※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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続・この素晴らしい世界に爆焔を!で使われたセイクリッド・ライトニングブレアを登場させますが、続・爆焔を!は未所持なのでネットの情報を元にしました。


114 白き轟く稲妻

翌朝。クリス達と朝食を食べていると郵便配達員がやって来た。

 

「フクヤマさーん。お手紙でーす」

「あっはーい。手紙だなんて誰だろう?」

 

俺は首を傾げながら受け取る取り確認すると、俺宛の手紙とペコリーヌ宛の手紙だった。そのまま手紙をペコリーヌに渡した。

 

「おや?お父様からのお手紙ですね」

「国王さまからですか?何かあったのでしょうか?」

「どうしたんだろうね、まさか……エルフの森にも魔王軍がっ!?」

 

クリスは顔を青ざめさせながらペコリーヌに言うと、ペコリーヌは少し慌てて手紙を開いた。

 

「えーっと……魔王軍は攻めてきて無いみたいですね。どうやらお父様が体調を崩してしまった様です」

「マジで?国王様には恩義がある。見舞いに行こうか?」

 

俺はペコリーヌにそう促すと、ペコリーヌはあははと言った。

 

「大丈夫ですよ。お父様は元々戦士ですからね、ちょっとやそっとでポックリ行きませんよ」

「そうだけど、心配じゃん!紅魔の里も心配だけど、向こうにはカズマくんがいるし、あたし達はエルフの森に行った方が良いと思うよ?」

「それもそうですね、なら我々はエルフの森に行きましょうか」

 

マリューにも言われたペコリーヌは困った顔をする。

 

そして……。

 

「大丈夫です!今からわたしが帰って様子を見てきますから」

「ならばわたくしもエルフの森に参ります」

 

ペコリーヌに続いてコッコロもエルフの森に帰ると言い出した。

 

「2人だけで大丈夫かっ!?魔王軍が攻めてきたら」

「ならば私が護衛として行きましょう」

「マリュー!?」

 

マリューはペコリーヌとコッコロの後ろに立ち、鼻息を荒らげる。

 

「マリュー、良いのか?」

「ええ、前から一度エルフの森に行ってリュウジ様の件でお礼に伺いたいと思ってたのでいい機会です」

 

狂戦士のマリューなら魔王軍が攻めてきても大丈夫そうだな。

 

俺は腕を組んで頷く。

 

「分かった、美食殿も暫く休ませよう……こればかりは仕方ないな」

「そうだね、手伝って上げたいけど、ペコリーヌほどの味出せる自信ないしねぇ」

「なら、エルフの森に行くのは、ペコリーヌ、コッコロ、マリューの3人で良いな?」

 

そう決めると、ペコリーヌはクリスを見つめる。

 

「クリスちゃんはどうしますか?一緒に行きましょうか?」

「うーん、そうだなぁ……あたしちょっと忙しくてさ……紅魔の里もエルフの森にも手伝って上げられなそうなんだよね」

 

クリスが困った顔をしながら頬をポリポリかく。

 

この流れだともしかして天界に行くのか?紅魔の里やエルフの森で死者が出たら大忙しになるかも知れないしな……。

 

そう考えていると、クリスが俺が手に持つ手紙を見て聞いてきた。

 

「それはそうと、リュウジの手紙は誰からなの?」

「俺?ちょっと待って。えーっと……」

 

俺は手紙の送り主の名前を確認すると……そこには、見覚えのある紋章が記されていた。

 

「王都のベルセルグ城だわ」

「アイリスちゃんちからですか?」

「えぇっ!?王城!?キミまた何をしでかしたの!?」

「ちょっと待て、魔王軍幹部とやり合ってたくらいしか心当たりねぇよ」

 

そうぶつぶつ呟きながら手紙を読んで見た。

 

「えーっとなになに……?フクヤマリュウジ殿。この度は、魔王軍幹部の魔の手から王都を命を懸けて守って頂き感謝致します。尽きましては、貴殿の功績を称え、表彰したいので王城にお越しください……マジ?」

 

ヤバイよ、名指しでアイリス王女からお呼び出しだよ。

 

俺の表情を見たクリスはあははと笑いながら頬をかく。

 

「今回は無視出来そうにないね。この際行ってきてみたら?」

「うん、今から王都に行ってくるよ」

「行ってらっしゃーい!」

「気を付けてね?」

「リュウジさま、王女さまに粗相の無いように」

「寄り道しないでさっさと帰って来て下さいね?」

「分かった分かった。んじゃ、ちょっと行ってくるね『テレポート』!」

 

俺は直ぐにベルセルグ城に向かった。

 

────────────────────────

 

別荘からまっすぐ城の門に辿り着くと、門番が立っていて俺は声をかけられた。

 

「待て、貴様。王城に何の用だ?」

「怪しいやつめ、即刻立ち去れ!」

「あ、すいません。この手紙を受け取ったのですが?」

「なんだと?見せてみろ」

 

槍を俺に向けながら手紙を受け取った門番は手紙の内容を確認した途端、態度を変え始めた。

 

「しっ、失礼しました!鋼のリュウジ殿でしたか!?」

「アクセルの街から御足労感謝致します。私がクレア様とレイン様にお取次ぎ致しますので、こちらへ!」

「あっはい……」

 

門番に連れられながら俺は一度クリスとカズマと共に忍び込んだ王城内に案内された。門番が玉座の間の衛兵に声をかけると中に入って行った。

 

どうやら確認を取ってるようだな。

 

すると、衛兵が門番に合図を送ると。

 

「アイリス王女がお会いする様です。では、私はこれで」

 

門番は頭を下げて自分の持ち場に戻って行った。俺はそのまま衛兵に連れられて奥に進むと、以前に金獅子の時に対峙したクレアとレインが立っていた。衛兵と共に俺は膝をついて頭を下げた。

 

「アイリス様。アクセルの街の冒険者、鋼のリュウジ殿をお連れしました」

「”お久しぶりです”。アイリス王女。以前は仲間達がご迷惑とお世話になりました」

 

硬っ苦しい挨拶をすると、アイリス王女は声をかけてきた。

 

「お久しぶり……ですか?私はフクヤマリュウジ様とお会いするのは初めての様な……以前どこかでお会いしましたでしょうか?」

 

アイリス王女は首を傾げながら俺に尋ねてくる。俺はハッとした様に口元を抑える。

 

ヤバッ!そういやアイリス王女に会った時俺「金獅子」だった!!

 

俺は咄嗟に付け加える。

 

「あ!あ、あいや、その。カズマが騒ぎを起こしたと聞いていたのでその時の会話にアイリス王女の話が出ましてね…あはは……」

「そうでしたか。どうですか?お兄様やミツルギ様はお元気にされてますか?」

「えぇまぁ、はい。元気にしてますよ?」

 

俺がアイリスの質問に答えていると、レインがアイリスに声を掛ける。

 

「アイリス様……そろそろ例の件を」

「あっ!すいません。話が逸れてしまいましたね。フクヤマリュウジ様。この度お呼び出ししたのは、聖テレサ女学院の件についてです」

 

やっぱりセレスディナの騒ぎか……。

 

「俺もそうだと思いました。奴はアイリス王女を狙うためにわざわざ遠回りしてまで聖テレサ女学院を狙ったようです」

 

俺がセレスディナの目論みを話すとレインが。

 

「なっ!?やはり噂は本当だったのですね!ですが、魔王軍幹部は未だに拘束されております。フクヤマ殿の言いつけ通り、言葉を交わさずにしています」

「それが妥当だと思いますよ。そのまま奴を出来るだけ大きな街から遠ざけた方がいいと思います」

「なるほど……一理ありますね。アロエリーナ署長に伝えておきます」

 

一通りの話が済むと、アイリス王女がクレアに耳打ちをした。耳打ちされたクレアは奥に引っ込むと、ギチギチに膨らんだ袋を持って来た。クレアが戻ってくると、アイリス王女は口を開いた。

 

「手紙の通り、我が王都を守って下さりありがとうございました。王族を代表してお礼を申し上げます。これはほんの少しの報酬なのですが、受け取って頂けますか?」

「フクヤマ殿、僅かながら3億エリスをご用意致しました。どうか、お納め下さい」

 

3億!?

 

俺は慌てて手を突っぱねた。

 

「いやいや、そんなっ!貰えませんよっ!」

「何故ですか?これは正式な報酬ですよ?それとも、3億エリスじゃ足りませんか?」

 

違う、そーじゃない!

 

アイリス王女が首を傾げながら尋ねてくると、俺は手を突っぱねながら答えた。

 

「俺は金が欲しくて戦ったんじゃありません!友達とその学校を守りたかっただけです!とにかく、金は要りません!」

「ですが、無償で表彰する訳には行きません、受け取って下さい!」

 

負けじとアイリス王女も引かずに言い返してくる。

 

埒が明かねぇな……あっ、そうだ!!

 

「アイリス王女、報酬金は要りませので代わりに”アイリス王女のスキル”を教えて下さいませんか?」

 

俺がそう言うと、レインがピクッと動いた。

 

「一般の冒険者に勇者の血を引くアイリス王女のスキルを習得するだと!?貴様、無礼も程々にしておけ!」

 

レインが腰にかけた剣に手を掛けるとアイリス王女は。

 

「レイン、構いません。彼はお兄様と同様、魔王軍と戦ってる冒険者です。強力なスキルを会得したいという欲求はあるでしょう」

「しかしっ!!」

「フクヤマ様。習得したいという事は、フクヤマ様の職種もお兄様と同じ『冒険者』という事でしょうか?」

 

アイリス王女の質問に俺はなんの迷いも無く答えた。

 

「はい。俺はサトウカズマと同じく冒険者です。冒険者を選んだ理由は……剣を握らず、己の拳のみで世界を救いたいと思ったからです」

 

胸を張って答えると、クレアとレインは俺のクラスが意外だったのか、ギョッとした顔をしていた。

 

「なんと……あえて茨の道を進むとは……」

「一般の冒険者には考えられない事だ……」

 

俺のまっすぐな目を見たアイリス王女は何かを感じ取ったのか、玉座から立ち上がった。

 

「分かりました。更なる強さを求める為なら私はお教え致します。レイン?私の装備を持って来て」

「はっ……はっ!」

「では、フクヤマ様。早速私のスキルをお教え致しますので鍛錬場に参りましょう」

「はいっ!」

 

俺はクレアとアイリス王女に連れられながら鍛錬場に向かった。鍛錬場に着くとアイリス王女は着替える為にその場を離れた。数分後、アイリス王女は青いドレスの様な装備で剣を腰にかけながらやって来た。

 

「お待たせしてしまって大変申し訳ありませんでした。では始めましょう」

「はい。よろしくお願いいたします」

 

俺が頭を下げると、アイリス王女が。

 

「私のスキルは剣を使う『エクステリオン』や『セイクリッド・エクスプロード』の他、雷魔法の『セイクリッド・ライトニングブレア』などがありますが全て習得したいのでしょうか?」

 

流石は勇者の血族だな、強そうなスキルばっかだな。恐らくスキルポイントも4桁は超える筈だし剣を使わない俺なら……。

 

少し考えて出した答えは……。

 

「俺は先程申した通り剣を使いません。ですが、俺は雷魔法が得意なので『セイクリッド・ライトニングブレア』を教えて頂けますか?」

「分かりました。セイクリッド・ライトニングブレアですね?、では見てて下さい」

 

アイリス王女は50メートル離れた場所に設置された案山子に向かって手をかざした。

 

「『セイクリッド・ライトニングブレア』!!」

 

アイリス王女が唱えた瞬間、轟音と共に白い稲妻が案山子を一瞬で薙ぎ払い消滅させた。 俺は案山子があった場所に出来たクレーターをただただ見つめるだけしか出来なかった。

 

すげえ……なんて威力だ……。

 

手を降ろしたアイリス王女はセイクリッド・ライトニングブレアについて説明し始めた。

 

「今のセイクリッド・ライトニングブレアはどんな魔物も一撃で倒せる先祖代々伝わって来たスキルです。威力は大変強力ですが、その分魔力もスキルポイントの消費も絶大です」

「なるほど……」

 

俺は懐から冒険者カードを取り出すと、『セイクリッド・ライトニングブレア』が習得可能と記されていた。だが、消費スキルポイントは未だかつて無い程の1000ポイントだった。

 

流石は勇者の血筋のスキルだな、消費スキルポイントも勇者クラスだわ。

 

現在俺が所持しているスキルポイントは1005ポイントと確認し、意を決してセイクリッド・ライトニングブレアを習得した。習得した途端、俺は残された1つの案山子に向かって手をかざして呟いた。

 

「『セイクリッド・ライトニングブレア』!!」

 

唱えた瞬間、アイリス王女の時より小さめの白い稲妻が突風と共に解き放たれた。その白い落雷によって折られた樹木の様に案山子はバラバラに砕け散っていた。

 

やっぱり冒険者の力じゃこんなもんか、本家とは比べ物にならないくらいだな。地道にレベルを上げていくしかないか……。

 

セイクリッド・ライトニングブレアを放った俺はブツブツ独り言をいっていると、アイリス王女やレインは驚いた様な顔をしていた。

 

「もう習得したのですか!?」

「ええ、まぁ。ですがアイリス王女程の威力はまだ出ませんね」

「心配ありません。鍛えれば強くなりますから」

「精進します。では、立て込んでますのでこれで失礼します」

 

俺はアイリス王女に頭を下げてテレポートを唱え、アクセルの街に帰って行った。

 

────────────────────────

 

王都から帰った翌日。俺はカズマに呼ばれて屋敷にやって来た。カズマは冒険者ギルドから貰った紅魔の里周辺の地図を広げながら俺に言い放った。

 

「なぁ、紅魔の里に行かないか?」

「めぐみんとゆんゆんの実家にか?」

「ああ、このままじゃめぐみんがボンッてなっちまうからな。このままだといつかは街を破壊しかねないしな」

 

確かに、歩く時限爆弾をいつまでも部屋に閉じ込めて置いても危険だ。

 

「カズマは心配性ですね。私は大丈夫だと言っているのに行くって聞かないんですよ」

「そりゃ爆弾化した仲間をいつまでも放って置けないだろ?」

「誰が爆弾ですか!」

「めぐめぐ、あんまり騒ぐと体に悪いべ!」

 

食って掛るめぐみんを押さえるマヒルを他所に、カズマと俺は話し続ける。

 

「里は知っての通り、現在魔王軍と交戦だ。どうする?そのまま加勢するか?」

「いや、遠くから様子を伺って手紙通りの内容だったらめぐみんのマントを買って帰る。モンスターとの戦いも、極力避ける方向で!」

「いや、手紙通りだったらマントも買える状況じゃねぇだろ!?」

「また随分と、カズマらしい後ろ向きな作戦ね!まぁいいわ。私の力でめぐみんの故郷の人達を救済してあげるわ!」

 

普段空回りしているアクアが自信に満ちた顔をしながら拳を握って喚いている。

 

「こんなんだからもし万が一はリュウジ組を頼りにしてるぞ」

「え……」

 

アクアを眺めながらカズマは俺に言う。だが、俺は申し訳なさそうに答えた。

 

「あーそれなんだけど、ペコリーヌ、コッコロ、マリューはちょっと野暮用でエルフの森に帰ることになったんだよ」

「はあっ!?なんでだよ!!戦闘タイプのマリューやペコリーヌがいねぇと道中やべぇだろ!!どーすんだよ!お前らをアテにしてたのに!!お頭は!?お頭はどーした!!」

「クリスは朝早々とある場所(天界)に行った」

「てめえふざけんなよ!お頭すらいねぇじゃねぇかよっ!」

 

カズマが俺を揺さぶりながら叫んでいると、突然ダクネスが。

 

「エルフの森と紅魔の里に魔王軍が同時に攻めて来たのか……敵ながらあっぱれな戦略だな……。ああっ、頼りにしていたAdventuresも為す術なく負けて捕らわれてしまった暁にはどうしよう!カズマ、リュウジ、もしそんな事になった際には、めぐみん達を連れて逃げるんだぞ!」

「いや、エルフの森に行く理由はペコリーヌのお父さんが体調悪いから見舞いがてら里帰りするだけだぞ?」

「仮にお前の言う通りのシチュエーションになったら大喜びで置いていってやるから安心しろ」

 

突然興奮しているダクネスに説明する俺とカズマ。

 

確かに、ペコリーヌ達がいないのは痛手だ。しかしクリスを呼び戻して連れて行く訳にも行かないし……。

 

「俺とお前で行くしかないな」

「お前と行ったらろくな事起きねぇじゃねぇかよ疫病神!」

「誰が疫病神だこのクソニート」

「喧嘩している場合じゃないだろ!それで、カズマ。いつ紅魔の里に出発するのだ?」

 

ダクネスがそう尋ねると、カズマは答えた。

 

「準備が出来次第、今日出発だ。リュウジも戻って支度して来い」

「随分急だな、乗り合い馬車の予約が取れなかったのか?」

「いや、ちょっと俺に考えがあるんだ」

 

考え?何か閃いたのかな?

 

────────────────────────

 

美食殿を臨時休業させて準備を整えた俺達はカズマに連れられて街を歩き始めた。アクアはカズマに言い放つ。

 

「ねぇカズマ、一体何処に向かっているの?ゆんゆんや魔剣の人と一緒に里に向かうんじゃないの?」

「ゆんゆんや、ミツルギ達とは”ある場所”で落ち合う手筈になってる」

「随分手際が良いじゃないか、何企んでるんだよ」

 

そんな事を言っている内に、カズマの目的地に到着した。

 

「あれ?カズマさん。ここはウィズさんのお店ですよね?」

「魔導具でも買うんですか?」

「カズマが行きたい所というのはここか。クルセイダーの私はあまりここに来たくないのだが……」

 

露骨に嫌な顔をするダクネス。

 

クルセイダーのダクネスが嫌がるのも無理もない、なんせここには──

 

「へいらっしゃい!上がり易い職業のクセにちっともレベルが上がらない男と、幸運値が激低の鎧オタク!最近あまり役に立ってない娘!うっとうしい光溢れるチンピラプリーストに、食う事しか脳のないエルフの王女と準レギュラー化しているチビエルフ、ズーズー弁でつまらんシャレばかり作っている田舎娘に、まったく戦わないモンスターとネタ魔法しか使わないネタ種族よ!丁度いいところに来たな!」

 

そう、コイツがいるから。

 

そのままカズマは何やらヒソヒソとバニルと話始め、その間俺達は紅茶を嗜んでいた。

 

「よしっ、バニルとの話も済んだ。実はウィズにも用があるんだよ。ちょっと呼んできてくれるか?」

「ウィズ〜?いるの〜?」

 

俺が呼ぶと、パタパタとウィズが小走りでやって来た。

 

「カズマさん、リュウジさん、それに皆さん!いらっしゃいませ〜!」

「ウィズ、王都では助かった!」

「ようウィズ、今日は客じゃなくてちょっと頼みたい事があるんだよ」

 

カズマの放った言葉にウィズは首を傾げた。

 

「私に頼みですか?」

 

すると、カズマはここでようやく考えていた事を話し始めた。

 

「俺達をアルカンレティアにテレポートして欲しいんだ」

「あー!なるほど!めぐみんがボンッてなるのを少しでも先延ばしにしたいから一気にアルカンレティアまでショートカットするつもりだったのか」

「分かりました!私もめぐみんさんが心配なので、先ずはアクア様、めぐみんさん、マヒルさん、ダクネスさんの4名をテレポートしますね!では、皆さん外に出て下さい」

 

ウィズの指示に従い、カズマチームの女性陣を1箇所に集めた。

 

「『テレポート』!」

 

アクア達はあっという間にアルカンレティアに転送されて行った。そして俺はその間にペコリーヌ達を見送っていた。

 

「んじゃ、ペコリーヌ、マリュー、コッコロちゃん。気を付けてな?」

「はいっ!リュウジくんも気を付けて下さいね!」

「では、しばらくお暇をいただきます」

「クロエ様には、しばらく休業と知らせてありますので安心して下さい」

「ああ、マリュー。国王様に宜しくな?」

「はい。では、リュウジ様、テレポートで我々をエルフの森へ」

「あいよ。『テレポート』!!」

 

俺はペコリーヌ達をエルフの森へ転送した。その場に残されたのは俺とカズマのみだった。

 

「よしっ!カズマ。俺らも行くか」

「ああ、ウィズ頼む!」

「待て、ヘボ小僧とヘボ魔王」

 

俺とカズマがテレポートを頼もうとした瞬間。謎の四角い物を持ったバニルに呼び止められた。

 

「見通す悪魔が忠告してやろう。貴様はこの旅の目的地にて、仲間に迷いを打ち明けられる時が来る。貴様の言葉次第では、その仲間は自らの歩むべき道を変えるだろう。汝、良く考え、後悔のない助言を与えるようにな」

「なっなんだよ、そのフラグ的な言葉……」

 

突然言われたカズマはゾッと青い顔をする。

 

「それと、ヘボ魔王にはこの【罠餌】を与えてやろう。普段高値の契約金を払っている礼だ。この四角い固形物はモンスターなどに食わせると、そのモンスターの魔法の抵抗力をしばらくの間、劇的に下げてくれる罠餌の一種である」

 

ほう?

 

「ここはあえて効果を聞かないで置こうか。それで?もし、人間が食べたらどうなる?」

「人間が口にする分には害はない。強いていえば魔法抵抗力は確かに下がるが、副作用として防御力が劇的に上昇する。……結果、これを食ったり食わせたりすると、こちらの魔法を無効化したり弾いたりする事は無くなるが、代わりに大概の攻撃魔法が効果自体を成さなくなるほどの防御力を誇るようになる。貴様にはこれが必ず必要になる。持って行け」

 

俺はバニルから四角い罠餌を受け取ると、ウィズが準備を終えていた。

 

「準備が出来ました。ではリュウジさん、カズマさん。無事な旅が送られますよう……!『テレポート』!!」

「んじゃ、行ってくるわ!」

 

俺とカズマはグッとポーズをしてアルカンレティアに転送されて行った。




誤字報告感謝しています。日本人でありながら日本語も危ういですが今後ともよろしくお願いいたします。
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