深い眠りに付いた俺はまたもうなされ始めていた。今回の夢はかなり酷いようだ。
勇者を皆殺ししろぉぉぉぉ!
百鬼夜行……これが貴様を殺すスキルだ……
ロォォォキィィ!!
もうやだ……止めてくれ……止めてくれ!
俺が過去の夢を見ていると急に光に包まれて行った。例えて言うなら誰かに抱かれて居るような居心地だった。
(ん…なんだか暖かいな……なんなんだろう……それに丁度いい弾力……そして柔らかさ……ムニュッてする感じこれは……?)
俺が目を覚ますと、俺は……クリスの胸に埋もれてる状態だった。
「ん……え?……えぇ!?」
バッ!と慌てて離れた。マリューは俺が起きたのに気付いたのか声をかけた。
《おはようございます、リュウジ様》
「おはよマリュー、頭いてぇ」
《程々にしないからですよ?、クリス様に毛布を掛けてあげて下さい、服が乱れてますので》
「あーはいはい……」
俺はクリスに毛布をかけてあげながら昨晩の事をを思い出した。
あーそうだ、酔いつぶれて昨日寝ちまったんだった……あーあ、魔王が女神に抱かれて寝てるとか何の罰ゲームだよ……ったく
「んっ……んん……すーすー」
「コイツ何気持ちよさそうに寝てんだよ」
「んにゃ……んにゃ」
じーっとクリスの寝顔を見つめる俺はクリスの頭を撫でようとしたが途中で止めた。
「………………シャワーでも浴びるか」
俺はベッドから降りてタオルを持ち、シャワーを浴びに浴室に入って行った。
パタンとドアが閉まると同時にクリスがパチリと目を開けて起き上がった。どこから起きていたのか分からないがリュウジとマリューの話を全て聞いてたようだ。
「ふーん、無防備の女の子を襲わないんだ、ちょっと見直したふぁ〜、もうちょい寝よっと……」
クリスは再び毛布に包まり寝始めた。
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俺がシャワーから出てくるとクリスは熟睡していた。
「あぁ?まだ寝てんのかよコイツ……おいっ!クリス!」
「んっ……すーすー」
クリスは声を掛けても起きようとしなかった。
《お疲れの様ですね、このまま寝かせて起きましょう、ウィズ様との約束のクエストがありますからそろそろ支度をして下さい》
「そうだな、もっと金もスキルポイントも必要だからなぁ…割のいいクエスト選ばないとな!」
俺はブラックナイトをガチャガチャと装備してウィズの店に向かって行った。
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「おはようございまーす、姐さーん?」
「あっ!リュウジさん、おはようございます!」
「準備良いですか?」
「あっちょっと待って下さいね!見て貰いたい物があるんです!」
「ん?なんですか?」
ウィズは楽しそうにピョンっと跳ねて店の奥からウサ耳を付けて顔だけ俺に見せた。
「ピョン♪」
「ねっ姐さん?どうしたんですか!?」
「これ、可愛いですよね!」
え?可愛いって姐さんが?ウサ耳が?どっちだ!?えぇい!両方の意味を込めて褒めておけ!
「うっウサ耳付けた姐さん可愛いですね!似合ってますよ?」
「えぇ!?」
ウィズは顔を赤らめてモジモジし始めた。
あかん、めちゃくちゃ可愛い……おっと!クエスト行かなきゃ!
「っとその前に、そのうさ耳は一体何ですか?」
「このうさ耳を付けているとウサギが仲間と思って近付いて来るんです!」
「へっへぇ……なるほど……なら今日はウサギ系のモンスターを狩りますか?」
「そうですね、一撃ウサギなんてどうですか?」
「一撃ウサギ?」
一撃ウサギとは……森の奥に棲む、額に角を生やした子犬ほどの白兎。つぶらな瞳のかわいらしい容姿やよちよち歩きの仕草で相手を惑わすが、実は肉食の要注意モンスター。脚力が強く、鋭い角を矢のような飛び頭突きで相手に突き刺すというイカレポンチのモンスターである。
「なるほど、それを付けると一撃ウサギが寄ってくるって事ですね?」
「はい!凄いですよね!この魔道具!」
姐さん、不安要素しかないんですけど?
「んじゃ、寄ってきたウサギを片っぱしからぶん殴ります!」
「複雑ですけど頑張りましょうね!」
「ういっす!」
俺とウィズは冒険者ギルドに向かって行った。
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冒険者ギルドに辿り着くと、そこにダクネスが1人でテーブルに座っていた。あれ?ほかの奴らはどうしたんだ?
「ん?ダクネス?」
「リュウジか、クエストに行くのか?」
「うん、カズマ達は?」
「カズマ達は冬牛夏草を討伐しに行ったんだ、私はあえて付いて行かなかったんだ」
強がっちゃって……ホントは置いてかれたんだろうな……。ちょと待てよ?今日は姐さんもいるし、あっ!魔法耐性スキルを教えて貰えるぞ!!
「なぁ?ダクネス?なら俺と姐さんと一緒に一撃ウサギのクエストに行かないか?今暇だろ?」
「ん?良いのか?」
「ああ、魔法耐性も教わりたいしな!姐さんいいですよね?」
「勿論ですよ!行きましょう!」
【討伐クエスト 一撃ウサギ討伐 1匹につき報酬1万エリス】
目的地の森に着いた俺達は辺りを見渡すと辺りは草だらけで何も見えない状態だった。
こんなんじゃ探しづらいな、ここはあのウサ耳に頼るしかないか……
「なぁ?ダクネス、コレ付けてみるか?」
「ん?これは……ウサ耳ではないか?」
「コレつけると一撃ウサギが仲間と思って近付いて来るんだってさ」
「ホッホントか!?コレを付けるだけでか!?/////はぁっはぁっ/////ウィズ!貸してくれ!」
「あっはい……大丈夫ですか?」
「問題ない!では……行ってくりゅ/////」
ダクネスはウィズが持って来た魔道具のウサ耳を付けて嬉しさ半分恥ずかしさ半分で仁王立ちを始めた。明らかにどちらでもなく興奮が勝ってるように見える。
ウサウサ……
付けてから数分後2匹の一撃ウサギが草むらから出て来た。
お?もしかしてコレ当たり商品じゃないのか?
「お?出て来た!」
ウサウサウサ……
「また出て来ましたね!可愛いですね!」
「リュウジ!リュウジ!なんだろうか!このウサギ達私を凝視してるんだが!?物凄く殺気を感じるぞ!?」
え?殺気?
俺は嫌な予感がしたのかダクネスに警告を促した。
「ダッ…ダクネス?気を付けろよ?なんか…このウサ耳ヤバそうだぞ?」
「えぇ!?そんな!絶対売れますよ!」
「殺気を感じるってのが引っかかるんです、あの……姐さん、説明書とかありますか?」
「はい、どうぞ?」
俺はウィズから取扱説明書を読んだ。
【このうさ耳は一撃ウサギを呼び寄せる魔道具です、仲間と思って触れ合う事も可能です……ですが、高確率で襲われる可能性があるので注意】
アカンッ!これは絶対にアカンッ!
「ダクネス!そのウサ耳外せっ!早く!」
「なっ何故だ!?断る!」
「ふざけんなよ!こんな時に!その魔道具ハズレ商品だっ!!」
「えぇ!?そんな!売れますよ!」
「こんな危険度の高い魔道具売れませんって!」
3人で言い争っていたら3人は一撃ウサギに囲まれていた。
ウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサウサ!
マリューも焦りだしたのか俺に問いかけてきた。
《ちょっとリュウジ様!?囲まれましたけど!?》
「見りゃ分かるわ!戦うしかねぇだろ!姐さん行きますよ!?」
「はっはい!『カースド・クリスタルプリズン』!!」
「オラァァァァァァ!!」
俺は3匹の一撃ウサギを殴り倒し、ウィズは氷魔法攻撃を始めて迎撃していたが、ダクネスはというと一撃ウサギの中に埋もれており、グサグサと角で突っつかれていた。ダクネスは苦しんでいると言うより喜びに満ちた声を上げていた。
「にゃい、あぁっ!!いいぞ!もっとだ!もっとこぉい!」
周囲の一撃ウサギに対応している俺は慌ててダクネスを助けに向かって手を差し伸べた。
「うぉい!時と場合考えろよこのド変態!!」
「ドッ……ド変態……にゃうん!!」
「大変です!ダクネスさんが!」
「姐さん!ダクネス諸共魔法を!」
「えぇ!?でもダクネスさんが!」
「わっわたしにかまうなぁぁぁぁぁぁ!!」
「このままじゃアイツが色んな意味で昇天しちゃいそうですから!早く!」
「えっーと…ダクネスさん、ごめんなさい!『カースド・クリスタルプリズン』!!」
パキーン!
ウィズの上級氷魔法により一撃ウサギの群れは氷漬けにした。ダクネスには辛うじて当たってなかったが、少し風圧で吹き飛んでいた。
これがウィズ姐さんの魔力か……すげぇや!!でも、俺がトドメ刺さないと経験値貰えないんだけどね?これ全滅してるでしょコレ。
「ダクネス大丈夫か?」
「ああっ!一撃ウサギが……」
「いやなんでガッカリしてんだよ……立てるか?」
「すっすまん……攻撃を受け過ぎて足を挫いてしまった」
「何やってんの!?このドアホ!」
「くっカズマの罵倒と違ってリュウジの罵倒はトゲトゲしいな、ゲスな笑を浮かべたら満点だぞ!?」
するかそんなもん!、
「ウィズ姐さん、合計何匹倒せましたか?」
「そうですね、100匹は倒したんじゃないですか?」
俺は冒険者カードを確認した。倒した数は15匹、ウィズは85匹倒していた。俺はレベルが2つ上がっており、レベルが15、幸運値が-36に上がっていた。
「さっきの魔法でダクネスの魔法耐性のスキルが出たよ、今日はありがとな?ダクネス」
「気にするな、クリスに頼まれてたからな!たっ、たまになら付き合っても良いんだぞ!?もう一度重い一撃が──」
「ごめん、しばらくいいわ、カズマの方に戻っていいから!さて帰りますか、ダクネス歩けるか?おぶるか?」
「歩くと少し痛むな、悪いが頼む……」
「あいよ、どっこらせ!」
俺達は冒険者ギルドに戻った。
「はぁ……何事もありませんように……」
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俺はため息を吐きながら、カズマ達と合流する為にギルドに入っていくとそこに、目を真っ赤に充血させ、今にも俺を殺しそうな勢いで、俺を睨みつける女が立っていた。
そう、もう1人の女神
「コラァァァァァァ!この鉄クズ野郎!!キミ、あたしが宿で寝てる間にダクネスに一体何をしたぁぁぁぁぁっ!?」
タイミングが悪いなぁ……このクソ女神め、今日は一段と荒れてる。ダクネスの鎧はボロボロになり、あちこちが煤だらけになったダクネスは、俺の背中に掴まったままの状態でクリスに説明した。
「クリス、何を誤解しているのか分からないが、私は特に何もされていない。クリスがいない間にあった事と言えば……。一撃ウサギにどつかれたり、リュウジに「このド変態が」と罵られたり、ウィズの氷魔法で吹っ飛ばされたぐらいだ。……うん、とっても楽しかったぞ」
「あんたぁぁ!あたしの親友に何してくれてんのよおぉぉぉぉ!」
「ちげーよ!ボンクラ!ダクネスの言ってる事は大体合ってるけど!姐さんからも言ってやってくださいよ!」
荒ぶるクリスを宥めるようにウサ耳ウィズがクリスを止めた。
「あっすみません!クリスさん?、リュウジさんはダクネスさんを庇いながら戦ってらしてましたよ?あまりにもリュウジさんが戦い辛いので怒ったりしてましたが……」
「そっそうなの?ってかリュウジ!!ちゃんとあたしを起こしてから出かけてよ!今日予定あったのに寝過ごしちゃったじゃん!」
その衝撃の一言でギルドの中にいた周りの人達は凍りつき、俺とクリスを見つめた。もちろんダクネスとウィズ姐さんも2人を見つめる。
それに気付かず夢中で言い争う
「おうコラ!いきなり押し掛けて来て泊めてと言い出したのはお前だろうが!酒まで集りやがって!この
「そっ……そうだけど、先に行くからとか言っても良くない!?」
「お前が気持ちよさそうに寝てたから気をつかって起こさなかったのにそりゃねぇだろ!人の事抱き枕にしやがって!」
「なっ/////キミがうなされてたからちょっとギュッてしただけでしょ!?なにさ!人の親切心にケチつけないでよ!」
2人が言い争うのを見兼ねたのか、カズマとアクアがまぁまぁと言いながら仲裁に入って来た。
「あっあのね?、お取り込み中に悪いんだけど─そういう痴話喧嘩は2人仲良く他所でやってくれるかしら?」
「リュウジ……俺達まだ知り合ってまだ間もないけどさ……羨ましいぞおい死ねよ」
「はぁ?お前ら何言ってんの?…っておい、死ねってなんだコラ!?」
「痴話喧嘩じゃないですよ!アクアさん!」
「2人共……周り見てみろよ」
俺とクリスは我に返り辺りを見渡すと……ニヤニヤした冒険者や、ムスッとしたウィズ姐さんが見えた。周りの空気を察知した幸福の女神と異世界の元魔王はだんだん顔を赤くして行きアタフタし始めた。
「あっ……あっ……/////」
「あわわわわ……/////」
「2人共付き合ってるなら言いなさいよ、なかなかのコンビじゃない」
「ちょっ待ってくれ!俺達はそんな仲じゃ」
「そっそうですよ、アクアさん!あたし達そんな仲じゃ!」
なんだよこいつら付き合ってたのかよー!
どーりでトイレに引き込む訳だわ!
ヒューヒュー!お熱いねぇー!
「「わぁぁぁぁぁぁぁ!やめろぉぉぉぉ!/////」」
何を弁明を促しても聞き入れて貰えずクリスは堪らず顔を隠しギルドから逃げ出した、俺はテーブルに項垂れながら顔を隠した。
生き地獄だよ、穴があったら入りたい……むしろ死にたい
「しばらくここに来ない……あっ姐さん?、報酬の話なんですけど」
「リッチーなら帰ったわよ?」
「えぇ!?」
「ウィズのやつ、なんか怒ってたな」
「うわぁぁぁぁ!やらかしたぁぁぁぁぁ!」
後日、俺はウィズに誤解を解く為に謝りに行った。
現在のリュウジの所持金 15万エリス