キャベツを収穫し終わった翌日、俺はウィズ姐さんの埋め合わせをするべく、買い物に付き合う事になった。
はたから見たらデートっぽい気もするけど、恩返しがメイン、そんなつもりは微塵もない。
リュウジはブラックナイトを装備したまま店に足を運んだ。
「姐さん〜、おはようございまーす!」
《おはようございます、ウィズ様》
「あっ、リュウジさん!マリューさん、おはようございます!」
「準備いいですか?」
「あっあの、リュウジさん今日も鎧を着たままなんですか?」
ウィズは気まずそうに俺を見つめる。
あれ?鎧着たままじゃダメだったかな?
「緊急クエストがあるかも知れないので念の為です!」
「なるほど、私まだ……リュウジさんの顔を見た事無かったので……」
「あっそう言えばそうですね、見ますか?」
「え?良いんですか?」
「構いませんよ?」
俺がブラックナイトの兜をガチャっと取ってウィズに素顔を見せた。ウィズはまじまじと見つめていた。
なんだろう、キモかったかな……?
「どっどうしました?老けて見えますか?」
「あっいえ、結構若々しい顔なんですね、20歳くらいに見えますよ?」
「マジすか!?これでも500歳超えてるんですよ?まぁ人間に戻されたのでこんなガキみたいな顔してますけどね?」
「500歳!?そんな事ないですよ?とっても素敵ですよ?」
顔を赤らめて俺を見つめる。
ウィズ姐さんは見た所20歳くらいに見えるなぁ……ってか俺20歳くらいなの!?まぁいいか、さて今日は何処に行くのかなぁ?
「んじゃ、行きますか?」
「はい!では行きましょう!」
リュウジとウィズは街に繰り出した。ウィズはとても上機嫌で歩いており、時々鼻歌を交えていた。
「ふんふふ〜ん♪」
「ご機嫌ですね、なんかいい事ありました?」
「うふふ、秘密です!」
「えー?なんですかー?」
「気にしないで下さい///あっ!」
ウィズが早歩きでとある店に入って行くと……数分後ネックレスを買って来て戻って来た。
「リュウジさん!見てください!このネックレス、レアアイテムらしくてそれをたった3万エリスで譲ってくれました!」
「えぇ!?衝動買いしちゃったんですか!?」
「はい!他にも掘り出し物があるかもしれないので見てみませんか!?」
ウィズは目をキラキラさせながら俺に提案した。
今回はウィズ姐さんに恩返しの為に企画した買い物だ、少しくらいわがままを聞いてあげよう。
「そうですね、行きますか!」
「はい♪」
するとウィズはあちこちの店に入っては覗いて、冷やかしては覗いてを繰り返し、とても楽しそうに見て回っていた。
女の子らしい事するなぁ……。
「姐さんに喜んで貰えて良かったですよ!来た甲斐がありました!」
「はい!こういうの楽しいんです、見た事ない物があるかも知れない、掘り出し物があるかも知れない、そう考えただけでワクワクするんです!」
「それ分かります!俺もそういう時ありましたからね!」
「あの、リュウジさん!」
「はっはい!?」
急にウィズに呼ばれたリュウジは背筋をピンッと伸ばした。
「あの、今日から姐さんって呼ぶの、やめてくださいますか?」
「えぇ!?けど、明らかに姐さんの方が全て上ですから……」
「いいですよそんなの、今からウィズと呼んでください!あと、リュウジさんは今日から敬語は禁止です!」
真剣な眼差しで見つめれ、俺は呑まれてしまい返事を返してしまった。
「えぇ!?あっはい……んじゃ……ウィ……ウィズ?」
「はい!そんな感じでいいですからね!」
おーい!美人の店主さーん!
「ん?姐……ウィズ?なんか呼んでるよ?」
「ん?あら?いつもお世話になってます!」
「この人は?」
「いつも色々とマジックアイテムなどを仕入れて来てくださる商人さんです!!」
「へぇ〜!お得意様なんだね!」
「ええ、入手困難なアイテムや、珍しいアイテムを持って来て下さるんです!」
「美人店主さん、今日も珍しいのが入ったんだ、見てくかい?」
「はい!是非見せてください!」
「よし来た!モンスター避けの御守りに御札にポーション。全て身につければ効果は5倍と来た!」
「へぇ〜!それは凄いですね!」
言っていいかな……めちゃくちゃ胡散臭い……
露天商のおじさんはさらに他の商品を取り出して来た。
「それと不思議な目薬だ!」
「目薬?」
俺は変装セットを見てみると目薬見たいな物に目が止まった。
「へぇ〜、こんなのあるんだ」
「おっお兄ちゃんお目が高い、この目薬を使うと瞳の色が変わるんだ」
「本当にー?」
「試してみるかい?」
「リュウジさん、試して見てくださいよ!」
「うっうん……」
俺は目薬を片方にだけ垂らして見た。さした後にウィズに見てもらった。
胡散臭い品物だからなぁ、確認してもらわないと。
「どう?変わった?」
「あっ!金色に変わりましたよ!!凄いですね!」
「マジで!?どーしよ、買おうかな……」
俺が悩んでいると魔竜が俺を慌てて止め始めた。
《リュウジ様!?無駄使いはいけませんよ!?》
《まぁ待て待て、色々やりたい事があるんだよ》
《やりたい事……?》
《うん、夜にね?どーせ夢でうなされるんだから》
《また何を企んでるんですかー?》
《そのうち教えるさ!》
「これいくらですか?」
「これはセットで1万エリスだ!洗うとちゃんととれるからよ、どーだい?買ってくかい?」
「はい、下さい」
「あいよ!兄ちゃんもなんか仕入れて欲しいもんあるかい?」
「え?俺は商人じゃないですよ?」
「そんなの関係ねぇよ、買ってくれるなら誰でも請け負うぜ?」
ふむなるほど、この人に色々頼めば探してくれるのかな……試して見るか。
「あの、商人さん?、いくつかお願いがあるんですが良いですか?」
「おっ何かあるかい?」
「探して欲しい物があるんですが、『雷を出せるハンマー』とか『どんな攻撃も防げる盾』見たいな物を探して欲しいんですけど良いですか?」
「えぇ!?そんな難しい物あるかぁ?まぁ探してみるけどよ、期待はしないでくれよ?」
「はい、構いません」
「あの、リュウジさん?そのマジックアイテムをどうするんですか?」
「少しでも戦力を増やしたいので武器や防具を集めようかと思ったんですよ、カズマとかにも使えるようなアイテムとかを」
「そうなんですね、自分より他の人の事を考えるなんて優しいんですね!」
ウィズは微笑みながら俺に言い放った。
なんか今の嬉しかったな……。
「あっ!リュウジさん!リュウジさん!見てください!」
「ん?どうしたの?」
ウィズはまた走り出し、今度は教会の前に並んでいる人形を手に取った。
「見てください!エリス様の人形ですよ!」
「うわ……エリス教はこんなのも売りに出すのか……いくら?……高ぇ!?マジかよ!?」
「えーっと、いくつ買えばいいんでしょうか?」
「ちょちょちょ!ウィズ落ち着いて!?落ち着いて!?コレ高いから!コレ買ったら破産しちゃうから!!」
俺は慌てて爆買いしようとしてるウィズを必死で止めた。
コレは止めなアカン!!ウィズと結婚した人は確実に破産するだろうなぁ……俺には難しいよ……。
「そんなぁ、幸運の人形ですよ?リュウジさんは幸運値低いんですから……買うべきですよ!」
「あう……確かに俺は極致的に低い……」
「可愛いですし、買いましょうよ!」
キラキラ輝くつぶらな瞳でリュウジを見つめるウィズ、俺は根負けして頷いてしまった。
「んじゃ1つだけ買お?皆の分も買ったら生活出来ないから……」
「はい♪そうします!」
ウィズはエリスの人形を買い、俺に渡して来た。
え?自分用じゃないの!?俺にくれるの!?
「今日はありがとうございました!私からのお礼です!」
「えぇ!?そんな!?受け取れないよ!!」
「いいんです、私がそうしたいので!受けとって下さい!」
ウィズはエリスの人形を俺のブラックナイトの胸に挟めた。
「ありがとう……大事にするね?」
「はい、幸運値が低いんですから大事にして下さい!」
「んじゃ、そろそろ店に戻る?」
「はい、もう夕方ですしね!」
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その後、2人は大荷物を持って店に戻って来てコーヒーを飲んでいた。
肝心の魔王軍の情報を少しでも手に入れないとこの先大変だし、ウィズには申し訳ないけど、話して貰うか……。
「あっウィズ、お願いがあるんだけど良い?」
「はい?なんでしょう?」
「魔王軍の事を少しでも知りたいので、話しにくいとは思うけど……」
ウィズはクスクス笑って俺に答えた。
「ふふふ、そんな事ないですよ?どんな事を聞きたいんですか?」
「魔王軍の幹部の人数、幹部の能力、名前などなど……?」
「そんな事ですか?えーっと、勇者殺しのベルディアさん、全てを見通すバニルさん、デッドリーポイズンスライムのハンスさん、キメラのシルビアさん、邪神ウォルバクさん、ダークプリーストのセレスディナさん、魔王様の娘さん、私を含めて8人です!」
「なるほど、8人……俺の世界とそんなに変わりないんだね」
「それと、魔王軍幹部候補って言う方々もいるんですよ?」
「幹部候補!?」
「はい、もし誰が負けてしまっても良いように控えてるんです、知ってる限りでは……えーっと、トロールロードのダニエルさん、ゴブリンロードのチャーリーさん、ブギーマンのウィックさんですね」
「幹部候補も居るのか……こりゃすげぇ……」
俺はおもむろにメモを書き出した。
コレをクリスに報告しとこう、名前からして能力も予測出来そうだ。
「リュウジさんの世界の幹部さん達はどんな方々だったんですか?」
「え?えーっと、ドラキュラ伯爵、怪物ジキルとハイド、九尾の狐、鬼の酒呑童子、斉天大聖・孫悟空、氷の魔法剣士、殺人ピエロ、改造人間フランケンシュタイン、別世界の戦士、オークの将軍、そして──」
《私、竜帝・魔竜こと、マリューです》
「そうなんですね、魔界はとても広いので知らない方々ばかりですが、ヴァンパイアならこちらの世界にも居ますよ?私より下ですが」
「アンデッドの王ですもんね……ドラグリアも低めのランクなのかなぁ……」
「どうなんでしょう?」
「とにかく、情報ありがとう!そろそろ帰るね!」
「はい、また来てくださいね?」
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その後、俺はウィズと別れて宿に戻って来て鎧を脱ぎ、寛いでいるとドアがノックされた。
トントン
リュウジー?帰ったー?
この声は……クリスか……?
「どーぞー」
「おじゃましまーす、明日の予定な……」
クリスは俺がエリス人形を持って眺めている所を見て急に顔を赤くし始めた。見た途端クリスは猛スピードで取り返そうとした。
「ちょちょちょ!!なっなんでそんなもの持ってんのさぁ!!」
「なんでって、貰った物だから何処に飾ろうか迷ってたんだよ、なんだよイタズラなんかしねーぞ?」
「良いから!しまってよ!それ!恥ずかしいじゃん!」
「転ぶから離れろよ鬱陶しい……なんなんだよ〜まだ天界の事恨んでるのか?」
「違ーう!恥ずかしいからしまってよ!」
「なんでだよ!いいじゃん飾ったって!これ高ぇよ、何?エリス教も色々ヤバいの?」
「ヤバくないよ!値段設定は任せてるから分からないけど……それ早くしまってよ!」
「あぶないってば!……うわっ!」
「きゃ!」
クリスはワーキャー叫びながら俺に手を伸ばして人形を奪い取ろうとするが身長が届かず俺は手を伸ばして逃れていたが、バランスを崩してしまい、クリスと共にベッドに倒れ込んでしまい、クリスが上に乗っかって来た。
「あてて……」
「もう!痛いじゃんか……あっ……」
「あっあの……あのさ…そろそろ退いてくれるか?……」
無意識にクリスの目から俺は目を逸らししてしまった。
ドクンドクンドクンドクンドクン
(え?なんで心臓がバクバクしてんだ!?ヤバい!気付かれる……相手はクリスだぞ!?落ち着け〜、落ち着け〜)
「ごっごめんね、今退くから………」
「おっおう……確認なんだけど、俺の事嫌いなんだよな?」
「きっ嫌いだよ!ふんっ!リュウジのエッチ!」
不可抗力なのに何その理不尽!?人を床ドンしておいて暴言ですか!?
クリスは俺の胸をドンと叩いて起き上がった、俺も起き上がってしまって置いたメモをクリスに渡した。
「理不尽過ぎる……ホレ、魔王軍の事色々分かったぞ?」
「え?ホント!?もう調べたの?」
「うん、メモしたから後で読んで」
「わかった……あっ忘れてた、明日朝イチにギルドに来てね?」
「ダンジョン探索の件ね、了解、ちなみにどこ行くんだ?」
「ひみつー、明日になったら教えるよ!」
「はいはい、んじゃ帰ってくれ、お疲れ様でしたー」
「え?なんで?」
「いや「え?なんで?」じゃなくて、俺はもうシャワー浴びて寝るから帰ってくれ!」
「えー、今日寒いから泊めて〜」
「甘ったれんじゃねぇよ!クソ女神!人の事嫌い嫌いって言っといて泊めろって何だ!?なんのラブコメだよ!」
「らぶこ…め?何それ?」
(アイヤーこの子恋愛とか分かんない子!?)
「あー分かんないのね、分かりやすく言うとな?男の子の部屋に女の子がホイホイ来るもんじゃ無いの、分かる?女神なのにそう言うの分かんないのかな!?」
「そっそんなの分かんないよ!そっそういう気持ちに…なっなった事ないし!!」
「はぁ?お前長い間盗賊のフリしてるのに今まで「良いなぁ」って人いなかったの?」
「うーん……いないかな?別に1人の方が楽だし?」
(うっわ、つまんねー)
「ねぇ?今つまんねー女って思ったでしょ?」
「!?」
(心まで読みやがる!?何この子恐ろしい!!)
「読んでないよ?」
「読んでるじゃねぇかよ!ヤダ何!?こえーよ!」
「はいはい、ってな訳でキミのベッド貸してねー」
「何泊まる気でいるの!?出てって!ほら早く出てって!」
「やーだー!」
ギリギリとベッドにしがみついて離れようとしないエリス様
「ワガママかっ!」
「今日はもう疲れたのー、 ふぁ〜おやすみ〜」
「コラァァァァ!寝るなぁぁぁ!」
「明日起こしてね〜」
「はぁ……まったく…せめて風呂入ってから寝ろ」
クリスはガバッと起きて目をキラキラさせて来た。
「泊まって良いの!?」
「もう…分かった分かった、泊まっていいーよ」
「わーい!んじゃお先ー!」
我先にパジャマを持って浴室に向かって行くエリス様。俺は仕返しにボソリと呟いた。
「パッドイリ……」
クリスはピタリと立ち止まってスタスタ俺に近付いて俺に顎クイをして来た。
あっあれ?コレやるの普通男の子じゃない!?
「目……閉じて……?」
「え?なっなんで?」
「早く!」
「あっはい……」
とりあえず目を閉じて見ると顔が近くなったのを感じ取った。
(このシチュエーションは……まさか……えぇ!?しちゃうの!?コイツにこの世界のファーストキス取られちゃうの!?)
ドギマギしているとクリスが言い放った。
「パッドじゃないから!」
ゴンッ!と音を立ててクリスはヘッドバットを繰り出した。
これはかなり痛い
「おお……お……」
「ふんっ! バカリュウジ!」
バンッと勢いよく浴室のドアを閉めてクリスは入っていった。
「痛え…って俺は何を期待しちゃってたんだろう…………」
俺はベッドに大の字になって目を閉じ、つい眠ってしまった。
ーーーーーークリス視点ーーーーーーー
1時間後、クリスはパジャマ姿になって浴室から出て来た。
「あれ?寝ちゃったの?、全く今日は何してたんだか……おーい?」
「くー……くー……」
「魔王の癖に可愛い寝顔だな……こんな人が魔王だったなんてなぁ、世界は広いんだなぁ……なんかあたしの瞳の色もちょっと似てるし、鎧とかも紫色とか被ってるし……」
おもむろにリュウジの頬っぺたをツンツンし始めた。
「これじゃ寝れないな、ちょっと退けてね、うーん…ダガーは要らないかな?」
「ん〜んにゃんにゃ……くー……」
クリスはダガーをしまってリュウジを少し転がしてベッドに横になった。
もう少ししたらエロ回です!