※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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ゆんゆんとアオイに新装備実装します。後半からミツルギ視点にかわります。


129 真紅の魔女

ゆんゆんとメリッサが夜明けと共に、ぐったりと疲れた顔で帰って来た。一撃熊に魔法を繰り出して葬ったが、その爆音に他のモンスターが襲いかかって来た。魔力が尽きたらメリッサに潜伏で匿ってもらい、僅かに回復した魔力を振り絞って戦い続けたそうだ。 通常であれば最終試練は、2人の紅魔族が交代で仮眠を取り、高い魔力と攻撃力で何とかなるという、中級魔法も使っても構わないらしい。

 

メリッサの敵感知スキルでモンスターをかいくぐったのが幸いだったとの事。メリッサの機転を聞かせたことにより、ゆんゆんは────。

 

「族長!いえ、”真紅の魔女”!!」

「真紅の魔女ゆんゆんは、いつかやると思ってたんだよ!」

「今夜はめでたい日だ!最高の魔女の爆誕だ!」

 

紅魔族の次期族長が決まったその日の夜。Adventuresの俺達は、里の広場に集められ、お祭りに招待されていた。

 

「あはははは!ねぇカズマ、見てみて!めぐみんが影分身してるわ!」

「あはははは!アクア様!そんなに増えてませんよ!あれ?めぐみんさんって4つ子でしたか?」

 

完全にできあがったアクアとセシリーがめぐみんをさしてゲラゲラ笑っている。

 

「増えてませんよ!アクアもお姉さんも飲み過ぎです!ダクネス、魔剣の人、2人を止めてくださ……」

「ダクダクなんとかしてけろ、アクア、足が開きっぱなしだべ!」

 

シラフのめぐみんとマヒルがダクネスとミツルギへ助けを求めるが───

 

「ダスティネス家は屈しない!」

「はいはい、ダクネスさんは私と飲みましょうね〜!」

「お義父さん!これ、これ以上飲めませんよ!」

「俺の酒が飲めねぇのか!?えぇっ!?娘が欲しければのめぇっ!」

 

ダクネスはゆいゆいさんに飲み勧められ、ミツルギは酔って荒れてるひろポンさんと飲んでいた。めぐみんとマヒルの助けも虚しく過ぎ去り、その片隅には、主役の筈のゆんゆんが恥ずかしそうにアオイとメリッサと飲んでいた。そんな中、俺はゆんゆんに声を掛けた。

 

「主役がなにビクビクしてんだよ、もっと胸を張れ」

「な、なんか恥ずかしくって……」

「こんなに祝ってもらえるなんてゆんゆんが羨ましいなぁ……」

 

今のこの2人をクロエやチエルにも見せてやりたいなぁ。

 

「んじゃここらで、俺から2人にプレゼントがあるんだ」

「プレゼント?」

「えっ!?こんな私が異性からプレゼントを貰える日が!?」

 

俺がゆんゆんとアオイの前に2つのトランクを置いて、見せるように開けた。ゆんゆんのトランクの中には、赤いレザーコート。アオイのトランクには緑のレザーベストと滑車の付いた弓矢が入っていた。

 

「リュウジさん?これは……」

「コレを私達にくれるんですか!?」

「うん。ゆんゆんには族長昇任祝いと、アオイには命を救って貰ったお礼だよ。養殖が済んだ後に作っておいたんだ。このコートは紅魔の里にある服屋の素材を織り交ぜているゆんゆん専用コートだ。ちなみに、コートの名前は『スカーレット』って名付けたよ」

 

ゆんゆんの新装備を説明した俺は、今度はアオイの新装備を説明した。

 

「アオイの場合は、スカーレットと似た緑のフード付きベスト。これはアオイの特技の1つで植物と会話が出来るという事を参考に深緑カラーにした。オオドクマンドラゴラの素材と安楽少女の素材を使っている為光合成が可能で解毒も可能になってる。アオイの装備名は『アイビー』って名ずけさせて貰ったよ。そして、今回試行錯誤してようやく完成した改良型の弓『グリーン・ビショップ』、これらを君達にプレゼントする!」

 

ゆんゆんとアオイは顔を見合わせて同時に首を横に振る。

 

「こっ、こんな高価なもの貰えませんよ!!」

「そそそそそうです!いくらなんでも悪いですよっ!」

「良いんだよ。チームのメンバーの戦力アップするのも俺の仕事だ。試着して見てくれ」

 

ゆんゆんとアオイが遠慮がちに渋っていると、メリッサが。

 

「いいじゃない。受け取っておきなさい?」

「メリッサさん……」

「そう……でしょうか……」

「今後ワタシ達もどうなるか分からないのよ?昨夜みたいになられたらワタシの体が持たないわ」

 

ほう?メリッサも先輩らしい事を言うじゃないか。

 

メリッサに促されたゆんゆん達は……。

 

「なら……有難くいただきます!」

「大事に使わせていただきます!」

 

その場でゆんゆんとアオイはプレゼントされたスカーレットとアイビーに袖を通し、新装備を披露した。

 

「どうですか?」

「似合って……ますかね?」

「おう、似合ってるし、サイズもピッタリだな!」

「良かったんじゃない。そのままキョウヤに見せて来たらどう?」

「ゆんゆん、そうしたら?」

 

メリッサとアオイに言われたゆんゆんは、アタフタと慌て始める。

 

「アッ、アオイまで何言うのよ!?」

「もう、気付かないと思ってた?私もメリッサさんも前からずっと気付いてたんだよ?ミツルギさんの事好きなんでしょ?」

 

アオイに言われたゆんゆんは顔を真っ赤にして黙って頷いた。ゆんゆんはメリッサに向かって……。

 

「黙ってたつもりはないんですけど……リュウジさん、メリッサさん。実は……私……ミツルギくんとお付き合いをする事になりました!」

「ですよね、今の流れだとそんな雰囲気だったもんね!」

 

うわぁ……カズマといい、ミツルギといい、爆ぜればいいのに。

 

と言いたいのを喉で留めながら俺はアオイとメリッサに。

 

「なら、お邪魔な俺達はカズマとめぐみんが邪魔しないように足止めしときますか」

「あら、奇遇ね?ワタシも同じ事を考えてたわ」

「珍しいですね、メリッサさんとリュウジさんが気が合うなんて」

「勘弁してくれよ、こんな泥棒猫」

「誰が泥棒猫よ!!」

「んじゃ、ゆんゆん。ごゆっくり〜」

 

俺はメリッサとアオイを連れてカズマ達の方に向かって行った。ゆんゆんはスカーレットを整えて、ミツルギの元へ歩いて行った。

 

「ミツルギ……くん」

「あっ、ゆんゆん。どうしたんだい?」

「コレ……似合うかな……?」

 

ゆんゆんが恥ずかしそうにスカーレットをミツルギに見せると、ミツルギが、

 

「凄く似合ってるじゃないか!どーしたんだいそれ?」

「リュウジさんが、族長祝いとしてプレゼントしてくれたの」

「そうなのか、なら後でお礼をしなくてはね。どうだい?2人で抜け出さないか?」

「うん!ちょっと静かな所に行きたかったから!」

「なら、行こうか」

 

ミツルギとゆんゆんはどんちゃん騒ぎしている場所を離れて、里の森を歩き始めた。紅魔の里の周辺は、強いモンスターが生息している。ゆんゆんの話によれば、夜行性のモンスターの方が強いらしい。

 

どうして、今になって思い出したのかといえば……。

 

「わははははは!見てくれゆんゆん、一撃熊が増えてるよ!」

「増えてないよ!ミツルギくん、もしかしてお父さんに飲まされたの!?そうなんでしょ!?」

 

里の周辺の森の中、ミツルギとゆんゆんはモンスターに追いかけられていた。

 

「飲んでいたけど酔っていない!大丈夫だよ!うん!」

「絶対変だよっ!いつもならティルフィングでズバッと斬ってるもん!」

 

ゆんゆんは高笑いしながら走るミツルギを他所にインフェルノや、ライトニングで華麗に応戦する。

 

「あるー日、森の中〜熊さんに〜出会〜った♪」

「お父さんは一体いくら飲ませたの!?ミツルギくん、しっかりして!」

「バォォォォォォォォ!!」

 

後ろから追いかけて来る森のくまさんに。

 

「『ルーン・オブ・セイバー』!!」

「バォォォォォルルルルル!!」

 

突然ミツルギは木々を切り倒し、一撃熊を木々の下敷きにさせた。

 

「どうだい?ゆんゆん。かっこいいだろ?」

「分かったから!油断してないで早くトドメを刺して!」

「おいおい、ゆんゆん。これは油断じゃない、余裕というものだよ」

「似たようなものじゃない!なんか今のミツルギくんはカズマさんみたいになってるよ!?」

 

ミツルギは併走するゆんゆんにちっちと指を振って見せた。

 

「ゆんゆん?ボクを誰か忘れちゃったのかい?魔剣のミツルギだよ?」

「いい加減してよっ!今のミツルギくんは魔剣のミツルギじゃなくてポンコツルギよっ!!」

 

下敷きにされていた一撃熊が木々を押し退けて再び追いかけて来た。

 

「さぁっ!ゆんゆん。このティルフィングに『インフェルノ』をかけてくれっ!」

「えっ!?うっうん。『インフェルノ』!!」

 

ゆんゆんがミツルギの持つ魔法剣ティルフィングにインフェルノを放った。すると、ティルフィングが炎を纏い始め。

 

「さぁ、一撃熊。ボクの魔法剣の餌食になれっ!」

「ブフゥー、ブフゥーッ!!バォォォォォッ!!」

 

一撃熊がミツルギに襲いかかろうとした瞬間、ミツルギはティルフィングを振るった。

 

「『魔法剣・炎龍』!!」

 

弧を描く様に振るわれたティルフィングにより、一撃熊は袈裟斬りで一刀両断された。ティルフィングをブンと振って炎を消し、カチンと納刀した。

 

「しょせんは獣、か……僕の敵ではなかったようだね」

「ねぇミツルギくん?酔ってるんだよね?そうなんだよね?」

「ムムッ!!こっちだゆんゆん。強敵の匂いがするよ!」

 

獣の気配を感じ取ったミツルギは森の奥を指を指した。

 

「強敵じゃなくていいよ!ホント今夜はどうしちゃったの!?こんなのリュウジさんやカズマさんに見せられないよっ!!」

「何故だい?いつもボク達は強敵を倒してきたじゃないか」

「うん、うん!そうだよ!けど、なんか変だよ!?」

 

と、その時だった。

 

森の暗やみから荒い息遣いが聞こえてくる。それに併せて爛々と4つ輝く青い瞳がこちらを真っ直ぐ見据えていた。

 

「ムムッ!?来たようだねぇ。さぁ、ボクを満足させてくれっ!」

「何言ってるの!?ブラッドファングよりやっかいなヘルハウンドだよ!?狼系モンスターの親玉見たいな奴なんだよ!?」

 

焦げ臭い息を吐きこちらへと歩み寄る黒く巨大な2つの頭を持つ狼は、ミツルギ達を警戒する様子もない。

 

「なんだそんなもんか、君じゃ役不足だ。あっちにいきなさい」

「傲慢過ぎるよ!?ヘルハウンドだよ!?ただでさえ危険なブラッドファングの上位互換にあたるモンスター、いくらミツルギくんでも危ないよっ!!」

 

ミツルギの言葉を受けたヘルハウンドは、挑発されたと理解したのか不機嫌そうに唸り出す。こちらに足を踏み出す度に、地に生えた下草が焦げてぶすぶすと燃え始めた。

 

「ほう?君は炎を操るのかい?奇遇だね、ボクも炎や光を纏って戦うんだ。どっちが上か比べて見るかい?」

「ミツルギくんだけの技じゃないでしょ!?私が魔法を使っての魔法剣じゃない!!」

 

そう言って前に出るゆんゆんの肩に、ポンと手を置きながら。

 

「ここはボクに任せてくれ。さぁヘルハウンド、ボクと遊ぼうか?」

「なんだろう……ちょっとカッコイイのが悔しいなぁ……」

 

ミツルギがティルフィングを構えると、ヘルハウンドも動きを見せる。

 

「ミツルギくん、向こうもやる気になった見たいだよ!?」

 

ミツルギと相対したヘルハウンドは、2つの頭を上下に動かし牙を剥き出しにしながら唸り出す。

 

「ボクを舐めるなよ?ゆんゆん、『インフェルノ』を」

「えっ、うっうん。『インフェルノ』!!」

 

ゆんゆんが放ったインフェルノはティルフィングに再び纏ってメラメラと燃え盛る。

 

「ガオゥッ!!」

「ガルルッフ!!」

 

ヘルハウンドは当たらない自信があるのか、ジグザグに走りながらミツルギに襲いかかった。

 

「スピードに自信があるんだろうが……鋼のリュウジには負けるな。『魔法剣・炎龍』!!」

 

ミツルギはヘルハウンドと同じように飛び上がり、ヘルハウンドを縦に斬り裂いた。ヘルハウンドの2つの頭は左右に一つずつに切り捨てられた。ミツルギはティルフィングに付いた血をブンと振って払い落とした。

 

「ボクを倒したければ、ズル賢くて強いモンスターを連れて来るんだな」

「かっこいい……酔ってなければ尚良かったよ」

「言うじゃないか。ならこのまま爆殺魔人もぐにんにん略して、”にんにん”を倒そうじゃないか」

「にんにんって呼ぶの止めてよ、何だか私の名前と被って聞こえるから!ホントに倒す気なの!?」

「もちろんさ、リュウジとカズマにはボクが倒すから手を出すなと言ってあるしね!」

 

ミツルギがふんすっと鼻息を荒らげると、ゆんゆんは。

 

「いつの間に……分かったわ。私だってめぐみんに負けてないって事を証明したいからね!ここまで来たらやっちゃおうっ!」

「うん!ボクとゆんゆんなら出来る!」

「もっ、もうっ!恥ずかしい事を言わないでよっ!けど!そんなミツルギくんが大好きだよ?」

 

ゆんゆんはそう言って、吹っ切れたような笑顔を見せた。




ゆんゆんの新装備『スカーレット』のモデルはMARVELヒーローの1人スカーレット・ウィッチこと、ワンダをモデルにしています。

アオイの新装備『アイビー』のモデルはDCコミックのスーパーヴィランの1人ポイズンアイビーをモデルにしています。

改良型の弓の『グリーン・ビショップ』はDCコミックヒーローの1人グリーンアローとMARVELヒーローのホークアイの娘『ケイトビショップ』をモデルにしています。
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