第7章のイメージソングは、デビルメイクライ5のop 『Devil trigger』です。
プロローグ
淫夢を堪能し、完全復活した俺はそれからしばらく一心不乱に様々なクエストを受けて美食殿のペコリーヌ達や、農場のマヒルとアオイに色をつけたボーナスを含めた給料を払いまくった。あれよあれよと月日は流れ、遂にアクセルの街に冬が訪れた。冬場に数少ないクエストをこなしたり、最新型の鎧を制作したり、浮遊マントを付けて遊んだりして過ごしていた。
「ふぃーさむさむ」
「今日も冷えるねぇ」
「このカズマさんが開発した【コタツ】ヤバいですね、とっても暖かいです!」
「カズマ様は器用ですねぇ。こんなのを開発するなんて」
「あはは、しかしこのコタツ。暖かいねぇ」
「はい、暖かいです」
俺達は大きなコタツに入りながらミカンを食べて夜を過ごしていると、コッコロがミカンを剥きながら。
「そう言えば、もうすぐ『エリス様誕生祭』ですね」
誕生祭?
「なにそれ?そんなのあったの?」
俺がコッコロに尋ねると、コッコロはミカンを食べながら説明してくれた。
「はい。感謝祭の時のような大きな行事ではないのですが、エリス様の誕生日にはエリス教徒はお祈りを捧げたり、各家庭ではケーキを食べたりしますね」
「…………」
俺は真正面に対峙するエリス様に視線を送ると、恥ずかしそうにコッコロの話を聞いていた。
クリスマス、いや、エリスマスじゃん。
「へぇ〜、こっちでもそんな事してるんだねぇ」
「え?リュウジの国でも誕生祭あるの?」
「あるよ?けど俺やカズマ、ミツルギの国とはちょっと物足りないな」
「物足りない?なにが足りないんですか?」
ペコリーヌが器用にミカンの皮を使って蛇の様な形を作りながら俺に聞いて来た。
「俺らの国ではまぁ、プレゼントとか貰ったぞ?」
「プレゼント?なにそれ?」
クリスが食い気味に俺に尋ねて来る。
「まぁ砕いて話すと、寝る前にベッドにオシャレな靴下を吊るして置くと寝ている間にサンタクロースっていう人がプレゼントを置いていってくれるんだよ」
「信じ難い話ですね。リュウジ様はそのサンタクロースという方を見た事があるんですか?」
マリューが疑い気味に俺を見つめる。
「まぁ、あるっちゃあるかな?」
近所のおじさんだけど。
「えぇ!!どんな人だったんですか!?教えてくださいっ!」
ペコリーヌは目を輝かせながら俺に言ってくる。
信じちゃったよ。
「え〜?えーっと、白い髭にポチャッした体格で赤と白い服を着た人かな?」
「年齢は?」
「ね、年齢!?……ご、50?」
「ふむふむ、なるほど。何をすればプレゼント貰えるんですか?」
「子供かよ、良い子にしてないとプレゼント貰えないんだぞ?」
「えっ!?良い子じゃないと貰えないの!?」
何故かクリスは上擦った声を出す。
「子供の頃の話だからな!?今現在貰えるとは限らないんだぞ!?」
「そうなんですか……がっくし……」
「ならわたくしは貰えるのですね……ワクワクして来ました」
「この国にサンタクロースいないだろ。何?エリス様に頼むの?」
「っ!?」
俺がコッコロに言うと、動揺したのかクリスはミカンの皮を剥きすぎて実を潰した。すると、マリューがクスクスと笑い出す。
「コッコロ様、今回は分かりませんよ?もしかすると、ここにいる皆さんやクロエ様とマヒル様は貰えるかも知れませんよ〜?」
マリューはニヤリと笑って俺を見つめる。
確かに、ここにいるメンバーやクロエにマヒルはいつも世話になってるからな、感謝の印にクリスマスプレゼントするってのも手か。
「どうだろうねぇ。この世界にサンタクロースがいれば来るんじゃないか?」
「わぁ〜!楽しみですね!」
「そうでございますね」
そして、その日の夜。俺は部屋でレッドウォーリアのメンテナンスをしていると、ドアがノックされた。
「リュウジ様、よろしいでしょうか?」
「ん?マリュー?どうした?」
マリューは入って来た途端、ニヤニヤしながら。
「プレゼント何渡すんです?」
「展開はぇーな。まだするとは決めてねぇぞ?」
「へぇ〜。しないですか?普段お世話になってる方々ですよ?特に、クリス様、ウィズ様、ペコリーヌ様、あるえ様などなど……。たまには恩返しでもしたらどうです?」
恩返しねぇ。
工具を片付けながら俺はマリューに返す。
「わーったよ。やりますよ!サンタクロース」
「私もお手伝いしますから。あっ、私は腕輪が欲しいです」
「ちゃっかりしてんな。分かったよ、用意しておく」
「楽しみにしてますね!んじゃ、おやすみなさい」
「おやすみ」
俺とマリューは挨拶を交わし、マリューは部屋を後にした。
───────────────────────
翌日。俺は雪がチラつく中、冒険者ギルドに顔を出した。椅子に座りながら俺はプレゼントの事を考えていた。
「プレゼントなぁ、どういうのがいい物かなぁ……」
リトルリリカル、ペコリーヌやウィズは直ぐに思い付くんだけど……。肝心の
ホワンホワン……。
俺は想像してみると、ペコリーヌ、あるえ、ウィズ、エリス、カズマなど5人が横に並んで『ありがとう』と書かれたボールを持っていた。だが、エリスだけがボールを持っていなかった。エリスは欲しいのか、隣にいたカズマに声をかけ始めた。
あ、あの……カズマさん
ダメだ、これは俺が貰ったありがとうだ
カズマはエリスを拒否し、ひょいとボールを避けた。すると今度は反対側にいたウィズに声をかけ始める。
その……ウィズさん!
あげません……
え?
あげません!!
えぇ!?うう……よよよ……
ウィズに頑なに拒まれたエリスはペタンと座り込んで泣き始めた。それをイメージした俺は正気に戻し、頭をくしゃくしゃした。
「ウィズそんなに怒らなくてもぉ〜!!」
「私がどうかしましたか?」
え?
俺は横を向くと、ウィズが立っていた。俺は思わず……。
「ウボァッ!?」
変な声出ちゃった。
俺は気を取り直してウィズに声をかけた。
「ウィズ、どうしたの?」
「ええ、ちょっとお水を飲みに……」
「水?それなら店で」
そう言おうとウィズの顔をよく見ると、どこか慌てた様子だった。ただ事じゃないと悟った俺はウィズを落ち着かせた。
「何があったの?良かったら話を聞くよ?」
「実は……ストーカーが現れたんです」
そんな事を口にした。水を一気に飲んだウィズは落ち着きを取り戻した。俺は改めてウィズに尋ねた。
「ストーカーって、どういう事?詳しく事情を教えてくれる?」
「はい……それは、昨日の夕方でした」
────アクセルの街のお惣菜を作る店では、夕方になると野菜の切れ端が廃棄される。そういった店で野菜くずを分けてもらい、ウィズが店へと帰る途中の事だった。ウィズの店は裏路地にある為人通りが少ない。そんな人気のない路地で、フードを深く被った男が立ち塞がったのだという。
「真っ黒なローブを着た人は、フードを深く被ったままこう言ったんです。「俺の名は【デューク】。お前に会う為に遥か遠い地からやって来た者だ。何年もの間、お前の事を調べ続け、お前の事だけを考え続けていた」と……」
お?やべぇ奴だな。いや、待てよ?こんなおかしな世界だ、恋愛基準も変わってる可能性があるな。もしもの場合「貴方に私の何が分かるの!?」って論破されない為の対策かも知れない……難しいパターンだな。
「う〜ん、他になにか言ってなかった?」
「はい。その人はこう言ってました。「俺は、ただひたすら自らを鍛え続けた。それがなぜだか分かるか?」と………」
知らねぇよ。
「で?、ウィズはなんて答えたの?」
「もちろん、分かりませんと答えました。すると……!」
よほど怖い目に遭ったのか、ウィズは一拍躊躇して。
「「お前を襲う為に決まってるだろう!」そう叫んでローブを脱ぎ捨てようとした時点で、私はその場から逃げました……それでたまたまリュウジさんを見かけたのでこの冒険者ギルドに入ったんです。今店に帰る訳には行かないのでゴーストを呼び出し、ストーカーさんの様子を探って貰っていました」
ウィズの話を聞いた俺は更に頭を悩ませる。
「う〜ん、ストーカーって言うかほぼ別件で被害届け出せるんじゃない?いくらウィズが氷の魔女と呼ばれたアークウィザードだとしても怖かったでしょ?」
「はい、怖かったです……」
リッチーになっても心は人間のウィズ、怖かっただろうに。
「それで?それからお化けさん達から何か聞いてないの?」
「いえ、それが分からないんです。街中にゴーストを放ったのですが、ちっとも連絡が取れず……。それどころか、ゴーストの多くがその方に”浄化”されてしまった見たいで……」
ゴーストを浄化出来る変態不審者か……。
「アクシズ教徒かな?」
「アクア様の人々にそんな人いるでしょうか?」
「いるんじゃない?エリス感謝祭で痴漢騒動あったし」
俺がそう言うと、ウィズが複雑な顔をしながら。
「何か対策をお願いしても良いですか?」
「とりあえず、店に戻ろう?俺と一緒なら大丈夫でしょ。俺だけじゃ判断出来ないからバニルとかにも相談して見よ?」
「けど、店には昨日の夕方から帰ってませんし……」
「大丈夫だよ。俺がちゃんと説明するから」
俺が説得すると、ウィズは覚悟を決めて。
「分かりました!帰ります!」
「んじゃ行こっか」
「はいっ!」
俺はウィズと共に店に戻った。だが、その後ろ姿をじっと見つめる姿があった。その後、ウィズと共に店に入った途端。
「こんな時間に帰ってくるとは、一体どこをほっつき歩いていたのだ尻軽店主め。今朝は早くから仕入れがあると言っておいたであろうが!」
「まってくれバニル。ちょっと複雑な事情があるんだ」
「なんだヘボ魔王、このへっぽこ店主と一夜を共にしたのでは無いのか?事情というのは避妊の心配という事ではないのか?」
「違うわいっ!実はな?」
───────────────────────
「という訳なんだ、ちょっと調べてみてくれないか?」
「ふむ。香ばしい悪感情は美味なのだが、先ほどから見通す力を使っているのだが居場所までは見ぬのだ。その者は、ただの変態不審者ではないやもしれぬ。我輩の見通す力を遮断出来る強者の可能性があるな」
「ウィズとバニルの同等の変態不審者かぁ、厄介極まりないな」
何事かを考え込んでいたバニルが突然ポンと手を打った。
「行き遅れ店主よ、ここは逆に考えるのだ。汝をここまで想ってくれる物好きはこのヘボ魔王くらい。ここは相手のスペックを考えて妥協しておくのも良いのではないか?」
「い、嫌ですよ!、初対面でいきなり襲ってくる人だなんて!あと行き遅れ店主はやめて下さいっ!」
「え待って、俺も変態不審者扱いされてない?」
と、その時だった。
「ウィズさんはいらっしゃいますかー?郵便でーす」
「あっはい!ご苦労さまです〜!」
店のドアを開け、郵便配達の人が手紙をウィズに手渡した。
この流れで手紙は……。
それを受け取ったウィズが中を改めると、案の定ウィズの顔が曇り出す。
「大方ストーカーからの手紙か。それを見通して辿れば、相手の居場所が分かるかもしれぬ。調べて、我輩がそやつを襲撃してやろうか?」
「待ってよバニル、俺にも手伝わせてよ。同じ変態不審者にされた俺もちょっと一発キツいのお見舞いしてやりたい」
珍しく俺と意見が一致したバニルが協力的な姿勢を見せる中。
「バニルさん、リュウジさん、ありがとうございます。ですが、この件は自分で決着をつけます。この手紙には、明日、街の外の荒野にて待つとありました」
ウィズは手紙をギュッと握り締め、決意を秘めた表情で。
「私……。誰かに行為を寄せられたのは初めてですが、真面目に返事を返したいと思います!」
キッパリと宣言した。
あげません!をどうしても使いたかったんです!!