。明確な殺意を持って俺を殺そうとした魔法弾だったぞ。つまり俺は、クラスメイトの誰かに殺されかけたということさ」

 

その言葉に押し黙る愛子とクラスメイト。ただ一人、シアはそのことを既に聞かされていたので平然としているが。

 

さらにハジメは続ける。

 

「それとな。音也は気がついてないみたいだが……あいつのところにも落ちる前に誰かの風球が飛来してた。あれも間違いなく音也にトドメを刺そうとした魔法だ」

「そんな……」

「どう思うかは勝手だが……白崎にはこう伝えとけ。後ろからは襲われないように注意しろ、とな」

 

それだけ言うとハジメは口を閉じてしまった。もう伝えることはないと暗に示したのだろう。愛子やクラスメイトも黙りこくってしまった。

 

そんなことはつゆ知らず、ハマータイプの四輪は相も変わらず道を疾駆するのだった。

 

──────────────────

 

「さてさて……捜しますかね」

 

一足先に辿り着いた俺はドローンのような見た目の偵察機を取り出しながら呟く。このドローン型偵察機、備え付けられたカメラと俺の義眼がリンクしているので偵察機が捉えた情報を直接俺も見ることが可能だ。

 

なおドローン型偵察機には小型麻酔銃と手榴弾を装備しているので偵察がてら軽い攻撃を仕掛けることも可能だったりする。ちなみにハジメの所持してるやつは彩雲という旧日本軍の偵察機の形をしている。ハジメは義眼を付けていないので偵察機から直接写真を取り出す必要があるが。

 

と、俺が偵察機を飛ばし始めると同時にハジメたちの乗っている四輪が追いついた。

 

「コウモリモドキ、お前も偵察を頼む」

「任せろ」

「ハジメ、シア。先生を放置しても良いから六合目地点ぐらいまでを頼む」

「おう」

「はいですぅ!」

「雫、ユエ。行くぞ」

「ん……」

「クラスメイトを放置しても大丈夫かしら?」

「滅多なことじゃ死なねえだろ、多分。ほれ行くぞ」

 

ファンガイアバスターを取り出す。んで雫の手を握ってユエを背負いフックを射出した。ちなみに射程距離は数キロである。

 

遠くの木にフックが引っかかったみたいなので俺はその場を跳び上がる。すると伸びた綱がフックに向かって戻り始めた。当然俺の体はフックへ向かって移動することとなる。

 

「ユエ、風魔法」

「ん、〝来翔〟」

「〝天歩〟」

 

空中に足場を作り出しユエが発生させた上昇気流を使ってさらに上へと移動する。さらにフックを一度回収してまたすぐに射出。某蜘蛛男のように木々の間を飛び回る。

 

「雫、何か気配は?」

「今のところは……あら? なんかデカい気配ね……」

「方角は?」

「このまま真っ直ぐよ」

「よし」

 

左目から入ってくる情報と右目からの情報を同時処理しながら前へ進む。流石にこの状態で気配感知を使用することは出来ないので今は雫が文字通り三人の目である。

 

「……結構近いわね。あと数十秒で接敵出来るわ。恐らく次の射出で浮いてから数秒後ね」

「ユエ、跳び上がって滞空。雫も天歩で滞空して目標を発見次第掴みかかれ」

「了解よ」

「ん……背中失礼」

 

バスターを宝物庫に放り投げて今度は対物ライフルを取り出して左手に持つ。さらに右手にはイクサナックルを手にした。

 

さらに気配感知を展開。なるほど、確かに大きめの気配が近くにあるらしい。これは……人間の物が一つとその他の生物の気配が多数だ。

 

『レ・ディ・ー』

「変身」

『フィ・ス・ト・オ・ン』

「…………そこだ!」

 

ドパアアアアアン!! 

 

拡張された視界で目標の位置を確認した俺は対物ライフルの引き金を引いた。弾薬の種類は拡散弾。当てるのが目的ではなく位置を正確に把握することが目的だ。

 

「もういっちょ!」

 

ドパアアアアアン!! 

 

「雫、ユエ! 見えるか!」

「何あれ……ドラゴン?」

「……待って二人とも。あれ、見覚えがある」

「なんだって?」

「間違いない……あれは私の家」

「家?」

「ユエ、どういうことなの?」

「三百年前、住んでた家。間違いない」

「家? あれはどう見たって……」

 

どう見たってドラゴンだが……いや、待てよ? ユエは確かファンガイアと人間のハーフだ。劇中を思い出せ。ファンガイアの居城はどこだった? 

 

「……キャッスルドランか!」

「ん! あれはキャッスルドラン。私の昔の家」

「え、キャッスルドラン? 何よそれ……」

「元はグレートワイバーンっていうドラン族最強のモンスターだったんだ。だけどある時ファンガイアに改造されて城と融合したらしい」

「ん……とても懐かしい」

「それならどうするの? 壊すのは……良くないわよね」

「……私が行ってみる」

「音也?」

「そうしてもらおう。争う必要がないのなら壊す必要もない」

「……ありがとう」

 

ユエが飛翔しながらキャッスルドランに近づく。キャッスルドランはすぐに気がついたらしいが……不思議と敵意は見せていない。

 

それを見て俺と雫もキャッスルドランに近づいた。

 

「グウウ……」

「……久しぶり」

「ガウ!」

「ん。奈落の底から帰ってきた。元気にしてた?」

「カウカウ!」

「……そう、良かった。アームドモンスターたちは?」

「グルル……ガウ!」

「……もう居ない。分かった」

「ガウガウ! グルウ?」

「……人を捜してる。男の人」

「グウ……ガウ!」

「……え、人が中にいるの?」

「なんだって?」

「人が……?」

「ガウ! クルウウ……!」

「ん、会わせてくれる?」

「ガウウ!」

 

キャッスルドランの口がゴパッと開く。すると……一人の女性が外に出てきた。何やら足下がおぼつかないらしく、フラフラと危なっかしい。

 

「おっと危ない。お嬢さん、大丈夫です……嘘だろ?」

 

倒れかけた女性のことを支えて声をかけたが……思わず零してしまった。あまりにも見覚えがある見た目と雰囲気。表情は放心しているのかボケッとしているが……これは、まさか。

 

「音也、どうしたのかしら?」

「しず、く……」

「もう、そんなに動揺して。どうした、の……」

 

雫も固まった。俺が絶句した理由が分かったのだろう。それを見て訝しがったユエが頭の上に疑問符を浮かべながら話しかけてきた。

 

「……二人とも?」

「そんな、まさか……嘘よね? 夢なのよね?」

「雫……」

「何でよ……何で、こんなところに……」

「……分からない」

「何で……何で姉さんがここにいるのよ。訳が分からないわ……」

 




はい……露葉さん再登場です。なぜ異世界に来てしまったのか、それが分かるのはもう少し先の話です。

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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