※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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最近この作品が完結してからか、モチベ維持のための作品として仮面ライダーエターナルと艦これのクロスオーバー作品の設定を考え始めています。最初はウルトラマンコスモスを使って、生き物は誰とでも分かり合える!みたいなの書こうとしてましたが……やめました(おい)


第十九楽章 覚悟・終わりなき戦い

「なかむらあああ! てめえええええ!!」

 

恵里の背後から絶叫が響き渡った……と、思うと、〝槍術師〟の力により放たれた激烈な突きが風の螺旋を纏いながら恵里の心臓に狙い違わず直撃した。姿を確認すると、近藤礼一その人である。

 

急場しのぎだったとはいえ、鈴の展開した障壁をいとも容易く突き破った辺り、何かしらの強化を受けているのだろう。雰囲気だけではノイントと同レベルである。

 

「チッ……変身!」

『フィ・ス・ト・オ・ン』

「ティオ、頼むぞ!」

「承知!」

 

恵里のことをティオに任せ、俺は近藤の元へ向かう。近藤はすぐ俺に気がつき、一度バックステップで距離を取ってきた。

 

最低最悪な心の音楽に思わず顔をしかめつつ、俺は問うた。ハジメでも俺でもなく、何故に恵里を攻撃した?と。

 

「あいつが改心しちまったら雫が手に入らねえんだよお! なんてことしてくれたんだ!!」

「「……は?」」

 

俺と、そして雫が思わず間抜けな声を上げる。近藤は、雫を一度殺した上で恵里に傀儡人形にしてもらい、自分の物にしたかった。その事をひとまずは理解出来たが……バカじゃねえの?

 

第一、近藤程度の力で雫を殺すことは不可能だ。雫を殺すなら、露葉さんレベルの速さとパワーが必要不可欠である。フリードのようなマヌケは勿論、ノイントですら殺せるかは危うい。雫のことを圧倒した上で殺せるのは、恐らく露葉さんか黒いイクサだけだろう。そのぐらい雫は強い。

 

そんなことも理解せずに、自分の欲望のためだけに近藤は動いてたと言うのだから、哀れにも程があると言えよう。俺はイクサの中から侮蔑と憐れみの念を送る。

 

「いやアホだろ。お前ごときに雫が殺せるわけがないじゃん」

「うるせえ! お前は雫を奪った悪党だろ! 悪党が一々ほざいてるんじゃねえ!」

 

話が一切通じない。これはドーピングによる物なのだが、俺はそんなこと知らないので敵意有りと見なすことにした。そもそもとして、目の焦点がブレブレでマトモな精神状態には見えない。

 

奇声を上げながら突撃してくる近藤。並みの縮地ぐらいの速度は出てる。が、雫の〝無拍子〟や露葉さんの〝神速〟に見慣れている俺からしたら止まって見える。洗練されていない高速移動など、ただ体力を消費していくだけの悪策でしかない。そして実力差が分かっていないにも関わらず無策で突っ込んでいくことは……ただの自殺行為だ。

 

イクサハンマーを装着してフエッスルをベルトに差し込み、ナックルを内に動かして起動。蒼いスパークが射出口を迸る。突き出された槍を蹴り飛ばし、驚愕に満ちた顔を左手で鷲掴みにする。もがき苦しむ近藤を宙に浮かせ、股下にイクサハンマーをセットした。

 

『イ・ク・サ・ハ・ン・マ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ』

「は、はなぜっ」

「人としての心を捨てただけならお前は殺さなかった。他のクラスメイトを傷つけ、殺したとしてもここまではしなかった。

だがなあ! 他人の最愛の人を殺し、挙げ句の果てには己の私物にしようとする、その腐った根性は許すことが出来ねえ!!」

 

トリガーを握りしめ、ありったけの声で心の内を叫ぶ。心から深く愛している雫の事を傷つけようとする輩は必ず殺してやる。関係を引き裂こうとする者も殺す。俺はもう、彼女を手放さないと決意しているのである。

 

悲愴な決意の元、放たれた必殺の一撃。異常なまで気持ちの入った蒼い雷は、近藤の股下から一気に脳天までを貫通し、脳みそだの頭蓋骨だのを撒き散らしながら夜空へと消えていった。

 

そのまま俺は、魔物たちが攻め込んでくる場所を睨みつける。そこへ向かって思いっきり腕を振り回し、近藤を魔物の群れに放り込んだ。

 

と、次は虚空から極光が飛来してくる。速攻で重力魔法を発動させて極光に投げ込み、軌道を変えて明後日の方向へ飛ばして発射した主を見つけ出す。

 

「……そこまでだ。白騎士の少年。大切な同胞たちと王都の民たちを、これ以上失いたくなければ大人しくすることだ」

「誰かと思えば忠犬クソ雑魚ブ男のフリードじゃねえの。随分手酷く雫と露葉さんにやられたみたいだが、犬小屋に帰ってお昼寝しなくても良いのかい?」

 

フリードの顔に青筋がビキビキと立つ。こいつはノイント以上に気を張り詰めている。正面からは分が悪いから人質作戦に出たらしいが、今の言葉で冷静を少なからず揺らされているフリードに、俺や雫を殺すことは不可能である。

 

俺はあくどい笑い声を零しながらライザーフエッスルを取り出し、ベルトに差し込んだ。実は最近、ベルトに改良を加えており、一定時間黒いイクサに変身すると強制的に変身が解けるような装置を取り付けたのである。これで心置きなく戦える。避難誘導は必須だが。

 

「お前は俺が、王都の人やクラスメイトのために戦ってると勘違いしてるみたいだが……お前の物差しで勝手なカテゴライズするな。戦争したいなら勝手にやれ。だが、俺の大切な人にも危害が及ぶと分かれば容赦はしねえぞ」

『ジェ・ファ・ー・ヴェ・テ・エ・ゴ・ン』

「どういうつもりだ? 同胞の命が惜しくないのか? お前が抵抗すればするほど、全員が傷ついていくのだぞ? それとも、それが理解できないほど愚かなのか? 外壁の外には十万の魔物、そしてゲートの向こう側には更に百万の魔物が控えている。お前がいくら強くとも、全てを守りながら戦い続けることが……」

「まだ理解出来ないのか? お前と俺の力の差、何も分かってないんだな。つくづく哀れなバカだな」

 

焦げ付いたかのように真っ白なイクサスーツが黒く染まる。青い線は銀色に上書きされ、ベルトを改造した影響で何故だかフェイスシールドも蒼く変わった。頭には針のような物が突き刺さり、異物が直接脳内に注ぎ込まれる。ほんの少しだけ、意識を繋ぎ止めようとしたが……ものの数秒で自然と目を閉じてしまい、抵抗することは敵わなかった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『ヴァ・シュ・タ・ク・ト』

 

普段から低い電子音。しかし黒いイクサに変身している最中は、さらに一オクターブほど電子音が低くなる。物一つ言わずにフリードを見上げる音也と、普段よりも低い電子音が相まって、クラスメイトたちは気絶してしまった。

 

そして気絶しそうなのはフリードも同じであり、白い普段のイクサからは想像も付かない威圧感に、内心では悲鳴を上げてしまっていた。しかし、総司令官という役職に就いているからには逃げることは出来ない。彼は、音也とは別ベクトルながら悲愴な覚悟を決めた。

 

「くそ……撃て撃て!」

 

空に陣を構えた竜たちが一斉に極光を放ち、地上を陣取る魔物は音也を圧殺する勢いでジリジリと攻め寄る。数十万、いや、百万全ての魔物と魔人を導入して確実に殺そうと迫る……が、甘かった。

 

彼は知らなかったのだ。今、自分が相手している敵は、絶対に戦ってはいけない人間なんだということに。

 

『ラ・イ・ズ・アッ・プ』

 

ギャリンッ!!!  ギャリンッ!!!

ドガアン! ドガアン! ドガアン!

 

二発だけ左右にイクサキャノンを撃ち込んで退避する音也。イクサキャノンの一撃につき、軽く千は超える魔物と魔人が死亡したりさらに外れた極光を滝登りするが如く、ゲルリッヒ砲で竜を撃墜。ゲルリッヒ砲から放たれた一条の光は、竜の後ろに控えていた黒鷲や鳩をも巻き込んで地へと落としていく。実は、イクサキャノンはヴァシュタクト状態に入ったことによって威力が強化されていたりする。そのことをはたして、本人が気がついているのかは別の話だが。

 

ちなみに運良く砲撃から逃れて肉薄したとしても、纏雷以上に凄まじい電撃を放つスーツによって丸焦げにされてしまう。何が言いたいのかというと、残されている道は一つしかないという事だ。即ち、絶対なる“死”である。

 

「あ、有り得ない。最低でも能力値が4000を下らない軍団だぞ! たったの一撃で粉砕されるなんて……!」

「ふ、フリード様! 今の攻撃だけで一万の魔物が殺されました……! さらに魔人も数千人規模で跡形もなく消えてしまっています!」

「なん……だと」

 

ギャリンッ!!!  ギャリンッ!!!

 

「あ、危ない!」

「か、回避!」

 

精度が最悪レベルの大砲で、ミリ単位の狙撃を難なく行う音也。咄嗟に回避して難を逃れたフリードだが、再び多くの魔物と魔人を失うことになった。

 

驚くことに、ここまで経過した時間は一分ちょっとに過ぎない。その時間の間に、数万単位で魔物と魔人が文字通り消し飛ばされているのだ。このままでは黒いイクサの制限時間を超えないうちに百万全ての魔物と魔人が殲滅されかねない。

 

しかし、イクサの制限時間を知らないフリードは、多少の犠牲を払ってでも危険因子を排除せんと特攻命令を繰り返す。

 

しかし、尊い命を投げ出してでも繰り返される攻撃を嘲笑うかのように、音也の攻撃速度が上昇していく。ハザードトリガーと同じく、黒いイクサは時間経過で戦闘能力がどんどん上がっていくのである。一度拳を振るう毎に雷が駆け巡り、ゲルリッヒ砲やイクサキャノンのように数千体をまとめてこの世から葬り去っていく。

 

ファンガイアスレイヤーを取り出せば一気に首が飛んでいく。ファンガイアバスターを取り出せば風穴開けて倒れ伏せる。イクサハンマーを取り付ければ圧倒的火力の元、圧殺されていく。気がつけば魔物と魔人の数は百近くまで減らされており、フリードがそれに気がついた頃には既に手遅れとなっていた。

 

「フリード様! ここは撤退を!」

「く……無念だがここでーー」

 

『イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ』

『イ・ク・サ・ハ・ン・マ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ』

 

 

逃がさねえよ?と言わんばかりに音也が飛び上がり、退却を始めようとしたフリードの目の前に現れる。あっけにとられたフリードを前にして、特に戸惑う様子もなく、時間経過によって超強化されたブロウクン・ファングを直接、フリードの心臓部分に叩き込んだ。

 

五億ボルトを軽々超える最強にして必殺の一撃は、着弾の瞬間に凄まじい電磁波を撒き散らして、周囲にいた魔物と魔人や王城を滅茶苦茶に破壊していく。二次災害ですら殆ど天災レベルだというのだから、直接叩き込まれたフリード本人がどうなるのかは……すぐに想像が付くだろう。

 

心臓部分に直接高電圧を流されたことによって細動を起こし、表面部分はステーキのように焼け焦げさせたフリードは、グラリと白竜の上で揺れたと思うと、そのまま地上へ落下していった。

 

音也は白竜の頭をナックルで貫通しながらも落ちていくフリードを追いかけ、そのまま急降下の勢いに乗せてイクサハンマーの杭をゼロ距離で射出。杭の先っぽに心臓を付着させながら貫通し、地面に突き刺さって暴風にも近い風を巻き起こした。さらに死体となったフリードの顔面を踏みつけながら着地して踏み潰し、その死を確実な物としたところで、イクサが強制変身解除された。

 

頭を抱えながらも、やってやったぜ!とばかりに満足そうな笑みを浮かべる音也。その顔は決意を守り切れたことによって現れた最高の笑みであり、その笑顔にノックアウトされる人が多く居たことを彼はまだ知らない。

 




はい、フリード死亡です(え?)
恵里が救済されたことにより、フリードの運命もまた違った物にしました。原作では香織の魂の固定に必要な要因が揃っていなくて殺せなかった形でしたか、今回は人が多かったのでこのようにしました。あと黒いイクサを使いたかった()

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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