それからというものの、俺はなんなく学院生活を送りながら休みを利用しながらクエストをこなして小銭を稼いでいた。そして、ある日の晩、王都の冒険者ギルドで晩飯を食べていた。
「ふぅ……なんとかブラッドファングの毛皮を手に入れれたな、次はゴリマッスルの討伐をすれば新型の鎧───」
「あの……。あなたが、鋼のリュウジ。フクヤマリュウジ様ですか?」
俺は声を掛けれて振り返るとそこに居たのは大人の雰囲気を醸し出す、俺と同じ特徴ある、泣きぼくろの綺麗な女性がいた。黒い髪を肩口で切り揃え、随分と色気のある黒い瞳で俺に流し目を送ってくる。ゆったりとした白い神官服の様なローブを纏い、腰にはメイスを下げていた。その女性は、優雅に俺に一礼すると、俺は尋ねた。
「どちらさんですか?初めましてですよね?」
「はい。わたくしは『セレナ』と申します」
「はぁ、それで?俺になんの御用でしょうかね?」
俺がセレナと名乗った女性に首を傾げて尋ねた。
「はい。では突然ですが、噂に名高くアクセルの街の冒険者集団の頭目でもある貴方様のAdventuresに入れて頂く訳には参りませんでしょうか?」
はい?
俺はセレナの言葉を聞いた瞬間、答えた。
「すいません、急に言われても困りますね。俺もAdventuresの仲間たちは今は事情があってアクセルの街に帰って無くてないんですよ。なのでしばらくはメンバー募集はしていないんです。すいませんねぇ」
俺はやんわり断ろうとしたその時。
「フクヤマリュウジ様。どうか、このわたくしを貴方様の従者の一人として傍に置いて頂く訳には参りませんか?、わたくしは、貴方様の足を引っ張るような事も致しません」
話聞いてた!?
俺はセレナを見つめていると、かつてのマインを思い出した。俺は本能的に彼女を避けた。
「とりあえず、今はそんな暇じゃないんで……すんません」
俺はペコペコと頭を下げて残りの料理を食べてそそくさと帰って行った。セレナはただ黙って見つめていただけだった。
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翌朝になり、学校の支度をして登校していると、クロエとチエルに声を掛けられた。
「リュウジ先輩、おはちぇるーん♪」
「はよー」
「おっおう、おはよーさん」
昨日の女の事を話すべきか?俺の経験則で言う所、アイツは猫を被っているやべーやつなんだけどな……。
少し悩んでいると、チエルとクロエが不思議そうに声を掛けてきた。
「先輩?どーしたんですか?」
「なに?クエストでもしててなんかやらかした?」
「いや、そうじゃないんだけど。昨日、変な人に会ったんだよ」
「変な人?先輩、自分を棚に上げて他人を変な人って呼ぶのは良くないですよ?大丈夫ですか?」
「チエル……しっ」
腹立つ!!。
「なぁ、2人とも、念の為に俺みたいな泣きぼくろがあって白い神官服を来ているプリーストっぽい女の人に声を掛けられたら気を付けてくれ」
「気を付けろって言ったって……具体的にどう気を付けろってのよ」
「ですよねー、プリーストっぽいって情報フワッとしてますよ?」
うーん、確かに、警戒しろって言っても具体的に説明出来ねぇな……まぁ、関わらなければ問題ないんだけどな。
「まぁ、そんなにすぐに出てくるとも考えられないけどね?」
「なら今度会った時に考えれば良くない?知ンないけど」
「ですよねー、なんかフラグっぽいですけど」
学院にたどり着いた俺らは各教室に向かい、授業の準備をしていると、マザー・ヒルダが入って来た。
「ごきげんよう、みなさん。えー、実はみなさんに新しい『新任教師』をご紹介致します」
マザー・ヒルダの言葉を聞いた生徒達はザワザワし始めた。
新任教師?こんな時期に?
俺は首を傾げていると、マザー・ヒルダはその新任教師に声を掛けた。
「では、”セレナ先生”。お入りください」
セレナ!?
俺はガタッと教室の入り口を見ていると、昨晩話し掛けて来たセレナがいた。
「みなさま、お初にお目に掛かります。わたくし、この度新任教師として務めることになりました、セレナと申します。新米なので授業をする際には、お手やわからにお願い致します」
「えー、セレナ先生はプリーストに通じておりまして、様々な支援魔法に詳しく────」
マザー・ヒルダが長々と他の生徒達に説明している中、セレナの視線は俺に向いていた。セレナの行動力を見た俺は本能的に確信した。
コイツ……魔王軍の手先だ。
セレナの紹介が終わり、教室を出て行き普段通りの授業が始まった。俺は授業をそっちのけで奴をどう学院から追い出そうか考え始めた。
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昼休みになり、俺は弁当を作るのをサボった為、売店に向かっていると……女子生徒が騒いでいた。
「では、午後から体育の授業を受ける方はこちらに並んでくださいね。効果が長時間持続する支援魔法を、掛けさせて頂きますので」
「セレナ先生、お願いしまーす!」
「あっわたくしもお願い致しますわ!」
廊下の一角に売店並に列を作っている生徒達の姿が見て取れた。その先頭には、一人一人に支援魔法を掛けていくセレナがいた。
確か1年生が午後の授業で体育の授業を受けるとか言ってたな……。
「あら、リュウジ様ではありませんか。ついでにどうですか?、支援魔法のサービスを受けませんか?、支援魔法は宗派が違えば重複しますよ?」
俺の姿に気付いたセレナはニコリと笑って声を掛けてきた。
支援魔法に宗派があるのか?って事は……『パワード』や『スピードゲイン』などを教えてくれたのはアクアはアクシズ教。『ヒール』を教えてくれたのはコッコロはエリス教ってなるのか。
だが俺は午後からの授業は歴史と地理……全く必要ない。
「せっかくですけど、いいです。支援魔法はもう習得してますし」
そう言って俺は売店に並ぼうとすると、セレナはしつこく俺に声を掛けてきた。俺は他の生徒達に聞こえないようにセレナに囁いた。
「そう仰らずに、わたくしの支援魔法は強力───」
「気安く俺に触んじゃねぇよ……ぶち殺すぞ、魔王軍。突拍子もなく俺に近付いて来やがって、てめぇ、なんの目的でここに来たんだ?」
俺は手を払ってセレナの支援魔法を拒否した。セレナは落ち着いた様子で俺に言い放つ。
「そんなにお疑いになるなんて……。リュウジ様、貴方は数多くの強敵を打ち倒した偉大な冒険者ではありませんか。貴方様は、魔王に対抗するべく神に選ばれた、勇者なのではないかと……」
「俺はそんなんじゃねぇよ。今の俺はただの試験的に呼ばれた男子学生だから。んじゃ」
そう言い放って売店で大人気商品のフルーツサンドを買おうとすると、セレナは諦めずに再び声を掛けようとしたその時。
「リュウジ様、そう熱くにならずに──」
「ちぇるーん☆、リュウジ先輩〜!ランチ一緒にしませんかー?」
「おー、チエル。いいよ?なんか食うか?」
「良いんですかー!?ならフルーツ牛乳くださーい!」
先程とは打って変わった俺の表情を見たセレナは唖然としながら売店で買い物をする俺とチエルを目で追っていた。チエルは背中の視線に気付いていたのか、セレナをチラッと見て、俺に囁いた。
「先輩?、もしかして……」
「あんまり見るな、目を付けられるぞ」
「えっ?なんですなんです?」
「まだ証拠はないけど……多分アイツは魔王軍の手先だ」
「えっ?またまたぁ〜……マジすか?」
「まぁ、話はクロエとユニと一緒になったら話すよ」
その後、空き教室に入ってクロエ、ユニと合流してセレナの話をした。
「────って事だ。だからあいつには極力気を付けてくれ」
「ふむ……だが、決定的な証拠がないのだろう?気のせいではないのか?フクヤマ氏?」
「なんの根拠でセレナせんせーが魔王軍だと思ったわけ?」
「なんつーか、見た目?あやしい泣きぼくろ?」
「先輩も泣きぼくろありますよ?偏見もいい所じゃないですか?」
あーくそっ!埒があかん!
俺はイライラしながら3人をアイツから遠ざける為に念入りに忠告した。
「とにかくっ!アイツの支援魔法は絶対受けるなっ!アイツが魔王軍だっていう証拠は必ず俺が探し出す!」
ジリリリリリリリリリ!
3人に忠告をした直後、突然校内に非常事態の鐘が鳴り始めた。俺達は驚き辺りを見渡した。
「ひゃあっ!?」
「なっなんです!?」
「非常事態の鐘だな。諸君、ここは避難訓練同様、校内放送を聞こう」
「なぁ、今めちゃくちゃ可愛らしい声が聞こえたんだけど気のせいか?」
「さっさぁ?気のせいじゃない?」
冷や汗を流しながら誤魔化しているクロエを横目で流していると、放送が流れ始めた。
《緊急放送!、緊急放送!……ただいま、校庭内にアンデッドが侵入しました!生徒達は避難の為に、至急体育館に避難してください!繰り返します……!!》
アンデッド!?今昼だぞ!?
俺達は空き教室の窓から校内を見た瞬間、思わず声を出してしまった。
「なんだ!?あの数は!?」
校内で校庭には、100や200ではきかない大量のアンデッドでひしめいていた。クロエやチエル達も、とてつもない量に顔を引き攣らせていた。
「なっなんですか!?あのアンデッドは!?」
「コレはヤバいっしょ、倒しに行っとく?」
だが、ユニは納得いかない様な顔をしながら首を傾げていた。
「だが、おかしい。未だかつてこの聖テレサ女学院にモンスターが襲撃して来たという記録は無いぞ?」
「えっ?そうなんですか?」
「あー、言われてみればオオドクマンドラゴラ以外ないかも……ってかアレはアオイとゆんゆんが連れて来たのか……」
「それなのに、真昼間にアンデッドが来たって訳か……しゃーない……」
俺はポケットに手を突っ込んでメタルフィストを装着し、ブレザーを脱いで窓を開け、足を掛けながら後ろを振り向いた。
「俺が時間を稼ぐから、みんなは他の生徒たちの避難を頼む!」
「えっ!?あっ、先輩!?ここ3階ですよ!?」
「ちょ、1人でどーすン──」
「待ちたまえ、フクヤマ氏!!」
俺は3人の生死を聞かずにそのまま飛び降りて、ワラワラと群がるアンデッドに向かって行った。現在の天気は曇っているとはいえ、元魔王の下僕だったアンデッドなど、恐れるに足らない……足らないのだが……。
「くっせ、やっべ、ひっでコレ」
なんだコレ、物凄く臭い。
その数が多いだけに、ゾンビの放つ異臭がすんごぃ事になっていた。俺はハンカチで鼻を守りながらゾンビ軍団に退魔魔法を放った。
「初披露、『ターン・アンデッド』!!」
俺の退魔魔法で校庭が白い光に包まれた。光に触れたアンデッド達は……。
「あっあれ?」
俺は思わず首を傾げてしまった。アンデッド達は崩れ落ちることなく、ピンピンしていた。そして、今の魔法を攻撃と受け取ったのだろう。俺に向かって一斉に襲って来た。
「退魔魔法が効かねぇ!?あーくそっ『パワード』!『スピードゲイン』!!オラァァッ!!」
俺は急遽、物理攻撃に変更してアンデッド達を殴り蹴り始めると、ユニたちと避難していた女子生徒達も泣き叫び、悲鳴をあげ始めた。
「フクヤマさんが1人で戦っていますわ!」
「やはりあの人でも無理なのですわ!」
「もう終わりですわ〜!」
「おしまいですわ〜!」
俺は雷魔法を加え、向かって来るアンデッドを殴っていると……。
「『ターン・アンデッド』!!」
それはよく通るセレナの声。それと同時に、彼女を中心に衝撃波のような風がふきぬける。するとアンデッド達が、まるで糸の切れた操り人形のように次々と地に崩れ落ちた。
なんだ!?あいつの退魔魔法で次々と……!?
多くの女子生徒達が見守る中。校庭にいた大量のアンデッドは、たった一度のセレナの魔法で、全て動かぬ死体になった。
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大事件になるはずの事態が、サクッと終わってしまった。校内では、生徒達の安全を最優先させ、午後からは臨時休校となった。
なので午後からは、全校生徒はお休みだ。
そして、急遽、臨時休校となった生徒達は……。
「セレナ先生凄かったです!わたくし、感動しましたわ!」
「わたくしも!、セレナ先生を見習ってプリーストを目指しますわ!」
「まぁまぁ、セレナ先生っ!ご苦労さまでした!」
昇降口に集まった女子生徒や教師はセレナを囲んでいた。
どうして俺の浄化魔法が効かず、どうしてセレナの浄化魔法だけが効いたのか……そこらはまだ謎だ……。
メタルフィストに付着した返り血を拭っていると、ユニ、クロエ、チエルが慌ててやって来た。
「リュウジ!無事!?」
「先輩!怪我してません!?大丈夫ですか!?」
いつになくクロエとチエルは感情を剥き出しにして俺に掴みかかる。そして、ユニだけが下駄箱に寄り添いながら立ったまま、何やら考え込む様に口元に手を当てていた。
「───しかし、本当に宜しいのですかセレナ先生?今回は貴方1人の活躍です。それなのに校長からの臨時ボーナスを断るなんて……」
マザー・ヒルダがセレナにそんな事を言っている。
「わたくしは教師でもあり、聖職者です。寝る場所と飢えないだけのお給金があれば、それで十分ですから」
そう言って笑顔を見せるセレナを見て、生徒達がため息を吐く。
数日後……。
セレナがこの学院に来てしばらくの日にちが経った。
「セレナ先生、調理実習で指を怪我してしまいましたの。治して下さいませんか?」
「ええ、もちろん構いませんとも。傷を見せて下さい」
「セレナ先生、次、わたくしをお願いします!」
「セレナ先生は女神ですわ〜!」
聖テレサ女学院の校内の空き教室。暗黙の了解でセレナ用に決められた教室には、怪我を負った生徒達が集まっていた。俺、クロエ、チエルは廊下でそれを眺めていた。
「気に入らねぇ……」
「どーしたんです?リュウジ先輩。めちゃくちゃいい先生に見えますよ?やっぱり魔王軍だっていうのは間違いじゃないですか〜?」
「分かりみ、今日までいくら調べてもあのせんせーボロなんか出してないじゃん」
「そう言えばユニ先輩はどーしたんです〜?またお寝坊さんですか?」
「いや、なんか作りたい物と調べる事があるって言ってた」
ユニは俺に、君用のロゼッタの作成とちょっと調べたい事があると言い残し、朝から旧図書館棟に引きこもっている。それは今日だけではなく、セレナがこの学院に来てから毎日だ。そして俺はといえば、奴の尻尾を掴む為にクロエとチエルを捕まえて、こうして毎日監視をしているのだが……。
ボロが全っ……然でない。
そうこうしているうちに、休み時間終了の鐘が鳴り出した。
「あっ、授業始まっちゃいますね。先輩、チエル先に行きますね!」
「んじゃ……うちも行くから」
「ああ、分かった」
俺はふと、空き教室を見ると、女子生徒達を見送りながら手を振っているセレナが俺の事を見つめていた。俺は警戒を解くことなく、自分の教室に戻って行った。
────────────────────────
放課後、俺がクロエ達と別れて路地に入って帰っていると……突然声を掛けられた。
「リュウジ様」
「……ああ、あんたか」
振り向いて見ると、細い路地の影からセレナが姿を現した。咄嗟に俺はポケットに手を突っ込みながらセレナに尋ねた。
「俺になんか用か?」
「そんなに警戒なさらずに。少しお時間よろしいでしょうか?ここなら人気がないので」
「ならさっさと、話せよ。俺は忙しいんだ」
「分かりました。では早速……」
「セレスディナさん?セレスディナさんじゃないですか!?」
話を切り出そうとしたセレナに、突然声を掛けられた。
この声は!?
「あっ!リュウジさん!お久しぶりです♪、どうしたんですか、王都のこんな路地で?リュウジさんってば、私といいベルディアさんといいバニルさんといいハンスさんといいセレスディナさんといい、魔王軍の幹部に随分とご縁がありますね!もうセレスディナさんと仲良くなったんですか?」
俺の恩師、ウィズだった。
「……人違いではありませんか?わたくしはセレナという名のプリーストです。どなたかと間違われて」
「セレスディナさん、せっかく王都に来たんですからどこかのお店に入ります?もちろんリュウジさんもご一緒に。ご馳走しますよ?」
人違いで誤魔化そうとするセレナの言葉をハンスの時みたいに自然と遮るウィズ。セレナは目を細めて笑みを浮かべ、俺に向けて言ってきた。
「リュウジ様、この方とお知り合いで?リュウジ様から言ってくださいませんか?人違いだと言う事を」
あー、コイツがダークプリーストのセレスディナか。
「セレスディナさん、どうしてこっち見てくれないんです?それに、どうしちゃったんですかその上品な口調は?ねぇ、私を忘れちゃったわけではありませんよね?私ですよ、魔王さんのお城に住まわせてもらっていたウィズです、あなたと同僚のウィズですよ、セレスディナさん!」
やめて!それ以上追い込むのはやめて!俺、もう笑いそうなんだよ!
必死にプルプルと体を震えさせながら笑いを堪えていると、しぶとくにこやかな笑みを浮かべているセレスディナの肩を、ゆっさゆっさと揺さぶり始めた。それに、とうとう我慢が出来なくなったのか、セレスディナがその手を引き剥がす。
「ちょっ……やめてくれます?わたくしはセレナです、そのセレスなんとかという人とは別人ですから、いい加減にして下さいませんか?」
まだ粘るかコイツ。
そのセレスディナの言葉に、ウィズが「えぇ!?」っと声を上げた。
「何言ってるんですか?どこからどう見てもセレスディナさんじゃないですか!ダークプリーストのセレスディナさんでしょう?策略を考えるのかが得意で、魔王軍唯一の人間である事を活かして、よく街に潜入を」
はい、証拠ゲット。
するとセレスディナはウィズに手をかざした。
「あなた、髪の毛先に枝毛がありますね!ちょっと癒してあげましょうか!『ヒール』!『ヒール』!」
「痛いっ!痛いっ!な、何するんですかセレスディナさん!なんなんですかもうっ!いいですよ、もう知りません!せっかく王都まで来て面白い魔道具を仕入れて来たから見せてあげようかと思ったのに……!!リュウジさん、早くアクセルの街に帰って来て下さいね?」
ウィズは俺に挨拶をすると、プンスカ怒りながら大通りに向かって行った。それを見送っていたセレスディナは気を取り直したかのように両手を組み。
「………変わった方でしたね、ヒールを掛けたら煙が出ました」
「リッチーだしな?プリーストなら直ぐに気付くだろ、セレスディナ」
これでもかと言うくらい誤魔化そうとするセレスディナに、俺はクスクス笑いながら言い放つ。それでも全く笑顔を絶やさないこのビッチは以前の世界にいたマインの様なやべーやつだ。やがて、セレスディナは俯き黙り混むと、やがて意を決した様に顔を上げた。
「違うんです!」
「なにがどう違うんだよセレスディナさん」
このビッチ、まだ諦めていないようだ。