※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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今回は繋のお話です。かなり雑ですみません…。
毎回感想を送ってくれる人が居てくれて本当にありがたいです‥‥お陰様でモチベがなんとか保てています。


第十四楽章 最悪の事態

「完璧なタイミングだったな、助かった」

「この程度お安い御用よ」

 

司教を抹殺した俺は、その後サッサとアンカジを出発した。現在はティーガーIIを疾駆させている。ちなみにハジメ、香織、シアはチハに搭乗している。相変わらずの突撃戦車っぷりだ。念のため言っておくと「突撃砲」ではない。突撃戦車だ。チハは爆速で突撃するイメージが付いているのでそう呼んでいる。ちなみに加速はチハの方が良い。

 

『ねえ音也くん、ちょっとお願いがあるの』

「あ? なんだ?」

 

戦車に取り付けられた無線から香織の声が聞こえてきた。かなり焦りを含んだ声であるため思わず顔をしかめる。と、その時ハッチから周囲を眺めていた雫がこんなことを教えてくれた。

 

「あらあら。商隊が賊に襲われているわね。しかもあの中に私たちの知り合いがいるわ」

「ああ……なるほど」

『……助けに行っても良い?』

「当たり前だ。お前がやりたいことなんだろ? 俺は別に否定しないさ」

 

その声を届けた直後、並走していたチハが一気に速度を上げた。俺もティーガーIIに流し込む魔力の量を一気に上げた。履帯がギャリギャリギャリと地面を噛み、ロケット噴射でもしたかのように凄まじい勢いで加速する。

 

え、何をするのかって? では質問だ。君は今、車に乗っている。目の前には犯罪を犯しているアホウ共が大量に居た。さてどうする? 答えは一つだろ?

 

「ここでアクセルを全開……インド人を、じゃなかった。ハンドルを右に!」

 

ギャリギャリ! ギギギギ! と凄まじい音を立てながらドリフトするティーガーII。先に突撃したチハが蹴散らした後を追って回転しながらドリフトしたティーガーIIに大勢の賊が巻き込まれた。当然、重戦車に撥ねられて無事である人間は居ない。というか並みの戦車ですら撥ねられたら爆散する。

 

「ユエ、任せる」

「んっ」

 

生身ながらもイクサキャノンと対物ライフルを取り出してハッチから飛び出す。超特殊なガン=カタの完成だ。

 

 

ズガアン! バスンッ! 

 

 

イクサキャノンから発射された拡散弾は周辺に居た賊を丸々消し飛ばし、対物ライフルから放たれた閃光は一寸の狂いもなく数十人を撃ち抜いた。辺りにはミンチになった人肉が飛び散り、阿鼻叫喚の図を醸し出している。結局、香織や雫が戦車内から出てこちらに歩いてくるまでの間に商隊を襲っていた賊は全滅していた。さらに香織が複数人用の光系回復魔法〝回天〟を連続使用して、一気に傷ついた冒険者たちや隊商の人々を治癒していく。しかし残念ながら、俺が来る前に倒れていた護衛の冒険者たちは既に事切れていたらしく、いくら再生魔法であっても死者の蘇生までは出来ないので彼等は助ける事が出来なかったみたいだ。

 

そんな彼等を見て歯噛みする香織に、突如、人影が猛然と駆け寄った。小柄で目深にフードを被っており、一見すると物凄く怪しい。だが、こいつが何かしたところでハジメが余裕で対処出来るので特に止めはしなかった。

 

「香織!」

 

飛びつくフード。可憐な声なので、女だろうが。

 

「リリィ! やっぱり、リリィなのね? あの結界、見覚えが有ると思ったの。まさか、こんなところにいるとは思わなかったから、半信半疑だったのだけど……」

 

香織がリリィと呼んだフードの相手。誰だっけ?見たことある気がするが……思い出せない。

 

「私も、こんなところで香織に会えるとは思いませんでした。……僥倖です。私の運もまだまだ尽きてはいないようですね」

「リリィ? それはどういう……」

「香織、治療は終わったか?」

 

テクテクと香りの元へ歩み寄る。見ればハジメと雫も香織の側に寄ってきていた。フードの女の子は俺たちの姿を見て、ピコン!と頭の上に電球を光らせたかのような表情をした。

 

「南雲さんと音也さん……それに雫ですね? お久しぶりです。鈴たちから貴方の生存は聞いていました。貴方たちの生き抜く強さに心から敬意を。本当によかった。……貴方たちがいない間の香織は見ていられませんでしたよ?」

「いや、それは知らなかったが……お前誰だ?」

 

その言葉に「へ?」と間抜けな声を上げた女の子。これまでの記憶をかなり遡ってみたがどうしても思い出せないのだ。それはハジメも同じらしく、首をコテンと傾げている。

 

「ふ、二人とも! 王女! 王女様だよ! ハイリヒ王国の王女リリアーナだよ! 話したことあるでしょ!」

「…………あ、そういえば初日の晩餐は隣だったな」

「……そんな人も居たな」

「ぐすっ、忘れられるって結構心に来るものなのですね、ぐすっ」

「リリィー! 泣かないで! 二人はちょっと〝アレ〟なの! 二人が〝特殊〟なだけで、リリィを忘れる人なんて〝普通〟はいないから! だから、ね? 泣かないで?」

 

さり気なくディスられている気がしたがここで何か言い返す必要はないと感じたので黙っておく。ついでに呆然としていた商人たちにアンカジは完全復活したと伝えておいた。オマケに農業に使う肥料辺りを運んであげたら喜ぶとも。それを聞いた商人たちのキラキラした目を俺は一生忘れることはないだろう。

 

と、香織のおかげでリリアーナは復活したらしい。ここまでジックリ見てなかったが、リリアーナの表情は焦燥感と緊張感に塗り尽くされており、とてつもなく嫌な予感がする。その予感はあながち間違いではなかった。

 

「……愛子さんが、攫われたんです」

「は?」

「攫われたんです。つい先日……」

 

話を聞くと、愛子先生は銀髪の修道女に突如攫われたらしい。それ以前に王都はどこかおかしい状態だったらしく、父親であるエリヒド国王は、今まで以上に聖教教会に傾倒し、時折、熱に浮かされたように〝エヒト様〟を崇め、それに感化されたのか宰相や他の重鎮たちも巻き込まれるように信仰心を強めていったらしい。

 

しかも妙に覇気がない、もっと言えば生気のない騎士や兵士達が増えていったのだ。顔なじみの騎士に具合でも悪いのかと尋ねても、受け答えはきちんとするものの、どこか機械的というか、以前のような快活さが感じられず、まるで病気でも患っているかのようだったという。

 

「それだけに留まりません。音也さんたちの異端者認定も愛子さんの意見やあなた方の功績全てを無視して強行採決されたんです。まるで強迫観念に囚われているかのように頑なでした……」

 

どうやら最悪の状態らしい。これは【メルジーネ海底遺跡】で散々見せられた〝末期状態〟によく似ている。神に魅入られた者の続出。非常に危うい状況だと言える。

 

それに愛子先生が攫われた理由は明確だ。俺は魔物迎撃戦の前に先生に狂った神のことを全て話している。それを勇者や他のクラスメイトに伝えて欲しいとも頼んだのだ。恐らく、いや、絶対にこれが理由だ。責任を感じている訳ではないが……愛子先生が攫われて、このまま殺されてしまうと厄介な事になりかねない。

 

故に、決断した。元よりクソ神の部下とは殴り合う運命にある。それがほんの少し早くなるだけだろう。大したことはない。俺はリリアーナをティーガーIIに放り込み、自身も乗り込んで魔力を一気に流すのだった。

 




恵里が人気じゃなくて勇者(笑)が嫌われてるだけなのでしょうか…()
それにしてもお気に入り数が一つ減るだけで少し凹むクソメンタルはどうにかしたいです()

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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