ダストに声をかけられた四人衆は精一杯誤魔化し始めた。
「えーっと、どど、どなたでしょうか?」
「ワタシ達は流れ者の旅の者、あんたなんか知らないわ」
「どどどなたかと間違えられているのではありませんか?」
「どうかあっちに言って貰えないかしら?」
四人衆がなんとか追い払おうとするが、
「何言ってんだお前ら、俺だよ俺、ダストだよ!一緒にクエスト行ったりしたじゃねぇかよ。忘れたなんて言わせねぇぞ?」
デュークがじっと4人を見つめるとメリッサが動いた。
「仕方ないわね、ちょっとこっちにいらっしゃい?いい事してあげる」
「いい事!?なんだなんだ!?」
そう言ってメリッサはダストを外に連れ出した。俺とクリスは首を傾げる。
何をするんだろうか?
「メリッサのやつ、何するつもりだ?」
「メリッサさん、なんで外に……」
すると……。
「調子に乗ってんじゃないわよっ!『バインド』!!」
「ぐへっ!な、なにしやがる!」
「うるさいわよっ!」
ドスッ!バキッ!ゴキッ!
メリッサとセシリーは動けなくなったダストをボコボコに殴り、そのままゴミ捨て場に捨てた。何事も無かったかのようにメリッサとセシリーはデュークに声を掛ける。
「ごめんなさいね、変な人に絡まれちゃって」
「まったく困ったものですね!」
「貴様らAdventuresだな?一体俺に何の用だ?」
ダメだ、撤収!!
俺はいざという時の為に4人には通信魔石を持たせていた。
「こちらリュウジ、作戦失敗だ!戻って来い!!」
「ダクネスすっごい悔しそうな顔してるよ!?」
「これ以上は無理だろ。俺達も逃げるぞ」
「う、うん……」
───────────────────────
その後、俺達は合流してカズマの屋敷に集まった。
「もう金輪際こんな事しないからな!おのれデュークめ」
「ワタシもお断りよ、とんだ恥をかいたわ」
「わたしは楽しかったですよ?ヤバいですね☆」
「この4人を前に鼻の下も伸ばさないなんてなんでやつなのかしら!」
4人はドレスの手袋や髪の毛をバサッとおろしながら1人を除いて怒り任せに荒れ始める。
「デュークなにもしてなくない?」
「そーだよ、デュークからすればいい迷惑だったな」
「2人共よさないか、ダストがいなければ結果は分からなかったろ?」
「ちょっとあんたら、せっかくおしゃれまでしたのに可哀想じゃない!みんな良かったと思うわよ?作戦は失敗しちゃったけど」
ダクネスは余程恥ずかしかったのか、顔を両手で覆った。ペコリーヌは満足気に、
「作戦は失敗しちゃいましたけど、わたし達にまったく興味が動じませんでしたね!」
「そうね、これは見直した方がいいわね」
クセの強い4人だが見た目はいい女、それにすら微動だにせずにしていたデュークはやはり凄い男だったな。それだけでも収穫ありだな。
そう納得していると、キャルがドアを開けてパタパタと慌ただしく動き出した。
「あんた達雁首揃えて何してんのよ」
「おーキャル、バイトか?」
「ええ、帰りは朝方になるから鍵は開けといてね」
「りょー」
「んじゃ、いってきまーす」
「行ってらっしゃい」
キャルはそのままバイトに向かって行った。俺はめぐみんにキャルのバイト先に付いて聞いて見た。
「なぁ、めぐみん。キャルはこんな真夜中になんのバイトしてんだ?」
「私も詳しい事は分かりません。酒場のウェイトレスをしてると言っていましたが、どこの店なのかは分かりません」
「へぇ〜、どっかの誰かさん見たいにグータラ生活してる訳じゃないね」
「おい、クリスそれ俺に言ってんのか?」
「まぁウィズもデュークもエリス誕生祭終わるまでは何事も起こさないだろ。バニルの言った『見通す悪魔が宣言しよう!汝がその男と会う時。これ以上にない極上の歓喜と幸福を享受する者が生まれるであろう!!』ってのが引っかかるけどな」
「アレか、フラグっぼいけど……。今日の所はそろそろ解散するか」
「そうだな、んじゃまたな」
それから数日後、遂にエリス誕生祭当日になった。俺、カズマ、ミツルギはダストのようなチンピラやアクシズ教徒がカチコミに来ないように教会入口、裏口を警備して祈祷が終わるのを待っていた。裏口にはミツルギに行ってもらい、入口は俺とカズマで守りを固めていた。
「ただお祈りするだけって退屈だな」
「いや感謝祭の時も本来はこうだったんだぞ?アクアが騒ぐからあんな大事になったけども」
「暇だなぁ〜……そういやエリス様は?」
「エリスは天界に戻ってる。「さすがに今日は戻らないとね……」ってよ」
俺が早朝の出来事を話すと、カズマはうんうんと頷く。
「さすがはエリス様、メインヒロインだけある」
「めぐみんといい感じの奴が何言ってんだか」
「プファー!なに?妬み?やだやだ、みっともない」
カズマはクスクスと俺を嘲笑うかのように笑い出した。
何コイツ、ムカつくな。
「それはそうと、今日は日本で言うところのクリスマスなんだぞ?お前プレゼントとか決めたのか?」
「あー、めぐみんから聞いてた。本来はケーキ食うだけで終わりなんだろ?なんか味気ねえし、めんどくせぇから本人に何欲しいか聞いたわ」
いや、そこは頑張れよ。
「めぐみんはそれなりに期待してたんじゃねぇの?」
俺がそう言うと、ここあたりがあったのか黙り込み、重い口を開いた。
「実はこの前、「アクアとダクネスが眠ったら大人の遊びしませんか?」って言われたんだけどよぉ」
おいマジか。
「うん、それで?まさかヤッたの!?」
「いや……実はその前の日に”例の店”に行ってスッキリしたばっかで」
「何してんだよお前は!めぐみんが勇気をだして言ってんのに!!」
「聞いてくれよ!向こうも悪いんだぞ!?めぐみんはいつも思わせぶりな態度の割には一線を越えようとしないわ、ダクネスは無駄にエロい体してるくせに、半端に誘惑するだけしといて度胸はないわでこっちはイライラしてんだよっ!そら例の店にも行きたくもなるわ!」
カズマは取り憑かれたかのように教会の壁をガンガン蹴り出した。
「最低な逆ギレだな」
俺はふと、アクアの事をカズマに聞いた。
「そういえばアクアは今日何してんだ?今回の警備はアクア、セシリー対策見たいなもんなのに」
「あー、屋敷でゲームでもしてるんじゃないか?」
ゲーム!?
「何言ってんだ?この世界にプレス○とかスイッ○とかあるわけねぇだろ」
俺がそう言うと、カズマがチッチと指を振る。
「俺もそう思った。紅魔の里の謎施設覚えてるか?」
「あー、隠しコマンドあった所?そういえばお前探索するとか言ってたな」
「なんとそこにあったんだよ!」
「マジで!?他に何あった!?」
俺は食い気味にカズマに聞き出す。
くそっ、そうなら俺も行っておくべきだったわ!!
「えーっと、なんかガチャガチャがあったな?その中に【紅魔族改造チケット】とかあったかな?その他には〜ビデオデッキとか、テレビ、チャリ、なんかの製造ラインの設備とかガラクタがいっぱいあったぞ?」
「なんかすげぇ言葉聞こえたんどけど?改造チケットって何!?」
「そういえばリュウジはシルビアと戦ってたから知らないんだったな。ここだけの話、紅魔族は人造人間なんだよ」
えっ!?
「人造人間……えっ、嘘だろ!?」
「しかも、その元締めがあのデストロイヤーを作った奴だった」
「アイツが!?「国滅んだやっべ!」って日記付けてた奴!?」
「そう、そしてシルビアを倒した武器【レールガン(仮)】、【魔術師殺し】もそいつが作ったんだってよ」
マジでか!?
「あいつどんだけ迷惑かけてんだよ、ある意味裏ボスじゃねぇか!」
「俺も思う。死んでて良かったな」
「で?どんなゲームしてんの?」
「がんばれゴエモ○2」
「なっつ!なに?アクアとやってんの?」
「そう、すぐ落ちて死ぬから残機の取り合いだよ」
わかるわー。
スーファ○の話しで盛り上がっていると、カズマが。
「リュウジは紅魔の里で養殖してたんだろ?」
「うん、そのおかげで『竜人化』を覚えられたんだぞ?苦労したんだぞこのスキルに覚えるの」
「そう言えばこのスキルは誰に教わったんだ?王都の勇者候補にでも教わったのか?」
「いや?別の異世界の日本人から」
俺はカズマに淡々と説明すると、カズマは「えっ?」って言いそうな顔をした。
そう言えばセイヤの話しした事なかったな。
「他にも異世界があるのか!?」
「俺だって元々は別の異世界にいた日本人だぞ?」
「そういえばお前魔王だったんだもんな、で?このスキルの持ち主ってどんな奴だったんだ?」
「聞かない方がいいよ、心折れるぞ」
「何それ怖いっ!」
そうこうしているうちに、教会に入っていたエリス教徒達がゾロゾロと出て来た。その中には、ミソギ、ミミ、キョウカ、こめっこが出て来た。
お祈りが終わった見たいだな。
「あっ!にーちゃん!」
「リュウジお兄ちゃんとカズマお兄ちゃん、こんにちは〜」
「カズマさん、リュウジさん。ご苦労さまです」
「あっ、ねーちゃんの男」
こめっこちゃん言い方が雑っ!
「お祈りご苦労さま!美食殿でペコリーヌねーちゃんがおっきいケーキ作って待ってるから行ってきな?」
「ケーキ!!ミソギも食べるー!」
「わーい!ケーキだぁー!」
「わ、私は今ダイエット中ですから!」
「ケーキ食べる!じゅるり……」
「それと、今夜は早く寝なよ?早く寝たらエリス様がいいモノくれるかもよ?」
俺がそう言うと、リトルリリカルメンバーは目をキラキラと輝かせた。
「えっ!?なになに!?教えてにーちゃん!」
「お兄ちゃん、エリス様が来てくれるの〜?」
「とても興味深いですね、何がおこるんでしょう?」
「食べ物くれるの!?じゅるり……」
「ひーみーつ、ほらっ!早く行かないとにーちゃんが食べちゃうぞ?」
「ダメ〜!ミミ、キョウカ、こめっこ!急いで行くよ!」
ミソギが早々と走って行くと、ミミ達は慌ててミソギを追いかけて行った。カズマは俺とリトルリリカルのやり取りを見て、
「お前子供と話す時はそんな顔をするんだなぁ〜」
「それどういう意味!?」
「それで?あの子らにもプレゼント用意してたのか?」
「もちろん、4人にピッタリのプレゼントを用意したよ」
「サンタクロースにでもなるつもりか?」
カズマに呆れ顔をされながら言われると、俺は得意げに。
「もちろん、この世界の子供達にも少しは夢を見せたいからな」
───────────────────────
その晩。俺は金獅子の姿になり、エリス教が経営している孤児院にやって来た。俺は解錠スキルで鍵を開けて子供たちの部屋に忍び込み、一人一人にプレゼントを置いた。ミソギには新しいガントレット、ミミにはピンクのうさぎ耳のローブ、キョウカには紫色のリボン、こめっこには、姉の杖とは違ってモンスターの素材を使って片手でも振れる杖を用意した。
よし、リトルリリカルはこれで大丈夫だな。
そのまま俺は来た道を戻って孤児院を出た。次に向かったのはクロエの自宅だった。窓から覗いてみると、クロエは勉強中に眠ってしまったのか、勉強机で眠っていた。気配を殺しながらゆっくりと近付き、クロエへのトンファーを置いてその場を後にした。再びテレポートでアクセルの街に戻り、自分の家に戻って来た。
さて、問題はここからだな。
まずはコッコロの部屋に入る。コッコロはパジャマ姿で眠っており、ベッドの隣には小さい赤い靴下がぶら下がっていた。俺はこの靴下の中に花びらで作られたアミュレットを入れた。俺は頭巾を外し、コッコロの頭を撫でながら囁いた。
「いつもありがとうね、コッコロちゃん」
そう囁いて俺は部屋を後にした。そのまま俺はペコリーヌの中に入り、ソロリソロリと近付いた。俺はそのままペコリーヌの顔を覗いた。
寝顔かわいい……。
俺はベッドにぶら下がっていた赤い靴下にヴィヴラニウム繊維で作った手袋を靴下の中に入れた。
よしっ、次っ!
可愛い寝顔を堪能した俺は最後に今まで支えてくれたマリューの部屋に入った。ゆっくりドアを開けると、
「来るの遅いですよ」
起きてるっ!!
「なんで起きてんだよ、お前で最後だったのに!」
「私で最後だったんですか?クリス様は?」
「クリス今日は天界に行ってるでしょーが」
俺に言われたマリューは手をポンと叩いた。
「そういえばそうでしたねっ!うっかりしてました!」
「まったくそれでも竜帝かよ。あっそうそう、この前デュークに会ったんだけどさ、俺達と手合わせしたいんだってよ」
「なんですかそれ、得体の知れない輩が私達にケンカを売るなんて頭おかしいんですかね?」
「そこなんだよ。なんかアイツ、ルシファーに似てるんだよな」
「ルシファー様に?まさか、有り得ませんよ」
「俺もそう思うんだけど、嫌な予感がしてな」
「そうですね……」
あっ
「おっと、いけねぇ。忘れるとこだった」
俺は袋の中からプレゼント箱を取り出し、マリューに差し出した。
「マリュー。いや、竜帝・魔竜……いつもありがとうな」
「なんか照れくさいですね、こちらこそ」
俺とマリューは握手をしてハグをした。
同時刻。安酒場では、キャルとデュークが2人で何かを話していた。
「新情報を手に入れたわ、ウィズが鋼のリュウジに告白してフラれたそうよ」