商品のプレゼンはチエル、リュウジに絞らせてもらいます。クロエとユニのプレゼンはダイジェストでお送りします。
波乱の説明会から2日後、俺は1ヶ月ぶりに、アクセルの街に帰って来た。帰って来た理由は、以前から考案していた計画の一つ。薬品製品を商品化させる事にある。俺は、アオイに管理を任せている【薬草畑】にやって来た。しばらくぶりに畑にやって来た俺は……驚きを隠せなかった。
「こっ……これは……一体どういうこった!?クロエちゃんが言ってたのは本当だったのか!?」
俺が目の当たりにしたのは……緑一色だった筈の薬草畑が、緑だけでなく、クロエの言う通り、赤、青、黄色、などなど色鮮やかな畑に成り代わっていた。
「アオイちゃ!?ちょっ、どこ!?」
「はーい!」
あそこか!?
緑色の薬草がガサガサと揺れ始め、アオイがニョキっと出て来た。両手には雑草などが握られ、汗を拭いながら俺の元にやって来た。
「お疲れ様、テレ女以来だね」
「おかえりなさい!リュウジさん!」
「まず、この畑はどうしたの!?紅葉見たいになってんだけど」
「あーこの子たちですか?あの、じじじじじ実は……薬草さん達の要望を答えてたら、こんな風になっちゃいまして……」
「そっそうなの!?、色変わってるけど……肝心の効果はどうなの?」
「はい!ちょっとまってて下さいね、昨日栽培した薬草さんがありますので!」
俺がアオイに尋ねると、アオイは栽培した4色の薬草を持って来て説明してくれた。
「では薬草さん達の効果を説明させてもらいますね!まず、この【緑の薬草】さんは、従来の薬草です。効果は切り傷などに効きます。次に【赤い薬草】さんは、火傷や炎症などに効きます。ちなみに【緑の薬草】さんと【赤い薬草】さんを合成させると、効果は倍になります!。次は【青い薬草】さんです!。この薬草さんは解毒効果がありますので【緑の薬草】さんと【赤い薬草】さんと合成すると、効果はさらに倍、加えて解毒も出来ちゃいます!そして、最後になります【黄色い薬草】さんですが、この薬草さんはとても希少です。効果も特別で、一時的に防御力と体力が上がる効果があります!凄いですよね!」
キラキラ目を輝かせながら興奮気味のアオイの説明を聞いた俺は手に取ってまじまじと見つめた。
ふむ、予想以上の出来だ……流石はアオイだな。
「アオイちゃん、これをさ……世界中に広めたいと思わない?」
「薬草さん達を世界に……ですか?」
「うん。魔王軍に傷付けられた人達や、災害で怪我を負った人達が少しでも救われるようになって欲しいんだ。そこで、俺はメリクリウス財団にこのアオイが一生懸命育ててくれた薬草さん達を商品化させて貰えるように頼みたいんだけど、どうかな?アオイちゃんの許可を貰ってから決めようかと思ったんだけど?」
俺の意志をアオイに伝えると、アオイは嬉しそうに答えてくれた。
「はいっ!世界中の人たちを救えるなら喜んで私は薬草さん達を育てます!リュウジさん!この子達をお願いします!」
アオイは頭を下げてくれた。アオイの意志を受け取った俺はアオイと握手をした。
「頑張って商品化してみるよ!」
「はい!お願いします!あの……こんな事をいうのも忍びないんですけど……商品化した時のお金は……どうなるんでしょうか」
「………………どうなるんだろうな?」
「えぇ!?」
────────────────────────
それから数日後、再び聖テレサ女学院に戻った俺は薬草の商品化の準備期間を経て、特別講座はいよいよ当日を迎えた。生徒の審査をするメリクリウス財団一行は、生徒たちにアドバイスをしていた。
「───と行ったところかしら、こちらからの助言は以上ですわ」
「あっ、ありがとうございました!」
また1人のプレゼンテーションが終わり、メリクリウス財団一行はプレゼンの終えた生徒の商品の話し合いを始めた。
「ふぅ……」
「花をテーマにした『フラワー喫茶』ね、女の子らしくて可愛い案だとは思うのだけど……」
「市場にコンセプトカフェが増えている今、プラスワンのアイデアとしては面白みに欠けますわね」
「客層の狭さも気になるところだわ。考えてもらったメニューはどれも高コストなものばかりだし、生きた植物を扱うならスタッフや立地も限定的──」
「なによりたい焼きにゃ!たい焼きが足りないにゃ!」
「タマキさん黙って」
「やっぱり実社会でも通用するビジネスアイデアというのを、未経験の学生さんに求めるのは酷だったかしら」
「そうね……とくにここの学院の生徒は、これまで世間とのかかわりが少なかったようだから……」
ミフユとユカリが心配そうに呟くと、アキノが声をあげた。
「関係ありませんわ!経験や環境を問わず、独創的な発想をもった人材──そんな才能はどこに眠っているか分かりませんもの!その原石を見つけ出すために、メリクリウス財団は今日この学院へ来たのですから」
「こういう時のアキノは、本当にしっかりしてるにゃー」
「こういう時のって……どういうことですのタマキさん!?まるで私が普段、しっかりしてないみたいじゃありませんこと!?」
アキノがタマキに食ってかかると、ユカリが止めに入った。
「タマキさん!私たち……口にはしなかったのに……」
「口にはってそれもどういうことですの!?ユカリさん!?」
こんこーん♪
メリクリウス財団が醜い争いをしていると、ドアがノックされた。
「あ、と、講座中だったわね、時間は効率的に使わなきゃ。えっと、次の方は……チエルさん。どうぞ、お入りください」
ミフユの合図と共に、チエルがドアを開けて入って来た。そして、俺もチエルのアシスタント役として、チエルの後ろに立った。
「失礼いたしまっ☆聖テレサ女学院1年生、ちぇるっと生きたいお年頃!なかよし部最後の良心、世界の美少女ちえるんでーす!ちぇる〜ん♪」
「ちぇ……なに?」
ミフユは怒涛のチエルのマシンガントークに圧倒され、「ちぇるん」という言葉を二度聞きした。
「ちぇるーんです。全王都、通称全王でティーンに人気の挨拶ですね。はい、ミフユねぇさんもご一緒に?ちぇる〜ん♪」
「それが……流行りの挨拶?この学校ではみんなやってるの?そ、それなら、郷に入りては郷に従えってやつかしら……ちぇ、ちぇる〜ん♪」
「おはようございます、今日はよろしくお願いいたします」
俺は空気を読まずに丁寧にメリクリウス財団一行に挨拶をした。ミフユは途端にチエルにツッコんだ。
「流行ってないじゃない!!」
「あら、フクヤマさんもご一緒ですの?」
「はい、リュウジ先輩にはアシスタントって名目で来てもらいました。リュウジ先輩はいち早くプレゼンの準備が終わって暇そうだったので、手伝ってもらいました!ですよね、先輩?」
「イエスボス」
「リュウジくんなんか昨日とテンション全然違うわね、どうしたの?」
「イエスボス」
「あっあの……会話が成り立たってないんだけど!?」
俺は目から光をなくしながら「イエス」のみで答える。理由はあくまでもこのプレゼンはチエルのプレゼン、手を貸すわけにはいかないからである。すると、チエルは思い出したかのように手を叩いた。
「あっ、そだ、プレゼン始める前にちょっとお時間いいです?はるばるテレ女に来てくださった講師のおねえさん方に、ちょっとした差し入れ的なものをご用意しちゃいました……先輩、例のものを」
「イエスボス」
俺は黙々と紙袋から王都で買ってきた「たい焼き」をメリクリウス財団一行に配り始めた。すると、タマキは騒ぎ出した。
「たい焼きにゃ!?しかも、こしあん、つぶあん、カスタードにオールミックスまで!見どころのあるやつにゃ!プラス7兆点、合格に大きく近付いたにゃ!」
王都の転生者は凄いなぁ……カズマが作った焼きそばより大人気商品になってんだもん。
たい焼きを配り終えると、タマキ以外のメンバーは引き始めていた。
「賄賂ね」
「賄賂だわ」
「賄賂ですわ」
「えぇ〜?何がですかぁ〜?チエル、みなさんにハッピーをお届けしただけですぅ〜。たい焼きもぐもぐ、ハピちぇるんっ☆ですよね先輩?」
「イエスボス」
チエルの粋な計らいで面食らったメリクリウス財団は唸り始めた。
「隣のイエスマンはともかく、どうやらなかなかの大型新人が現れたようね」
「これは油断出来ないやつにゃ、ひとまず7兆点は差し押さえておくにゃ」
「今どきの若い子ってみんなこうなのかしら……ねぇ?リュウジくん?」
「……イエスボス」
俺はゆかりに対して「知らんわ」と言わんばかりに真顔で答えると、ミフユが言い放つ。
「アシスタントに聞いてもしょうがないわ、ユカリさん。早速、持って来てもらった企画を発表してもらいましょう。時間は有限、無駄にするべきではないわ」
「わかりみです!チエルも日々、限りある青春時代を、メリメリ前のめりで全力成長しています!そんな全力チエルが本日ご紹介するのはこちら、大バズり必須の皆さんお待たせこの商品っ!その名も『おしゃべりチエルちゃん』です!」
チエルは自分そっくりなぬいぐるみを取り出し、メリクリウス財団一行に見せ付けた。アキノはおしゃべりチエルちゃんを見つめた。
「これは……ぬいぐるみ、ですの?」
「違います!『おしゃべりチエルちゃん』です!」
「自分呼称を押し付けてくるタイプにゃ、しかも明らかに自分モチーフにゃ、どんだけ自分大好きにゃ?」
「正解!ちえるん大好きなちえるんプロデュースによる、こちらとってもきゃわわなミニちえるん!ハイこの時点で王都爆売れ待ったなし!ですが、なんとこの『おしゃべりチエルちゃん』、そこらの商品にはないすこぶる斬新かつ独創的な機能が備わっているのです」
チエルが商品を説明すると、ミフユ達は顔を歪めながらチエルに尋ねた。
「自信だけはむやみやたらに感じるけど……ハードルそんなに上げて大丈夫?」
「詳しい話を聞かせてもらいましょう。まぁ、商品名からして何となく予想はつくけれど」
「なんとこの『おしゃべりチエルちゃん』、おしゃべりすることができるのです!どやっ!」
「やっぱりね……」
「おっと、そこのお姉さん、今「やっぱりね、ちぇるーん」とかおもいましたねっ?」
「前半は当たりだけど、後半はかすりもしてないわっ!?」
「ええと、喋るぬいぐるみって言うと、アレよね?お腹を押すと、あらかじめ魔導具で記録させていた規定の音声が鳴る……」
ミフユがやれやれと言わんばかりに言うと、チエルが目をくわっとさせながらミフユに言い放った。
「馬鹿おっしゃい!常に先行く時代の寵児チエルさんが、都民にさんざんコスり倒された過去の遺物をパクるとお思いか?こちとら流行の発生源とめっきり噂のちえるんですよ!?」
熱く語るチエルを目の当たりにしたアキノはクスクスと笑いながらチエルに言い放った。
「ふふっ、活きが良くていいじゃありませんの、私たちが求めるのは驚きに満ちた若い発想……続けて、チエルさん。期待してますわよ」
「応えましょう、その期待。なんとこの『おしゃべりチエルちゃん』、おしゃべりすることができるのです!どやっ!」
さっきと同じ事言ってんじゃん!!
ユカリ達も俺と同じ事を思ったのか、ユカリが言い放った。
「寸分たがわずループしたわっ!?」
「あのドヤ顔を二度も見せられるとは、一生の不覚にゃ」
2人が呆れていると、チエルは慌てて訂正を申し出た。
「待って待って、違うの、ここからが衝撃の新展開!この子は従来の一方通行なおしゃべり機能と違ってなんと、リアルタイムで双方向対話が可能なのです!」
対話というワードを聞いた途端、ミフユが食いついた。
「対話って、まさか……その人形、意思があるとでも言うの?」
「えーっと、なんだっけ……アシスタントさん!メモ!」
「イエスボス」
俺はあらかじめユニから渡されていたメモをチエルに渡した。チエルは慌ててメモを読み始める。
「えーなになに?ゆにっとした開発部長が言うには……これを意思と呼ぶには拡大解釈が過ぎる。端的に換言すれば膨大な会話パターンから状況に即したなんやかんや?……とにかく!この子はデキる子なんです!」
ボス、説明がフワッとしてます。
「まずは実演してご覧にいれましょう。さぁリュウジ先輩、その顔に似合わず無駄にいい声をこの子にお一つ」
「イエスボス。あーあー、初めまして」
俺がおしゃべりチエルちゃんに話しかけると、チエルちゃんは喋りだした。
《おはつー、ちぇるーん♪》
おしゃべりチエルちゃんが反応すると、アキノ達は驚いていた。
「ほっ本当に反応しましたわっ!?」
「ええ、確かに、触ってもいないのに喋ったわ……」
「ほんとかにゃー?おーい、あたしの声にも反応するにゃ?」
《にゃるーん♪》
タマキが声をかけると、タマキの声にも反応した。思わずタマキは驚いていた。
「ほっ、本物にゃ!アドリブも利くにゃ!こいつはデキる奴にゃ!」
チエルは反応を見て手応えがあったらしく、チエルは畳み掛け始めた。
「そうなんです!ね?凄くないですか!?めちゃくちゃ引きのある斬新な商品ですよね!?しかもこれ、開発部長が言うには、お話しすればするほど会話パターンを集積して『擬似的に賢く』なってゆくのです!」
「素晴らしいですわ!こんな商品、今まで見たことありませんわ!」
アキノが大絶賛すると、アキノの声におしゃべりチエルちゃんが反応する。
《お褒めにあずかり光栄ですわちぇる♪》
「ですわ?ちぇる?…………」
ミフユは何か引っかかったのか、チエルに声をかけた。
「ごめんなさい、ちょっと私も試してみていいかしら?」
「どーぞ、どーぞ、ご自由に」
ミフユは何を試したい事があるのだろうか、おしゃべりチエルちゃんに声をかけた。
「おしゃべりチエルちゃん、おはよう」
《おはちぇるーん♪》
「こんにちは」
《こんにちぇるーん♪》
「………おやすみ」
《今夜は寝かせないちぇる♪》
「今日はいい天気ね」
《れちぇるぴぽぱぽぴ♪》
「…………………」
「あー、言い忘れてましたけど、最新の愛嬌システムにより、一定確率でお茶目なジョークが飛び出しますので念の為」
チエルが補足事項を説明すると、ミフユは何かを掴んだのか、チエルに言い放った。
「それ以前の問題よ、この子、言語中枢に深刻な不具合が出ているわ」
「いいえ、仕様です。ちぇる語は世界中に広がってゆく由緒正しい言語なんです!ですよね!?先輩!?」
「イエスボス」
「広がってないのに由緒も何もないわよ!?なんなの、この舌がちぎれそうな会話は!?初期不良じゃない!返品よ返品!」
ちぇる語を受け入れられないミフユは不服だったのか、おしゃべりチエルちゃんに文句を言い始めた。すると、ユカリがなだめ始める。
「まぁまぁ、ミフユさん。機能自体は真新しいものだし、言葉の設定さえ見直して貰えれば───」
「あ、それは無理です」
「なぜ!?」
「だって、ちぇる語はこの子の個性ですよ?それを認めないなんてひどくないですか?そんなの差別とおんなじじゃないですか!ね、先輩!?」
「イエスボス。差別、断固反対」
「お願いします!どうかこの子の個性を認めてやって下さい!ちぇる語を許せる広い心を育んで下さい!!」
チエルは熱意を込めたお辞儀をバッタバッタと繰り返す。タマキは少し熱意に圧倒されていた。
「な、なんて熱意にゃ……!言ってる事は無茶苦茶なのに、何故かこっちのモラルが問われてる気がしてくるにゃ……!」
「とにかくお願いします!この子が売れればちぇるーんが、ちぇるーんが世界の統一言語に……ほらっ!先輩も頭下げて!」
「後生でござる!」
俺は土下座をして頭をガンガン打ち付けながら「後生でござる」と連呼し続けた。
俺は一体何やってるんだろう……
「ほらメリクリちゃんたち!鋼のなんとかさんが頭まで下げてるんですよ!?」
「万策尽きていよいよ情に訴えかけて来たにゃ!?」
「え、ええと……それじゃあチエルさんのプレゼンは以上ってことでいいかしら?いいわよね?」
「わかりました。それでは惜しまれつつも、ちぇる仕舞いです」
「それではアキノさん。企業プラン『おしゃべりチエルちゃん』について、判定をどうぞ!」
ユカリの掛け声により、アキノは口を開いた。
「ノーエリスフィニッシュですわ!」
「そんなぁぁぁぁーーー!」
《ぢぇるーーーーーーん!》
チエルのおしゃべりチエルちゃんは却下された。
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それからというものの、俺は……クロエのショップ定員のアシスタント、ユニちゃんのロゼッタを搭載した魔導具『ぷかぷかユニコプター』などなどのプレゼンをするが、ことごとくノーエリスフィニッシュで終わった。そして、3人は……俺の前に並んでしょぼくれていた。
「まぁ……頑張った方じゃないかな?将来に活かせるといいね」
「先輩、なんか雑じゃないですか?もしかして、さっきの怒ってます?」
「え、ちょ、まさか、プレゼンでショートコントしたの怒ってんの?」
「なんだね、フクヤマ氏。発明には爆発はつきものだろう?」
最後、フクヤマリュウジさん。どーぞ!
あ、呼ばれた
ユカリの号令により、俺は小道具を抱えながらドアを開けようとした。すると、3人は手伝いたいのか、ソワソワし始めた。
「先輩、手伝って貰ったんですからチエル手伝いますよ?」
「お構いなく」
「ちょ、しんどいンでしょ?貸しな?手伝ってあげるから」
「お構いなく」
「フクヤマ氏、何をプレゼン──」
「お構いなく」
「まだ、ぼくは何も言ってないじゃないか!あっ!こら、待ちたまえ!」
俺は3人を無視し、メリクリウス財団一行の前に立った。
「フクヤマリュウジです。よろしくお願いします」
「さっきと打って変わって真面目にやり始めたにゃ!?」
「イマイチ掴みどころが分からないわね、この人」
「それで、リュウジくんの企業プランを教えて貰っていいかしら?」
ユカリの言う通りに、俺は自分で考えた企画書を取り出し、色とりどりの薬草のサンプルを取り出した。アキノはクロエ達の時のようにニコニコしておらず、一商人としての顔をしていた。
「俺が企画……というより、本気でメリクリウス財団とビジネスの話をしたい」
「ビジネス?企画ではないですの?」
「ああ、薬草は置いといて、まずこの企画書に目を通して欲しい」
「なんにゃ?とりあえずその書類を見せるにゃ」
俺はメリクリウス財団一行の前に、薬草の企画書とは別の企画書も提出した。アキノは目をまん丸くさせて企画書を読み上げた。
「【なかよしX計画】?なんですの?これは?」
「安全、的確、効率的に人間が無傷で魔王軍、魔王を倒すための『平和維持計画』だ」
『効率』という言葉を聞いたミフユは興味津々に食い付いてきた。
「効率的というのが気になるわね、具体的に説明してくれるかしら?」
「ああ、俺は別に金儲けをするつもりでこの話をする訳じゃない。なんせ俺の幸運値は『マイナス測定不能』だからな。この計画は上手く行けば世界に平和をもたらす可能性がある」
「マイナス測定不能の幸運値なのに良くこの講義受ける気になったにゃ」
「タマキさん黙って!アキノさんが珍しく真面目に聞いてるわ!?」
急に大人しくなったアキノは俺に尋ねて来た。
「ビジネスではないというなら、私達にどうしろと言うのですの?」
「簡単な話しさ、この『なかよしX』を作る金を融資して欲しい」
「ちなみにフクヤマさん、なかよしXというのはなんですの?」
「見た目はまだ考えてないが、特殊な素材を使った『魔導ゴーレム』を開発するつもりだ。無論、肝の魔導ゴーレムの素材や材料は俺が用意する、だからメリクリウス財団にはゴーレムを造れる人員と開発費用を負担して欲しい」
「つまり、魔導ゴーレムを作って……そのゴーレムで魔王や魔王軍を倒すと……?そうおっしゃってるのですね?」
アキノの問に、俺は黙って頷いた。すると、アキノは目を瞑って考え、答えを出した。
「この件は、一旦持ち帰らせて頂きますわ。後日、メリクリウス財団の拠点に来て頂いて返答致しますわ」
「ああ、分かった」
「あっ、ならリュウジくんに私達の拠点の住所のメモを渡しておくわね」
ユカリは住所を記したメモ用紙をビリッと破き、俺に手渡した。
「では、この件はこれで終了致します。タマキさん、ユカリさん、ミフユさん?この件はくれぐれも他言無用でお願いいたしますわよ?」
「分かったわ」
「分かったにゃ」
「了解よ」
1件目の企画が終了したと同時に次の企画発表に移行した。アキノはスイッチを切り替えるように、ニコニコとした顔をしだした。
「さぁ!こちらの薬草はなんですの?さっきから気になってましたの」
「これは企画というより、メリクリウス財団と貿易を結びたい」
「薬草で貿易にゃ?今の時代は液体のポーションにゃ。時代が古臭いにゃ」
「そうね、薬草は戦闘中に使うと大きな隙が出来てしまうから効率的に向いてないわ?」
「別に戦闘用のアイテムとして取り引きするつもりねぇよ。確かに今の時代は液体で手早く飲めるポーションが有効だ。だけど、ポーションは少量で高価、故に低所得者の一般人には買えない」
そう、ポーションもタダじゃない。裕福では無い人には買えない代物だ
裕福では無い人達には手に入りにくい事を伝えると、ユカリやアキノがはっとした顔をした。
「迂闊でしたわ……私とした事が、そちらの方は見落としてましたわ」
「ええ、確かにポーションは効き目も良いし手軽。けど、高価……」
「だろ?そこで、俺の仲間がアクセルの街で育てたこの4色の薬草だ。貧しい人達にも薬を分け与えるのが最優先、利益は二の次三の次に考えてこの薬草を取り引きしたい。どうだろうか?」
メリクリウス財団一行は思わぬビジネスの話になり、ザワザワし始めた。
スライム倒して300年、アニメもWeb版も面白いですねぇ……こりゃ丁度いいや( ̄▽ ̄)ニヤリッ
いまさっき気付きましたけど、このすば、アニメ制作決定おめでとうございます!!