※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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今回は先に進む……というよりは説明会です。次回からはしっかり先へと進みます()


第十二楽章 事後

「あの……音也くん」

「……記憶は戻ったみたいですね」

「すっかり、ね」

 

……四輪を操りながら隣に座った露葉さんに話しかける。ちなみにハジメとシアにウィルはチハに乗っている。魔力さえ流せばチハももの凄い速度で疾駆できるので問題はない。

 

ひとまず目的はフューレンだ。ウィルを送り届けなければならないし物資の補給もしておきたい。

 

「まあ……戻ったなら良かったですよ」

 

どうやら露葉さんは水流にやられた反動で記憶も戻ってきたようである。

 

なんか顔が赤いのはよく分からん。あと雫とユエがジト目を送ってきてるのも解せぬ。ティオに関しては……うん、放置しておこう。

 

「えっと……なんか雰囲気変わったね? 大人っぽくなったというか」

「そうですか?」

「雫も……すっかり変わったのね」

 

そりゃ変わりましたとも。まず髪の毛が雪のように真っ白だもの。

 

「色々あったのよ……でも姉さん。音也とそこまで引っ付くのはなんで?」

「良いじゃない。減る物じゃないでしょ?」

「むー……」

 

拗ねたような顔をする雫。姉さんには流石に振り回されるのだろうか。しかし拗ねてる雫は新鮮で可愛い。

 

「やれやれ……で、何で露葉さんはこの世界にわざわざやって来たんです?」

「そうねえ……まず一つ目の理由は単純に貴方たちと会いたかったからよ」

「ほーん……」

「で、もう一つ理由があって……音也くん。これを貴方に渡したかったの」

「……これは?」

 

露葉さんから手渡された物は、以前も見せてくれたガラケーのような何かと鍵だった。

 

「この鍵はスイッチを押すとベルトとナックルになるらしいの。音也くんのお母さんが一睡もしないで作り上げたらしくて……」

「母さん……何やってるんだよ。しかしベルトとナックルになるのか。持ち運びには便利になるな」

「それにこのベルトで変身すると以前のイクサよりもパワーアップしてるらしいわ。どうやらライジングっていうモードに強制的に変わるらしいけどね」

「……すっ飛びすぎだろ。んじゃこのガラケーモドキはそういうことか?」

「想像通りよ。イクサライザーと言うらしくてライジングイクサのメインウェポンとも言えるみたい。あ、でもイクサカリバーだったりイクサナックルはそのまま使えるらしいわよ?」

「母さんの技術力どーなってるんだよ」

 

思わず呆れ返る。母さんの技術力は恐らく異世界でも通用するだろう。現にプロトイクサですら大迷宮攻略が可能なのだから。

 

とはいえ露葉さんが異世界を遙々と越えてまで持ってきてくれた強化アイテムだ。有り難く頂くとしよう。

 

「あ、そうだ……音也くん。イクサライザーで自分の家の電話番号を入力してみてくれないかしら? 音也くんのお母さんがそうして欲しいって頼んできたから……」

「家の電話番号だって? 母さん……何を仕込んでるんだ?」

 

あの母さんのことだ。絶対に何かを仕込んでいるに違いない。とりあえず家の電話番号を入力してみる。

 

デエエン! とかピポポポ……とか色々鳴る機能まで再現されているのはさておき、入力が完了してコールボタンを押した。その次の瞬間である。

 

 

『もしもし音也。元気にやっている? 私たちは貴方のことを必死に探していますが未だに手がかり一つ見つけられません』

「ええ……マジで? 音声吹き込んだのかよ」

 

イクサライザーから母さんの音声が流れ始めた。思わず驚愕して呟いてしまっがその後は黙って母さんの声を聴く。

 

実に数ヶ月ぶりの親の声だ。とても懐かしい。

 

『お父さんは最近仕事にも行かずに貴方の行方を探しています。すっかり顔がやつれて別人のようです。私自身もすっかり見た目が変わってしまいましたが音也は元気にやっているでしょうか?』

「父さん……母さん……」

『無事、貴方が帰ってくることを私たちは祈っています』

 

……そこで母さんの声は途切れた。ここまでのようだ。

 

そういえば俺たちがこの世界に来てから既に数ヶ月は経過している。

 

この数ヶ月の間に様々な出来事に見舞われたが……その間両親は生きた心地がせずに俺のことを探していてくれたのだろうか。

 

「……早く、帰りたいな」

「ええ……」

「ん……」

「まだ帰る見通しは立ってないの?」

「帰るも何も、この世界を越えなければならないんだ。そのための力を集めないとな……」

「そう……やっぱり時間が掛かりそうなのね?」

「そりゃな」

「……よし、分かった。私もみんなに付いていくわ」

「……は?」

「何言ってるの姉さん……戦えるの?」

 

ごもっともな雫の言葉。いや待てよ? そういえば露葉さんが先生を助けるために飛び出した時の速度は……縮地どころか爆縮地の速さだった。ほぼ雫と同等とも見えたし……。

 

「露葉さんは……何か武道をやってましたっけ?」

「あら、私も八重樫家の女なのよ? 母さんから色々な技を教えて貰ったわ」

「あれ……露葉さんって剣術の才能はなかったと自分で言ってませんでしか?」

「剣術は、ね。他は別よ?」

「……マジで?」

 

露葉さんが武道をやっている姿は見たことがない。故に戦えるはずがないと勝手に思っていたのだが……この雰囲気だとそうでもなさそうである。

 

しかし雫も知らなさそうな顔をしているのだが……どういうことだ? 

 

「詮索はなし! あまり疑ると女の子に嫌われちゃうわよ?」

「……分かりましたよ」

 

露葉さんにメッ! をされて仕方なく黙る。日本に居た頃から露葉さんのペースには振り回されがちだったが……ここでも変わらないらしい。

 

俺は一つ溜め息をつき、しかし頬を緩めながらも四輪を疾走させるのだった。

 




音也の名前をした音也ではないキャラを書くって中々大変です…とはいえ音也まんまにすると物語で暴動が起きかねないんですよね()

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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