目を覚ました俺は起き上がって辺りを見渡した。
「ここは……」
見覚えのある部屋、見覚えのあるアメコミヒーローのフィギュアの棚、見覚えのあるラノベの本棚があった。
あれ?ここ、俺の部屋じゃん。
俺は思わず口を開いた。
「戻ってきたのか……?俺?」
えっなに?どういう事!?あれから何年経ったと思ってんの?太刀の勇者になって?鞭の勇者になって?魔王になって?冒険者になったあの世界はどこに行ったんだ?意味がわかんねぇ!!。
「いや、けどなんで急に日本に!?いや、さっきまでエリスと一緒に居たじゃん!」
状況がさっぱり理解出来ない俺は頭を悩ませていると、
「リュウジ〜?起きたの〜?」
ウソ、この声はまさか!?
俺がドアの方を向くとスリッパの音が近付いて来ているのが分かった。そして、ドアが開かれると、
「起きてたの!?ほら、学校に遅刻しちゃうわよ!?」
「母ちゃん!!」
俺はしばらく会っていなかった母ちゃんを見て大声を出した。母ちゃんは驚いた顔をして。
「な、なによ急に大声出して。ほら、朝ごはん冷めちゃうわよ!」
「あっ、うん。今行く」
「まったく、変な子ね」
母ちゃんは捨て台詞を吐きながら部屋を後にした。俺は立ち上がってクローゼットを開けると、転生する前とは違う制服が入っていた。
前の学校の制服じゃねぇな。どうなってんだ?この世界は似てるようで似てない世界なのか?くそっ、よく分かんねぇな。
「考えてたって始まらねぇな。ここにあるもので情報を集めるか」
そう考えた俺は、制服に着替えてカバンを漁り始め、学生手帳を見つけた。開いてみると、【真桜学園3年C組福山龍二】と記されていた。
学年は合ってるけど、クラスも学校も違うな。こりゃめんどくさくなりそうな感じがするな。
ブブブ……ブブブ!!
バイブレーションの振動の音が聞こえて来た。俺はベッドの方を見ると、転生する前に使っていたスマホが充電された状態になりながら音を鳴らしていた。
「スマホの見た目は本物っぽいな。誰からだ?」
俺はスマホを取って確認して見ると、【黒江 花子】という子からLIN〇が来ていた。
黒江花子?誰だ?こんな知り合いいねぇぞ?
LIN〇の内容を確認して見ると、
『はよー、今日バイトっしょ?』
「えっ?バイト!?俺なんのバイトしてたの!?どうしよ、なんて返そう……いいや。情報を集めてから返信しよう。ごめんね」
俺は黒江花子と名乗る女性からのLIN〇を既読スルーしていると、また通知音が聞こえて来た。
「また!?今度は誰!?」
LIN〇を確認して見ると、今度は【真行寺 由仁】と言う女性からだった。
誰!?俺どんだけ他の女とLIN〇してんの!?
また内容を確認して見ると……。
『おはよう。あのさ、今度の日曜日の事なんだけど?』
日曜日に俺は一体何を約束したんだぁ!?デート!?呑気にデートするつもりだったの!?ますます訳が分からなくなって来たわ……。
「考えてたって仕方ねぇ、朝飯食って学校にいかねぇと」
俺は慌てておふくろの味を噛み締めながら朝飯を食ってスマホの地図アプリを駆使して学校に向かった。
「家の内装とかはまったく同じなのに、一部分が違ってる。これはなんだろう?学校も違うしなぁ……」
横断歩道でブツブツと独り言を話していると、隣にはコッコロによく似た小学生の女の子がランドセルを背負ってこちらを見ていた。視線に気付いた俺はチラッとコッコロのよく似てる子を見てみた。
「……コッコロ?」
「はい?なんですか?そのコッコロというのは?」
「あっ、いや。なんでもない。ごめんね声掛けて」
「はぁ……?」
やっぱり似てるようで似てない。この子はコッコロに似てるけど、コッコロじゃないな。
地図アプリを頼りに学校に近付くと、ピンクのブレザーを来た女子高生達を見掛けた。
あれ!?もしかして……。
俺の目の前には、アクア、めぐみん、ダクネス、マヒルが楽しそうに話しながら歩いていた。
「昨日見た?引きこもりYouTuberのサトウカズマさん」
「見ましたよ?相変わらずクズっぷりでしたね」
「オラも見たけど、ゲームはうまかっただな!」
「わ、私はまだ見てないのだが、どんな内容だったのだ?」
そんな会話が聞こえて来た。
俺は思わず4人に声をかけ見た。
「おい、お前らっ!!」
4人は同時に振り返り俺に返事をして来た。
「えっ何?ていうか、誰?」
アクアに似ている女子高生がいぶかしげな顔をして俺に言い放つ。俺は指をさして、
「俺だよ、俺。リュウジだよ」
「リュウジ?知りませんね?【椿ヶ丘高校】の生徒ではなさそうですが」
めぐみんによく似た女子高生がアクアの前に立ちはだかり、俺を警戒し始める。
椿ヶ丘高校!?
「あの〜、私は確かにアクアって名前だけど?」
「知ってる知ってる!水の女神アクアだろ?で、紅魔族のめぐみん、ランサーのマヒル、ララティーナお嬢様だろ?」
俺は一人一人の名前を言うと……。
「「「「あははははは!!」」」」
突然手を叩いて笑い出した。
「なにその名前、アニメかゲームのキャラクターと勘違いしてんの?私の名前は【
「私は【
「オラは【野戸 まひる】ってんだけども?」
「私は日本育ちの【ダスティネス・ララティーナ】と言うのだが?」
なんか微妙に違う!!
「す、すいません。人違いの様です」
俺がペコペコと頭を下げると、4人は首を傾げた。
「変な人ね」
「そうですね。今この辺りに現れるという痴漢ではないですか?」
「めぐみ!制服着た痴漢がどこにいるべ!」
「その制服は真桜学園のものだろう?もしかして道に迷ったのか?」
「まぁ、そんな所です……。すいません、他をあたります」
そう言って俺は4人と別れて学園を目指した。それから10分後。なんとか地図アプリを使って学校にようやくたどり着いた。校門を歩いていると、分かった事があった。真桜学園は男子校の様で女子生徒が1人もいないと言う事だった。
「えーっと、真桜学園……どんな学校なのかね」
俺はスマホを取り出して真桜学園を検索して見た。すると、学園の口コミにこんな事が書かれていた。
【スポーツと武道が盛んな男子校。なにより剣道や空手道など様々な武術の強者の巣窟と畏れられる。高校とはいえ、自衛隊や海兵隊などより良い進路を得る為に日々鍛錬に励んでいる。男子校のため、女の子の免疫力は極めて低い】
女の子の免疫がないって……そりゃまぁ男子校だからなぁ。剣道か、なんだか久しぶりだなぁ。
キーンコーンカーンコーン
「おっと、いけねぇ。遅刻しちまう」
俺は駆け足で自分の教室に向かって行った。
────────────────────────
夕方になり、ようやく解放された俺はゲッソリとしながら昇降口から出て来た。
テレ女以の学校生活……。しかも、この学園には魔王達と似てるようで似てない奴らが多かったな。アザゼルにべーやん、それにルシファーに貞夫。頭がパンクしそうだ。
ブーブー。
突如、スマホのマナーモードのバイブレーションが鳴り出した。スマホを取り出して見ると、相手は【黒江 花子】とされていた。
「今度は電話かよ。俺はどんだけこの子と連絡取り合ってんだよ……」
意を決して俺は電話に出て見た。
「えーあー。もしもし?」
《おつー。学校終わったん?》
「お、終わったけど?ど、どーしたの?」
やっべ!何喋っていいか分かんね!
そんな事を考えていると、電話越しから……。
《はっ?何?寝ぼけてんの?ボケ散らかしてんの?。あんた今日バイトのシフトうちと同じでしょ?》
キレのあるツッコミが返ってきた。
あっ、アレ?この言い方どっかで……。
「あっそ、そうだっけ?ごめんごめん」
《いや、いいけど。今どこいんのよ?》
「学校の近くだけど?」
俺がそう言うと……。
《学校の近く?えっ?どこよ?あっ、いたいた》
えっ!?どこ!?
俺が辺りをキョロキョロしていると、うしろから声をかけられた。
「どこ見てンのよ、こっちよこっち」
「えっ?」
後ろを振り返るとそこには、赤い紐リボンと白のビブカラーに黒い制服に身を包んだ我が美食殿の従業員クロエが立っていた。俺は指をさしながら、
「く、クロエ!?」
「ひゃんっ!!あのさ、急にデカイ声出さないでくれる?思わず「ひゃんっ!」って言っちゃったよ。可愛いかよ」
「ご、ごめん……」
そっか、アクア達と同様にこのクロエも似てるようで似てないクロエなんだな。だいたいこの世界に慣れてきたぞ。さて、記憶喪失だって言っても信じて貰えないだろうし、この窮地をどうするか……。
考えた末、俺はバイト先に向かう道中この世界のクロエから色々情報を引き出す為に話題を振ってみた。
「えーっと、ごめん。なんか熱っぽいのか頭が働かないんだよね。俺ってなんのバイトしてんだっけ?」
「は?熱あんの?大丈夫?」
「う、うん。多分大丈夫」
「あんたはうちとカフェのバイトしてんの。18時〜21時までね」
なるほど、カフェか……オシャレかよ。
「で、あんたは真桜学園の剣道部。この前うちが応援しにいったらあんた他のメンバーからタコ殴りにされてたし」
「そ、そうだっけか……あははは」
この世界の俺は一体なにをやってるんだ!?
「それとなんだけど。クロエ……じゃなくて黒江はどこの学校だっけ?」
「はっ?そこまでボケ散らかしてんの?うちは【王林道高校】の2年。思い出したっすか?」
「そ、そう!王林道高校ね!はいはい!」
知らない単語ばっか出てくるな……。
そのまま商店街に入り、とある電気屋のテレビをチラッと見ると。
《北京オリンピック、女子フィギュアスケートの金メダルは『氷の魔女』こと、ウィズ選手が獲得しました!》
え!?ウィズ!?
俺は食入るようにテレビを見ると、ウィズはバニルによく似たコーチと共に写っていた。突然の奇行にクロエは若干引き気味に、
「いや、あんたもう今日は帰ったら?マジヤバいんじゃないの?明日土曜日だし、病院行ったら?」
「い、いや……この選手知り合いに良く似てたからさ」
「この氷の魔女って言われてる人?知り合いだったらあんた何もんよ。【矢志田産業】の甥っ子様は金メダル選手ともお友達っすか?」
え?
俺はギギギと油が切れた玩具のように首をクロエに向けて尋ねた。
「黒江……今なんてった!?」
クロエは何食わぬ顔をしながら、
「え?矢志田産業はあんたの叔父さんが社長してんでしょ?血縁関係は忘れたけど」
矢志田産業!?矢志田産業って確かウルヴァリンの映画に出てたな。そんな人と親戚!?嘘だろおいっ!?そんな親戚いねぇよ!?
俺は情報量の多さに混乱し始めると、クロエは心配そうに背中を摩り始めた。
「やっぱり今日はバイト休んどき?おばちゃん頑張って穴埋めするから」
「う、うん……ごめん。今日は休むわ、店長に言っといてくれる?」
「分かった分かった。早く帰って寝とき」
俺は頭を抑えながら家に帰って行った。家に帰ると、家の近くに高級車が止まっていた。
なんだこの車!?
「た、ただいむぁ」
ビビり過ぎて変な声を出しながら玄関にはいると、リビングから黒髪のオールバックに口髭がカッコイイスーツ姿の男が現れた。
「おかえり。リュウジ」
「っ!?」
えっ!?誰!?誰この人!?
口をポカーンと開けていると、男の後ろから母ちゃんが出て来た。
「あら今日バイトだったんじゃないの?」
「ち、ちょっと体調悪くて休んだ……」
「それは大変だ。早く熱を測りなさい」
男に腕を掴まれそうになると……。
「ひっ!!」
思わず俺はビビって後ろに下がった。すると、母ちゃんが。
「何驚いてんのよ。それにあんた【剣一郎叔父さん】に挨拶したの?」
こ、この人が剣一郎叔父さん!?
俺はとりあえずペコッと頭を下げて挨拶をした。
「た、ただいま帰りました。剣一郎叔父さん……」
「久しぶりだねリュウジ、最後に会ったのは妻の真理子が亡くなった以来かな?」
真理子……真理子……あ!映画でウルヴァリンと一緒にいた人か!?え?という事はここはMARVELの世界なのか!?それとも夢!?
頭をフル回転させて考えていると、剣一郎叔父さんが。
「体調が悪いのか……では、今夜の予定はキャンセルだな」
「予定?予定ってなんですか?」
俺が恐る恐る剣一郎叔父さんに尋ねると、剣一郎叔父さんは顎に手を当てながら答えた。
「実はリュウジにお願いがあってね、会って欲しい人がいたんだ。だが体調が悪いのであれば無理は出来ない。今夜の予定はキャンセルしよう」
何それめっちゃ気になるんだけど!?
「あ、いや体調が悪い訳じゃないんです。ちょっと色々考え事をしていて……」
「そうなのか?では、今すぐ支度をしなさい」
「え?支度?」
首を傾げていると、母ちゃんがパタパタとクリーニングのカバーを付けた状態のスーツを持って来た。
「ほら、これを着て行きなさい」
「え?それ着なきゃマズイレベルなの?」
「当たり前じゃない!相手は世界中で有名なのよ!?」
誰が来るの!?大統領とか来んの!?
「相手が相手だからね。ビシッと決めていかないと恥をかくのはリュウジだぞ?」
「だ、誰が来るんですか……?」
「それは言えないな。会えば分かるさ」
「ほら、早く着替えなさい」
俺は母ちゃんに促されながらスーツに着替えると、剣一郎叔父さんは車に乗せてくれた。叔父さんと向かった先は、有名人も来るという高級レストランだった。俺はレストランを見上げてアホな声を出す。
「ほえあ……」
「さあ、約束の時間に遅れそうだ。行くぞ?」
「はっ、はいっ!」
緊張しながらレストランの中に入ると、直ぐにVIPルームに案内された。VIPルームを通されるとそこには、庶民にも見ただけでわかる高級なスーツに身を包んだアメリカ人がこちらに背中を向けて座っていた。
誰だろう……顔が見えない。
警戒していると、剣一郎叔父さんがアメリカ人に声を掛けた。
※ここからは日本語吹き替えでお送りします※
「遅くなってしまって申し訳ない。ミスター【ブルース】」
え?ブルース?もしかしてブルース・ウィルス!?いや、でも髪型ちげぇーしな……。
「いや、まだ約束の時間ではないよ、十分間に合ってるさ。流石はサムライの国、マナーに厳しいね」
紳士的な返事をしたアメリカ人は立ち上がってこちらに振り向いた。俺はアメリカ人の顔を見た途端直ぐに誰か分かった。
ブルース・ウェイン。またの名を【バットマン】!!
ブルースは近付いて俺の前に立ち、緊張している俺をまじまじと見つめた。
「流石は剣一郎の甥だね。いい目をしている」
「ほ、ほんもの……?本物のブルース・ウェイン!?実在したの!?」
「剣一郎、彼は何と言ってるんだい?」
ブルースは俺が何を言ってるのか分からなかった様で、剣一郎叔父さんに訪ね始めた。
「この時間が夢だと思ってるようだ。ほら、リュウジ。挨拶をしなさい。ブルースさんは日本と深い関係があるお人だからな?誤魔化せないぞ」
「な、Nice to meet you……」
たどたどしい英語でブルース・ウェインに挨拶をすると、
「やぁ、はじめましてリュウジ。僕が本物のブルース・ウェインさ」
喋れんのかい!!
ブルースの流暢な日本語を聞いた途端、再びVIPルームの扉が開いた。俺とブルースは同時に入って来たアメリカ人を見た。
「やぁやぁ、ハッピーが道を間違えてね遅れてしまったよ。久しぶりだね、剣一郎」
「いや、僕らも今来た所さ。久しぶりの日本はどうだい?【トニー】?」
「まぁね、日本に来るとスシとスキヤキが恋しいね」
「嘘でしょ……!?」
俺はブルース・ウェインを見た時と同じ様にガタガタと緊張しだす。
世界中で有名人。この人だったら確かにそうだわ。トニー・スターク……またの名を【アイアンマン】!!
シルバーサムライは原作の設定を参考にしていきたいと思います。シルバーサムライは盲目のヒーローの『デアデビル』が初登場で色々あってベイマックスと同じチームビックヒーローシックスに所属します。