読者の皆様、メリークリスマス!!
アクセルの街の外にやって来たリトルリリカルは地図を縦にしたり横にしたりして悩んでいた。
「地図ってどうみるんだっけ?」
「ミソギちゃん、分からないのにペコリーヌおねーちゃんから取ったの?」
「まったくミソギは!地図の見方も分からないの?」
「えへへ……キョウカは分かるの?」
「えっと……こ、こうです!」
「キョウカちゃん、それ合ってるの?」
「う……そ、それは……」
ミソギ、ミミ、キョウカが悩んでいると、こめっこが。
「仕方ない、出てこいでっかいゴブリン!」
こめっこはやれやれと言わんばかりな顔をしながら木の枝で魔法陣を書いてホーストを呼び出した。
「なっなんだ!?モンスターか!?」
「「「きゃぁぁぁぁっ!!」」」
突然現れたホーストを見てミソギ達が驚いた。
「ホースト、この地図ってどう見るの?」
「あん?地図だぁ?」
ホーストがミソギが持っていた地図をまじまじと見つめる。
「そこのオレンジ髪の嬢ちゃん、それ貸しな」
「えっ?でっかいゴブリン、地図の見方分かるの?」
「でっかいゴブリンって呼ぶな!ホーストって呼べ!」
ホーストが大きな声を出した途端、ミミがびっくりして目をウルウルさせ始めた。
「ひっく……怖いよぉ……」
「おっおい、泣く事ねぇだろ……?」
今にも泣きそうなミミを見てホーストはアタフタする。ミミが泣いた瞬間、キョウカがホーストに向かって言い放った。
「ホーストさん!ミミが泣いちゃったじゃないですか!」
「おっ、俺様はそんなつもりじゃ」
「言い訳は聞きたくありません!謝って下さい!!防犯魔石を鳴らしますよ!!」
「そーだ!そーだ!謝れー!リュウジにーちゃんに言いつけるぞー!」
「お、俺様が何したってんだよ、泣きてぇのはこっちだよ!」
すると、こめっこがキョウカとミソギに言い負かされたホーストを慰めるように……。
「わかったわかった、ホースト、ごめんなさいは?」
「わっ、悪かったよ……大きな声を出しちまって……」
気まずそうに謝ると、ミミは涙を拭いて頷いた。
「うん……ミミもう大丈夫……」
「ホーストさん、責任をもってこの地図を見てみて下さい」
「ホーストならできるでしょ?カモネギはどこ?」
ホーストはこめっことキョウカから地図を受け取った。
「えーっと、向こうの森林にカモネギがいるってよ」
リトルリリカルは、ホーストが指さした方向を見ると……。
「えー!?あんなに遠いのぉー!?」
「今から歩いて行ったら真っ暗になっちゃうよ〜?」
「困りましたね、このままじゃ夕方には帰って来れないです……」
「なんの為に行くのか知らねぇが、どーすんだ?諦めんのか?」
3人が途方に暮れていると、こめっこが口を開いた。
「仕方ない、ホースト!背中に乗せて!!」
「はぁ!?4人乗せて空飛べって言うのか!?バカ言ってんじゃねぇ!」
「お願いホーストぉ〜」
「お願いします、でっかいゴブリンさん」
「お願いします……」
「ホースト……お願い……」
4人はつぶらな瞳をウルウルさせて懇願すると、ホーストは半ば諦めながら答えた。
「ったく……仕方ねぇなぁ……今日だけだからな」
「「「「わーい!!」」」」
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ホーストは、4人を背中に乗せて目的地にフラフラと辿り着いた。ホーストはゼーゼーと息を切らしながら着陸した。
「ゼーゼー……着いたぞ」
「お疲れホースト」
「ありがとうございます、ホーストさん」
「楽しかったねぇ!帰りもよろしくねホースト!」
「お空飛べるなんて凄いね、でっかいゴブリンさん!」
「お、おう……ちょ、休ませろ……」
リトルリリカルは鼻歌を歌いながら辺りを探索すると、小さな野池を発見した。するとまたこめっこが休憩中のホーストに声を掛ける。
「この池……よしっ!ホースト!ホースト!」
「こめっこ?池にカモネギはいないよ?何するの?」
「お魚さんでも見つけたのかなぁ〜?」
「なんでしょうか?」
「なんだ!?モンスターかっ!?」
息切れしながらホーストはこめっこに駆け寄ると……。
「池に飛び込んで、音を立てて……獲物を追いやるために」
「一体何がいるってんだよ、こ、こうか!?ゴボボボボボ!!」
ホーストが激しい水しぶきを上げると。
「とれたっ!でっかいザリガニ!!大きくてうまそう……じゅるり」
「ぶはっ……獲物ってザリガニかよっ!?」
「美味しく焼いて、みでぃあむで」
シャカシャカ動くザリガニを片手にしたこめっこを見たミソギ達は少し複雑な顔をしながら……。
「えっ、こめっこホントにザリガニ食べるの!?」
「お腹壊さない?大丈夫〜?」
「こんな池のザリガニを食べるとお腹壊しちゃうよ!?」
「大丈夫、ちゃんと焼くから」
「焼くとかそういう話じゃ」
「こんなもんか?」
「焼かないで下さいっ!」
「はぐはぐはぐっ!」
こめっこは1週間ぶりの飯を食うように、ザリガニを貪り始めた。ミソギ、ミミ、キョウカがふとお腹を鳴らすとホーストが。
「なんだ?腹減ったのか?腹が減っては戦はできねぇぞ?食っとけ」
ホーストがこんがりと焼けたザリガニを3人に渡した。3人は顔を見合わせると、こめっこの横に座り一緒に食べ始めた。
「なんか、ちっちゃいエビ見たいな味だね」
「うん。エビフライの味がするね!」
「これは教科書に載ってませんでしたね。勉強になりました」
「よし、おなかいっぱいになった。カモネギを倒して、親子丼作る!」
「まっへ!こへっこ、カモヘヒはたほははいよ!?」
口にザリガニの殻を付けながら張り切るこめっこを口に含んだまま喋るキョウカ。
「エルフの嬢ちゃん、食べながらおしゃべりすんな」
「ごくん……。こめっこ、今日は討伐が目当てじゃないんだよ?」
「えー……がっくし……」
「なんだ?クエスト受けたんじゃねぇのか?」
ホーストが尋ねると、ミミがホーストに言った。
「えっとね、リュウジおにーちゃんがお風邪引いちゃったんだって。それでカモネギのネギを首に巻くとお風邪が治るって言ってたよ?」
「民間療法かよ、まぁ討伐じゃないならなんとかなるんじゃねぇか?4人もいる訳だしな?」
「ねぇ、ホースト?カモネギってどんな奴なの?ミソギ達はお肉屋さんに置かれてるカモネギとモンスター図鑑しか知らないんだよ」
今度はミソギがホーストに尋ねると、ホーストがなだめる。
「そう慌てんな。その前に水も飲んでおけ、水分補給を忘れるなよ?」
「はーい♪」
そして、水分補給を終えたリトルリリカルは先を進むとお目当てのカモネギが目の前を歩いていた。
「キュイ!キュキュッ!」
「あっ!いたっ!カモネギ!!」
「かわいい〜♪キュキュッきゅるっきゅる〜♪」
「アレがカモネギなんですね、かわいい……」
「美味そう……」
「ヨダレ垂らしてないで、4人で力を合わせて上手く追い詰めろよ?」
「えっ!?ホースト手伝ってくれないの!?」
ミソギがホーストに言うと、ホーストがちっちと指を振る。
「今日はカモネギじゃなくて『ネギ』が目的なんだろ?無闇に命を奪ったらカモネギがかわいそうだろ」
「そうだよミソギちゃん。カモネギさんがかわいそうだよ〜」
「そうですね、カモネギさんのネギさえ取れれば良いんですから、傷つけたらかわいそうです」
「えー……カモネギ取らないの〜?」
こめっこはあからさまにショックを受けると、ホーストが励ました。
「今度とびきりでっかいカモネギ取ってくるから我慢しろ、鎧の兄ちゃんが死んじまうぞ?」
「うーん……こめっこ我慢する」
「よし、いい子だな。よしっ!行けっ!」
「「「「とりゃーー!」」」」
4人はホーストのアドバイスを受けながらカモネギのネギを順調に奪い始めた。1本、また1本とネギを集め、あっという間に20本程集まった。
「こんなもんでいいだろ」
「わーいっ!ミソギこんなに採れたよー!」
「ミミも採れたよ〜♪」
「私もたくさん採れました!」
「大漁だぁー!焼ネギする!」
山盛りのネギを前に4人は大喜びをしていると……。
「バルルルルル!!」
突然、茂みの奥から一撃熊が現れた。ホーストはリトルリリカルを庇うように前に出た。
「ちっ、カモネギの匂いにつれられて熊まで出て来やがった。ちびっこ共、ここは俺様が片付けるからここは」
「キョウカ、ミミ、こめっこ行くよっ!」
「うん!ミソギちゃん!」
「リトルリリカルの初討伐です!」
「まずはいかく!きしゃー!」
ホーストの脇から4人は飛び出して戦闘態勢をとった。ホーストは慌てて4人を止める。
「ちょっ、待て待て!なんで弱いくせに好戦的なんだお前らは!?」
「大丈夫だよホースト、ミソギ達あの熊には慣れてるの!」
「だから見ててね!」
「目に物見せてあげます!」
「こめっこも頑張る!きしゃー!」
リトルリリカルの4人はこめっこを中心にしてミソギが右から回り込み、反対側からはミミが回り込んだ。キョウカは間に入り、魔法を唱え始めた。
「くらえー!『トリックボマー』!!」
「いっくよー!『うさぎさんスラッシュ』!!」
「成長した私を見せてあげます『コスモブルーフラッシュ』!!」
爆撃、斬撃、激流を一気に直撃した。だが、一撃熊は何事も無かったかのようにこちらに睨みをきかせていた。
「グオオオッ!!」
「ぜんぜん効いてない見たいだよ〜!?」
「ミミ達だけでやっつけれるかな〜?」
「そんなっ!?私達のひっさつわざですよ!?」
「よしっ!あとはこめっこがやる!焼き尽くして!!弱めに!」
「オラァッ!『インフェルノ(弱め)』!!」
「グルァッ……ガハッ!!」
ズシーン!
とどめにホーストのインフェルノ(弱め)を食らった一撃熊は大の字なりながら倒れた。焼け野原になった地面には、いい具合いに焼かれた一撃熊が美味そうな匂いを醸し出していた。
「わーいっ!みでぃあむの熊肉ゲットだ!ご苦労!」
「やったよ!ミソギ達でモンスターをやっつけたよー!」
「やったぁー!」
「こめっこは凄いですね……私も負けていられませんっ!」
「ほとんど俺様の魔法で倒したもんじゃねぇーかっ!」
「今夜は熊鍋だぁー!じゅるり」
その後、夕日が沈む前に一撃熊の美味しい部分だけの肉とカモネギのネギを片手にリトルリリカルは凱旋した。ホーストはミソギ達を街まで送り届けた。
「ゼーゼー……なんか今日俺様働き続けてねぇか!?ネギはともかく戦闘はほとんど俺様がやったもんじゃん!」
「ホーストお疲れ!」
「お疲れ!じゃねぇわ!ったく」
「ホースト、今日はありがとうね!ミソギ楽しかった!」
「ミミもお空飛べて楽しかったよ〜♪」
「きょ、今日の所は褒めてあげます!」
リトルリリカルがとても嬉しそうに目をキラキラさせてホーストにお礼を言う。ホーストはどこか照れくさそうにしながら。
「お、おぅ……ま、まぁ?俺様にかかればこんなもんだ。ほれ、早く届けてやりな。んじゃ、俺様は帰るぜ」
そう言い残してホーストはどこかに飛び去って行ってしまった。4人はホーストを手を振って見送った。
「あー!楽しかった!またホーストに連れてって貰おうね!」
「うん!ミミ、ホーストさん好きになったかも!」
「た、確かにあの方は悪い悪魔では無いようですし」
「でしょでしょー!アレ、こめっこの使い魔!」
ワイワイ騒ぎながらリュウジの家に向かって歩いていると、家の前にはペコリーヌとめぐみんとゆんゆんが玄関の前でウロウロしていた。こめっこはすぐに気付き、めぐみんに声を掛けた。
「あっ!ねーちゃん!」
「こめっこ!?今までどこに行ってたんですか!?」
「こめっこちゃん、心配したんだよ!?」
「ねーちゃん、ゆんゆんなんでここにいるの?」
こめっこが2人に尋ねると、めぐみんは困った顔をしながら話した。
「ペコリーヌから聞いたんですよ!小さい紅魔族の子がキョウカちゃん達とカモネギのネギを取りに行ったと。ダメじゃないですか!リュウジ達がいない時に街の外に出るなんて!!」
「そうよこめっこちゃん、もしも何かあったらどーするの!?」
めぐみんとゆんゆんは余程心配したのか、こめっこに抱きつきながら怒り出した。すると、こめっこはニカッと笑いながら。
「見てねーちゃん、ネギと熊の肉が取れたんだよ!」
「怒らないでめぐみんねーちゃん。ミソギ達、リュウジにーちゃんの為にネギを取って来ただけなの!」
「ごめんなさい、お風邪が治るって聞いたから」
「ペコリーヌさんから地図を貸してもらって勝手に行っただけです。こめっこだけが悪いんじゃありません!」
こめっこを庇うように3人は前に出てめぐみんとゆんゆんに言い放った。めぐみんは半ば諦めた様な顔をして……。
「まったく……これっきりにして下さいね?」
「うん!わかった!」
「ほ、ほんとに分かってるのかなぁ〜?」
めぐみん達が話していると、ペコリーヌとコッコロが戻って来た。
「おや?ミソギちゃん達ですね、おいっす〜☆」
「ほんとに行ってきたのですね、ネギを手に入れられましたか?」
「うん!取れたよー!ほらっ!」
ミソギ達は束になったネギをペコリーヌに渡した。
「こんなに沢山持って来てくれたんですね!ご苦労さまでした!」
「さっそくリュウジさまに使わせていただきますね、これはわたくし達からのお礼です」
コッコロがそう言って1人ずつに500エリスを手渡した。すると、リトルリリカル達は……。
「えっ!?お金くれるの!?」
「やったー!ありがとう!」
「なんかクエスト受けた感じだね」
「貰っていいんでしょうか……?」
「はい。クエストの報酬として受け取って下さいまし。リュウジさまもそうすると思いますので」
「「「「わーいっ!クエスト達成だぁーっ!」」」」
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それから、俺はとてつもないネギの匂いを感じて目を覚ました。
「ん……ん?スンスン……ネギくさっ!」
俺はあまりにも強いネギの匂いに飛び起きると体中汗びっしょりになっていた。俺は首に巻かれたネギを取り払った。
「あー色々思い出して来た。急に倒れて寝込んじまったんだな……それにしてもなんでネギ?」
ガチャ
突然、部屋のドアが開いてペコリーヌが入って来た。
「失礼しまーす」
「失礼するなら出てって〜」
「あっ、はい!ごめんなさ……リュウジくん!?起きてたんですか!?」
「うん、今起きたとこ。このネギは何?嫌がらせ?」
ってかもう体中がネギの臭く感じる。
すると、ペコリーヌがムッとした顔をして言い放つ。
「もう、大変だったんですよ〜?森から帰って来たらリュウジくん倒れてたんですから、びっくりしちゃいましたよ!。そのネギはミソギちゃん達がカモネギから取って来てくれたんですよ?」
はぁ!?
「ミソギ達が!?」
「あっ、あの子達を怒らないで下さいね?彼女たちなりに頑張ったんですから」
「う〜ん……そう言われるとなぁ……なら今度お礼しとくよ」
「そうして下さい。では、お粥を作ってくるんでもう少し待ってて下さいね?」
「分かった」
ペコリーヌは洗面器を持って部屋を後にした。俺は汗をかいたので服を着替え始めた。
なんとか季節的に間に合いました。クリス誕生日おめでとう!!次章から冬に変わります。