※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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すみません、エターナルの方のモチベが上がらなかったのでこっちを書きました(おいこら)
樹海の大迷宮は“神の見せる甘い誘惑”を断ち切れる心を必要とする迷宮ですが、オリジナルの展開になるべくするため原作にはなかった試練を現在考えています。思いつかなかったり纏まらなかったら大人しく原作を参考にします()


第十二楽章 花吹雪の舞

「……弱イ」

 

また一匹、虫型の魔物を殺して呟く。この大迷宮に現れる魔物は弱すぎるのだ。光輝や龍太郎、そして鈴は結構苦戦しながらも何とか対処できているが……恵里に関してはほぼ無傷である。彼女の場合は心拍数によって戦闘力が大きく変わるらしいので仕方のない事かもしれないが。

 

龍太郎や鈴は能天気にも“魔物が倒せるなら多少は神代魔法に近づける”とポジティブに考えているらしく、疲労こそ見られるが表情は明るい。しかし光輝は……なんというか、張り詰めすぎて今にも切れてしまいそうな弦のような心理状態であることが確認できる。目は暗く澱んでおり、時折ブツブツと何かを呟いている。

 

そんな状態で集中している訳がなく、魔物の襲撃によって光輝だけ反応が遅れてしまっている。それは今も同じだ。目の前に現れたトレンドモドキの一撃を躱しきれていない。

 

「ぐぅううっ。こ、攻撃が重い!」

「バカだねえ……油断大敵だよ」

 

恵里の辛辣な言葉が刺さる。そういう恵里さんは一足先にトレンドモドキへ攻撃を仕掛けており、物は試しと重力魔法を行使しながらトレンドモドキの飛ばす葉や枝を捌いている。先ほど手に入れたばかりの神代魔法を僅かながらでも使用が出来ている恵里の技能は中々に恐ろしい物だ。なんせ心拍数さえ保てるなら無限に限界突破が可能なのである。何故発祥したのかは謎だが、十二分に“チート”と言える存在だろう。

 

そしてここに来て“一発戦果を!”と意気込む龍太郎の攻撃も徐々に洗練された物になっていく。脳筋な龍太郎だが、戦闘となれば話は別だ。的確に必要な分だけを捌いてカウンターで一撃を返している。鈴も其れ等を援護すべく、これまでとは一線を画する強固な結界を展開している。一番働いているかもしれない。

 

そんな中なので光輝の緩慢さがよく目立つのである。確かに光輝の強さは普段の恵里より遥かに強い。地力もそこそこなため急な事態にも何とか対応できている。しかし、いまいちパッとしないのである。

 

「くっ、光輝くんしっかり! 神敵を通さず 〝聖絶〟!」

「あ、ああ。 四方より切り裂け 〝天翔剣四翼・集〟」

「馬鹿野郎! ボサッとしてたらやられちまうだろうが! 〝重金剛〟! 〝部分強化〟!」

 

以前の俺の動きを参考にしたのか、空中でドッシリ構えることもなく〝重金剛〟を発動させた龍太郎。攻撃をする瞬間だけ〝部分強化〟で劇的に攻撃力を上げてる辺り、本当に脳筋?と疑いたくなる頭脳プレーをしている。

 

俺は殆ど動いていない。なるべく後衛からのサポートに徹している。そうでないと光輝たちが何もしないまま迷宮が終わってしまう可能性が高いのだ。足手まといではあるが、他ならない恵里の頼みなのだ。グッと“帰ってくれよ”という言葉を呑み込んでいる。

 

「このままじゃジリ貧……ぶっつけ本番だけどやってやるしかないねえ! 光輝くん、龍太郎くん、恵里。全員退避して! 舞い散れ、〝聖絶・桜花〟!」

 

その瞬間、輝く無数の欠片が、まるで桜吹雪の如く戦場を駆け巡った。小さな無数の輝きは、ザァアアアアーーと音を立てながら宙を舞い。トレンドモドキを中心に螺旋を描きながら旋風を巻き起こす。

 

彼女の意図を悟った俺はすぐさま援護射撃に入る。構えるは最愛の人の姉が繰り出す一撃必殺技の真似。食らえば生きては帰れない、文字通りの必殺技である。自分用にアレンジしているので威力はオリジナルより低いが、それでも大抵の敵は瞬殺が可能な魔法のトリガーを引いた。

 

「――――常闇ニ生キル紅炎ノ花ヨ 人ノ如ク意思ヲ持テ 刃ノ如ク獲物ヲ切リ裂ケ 〝乱レ薔薇吹雪〟」

 

鈴の巻き起こした桜吹雪に合わせて燃えるように紅い花びらが一つ一つ意思を持ってトレンドモドキを切り裂いていく。鈴の桜吹雪がトレンドモドキの主となる幹を破壊しているのならば、俺の薔薇吹雪は破壊の邪魔となる周囲の枝を狙っていく。

 

初めて、そしてぶっつけ本番の合わせ技で打ち合わせもなく心を読んで実行した花吹雪の舞。やや粗の残る、しかし明確な殺意を持って放たれた必殺の一撃は確かにトレンドモドキから断末魔の悲鳴を上げさせることに成功した。この調子ならば鈴も神代魔法を手にすることが出来るかもしれない。恵理?確定でしょうよ。龍太郎はあともう二押しといったところか。どうしても恵理や鈴と比べると活躍度合は見劣りする。それでも戦況ごとに戦法を考え、実践しているところは好印象だ。何処かの名前だけの勇者とは違う。

 

ここまでやったところで、突然俺の体を光が包んだ。思わず目を閉じるも体が勝手に元の姿に戻っていると分かったので俺は安心した。ものの数秒で俺の体は人間の姿に戻り、特に異常も見受けられない。どうやら大迷宮の試練だったようだ。

 

そういえば石板には、“紡がれた絆の道標”ということが書いてあった。これは姿が変わろうとも仲間割れすることなく先に進め、というメッセージなのだろう。そのことを理解した俺は「なるほど」と頷いた。

 

「これ、雫たちは大変だったろうに……人数が多ければ多いほど姿が変貌する者の数が増えるだろうからな」

「ああ……そういうこと。確かにそうかもね。でも理不尽で不可解な事が起きたら大抵は紅のことだって僕は思ってるから」

「さり気なくひでえ」

 

ベルトをシュルッと巻きながら文句を垂れる。腹いせに宝物庫からハジメが試作した“見た目は普通の”銃を取り出して恵里に手渡した。

 

首を傾げる恵里に俺は変身しながら用途を説明する。

 

「心拍数が関係しているなら……自分で上げられるようにした方が良いだろ? そいつは内部で弾を制作して自動装填するんだが、不発する可能性もある。何回か引き金を引けば弾が実際に出てくるし、それなりの痛みも感じる」

「なんだそれ。嫌がらせかい?」

「んな訳ねえだろ。よく聞けよ? こいつを頭蓋骨の側面に当てて引き金を引けば、弾が出てくるかもしれないという恐怖で心拍数が上がっていくだろ? そうしたら恵里の戦闘力も……ってことだ。ちなみに弾薬は殺傷力こそないが体内に吸収されるからな」

 

その弾薬が実は回復と身体能力強化を兼ねていることは伝えないでおく。食らえばかなりの痛みを伴い、慣れないようにその度強力にするとかいう優れものだ。このことを伝えてしまったら心拍数がそこまで上がらないかもしれないので黙っておく。

 

趣向の悪い強化方法だが、これ以外思いつかなかったのだ。とあるゲームの相方を召喚するためにとる方法ではない。断じてない。

 

「悪い趣味してるよホント。でもありがたく受け取っておくね」

「どうも。そういえば心拍数の上下云々の技能名はどうなってるんだ?」

「ああ、それのこと? ステータスプレート見た方が早いんじゃないかな」

 

懐からステータスプレートを取り出してポイッと俺に投げつける恵里。それを受け取って俺はプレートを凝視する。

 

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中村恵里 16歳 女 レベル:90

 

天職:降霊術師

 

筋力:240 [+最大値5200]

 

体力:500 [+最大値7150]

 

耐性:610 [+最大値7980]

 

敏捷:300 [+最大値4360]

 

魔力:1200 [+最大値13000]

 

魔耐:1000 [+最大値11450]

 

技能:降霊術[+同時操作][+範囲拡大][+腐敗停止][+対象強化]・霊視[+対話][+召喚][+複数召喚][+隷属化][+霊化]・能力奪取・闇属性適性[+消費魔力半減][+発動速度上昇][+詠唱省略][+縛魂]・複合魔法・想像構築[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・魔力高速回復・魂魄魔法・重力魔法・テンションフォルティシモ[+テンションピアニッシモ]・言語理解

 

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一通り見たところで、俺が思わず息を止めてしまっていることに気が付いた。それほどに恵里の能力値は高く、なおかつ技能が色々と特殊すぎるのである。まず恵里は特に造作もなく幽霊と会話することが可能だ。上手く使えば超広範囲を一気に索敵したり多くの情報を得ることができてしまう。これだけでも十分に協力と言えるのだが、恵里はさらに隷属化することで己の護身を任せることも可能なのである。

 

しかし其れ等は序の口でしかない。何よりも目に付くのは“テンションフォルティシモ”と“テンションピアニッシモ”である。とても気になるのでステータスプレートで調べてみると、こう表示された。

 

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・テンションフォルティシモ

心拍数が上昇するか感情が昂ぶると自動発動。心拍数の早さや感情の強さに比例して体内の魔力を活性化させ、自身の秘められた力を全て解放する。発動時間は無限。ただし体や心が落ち着くと自動的にテンションピアニッシモ状態となり、戦闘能力も比例して低下する。

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文字通りのチート技能である。心拍数だけではなく感情によっても戦闘能力が大きく変化するということは、ありふれているがアニメである激昂すれば戦闘能力も大きく上昇するということを素でやってのけることが出来るということだ。

 

そして最大値まで上昇したとすると、下手したらシアやユエよりも強いということになる。雫や露葉さん相手でも魔法の使い方次第では勝てる可能性だってある。流石に闇属性に対して異常に強い耐性を持つハジメには敵わないと思うが、それでも十分強い。限界まで心拍数や感情を高めるのが難しいという制約は勿論あるが……。

 

「いつの間にこんな強くなったのか……先生、ビックリだ」

「努力したんだよ。心拍数云々はいつの間にか目覚めていたけどさ」

 

此れ等の能力が全て努力で手にしたのだとしたら恐ろしすぎる。俺は内心で恵里の存在に思わず恐怖したのだった。

 




何個か候補を送ってもらったので其れ等をふまえて色々考えた結果、恵里の技能名はテンションフォルティシモにしました。理由は対極のピアニッシモが使えたこと、そしてキバにとても深く関係していること(重要)です。恵里のステータスは原作で見つけることが出来なかったので自分で勝手に考えた物になっています。ちなみに魂魄魔法が使えるのは原作に“神代魔法の領域に片足を突っ込んだ”という言及があるからです。

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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