真夜中……俺は悪夢にうなされていた。今回も汗だくになりながら夢を見ていた。
何が勇者だ!何がメルロマルクだ!全部ぶっ壊してやる!
やめろ!やめてくれぇぇぇ!!
おのれ勇者ぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「うわぁ! はっ……はっ……はっ……」
「きゃ!……リュウジ?どうしたの……?」
「ごめん……起こしちまったか……」
「どうしたのさ、リュウジは一体何にうなされてるの?」
「魔王の頃の夢を最近見るようになってさ、眠れないんだよ」
「魔王……龍二が生まれた頃?」
「………………」
俺は黙って頷き、椅子に座って俯いていた。
これはどうすれば止めれるのだろうか……何も対策が浮かばない。
「くそ……どうすりゃ良いんだよ……」
「リュウジ……ごめんね……あたしが人間に戻しちゃったから…」
「お前のせいじゃねぇよ、もとあと言えば魔王になった俺自身が悪いんだから……」
「けどっ……」
クリスの頭をポンッと手を置いてわしゃわしゃした。
「気にすんな、お前は関係ない」
「うわぁ!頭くしゃくしゃにしないでよ!」
「はぁ……魔王になんか……ならなきゃ良かった……」
「やっぱり……後悔してるの……?」
「お前…俺の資料読んだんだろ…?なんで分かってくれねぇんだよ…」
俺は自分の頭をくしゃくしゃにして泣き崩れ、それをベッドから見ていたクリスは意を決してマリューに尋ねる。
「あの、マリューさん聞こえてますか?……もしかしたら……天界の情報が間違ってる可能性があります、教えてください…リュウジの事を……」
《分かりました……リュウジ様……宜しいですね?これもリュウジ様を助ける為です……お許しください》
「…………好きにしろ……」
マリューは俺の中から現れ、クリスに俺の過去を話し出した。
《私も聞いた話なのですが、初めて異世界に転生したリュウジ様は……元々は勇者として異世界にやって来ました、ですが前の世界ではこの世界で言う所の”チート”というのはありましたが、あまり受け入れて貰えず苦労なさったそうです、ロキから授かったチートで太刀の勇者になり、世界を壊さないように後に鞭の勇者に生まれ変わり物語を転がす為に異世界の勇者達を送りリュウジ様の思考をずらしたり、ロキはリュウジ様をおもちゃ同然にして遊んでいたのです……そして、500年の月日が経ち、エリス様とお会いした……あの時リュウジ様は演技と仰いましたが恐らく3割は本気で貴方様を警戒していたと思います》
「やっぱり…創造神様の情報通りでしたね……」
《クリス様に分かりますか?味方と思っていた神に人生を踏みにじられ、ようやく手に入れた勇者の称号も剥奪され、目の前で仲間を殺され、不死身の呪いにかかり自殺する事も出来ず、殺したくもない民間人に手をかけ、自らを夢を捨てて呪いを解くために悪役になり、魔王の座に着いたのです!リュウジ様の呪いは複雑でしたので勇者と共に戦う事が出来ませんでした、そして……リュウジ様にもかつては好きな人が居ました……が、魔王になってしまい遂にはその愛を誓った人にも刃を向けたのですよ?クリス様にその様な事が出来ますか!?》
マリューに言われたクリスは少しずつ顔を俯かせて行いった。俺は怒りで興奮しているマリューを止めた。
「マリュー、言い過ぎだ、クリスに謝れ」
《ですが!!リュウジ様!!》
「良いからクリスに謝れ!クリスはこの世界の女神なんだぞ?他所から来た俺らの事情なんか分かる訳ねぇだろ!」
《はい……申し訳御座いませんでした…ついカッとして……》
「いえ…もう少し理解してあげれたかと…」
「何度も言わせるな、クリスが悪い訳じゃない」
「ここに来てもう一度やり直せると思ったんだけどな、やっぱり思い通りにならないもんだな……」
重苦しい沈黙が続くと……クリスが口を開いた。
「リュウジ、一つだけ……方法があるよ?魔王の称号を消す方法」
「え?……あるのか?」
「うん、この世界の魔王を倒すと、どんな願いも叶う報酬が貰えるの」
「そういえば、創造神もそんな事も言ってたな……」
「こう言っちゃ悪いんだけど……チャンスじゃない?」
「ん?チャンス?」
「魔王を倒せば魔王の称号を消せるし、勇者として認められると思うよ?魔王倒すんだから勇者でしょ?この世界には勇者候補って言われてる人達がいるけど、先に魔王を倒した人が英雄だとあたしは思うよ?」
「そうか……そういう考えもあるな……ヒーローか……」
「でしょ?……リュウジが魔王になれるくらいなら最強の冒険者にだってなれると思うけど?、ごめん、今のあたしにはこれくらいしか出来ないけど……」
そう言い放つとクリスは俺を抱き寄せる。俺はびっくりして声を上ずった声を出した。
「ちょっ!おまっ、何やってんだよ!」
「ちょっと!動かないでよ!仕方ないの、これも女神の務めだから!」
ベッドを横取りしてくるのも女神の務めなのだろうか?
「お前よく魔王をハグ出来るな……、嫌いな奴にもこういう事してんのか?」
「はぁ!?ハグはしないよ!?」
「ふーん……お前さ、童貞殺しって言われない?」
「えぇ!?言われた事ないんだけど!?何言い出すのさ!」
「もっもういいから……離れてくれ!」
「え?いいの?」
俺は顔を赤くさせながら慌てて離れた。
なんだろう……モヤモヤする……励ましてくれるのは嬉しいけど。
「前から気になってたけど、お前実はモテるだろ?」
「え?そうなのかな?」
「大半の男の子はこれでその気になってると思うぞ?」
「そっそれはないよ!変な言い方するのやめてよ!!」
「だってそうでしょう!?ホイホイ部屋に入り込んでベッド横取りしたりされたらどんな男でもほの字だわ!」
「言われてみれば……男の子の部屋に泊まったのリュウジが初めてかも?」
「はぁ!?あんだけ「大っ嫌い」って言っときながら来るかね!?」
「嫌いだけど……なんというか、話しやすい?的な感じかな?」
「はぁ…そうすか…こんなんでこの世界の魔王倒せんのかなぁ……」
「うーん……なんならパーティーでも集めたら?」
「それはカズマ達がいるだろ?」
「カズマにはアクア先輩いるし、ダクネスもいるからねぇ……これ以上負担かけたら多分あの人逃げ出すかも……」
(だよなぁ……こっちにはウィズがいるけど店とかあるからたまにしか手伝って貰えないし、クリスはクリスで天界に行くから頼み辛いし…マリューが実体化してくれれば……ん!?実体化!?)
俺は閃いたかのようにクリスに尋ねる
「なぁ、クリス、マリューを他の体に移す事は可能なのか?」
「え?出来るけど?」
「ドラゴンとかにもか?」
「うん、出来るよ?」
「なるほど……」
んじゃドラゴンの死体に入れても問題ないな、てかドラゴンの死体を探すのに時間がかかるな……ホントはコイツと組みたいんだけど……女神だし……他にやる事ある様だし甘えられないんだよなぁ……見た目と身体付きも好みなんだけど……。
舐め回すようにクリスの体を見つめると感じ取ったのかクリスは顔を赤らめ始めた、俺の頭を叩いた。
「何考えてんのさ!エッチ!」
「あいた!やっぱり俺の考えてる事分かるのか!?」
「読まなくてもなんとなく感じ取ったよ!変態!」
「俺は変態じゃねぇ!そこはかとない変態だ!」
《あの〜、盛り上がってるところ申し訳ないんですが、クリス様、お尋ねしたいのですが宜しいですか?》
「え?はい、なんですか?」
《私の魔力も消されてしまったのでしょうか?》
「いえ、消したのはリュウジの”邪悪な力”のみです、マリューさんの魔力は残ってるはずですよ?」
《なら私も体を手に入れれば戦えるって事ですよね?》
「そうなりますね、そんな都合のいい体なんてあるかなぁ?」
「まぁそのうち探すさ、パーティーなぁ………ああっ!」
俺は声を出して立ち上がった。
「なっなに!?急に!?」
「チームを作れば良いんだよ、カズマ達と俺は俺で!メンバー揃えてさ!」
「なるほど、お互いチームで協力し合えばサポートにもなるしね?」
「まぁそんな都合よく集まる訳ないけどな……」
「そうかなぁ?ねぇ?いつまであたしら協力関係続くの?まだあたしの事信頼できない?」
「…………まだ分かんない」
俺はその質問に黙ってしまい、答えを誤魔化してしまった。
「そっか、まぁ気長に待つよ!、そろそろ寝ない?明日起きれないよ?」
「女の子が隣にいて「はい寝ます」とはならねぇよ、ベッド使って良いからお前が寝ろ」
「カズマさんなら喜んで寝ると思うんだけどなぁ?」
「俺はカズマとは違うから!その辺は弁えるから!何?魔王だからって寝込み襲う奴だと思ってんの!?」
「え?違うの?」
「しねぇよ!さっさと寝ろ!」
そう言うと俺はテーブルに向かって月明かりを利用して紙に何か書き始めた。クリスはそれを眺めている内に俺の印象が少し変わり始めていた。
「ねぇ、リュウジ、あたしキミの事誤解してたかも……」
「あ?何を言い出すかと思えば……なんだよ急に?」
「女神を嫌う理由も試された理由も」
「まだ気にしてたのか?なら謝るよ、悪かったな」
「ねぇ……女神のあたし……嫌い?」
「………………女神は嫌いだな」
「そっか……」
「けど……盗賊は嫌いじゃないかもな」
「え?」
「もういいだろ?あんまり詮索されんのは嫌いなんだ」
「ごめん……おやすみ……」
「おう……」
俺が書いてた用紙には…… Adventurers計画と記されていた。
ーーーーーー翌朝ーーーーーー
小鳥の鳴き声で俺はテーブルで居眠りをしていたが、クリスは起き上がってリュウジを起こした。
「リュウジ、起きて!」
ガタッ!と飛び起きて俺は返事をした。
「はいっ!寝てないっす!すんません!」
「寝てたでしょ!?ちゃんと寝てたからね!?」
「はいっ、すんません!……ふがっ……あっクリス、おはよ」
「えぇ!?今起きたの!?今の会話は何だったの!?」
「もう行くのか?」
「お風呂入ったら行こうかなぁと思ってたよ?リュウジも入る?」
「お先にどーぞ」
「ありがとー、お先ー」
数分後
「おまたせー、入っていいよー?」
「あいよー」
俺が風呂に向かった瞬間アナウンスが鳴り響いた。
『緊急クエスト! 緊急クエスト! 街の中にいる冒険者の各員は、至急街の入り口に集まってください! 繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、街の入り口ギルドに集まってください!…冒険者の皆さんっ!!』
『宝島が出現しましたっ!!』
「宝島?」
「リュウジ行くよ!宝島だって!ラッキーじゃん!」
「はい!?宝島って何!?」
「後で説明してあげるから早く鎧着て!行くよ!?」
「え?ちょっと待ってよ!っはやっ!」
俺がちょっと目を離した隙にクリスはウキウキしながらドアからでは無く、窓から外に出ていった。
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街の入り口に行くとヘルメットやツルハシを持った冒険者達が我先に駆けていく。遠くにはウィズとアクアは必死に走っていた。カズマはルナさんからリュックとツルハシを借りている途中だった、突っ走て行ったクリスは俺にリュックを渡した。
「ほらリュウジ!キミのだよ!」
「クリス!?はぇよ!何が起こってんの!?今度は何!?宝島って何!?」
クリスは並走しながらリュックとヘルメットを渡して説明してくれた。
「えっとね、宝島ってのは玄武の俗称で街の外に玄武と呼ばれる巨大なモンスターが現れたの!玄武は、10年に1度甲羅を干す為に地上に出て来ると言われてるんだけど。これは、普段は地中で生息している玄武が、甲羅に繁殖したカビやキノコや様々な害虫を日干しにする為だと言われていて、定かではないんだけど。言えるのは、玄武は暗くなるまで甲羅を干す事。そして玄武は鉱脈の地下に住み、希少な鉱石類をエサにする為、その甲羅には希少な鉱石が地層の様にいっぱいくっ付いているって事!」
俺はヘルメットをその場の地面に置いてリュックを背負い、目的地に辿り着いた、そこには岩石を纏った巨大な亀がどっしりと気持ち良さそうにくつろいでいた。
え?なにこれ?島じゃないじゃん、カメじゃん、霊亀じゃん、前の世界で戦ったじゃん。
(魔竜……これ霊亀だよね?)
《確かに霊亀に似てますね……この大きさは霊亀ですね》
「これが玄武?」
「うん!そうだよ!さぁ!リュウジ!稼ぎ時だよ!」
「霊亀っていうモンスターじゃないのコイツ?」
「れいき?違うよ?似たようなヤツに会ったことあるの?」
「うん、むしろ戦った」
「ふーん、こっちでは悪いヤツじゃないから大丈夫だよ?、ほらほらー行くよ?」
「うぃっす……」
俺とクリスは張られたロープを登って行き、玄武の背中に辿り着いた。
【緊急クエスト 玄武の背中を宝を採掘しろ!】
AvengersとAdventurersを掛けてみました笑