その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
低評価するならどこが悪かったのか教えて頂きたいんですけどね……これまでは地の文が少ないと指摘を受けたので形式を変えたんですが、それがないとどうしようもないというか……。
アッサリと絶命したバイアスを見て侮蔑の視線を送るカム。
「あれが次期皇帝。お前の後釜か……見るに堪えん、聞くに堪えん、全く酷いものだ」
「……言ったはずだ。皆殺しにされても、誓約などしねぇ。怒り狂った帝国に押し潰されろ」
「息子が死んでもその態度か。まぁ、元より、貴様に子への愛情などないのだろうな。何せ、皇帝の座すら実力で決め、その為なら身内同士の殺し合いを推奨するくらいだ」
どこまでも実力主義だからか、息子が殺されても顔色一つ変えないガハルド。なんなら側近を殺されたときの方が悲しんでいるように見えた。
カムの言葉に鼻を鳴らすガハルド。
「わかってんなら無駄なことは止めるんだな」
「そう焦るな。どうしても誓約はしないか? これからも亜人を苦しめ続けるか? 我等ハウリア族を追い続けるか?」
「くどい」
「そうか……“デルタワン、こちらアルファワン、やれ”」
すると次の瞬間、腹の底に響くような大爆発の轟音が響き渡った。設置してあった戦車群がこれまた設置した爆弾を狙撃して爆発した音である。爆破た場所は奴隷の監視用兵舎だ。たったの一撃で数百単位の人が簡単に消し飛んだ。
奴隷の監視用兵舎を消し飛ばされたと聞いたガハルドは先ほどまでの余裕そうな表情から一気に焦りを露わにした表情へ変わった。
「……“デルタワン、こちらアルファワン、やれ”」
「おい! ハウリアっ」
静止は聞き入れられない。ガハルドの言葉も虚しく、二度目の轟音。帝城内ではない。帝都の何処かで大爆発が起きたのだ。
感情を押し殺した声音でガハルドが尋ねる。
「……どこを爆破した?」
「治療院だ」
「なっ、てめぇ!」
「安心しろ。爆破したのは軍の治療院だ。死んだのは兵士と軍医達だけ……もっとも、一般の治療院、宿、娼館、住宅街、先の魔人族襲撃で住宅を失った者達の仮設住宅区にも仕掛けはしてあるが、リクエストはあるか?」
「一般人に手を出してんじゃねぇぞ! 堕ちるところまで堕ちたかハウリア!」
「……貴様等は、亜人というだけで迫害してきただろうに。立場が変わればその言い様か。つくづく人間というのは自分勝手など生き物だな……“デルタ、やれ”」
「まてっ!」
二度あることは三度ある。今度は帝城の近くにある奴隷商の家が戦車隊の一斉砲撃によって消し炭となった。なお、一般人だろうが容赦なく爆破しようと提案したのはハジメである。やるからには容赦してはいけない。徹底的に破壊の限りを尽くせ!そう命令したハジメは少し後に“破壊神”という渾名が付けられた。
一般人であろうが戸惑いもなく爆破していくハウリアに恐怖したのか、黙りこくるガハルド。それを見たユエは、ファイナルアンサーを今すぐに聞かせろと言わんばかりに巨大な真珠の“天井”を作り、重力魔法でゆっくりと降下させていく。一つ一つの真珠にも重力魔法が仕込まれており、触れた瞬間に地面と濃厚なキスをすることになる。
返答をしなければこの場に居る者全員が圧殺だ。そのことを悟ったのか、ガハルドは苛立ちと悔しさを発散するように頭を数度地面に打ち付けると、吹っ切ったように顔を上げた。
「かぁーー、ちくしょうが! わーたよっ! 俺の負けだ! 要求を呑む! だから、これ以上、無差別に爆破すんのは止めろ! そして上にある殺意まみれの天井も止めてくれ!」
「それは重畳。では誓約の言葉を」
「分かっている。“ヘルシャーを代表してここに誓う! 全ての亜人奴隷を解放する! ハルツィナ樹海には一切干渉しない! 今、この時より亜人に対する奴隷化と迫害を禁止する! これを破った者には帝国が厳罰に処す! その旨を帝国の新たな法として制定する!”」
その言葉を聞いたユエは真珠の天井を消し去る。その間にカムはガハルドに釘を五本も六本も念のために刺した上で他のハウリアたちを撤収させた。それを見た俺も姿を元に戻し、部屋の隅で待機していたハジメたちの近くに降り立った。
ハジメの方をチラリと見れば、シアが喜びを露わにしてハジメの腕に抱きついている。今回ばかりは特に拳骨を落とそうとは思わないらしく、ハジメも久しく見る優しい瞳でシアのことを見つめていた。ちなみに香織さんは慈愛の女神のような目でその二人を見ている。
俺は微笑ましい様子のハジメたちを見ながらも宝物庫から発光する鉱石を取り出し天井に飛ばした。光石は、天井付近で浮遊すると一気に夜闇を払い、昼間と変わらない明るさをパーティー会場にもたらした。
会場は凄惨では言い表せないほどの状況であり、そこかしこに生首が転がっており、無傷なのは俺たちグルの人間だけだ。貴族の様子は特に酷く、腰を抜かして失禁している者が殆どである。気丈にも意識を保っていた貴族も明るくなった途端に現れたシアの姿に声にならない悲鳴を上げて気絶してしまった。どうやら兎人族の、特にハウリアの恐怖はしっかりと心に焼き付けられたようだ。
とりあえず邪魔になる生首や胴体は九九艦爆を飛ばして強酸爆弾で処理し、香織に頼んでこの場に居る生存者のことを癒してもらう。ノイントの姿に変わったことで詠唱や魔法陣もなく最上級回復魔法の“聖典”を繰り出す香織に流石のガハルドも開いた口が塞がらないのが傑作である。
回復した途端に動ける帝国兵は陣形を組んで俺たちに殺意を向けてくるも、九九艦爆を集合させて空中で爆弾をリロードし、編隊を組んで「いつでも爆撃出来るんだぞ?良いのか?」と暗にほのめかす。それでも殺意を消さない者には実際に急降下させてぶつかるギリギリまで接近させ、直前に急上昇させて「覚悟は良いな?」と伝えると全員が殺意を消した。
この場に敵対する人間が完全にいなくなったのを確認した俺は最後に嫌らしい笑みを浮かべながら声に出す。
「これで一件落着だな」
その直後に「お前が言うな! この疫病神!!」という視線を向けられたが。
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翌日になって新しい法律が発表された帝国内は大騒ぎとなった。それもそのはず、つい昨日までは当然の如く手足のように使っていた奴隷がいきなり取り上げられるのだ。暴動が起きない方がおかしい。後で金銭的援助が国から出されると聞いても納得のいく国民は一人も居なかった。
しかしその辺りは想定済みである。俺はガハルドにこう伝えろと指示を出しておいたのだ。
「これらの決定は全て、エヒト様による神託である!」
と。そして絶妙なタイミングでハジメのアーティファクトによって過剰演出された香織とハジメ本人が現れたことで一気に信憑性が高まったのか、つい先ほどまでの暴動待ったなしな雰囲気は消え失せ、ただ膝をついて祈りを捧げ始めた。マジチョロ民だと俺はほくそ笑んだものだ。
ちなみに俺は神々しい香織や圧倒的な威圧感を放つハジメを見てはいない。その後にあったらしい解放された亜人族たちの歓喜の声も聞いていない。ハジメが二式大艇を使って亜人を運搬していったのも直接見てはいない。
では何をしているのか。俺はリリアーナを連れて帝国内をデートしているのである。俺としてはデートのつもりはないのだが、リリアーナが断固としてデートと言い張ったのでデートなのだ。その際に悶着があったかのか?それが今回はなんとなかった。心の療養のためと言えばすぐだったのは内緒である。
血気盛んな帝国をデートして何が楽しいのかと聞かれそうになるが、その辺りは案外なんとかなっている。というのもリリアーナがこれまで殆ど自由気ままに外出出来たことがないので、適当な場所へ連れて行っても目をキラキラさせているのだ。
「これ美味しいです! 庶民の味ってどんな物か気になってたんですけど……見た目が全てではないんですね」
「ああ、うん。あまりそういう事言わない方が嫌われないぞ」
なんとなく目に入ったレストランに入って立ち食いしているとリリアーナが目を輝かせながら感想を言う。ちなみに今食べていたのは日本でいうハンバーガーのような物だ。俺も頼んで食べていたのだが、随分と懐かしい味がした。
それにしても帝国の人間はかなりフランクに接してくる。姫さんだと知っているにも関わらず、長年過ごした友人と接するかのような態度。俺は嫌いではない。
「あんたも相当強いのね」
「分かるのか?」
「そりゃもう。佇まいから違うし」
「佇まいねえ……意識してねえよ」
目つきの鋭い姐さん女房みたいな人に話しかけられながらもハンバーガーモドキを完食する。いつの間にか俺の周りには男女構わず人の群れが出来ている。何人かは偵察用兼護身用の九九艦爆が気になるらしく、恐る恐るツンツンしている。
リリアーナもリリアーナで「突然婚約者を殺された悲劇の女」としてかなりの注目を集めている。主に女性から声をかけられているらしい。リリアーナ自身がフランクな性格をしているのでかなり気さくに話している。外面も良いので困ってはなさそうだ。
「なあなあ。さっきからお前の周りを飛んでいる鳥はなんなんだ?」
「随分と身軽みたいだが……なんか便利そうだな。荷物の持ち運びとかに」
「こいつか? こいつは護身用の道具だよ。懸架しているのは爆発物さ」
アクロバット飛行させながら答える。爆発物を懸架していてもアーティファクトである以上は飛行に支障が起こることはゼロである。なお、爆弾を投下しても後部機銃で攻撃が可能な上に旋回半径が尋常ではないレベルで小さいので撃墜もあり得ないと思いたい。
現在進行形でアクロバット飛行をしてギャラリーを湧かせている九九艦爆を尻目にリリアーナの話を盗み聞く。なにやら亜人族の奴隷が居なくなって家業が大変だという愚痴を聞いているらしい。若干リリアーナの瞳が複雑気に輝いているのは気のせいではないだろう。しかし彼女はその気持ちが分からなくもないことが余計に複雑な気持ちに加速をかけているのだろう。
「それでよぉ。経営が中々大変でさあ」
「そ、それは……大変な苦労をなさっているんですね」
「俺たちからすれば存在して当たり前の道具みたいなもんだったしなあ……やっぱりショックは大きいわ」
「ある意味良い機会かもしれませんよ? 自立出来れば女の人だって……」
「え、それは本当かい?!」
マジチョロ民。そんなことを考えながら適当にギャラリーを湧かせていると、いつの間にか昼過ぎになっていた。流石に長居しすぎたので俺たちはお金を払って店を後にし、ぶらぶらと散歩を再会する。
リリアーナの姿に下品な顔を浮かべてやってくる帝国民を爆撃しながら俺たちは樹海へと向かう。気がつけば人の姿はかなり少なくなり、辺りには点々と草木が見える。
整備されていない道なので途中からイクサリオンを取り出し、後ろにリリアーナを乗せて樹海に向かって走り出したとき、リリアーナが俺の耳元でポツリと呟いてきた。
「あの、色々とありがとうございました」
「急にかしこまってどうした?」
「成り行きとはいえ皇太子殿下から助けていただいて、更には我が儘まで聞き入れてくれて……本当にありがとうございます」
「なんだそんなこと。別に気にするな」
風力調整しているからか、やけに耳に残るリリアーナの声。妙に熱っぽいのは気のせいだと全力で否定する。
そんな俺を知らないのか、リリアーナは尚も続ける。
「帝城での貴方の暗躍、本当に格好良かったですよ。私が目にしたのはほんの一部でしょうけど」
「だからどうしたんだよ。お前さんはそんな奴ではなかったと思うんだが」
「あら、私だって女の子ですよ? 生まれが王室だっただけです。内面は雫にも劣らぬ乙女だと自覚してますからね」
「それ自分で言う? まあ良いが……」
流し込む魔力の量を上げながらもリリアーナの言葉に答えていく。ついでにイクサナックルとベルトを取り出した。片手にイクサナックル、腰にはベルトを巻いているのは俺の気配感知に何かが引っかかったからである。
「あの、音也さん。私……貴方のことがす――」
「わりぃ。後にしてくれ……変身」
『フィ・ス・ト・オ・ン』
「あ……」
イクサリオンを自動操縦に切り換えて跳び上がる。どうやらフリードが生み出した魔物の残党らしい。始末しなければ後々面倒くさくなるだろう。故に俺はイクサキャノンとゲルリッヒ砲を取り出して異種混合ガン=カタを開始した。
全ては敵を排除するため。そして大切な存在を守るため。俺はスーツの中から凄惨な笑みを浮かべ、魔物たちへ突撃するのだった。
次の更新は仮面ライダーエターナルの方を更新してからになります。少し間隔が空きますが楽しみにしてくれると幸いです。
ちなみにですが、仮面ライダーエターナルの方とこの作品。かなり近い世界での出来事だと思っていただけると嬉しいです。
恵里の処遇はどうする?
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勇者バカ之河の被害者だから救おう
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消せ(無慈悲)