それからというものの、なかよし部とも打ち解け始めたアオイとゆんゆんは何の問題もなく、あっという間に2人の短期編入も終わりを迎えようとしていた。アオイはリュウジやゆんゆんと共に登校し、教室に入るや否や、女子生徒に声を掛けられた。
「ごきげんよう、アオイさん。お聞きになりました?」
「ごっ!ごきげんよう。どうしたんですか?何かあったんですか?」
アオイは教科書などを用意しながら女子生徒から事情を聞いた。
「なんでも最近になって、学校中の池の水が消えてるそうなの」
「池の水がですか?それは確かに変ですねぇ……」
アオイが女子生徒と話していると、1年教室にマザー・ヒルダが入って来た。
「ごきげんよう。ちょっとよろしいですか、アオイさん」
「はっはいっ!?な、何かしてしまいましたか私!?」
「そこまでかしこまらなくて結構。進捗の方を聞いておきたいと思いまして」
「進捗?」
アオイが首を傾げていると、マザー・ヒルダはやれやれと言った様な顔をした。
「まさかお忘れではないと思いますが、アオイさんとゆんゆんさんは数日後に特別講座が控えていますからね?」
「特別……講座……」
「みんな楽しみにしていますよ。それでは、ごきげんよう」
マザー・ヒルダはそう言い残し、教室を後にした。すると、アオイはプルプルと震え出した。
「あっあの、アオイさん?大丈夫ですの?」
「ああああああああぁぁぁっーーー!」
アオイは教室を飛び出すと、同じタイミングでゆんゆんも飛び出して来た。ゆんゆんはアオイを見た途端駆け出して来た。
「アオイ!?どーしよ!!どーしよ!!」
「ゆんゆん!?どーしよ!!」
「リュウジさんや、クロエさん達に相談したらどうかな!?」
「けど、まだチエルさんは登校して来てないよ!?」
「リュウジさんは一緒に来たし、クロエさんなら来てるんじゃないかな!?」
「そっそうだよね!3年生教室に行こうっ!」
「うん!」
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俺が教科書を整理していると、アオイとゆんゆんが3年生教室に慌ててやって来た。
「リュウジさん!リュウジさん!」
「お願いします!力を貸して下さい!」
「ちょちょ、なんだなんだ急に入って来たと思ったら……どうしたの?」
「じっ実は……」
ゼーゼーと息切れをしながらゆんゆんとアオイがマザー・ヒルダから特別講座の一件の説明を始めた。
「──なるほどね、特別講座の件に関して何もしてなかったって訳ね」
「はい……」
「学園生活が楽しすぎて忘れてました……」
そのようですねぇ……最近2人とも明るいし、自信に満ち溢れてたからねぇ。
「まぁ、とにかく、今じゃどうしようも無いから放課後にでも話して見るしかないよ」
その放課後、俺達は『なかよし部緊急会議』を開く為に、空き教室にやって来た。チエルとクロエは何が何だか分からず尋ねてくる。
「で、チエルたちはなんで集められたんです?」
「しかも放課後。これからアクセルの街に行かなきゃないのに」
アオイとゆんゆんは何度も頭をペコペコ下げてチエルやクロエに謝罪する。
「すいません!すいません!」
「わわわ私達、忘れてしまっていてっ!、講座っ!、その、特別なっ!」
すっごい慌てようだな
「だーから落ち着けっての、じたばたしたってどーしようもないだろ」
「ふむ。特別講座……ああ、アレだね。短期編入生に課された研究発表会のようなものか」
ユニがふむふむと腕組みをしながら考えていると、ゆんゆんが泣き喚きながら答えた。
「私は紅魔族に関しての事を発表する事にしたんですが……アオイが…」
「実はそのっ、講座に使おうと思っていた子もいなくなっちゃって!リュウジさんに相談したらみんなを呼ぼうって……!」
「っと言う訳なんだ、みんな、申し訳ないけど力を貸して欲しいんだ」
俺が3人に頼み込むと、チエルが食ってかかる。
「いやフツーになんでですか、先輩、なかよし部を便利屋か何かと勘違いしてません?チエル、先輩のいいなり子ちゃんじゃないんですけどー。はぁーあ……チエル自発的に手伝いたかったのにそういうとこでシャシャられちゃうとモチベ下がるんですよねぇ」
「えぇ……そこをなんとか……!!」
俺が頭をペコペコ下げていると、クロエも参戦して来た。
「てゆか、うちらアオイとゆんゆんに協力するとは言ったけどさ、言ったけど、講座?とか、そーゆーお勉強的なのは、正直うちら向けの案件じゃなくない? ねぇ?」
「そっそれは……ってここで「うん、そうだね」って言ったらアレじゃね?」
「うん、横っ面引っぱたいてるわ」
「どーしろと!?」
クロエやチエルを他所にただ1人、やる気に満ちている子がいた。
「なるほど確かに、これは我々ユニちゃんズの出番だね」
「ユニちゃぁん!!」
「乗り気の人いたー!」
「てかユニ先輩のその、終わったチーム名への執念はなんなわけ?、怨霊なの?呪いなの?聖水と塩かけとこうか?」
アオイとゆんゆんは何度も何度もチエルやクロエ、燃えるユニにペコペコと頭を下げていた。
「すっすいません!皆さん!」
「過ぎたお願いとは思ってるんですけど……その……」
「ああ、気にする必要はないよアオイ君、ゆんゆん君。ユニちゃんズは、いずれその名を世界中に轟かせるチーム。困っている後輩たちを見過ごすような我々ではないのだから」
「ユ、ユニさん……!!」
「ユニさんカッコイイ……!!」
いつになくユニちゃん燃えてるなぁ、どうしたんだろ?
「何なんですか、あの妙に芝居かかった熱血姐さんみたいな感じ」
「さぁ?知んないけど、ちっこいなりに先輩風吹かせたいんじゃないの」
呆れるクロエとチエルを他所に、燃えたぎってるユニは策でもあるのだろうか、張り切っていた。
「では!始めようではないか、ユニちゃんズ諸君!」
「ありがとうございます!ユニちゃんズの皆さん!」
「ユニちゃんズの皆さん!よろしくお願いします!」
アオイとゆんゆんが頭を下げた瞬間ユニを除く俺、クロエ、チエルは同時にツッコんだ。
「「「ユニちゃんズじゃねーし」」」
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その後、ユニを筆頭に講座の大事な部分をアオイとゆんゆんに丁寧にアドバイスしながら講座の内容をまとめ始めた。主に、アオイの場合は得意分野でもある植物の知識や危険性などを王都住まいの生徒達向けの講座にした。ゆんゆんの場合は、生まれ持った魔力の持ち主でもある紅魔族の魔術や、魔法の危険性をメインにする事になった。
アオイもゆんゆんも、植物や魔法に関してはAdventuresの中でもトップクラスだ、問題ないだろう……。
「クロエ君は、同じエルフとしてアオイ君のサポートをしてあげてくれ」
「同じエルフったって、うち街育ちなんだけど……あーい」
「チエル君は閃を活かしてゆんゆん君のサポートを」
「はーい☆」
「ユニちゃん、俺は?」
何か手伝う事がないか俺もユニに尋ねた。
「フクヤマ氏もかね?ああ、いや、協調の精神は立派だ。ふむ、そうだね……貴殿は……みんなの分の飲み物やつまみを買ってきてくれたまえ」
「へいっ!行ってきます!」
俺は財布片手に買い出しに出掛けようした時、どさくさに紛れてチエルとクロエも追加注文する。
「あっ、リュウジ先輩。甘いヤツお願いしまーす」
「あっ、うちの飲み物はコーヒー微糖で」
「はーいっ!」
俺は何してんだろう……。
それからというものユニの的確な指示により、あっという間にアオイとゆんゆんの講座の資料がまとまった。
「皆さん、本当にありがとうございました!」
「発表内容がここまで早く終わると思ってませんでした!」
2人がお礼をいうと、ユニは肩を叩きながら答えた。
「いやいや感謝など不要さ。後輩を助けるのは先輩の務めだからな。困ったときはいつでも頼ってくれていいのだよ」
ユニがアオイとゆんゆんに優しい言葉を掛けている最中、何故かチエルは両手でユニの周りをパタパタと扇いでいた。
「チエルちゃん?なにやってんの?」
「あーこれ先輩風です。ビュービューですね!」
「これであとは、ここまでまとめた事を特別講座で”発表”するまでだ。頑張るのだよ、アオイ君、ゆんゆん君」
「はい!……え?」
「ユッユニさん?今……なんて?」
アオイとゆんゆんは勘違いをしていたのか、ユニの言葉に唖然としていた。俺やクロエとチエルも異変に気付いた。
「講座だもん、そら発表は付き物でしょ」
「むしろここからが本番ってやつですかね〜?」
「わっ、私達発表なんて無理ですーっ!」
「どっどうしよー!リュウジさん!ユニさーん!」
狼狽えるアオイとゆんゆんを見かねたユニはアオイ達に声を掛けた。
「ううむ、やれやれ。困った後輩たちだ。だが案ずるな、このユニ先輩に任せるがいい」
自信たっぷりな言い様だな、なんか作戦でもあるのか?
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講座資料を元に、ユニの指導をされながらアオイとゆんゆんは発表の特訓を行い、特別講座当日を迎えた。発表目前、俺はアオイ達に呼び出された。
「どうしたの?2人とも、もうすぐ発表でしょ?」
「じっ、実は……お願いがありまして……」
「お願い?何?」
俺が首を傾げると、ゆんゆんが答えた。
「ちゃんと、発表出来るように『カースド・ダークネス』で呪いをかけて欲しいんです」
「え?カースド・ダークネスを?」
「私もなんだけど、アオイも緊張しちゃって……怖くなっちゃって……」
アオイとゆんゆんは俺に『緊張しない呪い』をかけて欲しいと頼んで来た。だが……、俺は首を縦に振らなかった。
「呪いに頼っちゃダメだ」
「えっ……」
「そんなっ!?」
「ここで呪いに頼ったらなんの為にここに来たのか分からないでしょ?。2人とも『1人前』になる為に来たんじゃないの?。ここは呪いに頼らずに真っ向勝負で挑んだ方が自分の為になると思うんだけど?」
そう言われたアオイ達は腹をくくったのか、真剣な眼差しになった。
「そっそうですね、怖いですけど……ここで甘えたらダメですね!」
「確かに……こんな所で甘えたら、めぐみんに笑われちゃう!」
「だろ?上手く出来なくたっていい、失敗したっていいから、後悔だけしないように全力を出し切って来なよ」
「「はいっ!」」
そして、特別講座の発表が始まった。アオイもゆんゆんも吹っ切れたかのように緊張はしていだが、怖がったりしておらず、無事に2人とも特別講座の発表を終えた。
「いっ以上でしゅっ!」
「ごっ!ご清聴、ありがとうございました!!」
パチパチパチ!!
拍手に覆われたアオイとゆんゆんは無事に特別講座を終えた。俺達なかよし部もホッと胸を撫で下ろした。
「どうなることかと思ったが、想像以上の出来だったな」
「んー、カンペキじゃん」
「呪いなんか頼らなくたってちゃんと出来たじゃん」
「ふっふーん!チエル達のおかげですね!」
すると、講座を聞いていた他の女子生徒達がアオイとゆんゆんを囲み、質問を始めた。
「アオイさーん!講座中にあった、森に住んでる動植物のこともっと教えて貰えませんか〜?」
「ゆんゆんさーん!先程の魔法のことをもう少し教えてくださーい!」
「あわわわ!!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
集中切れたか?めちゃくちゃテンパってんな
ひとつひとつ質問を答え終えたアオイとゆんゆんの元に、女性教師が質問をして来た。
「失礼。アオイさん、私からも一つ伺いたいことがあるのですが」
「はっはい?なんでしょう?」
「エルフの森に、”巨大化する植物”はいるかしら?」
「え?はい、いるには、いますけど……?」
アオイの答えを聞き、妙な質問をした女性教師は顔をしかめながら言い放った。
「では、私の見間違いではなかったのですね……あの、”巨大な根っこ”の様な植物は……」
「えっ!?まさかそれって……マンドラゴラ……?」
アオイは心当たりがあったのか、冷や汗をダラダラとかき始めた。
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その日の放課後。俺は帰る支度をしていると、アオイがおどおどした様子で教室の入り口で立っていた。俺は視線に気付き、アオイに声を掛けた。
「どーしたのアオイちゃん」
「リリリリュウジさん、今すぐなかよし部の皆さんを呼んでもらいませんか!?」
「え?」
この焦りよう、ただ事じゃないな……。
俺はアオイの焦っている様子を感じ取り、直ぐにゆんゆんを含めるなかよし部を緊急招集した。アオイはなかよし部に声を掛ける。
「あ、集まっていただいてすいません、皆さん」
「アオイ?どうしたの?」
「いいけど、べつに、もう慣れたし」
「なんかもうこの6人、すっかり『いつメン』って感じですもんね。いつもの面子、通称掃き溜め」
「ユニちゃんズという名に恥じぬ活動をしていると思うよ。実に誇り高い」
「それで、アオイちゃん。何があったんだ?わざわざ皆を集める程の事態なんだろ?」
アオイは意を決したのか、事情を話し出した。
「はい……その、実は……大変な事が起きまして」
「学費が払われてなかったの?」
「ユニちゃんズが気に入らないとか?」
「ユニちゃんズのセンスが受け付けないとか?」
「耐えろ……耐えるんだ、ぼく」
「いでででででで、なんで俺の腕をつねる!?」
「いっいえ、ユニちゃんズは関係ないです!。その……特別講座が終わった後に先生が仰っていた、植物……なんですけど」
植物?
アオイとゆんゆん以外のなかよし部は同時に首を傾げた。すると、ゆんゆんが顔を青ざめさせた。
「植物?」
「もっもしかして、アオイ……学校に持って来た植物の事?」
「あー、初めてアオイ達に声を掛けた時なんか騒いでたやつ?」
「そーいえば、なんか走り去って行ったような気がしますね」
「それでアオイ君、結論から言うと?」
「はい、実は……その、大変申し上げにくいのですが……それ、私が持って来たマンドラゴラかもしれないんです!!」
オー、ジーザス
事情を聞いたユニはメモ帳を取り出し、何かを調べ始めた。
「ふむ、なるほど得心がいった。以前、学校の池の水が干上がった原因はそのマンドラゴラの仕業のようだね」
「あーそういえばチエルも友達からなんか変なのが歩いてるって聞いたかもです」
「エルフの森のマンドラゴラ……か」
「って事はだぞ?、そのマンドラゴラ……デカくなったって事か?」
「いや、ただのマンドラゴラではない。アオイ君の証言から類推するに、そいつはきっと『オオドクマンドラゴラ』の亜種だろう。一般的なマンドラゴラと誤認して持ち込んでしまったのだね」
「オオドクマンドラゴラって確か……超危険モンスターだよ!?」
ユニとゆんゆんの情報が当たっていたのか、アオイは驚いていた。
「ユニさんもゆんゆんもすごい!、エルフの森の植物なんてなかなか知ってる人いないのに……」
「褒めてる場合ではないよね!?」
「よしっ、そいつ捕まえよう」
突然、黙っていたクロエが言い出し、俺達は唐突の言葉に驚いた。
「「「「「はっ!?」」」」」
「探すのを手伝ってくれるんですか!?」
「てか、今日うちら呼んだのそうゆうことっしょ?いいよ?捕まえるよ全然」
「クックロエさん……私、うれしいです……」
「アオイ、私だって友達なんだから協力するわ!」
「ゆんゆん……」
ゆんゆんはともかく、さっきまで黙っていたクロエが急にやる気出したな、さては…なんかあるな?
「まぁいいや、とりあえずそのマンドラゴラを探さないとね」
それから俺達は、学校内をくまなく探したがオオドクマンドラゴラの姿は見付けられなかった。
「んで、校舎内を探し尽くしちゃったわけですけど、流れで外に出て来ちゃったわけですけど、ユニ先輩、なんかもっと豆知識ないんですかー?」
「ぼくの知識を豆サイズにしないでもらえるかなチエル君。ふむ、そうだな……オオドクマンドラゴラは空気中の魔力を栄養源とするのだが、成長しきった個体は、根のみならず、実や花にまで毒を持つらしい」
あら怖い。けど……このオオドクマンドラゴラの端材、合成に使えねぇかな
「毒か、毒はちょっとヤダな」
「リュウジさん、アルカンレティアで経験してますしね」
俺はハンスとの戦いを思い出し顔をしかめると、ユニは更に話を続けた。
「だが、その毒こそが様々な分野において重宝されるのだよ。苦みこそ良薬の条件、とよく言ったものだ」
「へぇ〜、なんかその実、裏ルートとかで高く売れそう〜」
俺が冗談混じりに言うと、何故かクロエがギクッと動いた。
「クロエ先輩、どーしたんです〜?」
「いっいや、べっ別に!?」
「うーん、ここは手っ取り早くその辺の植物に聞いてみたら?」
「はい?リュウジ先輩何言い出してるんです?頭大丈夫ですか?」
俺の言葉にゆんゆんも反応してアオイに言い放った。
「そうだよ!アオイ!バイトでも薬草とお話ししてたじゃない!」
「そうだ!その手があったね!さすがリュウジさん!」
「なーる……」
「なんと、アオイ君は動植物と会話が出来るのか!?興味深い!」
「アオイちゃ〜ん?ここバイト禁止だよ〜?今のは聞かないフリしとくね、チエルは空気読める子ちゃんだから!」
「なら、早速聞いてきますね!」
アオイは早速、花壇に生えている花や雑草に話しかけ始めた。数分後、アオイは嬉しそうに戻って来た。
「見つけました!」
「ホントか!?どこだ!?」
「花壇のお花さんが言うには、『旧校舎』の方に歩いていくのを見たって言っています!!」
そこだ!
「よし、旧校舎に行くぞ!オオドクマンドラゴラはそこだ!」
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俺達はアオイが聞いた通り、旧校舎の中を探索し始めた。中は荒れ果てており、いかにもモンスターが居そうな雰囲気を漂わせていた。
「ふえぇ……ほとんど廃屋、通称ダンジョン。アオイちゃーん、ほんとにマンドラゴラいるのー!?」
「はい、チエルさん。旧校舎の近くに生えてるキノコさんに聞いたら、この旧校舎に入って行ったらしいです!」
「なら、編入してからろくに活躍してない俺の出番だな」
そう言って俺は本棚に飛び移り、『敵感知スキル』を発動させた。すると、奥の方からわずかながら反応を感知した。
「見つけた……そこだ!」
俺は奥の部屋を指さした。
「盗賊スキルを使ったのか、相手はモンスター。反応するに違いない」
「リュウジ先輩、留年するほどバカなのにここぞという時に頼りになりますね!ナイスです♪」
「……………うす」
「チエル、言葉の刃鋭すぎんよ。リュウジの目から光が消えちゃったじゃん」
「あの先は……大講堂……って書いてますね」
「確かに、あそこから声が聞こえます」
大講堂と聞いた途端、ユニは首を傾げた。
「旧校舎の大講堂だと?、はて、マザーたちから聞いたことがあるが…その区画は老朽化が甚だしく、永らく封鎖されてるはずだ」
「隠れるにはうってつけって訳ね。皆、行くよ?」
大講堂に向かって歩き始め、ドアをギィィッと音を立てながら開けると、そこに奴はいた。
「喜べ諸君、目標発見だ」
「ですねー……」
「ぷー……どうすんのこれ」
「大っきい……」
「さぁて、鎧なしでどこまでやれるかね?」
俺達の前には……天井ギリギリの大きさの、オオドクマンドラゴラが仁王立ちしていた。
「──グオオオオオオオオオオ!!」
「なっななな……なんでこんなに大きくなってるんですかぁー!?」