※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

166 / 232
いつもご愛読ありがとうございます!魔王復活編が思った以上に早く終わりそうなので登場人物を増やしたいと思います。なので7章登場人物を修正します。


138 堕天使

キャルに情報を受け取ったデュークはグラスにヒビを入れて答えた。

 

「何?どういう事だ?」

「言葉通りよ、詳しくは分からないけどバニルと鋼のリュウジが話していた事だからガセネタではないわよ?」

 

キャルがそう言うとデュークは、

 

「信じ難いな、ウィズと鋼のリュウジは師弟関係なのだろう?」

「確かにそうだけど、バニルが言い出したのよ?」

「バニル殿か……」

 

デュークはグイッと酒を飲み干し、話題を変え始めた。

 

「それは後々片付けよう。話が変わるがキャル、鋼のリュウジを殺したと聞いていたが?」

「そこよ、それを調べる為に潜入してるんでしょ?あたしだって分からないのよ!」

「そうか……セレスディナ殿も『デス』で鋼のリュウジを殺したと言っていた。という事は、奴は二度も死んでいるという事か?」

「そ、そうなるわね……そこもちゃんと調べておくわ」

「うむ。キャルは気付いた事はないのか?鋼のリュウジが生き返る時に何か無かったか?」

 

デュークに言われたキャルは、顔を片手でも支えながら考え込見始める。

 

「言われて見ればそうね……ハンスと戦った時もなんでかほぼ完治してたし……まさか、アクア?」

「アクア?誰だそいつは?」

「あんた見た事ない?青い服に青い髪の毛の女」

「青い髪……青い服……アイツか。この前ここに来たぞ?仲間を従えて」

「はぁ!?ここに来たの!?」

 

キャルがカウンターをガシャンと音を立てながら立ち上がってデュークに言い放つ。デュークは半ば押され気味に、

 

「う、うむ。Adventuresのほとんどがここに来たぞ?俺をナンパしようとしていた様だが……」

「ナンパ!?意味がわからないわよ、何考えてんのよアイツら!?」

「さぁ?よく分からんな」

 

デュークが首を傾げると、キャルが思い出したかのように、

 

「あっ、言い忘れてたわ。この前ダニエルから聞いたんだけど、紅魔の里を担当してたシルビアと狙撃手のレオンが殺られたわ」

「レオンとシルビア殿が!?何故だ!?」

「Adventuresに決まってるじゃない。正式の魔王軍幹部と候補がことごとく負けてる。ウィズは役に立たないし、バニルも戻ってこない。セレスディナに至っては一度捕まったけどあたしとウィックが助けたわ。あんた、ウィズと戦いたいとか言ってるけど意味あんの?自動的にあんたも幹部になれるのよ?」

「うむ……だが、火炎魔法使いとして氷結魔法を使うウィズを倒さなければ」

「もうそんな悠長な事言ってる場合じゃないのよ?騙し討ちでもなんでも邪魔者を排除していかないと、こっちが殺られるのよ?」

「確かに……貴様の言う通りだ」

 

納得し始めるデュークにキャルは。

 

「それにAdventuresには他にもアークウィザードはいるのよ?爆裂魔法のめぐみん、ライトオブセイバーを駆使するゆんゆん。厄介な奴はゴロゴロいるの。こだわっているとあんたも殺られるわよ?綺麗事してたらこの戦いには勝てないわ」

「……そうだな」

「いい?ウィズとバニルはもう仲間じゃないの。魔王軍との契約を破ったハンスもそれでウィズにやられたの」

「なるほど、デッドリーポイズンスライムのハンス殿が殺られた理由が分かった。ウィズが凍らせたからAdventuresは勝てたのだな」

「ええ、どうしても戦いたいならまずはウィズを弱らせてからAdventuresを倒した方が懸命ね、まずはウィズを浄化魔法で弱らせればなんとかなるわ」

 

キャルが悪人の様な顔をしながらデュークに助言をした。デュークは渋々頷く。

 

「あまり卑怯な手は使いたくないが、仕方ないな」

「これは戦略よ。引っかかる方がバカだわ」

「それもそうだな」

 

デュークが頷きながら酒を飲み、懐から小袋をキャルに差し出した。

 

「今日の情報料だ」

「まいどあり。さて、そろそろあたしは帰え───」

 

キャルは小袋の中に入った金貨を数え立ち去ろうとしたその時、酒場にスーツを着た男が入って来た。

 

「なんだ、キャルも居たのか」

「あんたまで来たの?ウィック」

 

キャルとデュークの前には魔王軍幹部のブギーマンこと、ウィックが居た。

 

「急な仕事が入ってな、顔を見せに来ただけだ」

「仕事?」

「ウィック、仕事とはなんだ?本業の方か?」

 

キャルとデュークがブギーマンに尋ねると、ブギーマンは店員にウィスキーを頼んで飲みながら答えた。

 

「今回はウォルバクの支援だ」

「ウォルバク?そういえばあたし、会ったことないのよねぇ」

「邪神ウォルバク殿か……魔王軍最強の魔導師と呼ばれた」

「で?なんであんたがそこへ行くのよ?砦の戦況もヤバいの?」

 

キャルがブギーマンに尋ねると、

 

「遠からず近からずって所だな。勇者候補の数を減らしてこいと命令が出た」

「勇者候補の暗殺か、勝てるのか?魔剣のミツルギと同等のレベルの連中が居るのだろう?」

「不可思議な能力に甘えてる人間に俺は負けない。夜は俺のテリトリーだからな」

 

キャルはピンと来たのか、クスりと笑う。

 

「なるほど、ブギーマンって呼ばれるわけが分かったわ」

「健闘を祈る」

「間に合ってる」

 

ウィスキーを飲み干したブギーマンは、料金を支払って店を後にした。

 

「んじゃ、あたしも帰るわ。あまり遅くなると怪しまれるからね」

「そうか」

「良い報告を待ってるわ。それまであたしは向こうにつくから」

「分かった」

 

キャルはそう言って、店を後にした。

 

────────────────────────

 

翌日。

 

俺はウィズの店に顔を出して見た。

 

「おいっす〜」

「へいらっしゃい!ヘボ魔王。発情店主なら帰ってきているぞ?」

「ウィズ……帰ってたの?、そりゃ帰ってくるか自分の家だもんな」

「ウィズなら、店の裏庭でボッチエルフの如く花を相手に語り掛けているぞ。正直見ていて気持ちが悪いのでとっとと終わらせて、我輩を楽しませてほしいものだ」

 

バニルは嫌そうな顔をしながら店の裏手を指さした。

 

「言っても無駄だろうけど、なんでデュークを褒めるんだ?お前にメリットなんて無いだろう?」

「その答えを先に言ってしまっては楽しめないだろう?フハハハハ、我輩は嘘は言わぬ。我輩が以前見通したとおり、色ボケ店主があの男の想いに応える時。これ以上ない極上の歓喜と幸福を享受する者が誕生する。それだけは間違いない。悪魔は嘘はつかないのだ、ぜひ楽しみにしておくがいい!!」

 

なぜかウキウキしているバニルだが、それを見て嫌な予感が増した。

 

どうも何かが引っかかる、だがそれが分からない。

 

俺が考えている中、ウィズが戻って来た。

 

「あ……リュウジさん……いらっしゃいませ……」

「おはよう、ウィズ……」

 

気まずい……。

 

「フハハハハ!!なんという悪感情!!フハハハハ!良いぞ!滅多にお目にかかれない味だ!フハハハハ!!」

 

コイツ!!

 

バニルは俺とウィズを交互に見ながらゲラゲラと笑い出す。だが、ウィズは吹っ切れた様な表情を浮かべていた。

 

「────私、あれから考えたんです。私は確かにリュウジさんにフラれちゃいました。でもここは、リュウジさんを忘れてデュークさんの想いに応えるべきか、それとも恋愛を諦めてバニルさんの願いを叶えるために、店を頑張っていくべきか……」

「い、いやぁ……それ本人の前で言っちゃう?」

「───────ッ!!───────ッ!!」

 

バニルは口を抑えながら店の中をゴロゴロ転がって笑いコケている。

 

「ああっ、毎日平和にお店を繁盛させていただけなのに、突然こんな事になるなんて。リュウジさん、私は一体どうすべきなんでしょう?バニルさんは確かに私を必要としてくれています。ですが……」

「いや、あの、ウィズ?それ俺に言っちゃう?俺今凄く居た堪れないよ」

「プーッ!!ブハハ───ッ!!」

「『カースド・ダークネス』」

 

もうどうすればいいか分からなくなった俺は『感情を無にする呪い』を自分に掛けた。すると、バニルは俺から出てる悪感情がなくなったのに気付き、素に戻った。

 

「どうすればいい?」

「どうするもこうするも、必要なのはウィズの魔法で、経営能力ではないのは確かだ」

 

俺とバニルを無視するウィズは、窓の外の景色を眺め、ガラスにペタリと手を置くと。

 

「デュークさんに至っては、私を必要としているのではなく、私じゃないとダメだと。私以外には考えられないと、好きな男なんて忘れて俺のところへ来いと、そこまで言ってくれてるわけで……」

「そこまで言ってなかったでしょ、俺近くで聞いてたけど」

「言ってくれてるわけで!どうすべきでしょうかリュウジさん、私はどちらの道を選べば良いのでしょうか……?」

 

ヤバい、めんどくさい……。ウィズって病むとこうなるのか?こうなったのは俺の責任か?

 

俺は考えた末、ウィズに言い放つ。

 

「ウィズが信じる方を選べばいいと思うよ?デュークは確かにいい男だよ、認める。俺はウィズが幸せになってくれるなら……うん」

「そうですか!リュウジさんのお眼鏡にも適う様な方でしたか!」

 

そう言って、うふふと不気味な笑みを浮かべるウィズを見ながら、

 

「ヤバいってこれ、お前何か変なもんでも飲み食いさせたのか!?」

「心外な事を言うな。我輩とてフラれた店主のあまりの惨状に心配になり、ここ最近はそれなりの物を食わせているのだ。そうしたら……なぜかこのメンヘラ店主は、我輩がウィズを引き留めるため、いつもより優しくしだしたと、妙な勘違いを始めてな」

 

なんか、ごめんなさい。

 

「いやウィズが嫌いって訳じゃないの。友達以上の関係が想像出来ないの!」

「どの口が言っておるのだ?サキュバスの淫夢でこの街に来て一番に指名しておいてその言い草は無いだろう?」

 

知ってたか……。

 

「それはそれだろ!確かに悪いとは思ってるけど……ここまでとは……」

「そういう事だ。今日ではひがな一日、あのように脳内が花畑と化している。ああしているとおかしな物をを仕入れて来る事だけはなくなったので、商売の邪魔にはならないのだが……我々悪魔にとって精神攻撃というものは、下手な魔法より効くのでな」

「言われてみれば……どんなに強くても精神的な所をつかれるとキツイな。俺も仲間を殺された時は俺も死にたくなったしな」

 

俺達にそんな事を言われているとも知らず、当のウィズは構って欲しそうな感じでチラチラと俺とバニルを見ている。バニルは人間臭く深くため息を吐きながら、バニルはメンヘラ化したウィズに言った。

 

「メンヘラ店主よ、その様子だと呼び出しの手紙を受け取ったのだろう?とっとと行ってケリを付けて来い。そして我輩との契約を果たせ!」

「それって、店主を続けて欲しいって事ですか?」

「店主を我輩にやらせろと言っても汝は聞こうとしないだろうに」

「行ってらっしゃい、ウィズ」

 

俺とバニルに言われたウィズは覚悟を決めた様な顔をして。

 

「はいっ!わかりました!行ってきます!」

 

ウィズはそう言って店から飛び出して行った。俺は居てもたってもいられなくなり、

 

「やっぱり心配だ、俺も行ってくるわ」

 

店から出ようとした瞬間、バニルに腕を掴まれた。

 

「待てヘボ魔王。汝は我輩と商品の仕入れを手伝うのだ」

「珍しいな幸運値が最悪な俺を連れて行くなんて」

「なぁに、何時の出番はまだまだ先の話だ」

「はぁ?」

 

首を傾げると、バニルは不敵に笑った。

 

────────────────────────

 

その頃。カズマ、ミツルギ一行はカズマの屋敷に向かう途中にパタパタと駆けるウィズと出会した。アクアは急ぐウィズに声をかけた。

 

「あらウィズ、そんなに急いで何処に行くの?」

「アクア様。それにカズマさん、ミツルギさんまで!実は、今からデュークさんに返事をしようと思って共同墓地に向かう所なんです」

 

ウィズの言葉にめぐみん、ゆんゆん、キャルが。

 

「ウィズ、申し入れを受けるつもりなんですね。頑張って下さい」

「ウィズさん、めぐみんから聞きました!上手くいったら皆でデートしましょうね!」

「付き合い短いから偉そうに言えないけど、頑張りなさいよ」

(デューク、殺るつもりね……)

 

励まされたウィズは恥ずかしそうに頷く。

 

「んじゃ、行ってきます!」

 

ウィズは再び駆け出した瞬間。

 

「ウィズ、なんだか私嫌な予感がするの!」

「アクア、いくら何でもここは空気を読んでやれよ」

「アクア様、今回ばかりは流石に……」

 

カズマとミツルギがアクアを止めようとすると、アクアは言った。

 

「ホントなの!だから私は屋敷で待ってるわ!」

「お前寂しくなるからっていかないだけだろ」

「出来れば私はアクア様にも来て欲しいのですが……」

「ウィズ!?」

 

ウィズも怖くなってきたのか、アクアに助けを求める。

 

「いや、大勢で行ったらデュークさんに失礼だ」

「確かに、少人数で見守るならデュークさんも困らないだろう」

「ならあたしもアクアと屋敷で待ってわ」

「ウィズさん!オラ達が付いてるからな!」

「わ、私も着いてますから!」

「はいっ!」

 

結局アクア、キャル、リュウジ、クリス、ペコリーヌ、コッコロ、マリューを除く全員で行く事になった。Adventuresが待ち合わせの場所に着くと、そこにはすでにデュークの姿が。だがデュークはいつもの様にローブとマントを羽織っており、とても告白をする様な格好では無かった。デュークはウィズと共にやって来たカズマ達を見ると、

 

「ん?Adventures勢揃いという訳ではなさそうだな」

「この人達は私を元気付けてくれただけです」

「そうか。その前にウィズ、お前にプレゼントがある」

「プレゼント……えぇっ!?」

 

プレゼントと聞いた途端、Adventuresは中学生の様に騒ぎ出す。

 

「ここでプレゼントとは……良い男は場所を選ばないのだな」

「あんた、男の中の男だっ!感動したっ!」

「もっと場所を選ぶべきですよ!もっとこう、オシャレな店に行くとか!あるじゃないですか!」

「めぐみんはちょっと黙ってて!」

「はぁ〜こんな所でプレゼントだなんてすげぇ人だな!」

「ステキですね!」

 

Adventuresが見守る中、ウィズがデュークに近付いた瞬間。

 

「『サンクチュアリ』!!」

 

そう言って、墓場を包み込む程の大きさの、聖なる魔法陣を浮かび上がらせた。

 

「えぇっ!?ああああああああぁぁぁっ!!」

 

突然の神聖魔法にウィズは対応出来ずに魔法を食らってしまった。

 

「ウィズ!?」

カズマ達が駆け寄ると、デュークは羽織っていたマントを撥ね退け服を脱ぎ始めた。カズマ達はデュークの剥き出しになった背中を見て、

 

「黒い……羽?」

「なぜ貴方はアクアと同じ神聖魔法が使えるのですか!?」

「めぐみん確か、神聖魔法が使えるのはプリースト系とクルセイダーだけの筈だよ!?」

「おい!、なんでいきなり攻撃したんだよ!デューク!!」

 

カズマが言うと、デュークは両手に炎を纏わせながら。

 

「今から死ぬ奴に言う義理はない。俺の名はデューク!【堕天使】にして最後の魔王軍幹部候補だ。悪いがAdventuresにはここでウィズと共に消えてもらう。『インフェルノ』!!」

 

デュークは火炎魔法を放ち、共同墓地に大爆発を起こさせた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。