その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
「……思っていたより数倍は酷い有様じゃないか」
思わずそう零す。クラスメイトが傷ついているのは別に良い。光輝が手酷くやられてるのは煽りたくなるぐらいに嬉しい。しかし、だ。親友の最愛の人は間違いなく死に絶えている。此処ぞとばかりに役立つ俺の耳は、しっかりと停止した香織の心音を捉えていた。
そして俺の親友は、闇のキバの鎧を身に纏っている。とても言葉では表せないほど多くの負の感情が溢れだしており、相対する人間だけは必ず殺すと決意しているようだ。止めることは不可能だろう。
しかし、激情して視野が狭まったハジメとは違い、俺は比較的冷静に周囲の状況を確認することができた。
クラスメイトは兵士や騎士の剣に貫かれ、魔法封じのアーティファクトを架せられている。光輝は生気の感じられないメルド団長に組み伏せられている。香織は胸から剣を出し、息絶えている。そして、主犯格であろう人物はハジメと檜山の事をニヤニヤしながら見ている……。
「……お前ら、香織の魂の固定を頼んだぞ」
「任せなさい」
「お前か……中村」
「ふふふ……そうさ、僕が全て指示したのさ」
日本で過ごしていれば有り得ないと思う人が、まさか主犯格だとは信じられない。が、こいつの表情が全てを物語っている。確定で間違いないのだろう。問題なのはこいつの動機である。
「……なぜ」
「僕はね、ずっと光輝くんが欲しかったんだ。だから、そのために必要な事をした。それだけの事だよ?」
なんとあのバカが欲しくてやったことらしい。哀れな姿にも見えてきたが、グッと堪えて質問を続ける。あまりにもツッコミ所があってこのままではぶちのめす事も出来ない。
「そのために香織を? お前は見てなかったのか……香織が光輝の事を遠ざけていた所を。それにそこまでして欲しいなら告白すれば良いじゃないか」
「ダメだよ、ダメ、ダ~メ。告白なんてダメ。光輝くんは優しいから特別を作れないんだ。周りに何の価値もないゴミしかいなくても、優しすぎて放っておけないんだ。だから、僕だけの光輝くんにするためには、僕が頑張ってゴミ掃除をしないといけないんだよ。それに光輝くんは、香織がどんなに距離を作ったとしても勝手に寄っていくでしょ?」
「後者に関しては納得したわ」
自分が悪いとは思っていないからな。奴の脳内ではあくまでも自分以外の誰かに原因があるのである。あの調子で雫にも近寄ってきたらジョーク抜きでぶっ殺すつもりだ。
しかしまあ、欠点も分かっているのにだ。それも結構面倒な欠点が分かっているのにも関わらず、どうしてそこまで執着するのだろうか。
「少し疑問なんだけどな。そこまであのバカの欠点を知っているのにそこまで執着する理由はあるのか? 俺が女だったら欠点を見抜いた瞬間に離れたくなるんだが」
「くっふふ……君は何も分かってないよ。彼は僕のヒーローなんだよ? この世に絶望し切った僕の目の前に現れた救世主であり王子様なんだ。どんな欠点があったとしても、この気持ちには敵わないんだよねぇ……残念!」
曰く、彼女は光輝と会うまで愛された思い出がないという。父親は幼い彼女を交通事故から庇って早くに死んでしまい、残された母親からは言葉の虐待を受けていた。
母親が新しく連れてきた男も、三文芝居に出てくるようなクズだった。所謂ありふれたクソ野郎ということだろう。その男からも彼女は小学生の頃から性的虐待を受け、運良く男が警察に捕まってからも母親にこれまで以上の虐待を受けて彼女は死のうとした。
親という一番に信じていたものは全て幻想だった。長く耐えてきたことに意味はなかった。無駄だった。そして、この先の未来にも希望はない。幼い恵里が壊れるには十分過ぎる要因だ。
しかし、いざ自殺をしようと鉄橋から飛び降りようとした。その直後に偶然、光輝が通りかかった。当然、善意の塊である光輝は彼女の事を引き止めて、事情をしつこく聞いた。
心身共に弱り切った彼女は、かなり簡略な説明をしたところ、光輝は俯いて目も死んでいる彼女の頬を両手で包み込み、至近距離で宣言したという。
――もう一人じゃない。俺が恵里を守ってやる
……ここまで聞いて、俺は確信した。あのバカ、本当の所は何も考えずに女子を口説き落としているだろ……ではなくて。
あいつは言ってしまったのだ。今、正に死のうとしている少女に、守ってやると。俺が側に居てやると。全てに絶望した少女からしたら、劇的なシチュエーションとも言える状況で……彼はやってしまったのである。
「……なんというか、お前も被害者だな」
「はあ? 一体何を言ってるの?」
「お前も気がついているよな? あのバカからすれば、お前の存在は〝その他大勢〟だと」
「うん、分かってるよ? だから僕以外の女を消してしまおうと思ったんだよ?」
こいつはヤンデレだ。雫たち以上にヤンデレである。光輝に真っ直ぐ過ぎる純愛を向けている。しかし当の本人は、そんなことはつゆ知らずに他の女に手を差し伸べる。そして、そんな彼が本当に心から思っているのは幼馴染みである香織と雫でしかない。その二人には嫌われてしまってるのは何とも皮肉な事だが。
日本にいた頃、光輝はことあるごとに言われていた。「貴方は女心が分かっている」と。だが、それは大きな間違いだ。彼は何一つ、女心を分かっていない。それこそゼロと断言出来るほどに分かっていないのだ。女というのは大抵、男よりも我が儘で独占欲が強い。それを知らずにハーレムを作ったらどうなると思う?答えはもちろん、見えているだろう?
「こんなことをしても光輝が振り向くことは決してない」
「はあ?」
「あいつは、お前のことを何とも思っちゃいないんだ。良くてもただの友人だよ。魔法で洗脳すれば良い? バカの考える事だな。本当に彼のことを愛しているのならば、厳しい競争にだって迷わず飛び込むだろう。お前は逃げてるだけなんだよ。自分の都合のいい様に事を運ぼうとしてるだけ。自分からも、他人からも逃げ回っている。そんな気持ち程度では、絶対に振り向かせることは出来ない」
多くの女と向き合ったからこそ話せる言葉だ。恋愛というのは、逃げてはいけないのだ。失敗を恐れることなく、正面から相対しない限りは思い人は振り向かない。逆に正面から向き合えば、どんなに鈍感な人間でも気がつく。小説に出てくるような、唐変木の鈍感ニブチンなんぞ殆ど居ない。
正面から相対した人間は、嫌でも心の内に秘めた想いを徐々に燃やしていくのである。そこからはあっという間だ。心の内でどう思っているのかによって結果は変わる。仮に失敗したとしても、正面から、堂々とぶつかったならスッキリと諦められるだろうよ。
しかし、こいつは……囚われているんだ。たった一つしかない思い出に、それも呪われた思い出に、囚われている。このままでは雫たちにも被害が行きかねないし、こいつの事をこれ以上見ていることも出来ない。
「ハジメ」
「……あ?」
「檜山を、やれ」
「ふん、当たり前だ……お前は?」
「救うさ。あいつを……」
ヴァイオリンと弓をを取り出して構える。今回は敵だから殺すのではない。例外中の例外だが、今回だけは……救うために戦う。普段とは異なり、もう一組のヴァイオリンと弓を空間に固定して……俺は曲を弾き始めた。
選曲は「ピアノソナタ・月光」。内包する莫大な魔皇力と魔力を同時に解放してもう一つのヴァイオリンの弓を同時に動かす。俺の手に持つヴァイオリンが主旋律を、もう一つのヴァイオリンは副旋律を奏で、月明かりに照らされたこの場を魔性の音色で包み込む。
副旋律から生まれる蒼い魔法の鎖は倒れ伏せたクラスメイトたちに巻き付き、兵士や騎士から受けた傷を癒やしていく。主旋律から生まれた紅い魔法の鎖は、傀儡人形のような兵士や騎士たちに絡みついてクラスメイトたちから引き離し、植え付けられたのであろう仮初めの魂を浄化。元の死体へと戻り、バタバタと地面に倒れていった。
顔を酷く歪める恵里。構わずに俺は片っ端から傀儡人形共を成仏させ、クラスメイトたちをある程度回復させてハジメが心置きなく檜山を殺せるような空間を作り出す。
「なんなの? 何で上手くいかないの? 計画は完璧だったよね? 僕だけの光輝くんが手に入るはずだったよね? それなのに、何で? ねぇ、何で? 何で? 何で!?」
「〝訴魂〟」
動揺からか、激しく頭を掻きむしって叫ぶ恵里。俺はつい先ほど手に入れた魂魄魔法を発動させる。〝訴魂〟は相手の心奥に己の魂を潜り込ませて、直接声を送ることが可能な魔法だ。ある意味で念話の上位互換である。念話は確かに会話こそ可能だが、訴魂と違って相手がどう思っているのかまでは分からない。しかし訴魂は心奥に己の魂を潜り込ませるため相手がどう思っているのか、どうしたいのか等を確認できるのだ。
俺は訴魂をヴァイオリンが出す二つの鎖に付与し、同時に恵里の方向へ向ける。何かとんでもない物を感じたのか、恵里が必死に魔法で抵抗してくるが……そんな物は受け付けずに、難なく魔法の鎖は恵里の心臓部分に突き刺さった。
自然と目を閉じた俺が、次に見た光景は……真っ暗な部屋に一人閉じこもって蹲っている恵里の姿だった。真っ暗な部屋とはいえ目が利かない訳ではなく、部屋の壁には光輝の様々な表情の写真のような物が所狭しと貼り付けられている。
「なんで、こうも上手くいかないのさ……なんで手に入らないの? もう一人じゃないって言ったよね? 守ってくれるっていったよね? 僕はあなたの特別だよね? ねぇ、どうして、同じ言葉を他の人にも言っているのかな? ねぇ、どうして、僕だけ見てくれないのかな? ねぇ、どうして、今、こんなに苦しいのに助けてくれないのかな? ねぇ、どうして、他の女にそんな顔を向けるのかな? ねぇ、どうして、僕を見る目が〝その他大勢〟と同じなのかな? ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして……」
「………」
「……なんで、君は邪魔するのさ」
俺に気がついたのか、グリンと首を回して俺の方を見てくる恵里。その目は死人のようにほの暗く濁り、ノイントや傀儡人形たちのように生気を感じさせない。彼女が如何に病んでいるのか、それを嫌というほど分からされた。
心奥に辿り着いたことによって、彼女の暗い過去も全て見せられ、どんな思いで光輝を思っているのかを理解した事によって、一層彼女を救わないといけないという気持ちになる。
「お前は、どうしたいんだ? このままじゃあいつを手に入れることなんて不可能だぞ?」
「……手に入る。絶対に」
「そこまでして手に入れたいのか?」
「当たり前のこと、聞かないでよ」
蹲っていた恵里がスクッと立ち上がる。そのまま俺に近寄ったかと思うと、肩をガシッと掴んできた。瞳が爛々と光り、その細い体のどこからそんな力が出てる?と聞きたくなるぐらい強く俺の肩を握ってくる。
彼女はまくし立てた。好きな人を手に入れるためにはなんだってするのが当たり前でしょ?そのために洗脳するんだ。邪魔をしないでくれ、と。
俺は諭す。洗脳して真実の愛が生まれるわけがない。仮に付き合えたとしても、一生続くのかと言えばそんなことはない。お前か、あいつが我慢の限界を向かえて悲惨な最期を向かえるのがオチなんだ、と。
「僕は光輝くんに一生を捧げるために生きてるんだ! あの時、助けて貰ったのは運命。僕が彼の一番の女に相応しいって事なんだよ!」
「あいつはそんなこと考えていない。他の人にも同じように目を向けるのは何故だと思う? お前なら分かってるだろ?」
「うるさいうるさいうるさい! 僕が相応しいんだ! 他の女はみんな邪魔なんだ!」
「よく聞け、中村。お前は目先の幸せしか見ていない。もっと後のことまで考えるんだ」
「何を……! 僕の人生プランは完璧なんだ! これさえ上手くいけば僕と光輝くんは一生幸せに、老人になるまで、死が二人を別つ日まで生きていけるんだよ!」
俺は恵里の手を握り、暗く澱んでいる瞳を真っ直ぐ見つめて言葉を紡ぐ。一生を捧げてまで付き合いたい理由は、助けて貰ったからか?愛してるからなのか?違うだろう。お前は離したくないんだろう?藁にもすがる気持ちなんだろう?
「両親も、周りの大人も、同い年の人間も信じられない。お前にとってはたった一筋の光りなんだろうよ。だがな、冷静に考えてみろ」
「冷静に……? 僕はずっと冷静じゃないか」
「いや、よく考えてみるんだ。日本にいた頃のお前は偽りの自分だった。だがな、独りぼっちだったか? お前の周りにはいつも、友だちが居ただろ? 其奴らは、お前のことを心から好きで、心配してくれてるんだぞ?」
ピタッと恵里の動きが止まる。俺は構わずに続けた。もう少し、だ。
「心から心配してくれる友だちが居る。其奴らは、お前のいう邪魔な人間だ」
「……それが、どうしたのさ」
「……お前、本当に邪魔だと思ってるのか?」
「は?」
「友だちと笑い合っていたお前の事を、俺は何度も見ている。基本的にお前は愛想笑いだったし、何となく本当の自分を隠しているとは思ってたさ。だけどな……」
お前、鈴や香織と一緒に話していたときに、心から笑っている瞬間があったよな? その時の心が奏でる音楽は、普段偽っているお前からは絶対に聞こえない、心安らぐ物だったぞ?
「?!!」
「見てないとでも思ったのか? 残念だったな、俺は性格が悪くてね。見つけてしまうんだよ。本心から笑っている姿をね」
「そんな、ウソ」
「音楽は嘘をつかない。それは俺が一番知っている。音楽は人その物を作り出す物だ」
震えだした恵里。手を離すと、ダランと脱臼したかのように力が抜けている。己の思っている全てを否定され、自分自身も実は矛盾していた。その事実を突きつけられ、恵里の心はグチャグチャになっている。その証拠に真っ暗だった部屋が、ガタガタと揺れ始めている。
「……だったら。だったら僕は、何を信じれば良いのさ。お父さんは死んだ。お母さんは僕の事を傷つけた。周りの大人は何もしてくれないし、僕の言うことを信じてくれない。本心から信じられる友だちも居ない」
「中村……」」
「教えてよ、紅。僕は誰を信じれば良いの?」
「いや、知るかよ」
「え?」
バッサリ切って捨てる。恵里は困惑した表情になり、俺の意図をまるで分かっていない。まあ、それが当たり前なんだけどな……。
「俺を信じろ、なんて言うと思ったか? アホみたいな答えを期待するんじゃねえよ」
「で、でも」
「良いか、信用出来る人っていうのは自分で探すんだよ。誰かに探して貰おうだなんて馬鹿げてる」
「そんなっ……僕には無理だよ」
「本当に信じられる友ってのは……お前自身で探さなくてはならない。お前が今、信じられる人が居ないのは自業自得だろ?」
その言葉に「うっ」と声を詰まらせる恵里。自分の過去を顧みて、ようやく何をしてきたのかを理解したのだろう。部屋が少しずつ明るくなり、壁に貼り付けてあった光輝の写真が消えていく。冷たく感じた部屋内も多少の温もりは感じられるようになった。何があったのかは……言うまでもないか。
俺は最後に恵里と正面から向き合い、言葉を告げた。
「よく、決断したな。偉いぞ」
「……おとう、さん?」
「んじゃ……俺は行くわ」
「ま、まって。おとうさ――」
光りが爆ぜた。目を閉じ、再度目を見開けば……現実世界へ戻ってきた。丁度演奏も終えたらしいので、一件落着だ。
空間に固定したヴァイオリンを宝物庫へ放り込み、手に持ったヴァイオリンもケースに入れてから倒れ伏せている恵里に近づく。恵里は俺の足音を聞いて目が覚めたらしく、起き上がって俺のことをボーッと見ている。
「とりあえず、壊れてなさそうだ。良かった」
「え、うん。なんか……ごめん」
「気にするな。大体はあのバカが悪いんだから」
「……ありがとう。あの、みんなも迷惑かけて、本当にごめんなさい。謝って許されることじゃないけど……」
ペコリと頭を下げて謝罪する恵里。当然、困惑するクラスメイトだが……彼女と仲が(表面上)良かった鈴が一人、前に進み出てきた。
警戒する恵里。それに構わず、鈴は恵里のことをギュッと抱きしめた。鈴の瞳には、何か深い感情が見られたが……全てを理解することは出来なかった。とりあえず今は、改めて親友になった二人の邪魔をしないようにこの場を離れるとしよう。
と、その時である。俺の耳に不快な叫び声のような、奇声のような音が聞こえてきたのは。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
音也がヴァイオリンで傀儡人形をお掃除し終わった頃。
「……これで邪魔はなくなったな」
「ひひ……そうだな」
復讐に飲み込まれたハジメと、ハイ人のような状態の檜山が相対していた。ここまで檜山が余裕な態度を出来る理由は、フリードたち魔人族が関係している。
元々、王都に魔人族が攻め込んできたのは恵里と密かに手を組んでいたからである。その際に、檜山は魔人から元の世界で言うヤクを貰ったのである。こいつはドーピングに近い物であり、飲めば飲むほど己の身体能力や内包魔力が上昇していく。副作用として、正常な判断をすることが難しくなるが……檜山は元から正常の判断をしている訳ではないので、特に問題にならなかった。
ドーピングした檜山のステータスは、オール12000である。これは能力値だけで言えばノイントたち神の使徒と同じであり、凄まじいヤクであることが理解出来るだろう。
大幅かつ急な能力上昇にクラスメイトはどう反応したのかというと……ただ、褒め称えただけだ。光輝に至っては、ようやく真面目になったのか!なんてほざく始末である。
しかし、能力値がオール12000であったとしても……檜山は絶望以外見ることはない。
「……来い」
「言われなくてもやってやらあ! 俺はなぁ! お前の事を殺してやりたくて仕方がなかったんだよおお!!」
手に剣を持ち、火球を連発しながらハジメへ急迫する檜山。火球は全て最小限の動きで払われてしまったことに気がついていないのか、そのまま剣を大上段から振り下ろした。
ガキンッ! バキッ……
核爆発を余裕で耐えきる鎧に正面から当たった剣は、当然の如く根元から折れて地面に落ちた。驚愕し、動揺する檜山。そんな彼に対して一撃だけパンチを入れたハジメは、嘲笑うかのように檜山の頭を掴み、恐るべき膂力でそのまま地から宙へ浮かせてしまった。
「おま゛えぇ! おま゛えぇざえいなきゃ、がおりはぁ、おでのぉ!」
「俺がいようがいまいが、結果は同じだ。少なくとも、お前が何かを手に入れられる事なんて天地がひっくり返っても有り得ない」
「きざまぁのせいでぇ」
「生粋の負け犬が吠えるとここまで哀れだとはな。今すぐに殺してやる」
ハジメがザンバットフエッスルを取り出した。さらに空いた片手にはザンバットソードを召喚する。彼はかつてないほどに復讐に燃えている。パンチやキックでは物足りないのだ。作り出した紋章に檜山を放り込み、死刑執行の合図を宣告する。
「ウェイクアップ・ザンバット」
数百、否数千、数万。数え切れないほどのザンバットソードが檜山の周りをユラリユラリと周回する。月明かりを刃が反射し、獲物を狙う猛獣のように虎視眈々と執行者の最後の命令を待つ。
「お前はこれまで、数多くの罪を重ねてきた。だがな。今回ばかりはやり過ぎたな。
他人の最愛の人を殺し、さらには寝取ろうとしたんだもんなあ?」
この世のものとは思えないおぞましい気配が檜山を一瞬で侵食した。体中を虫が這い回るような、体の中を直接かき混ぜられ心臓を鷲掴みにされているような、怖気を震う気配。圧倒的な死の気配だ。血が凍りつくとはまさにこのこと。一瞬で体は温度を失い、濃密な殺意があらゆる死を幻視させる。
ハジメは、たった一度だけ指を動かした。待ってましたとばかりにザンバットソードが檜山に迫る。ゆっくり、ユラユラ。その動きは、彼の体を一ミリ以下の挽肉にするまで止まらなかった。
いやもうホント……駄文で申し訳ないです。自分ではこれが精一杯でした()
恵里の処遇はどうする?
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勇者バカ之河の被害者だから救おう
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消せ(無慈悲)