グリーン・ゴブリンとデスストロークと睨み合いになると、アイアンマンが話し出した。
《彼がそろそろ目を覚ましそうなんだ、そろそろケリを付けないか?》
アイアンマンがそう言うと、
「良いだろう、目が覚まさないように殺してやる!」
「バットマン、小僧。決着を付けるぞ!!」
デスストロークがスペアの刀を構えながら言ってきた。バットマンはファイティングポーズを取りながら、
「さぁ、シルバーサムライ。最後の仕事だ」
「はいっ!」
グリーン・ゴブリンとアイアンマンが空中戦で戦っている中、俺とバットマンはデスストロークと戦い始めた。俺が刀で鍔迫り合いをすると、バットマンが殴り掛かるというコンビネーションで攻め立てるが、デスストロークは刀とハンドガンを両手に持って応戦する。
器用なヤツめっ!
「おい、デスストローク。スペアのスペアは持ってるか?『タキオン・フィールド』展開!!」
《タキオン・フィールドを作動させます》
デスストロークの刀を焼き切ろうとした瞬間、
「また焼き切られてたまるかっ!」
デスストロークは焼き切られる前に刀を引いてそのままアクロバットな動きをして俺を変則キックを繰り出して来た。俺がガードをすると、バットマンがフック付きピストルを使ってデスストロークを引っ張り、殴倒した。チャンスと思い、バットマンと共に嵐の様に殴り始めた。
ドスドスドスドスドス!!バキッ!!
殴られたデスストロークのマスクが割れると、白髪の短髪で眼帯をした素顔が拝めた。デスストロークは鼻血を出しながら、
「はぁ、はぁ……俺の負けだ」
「俺が拘束しておく。君はアイアンマンを」
「分かりました」
俺はバットマンと別れ、アイアンマンの応援に向かった。向かった先には、アイアンマンがリパルサー光線を乱発してグリーン・ゴブリンを牽制していた。俺はグリーン・ゴブリンに気付かれずに忍び寄り、刀を抜いた。
今ならグライダーを斬って機動力を奪える!!
アイアンマンは俺に気付いたのか、グリーン・ゴブリンに悟られない様に動き始めた。俺はコンテナに上がってその時を待った。そして、グリーン・ゴブリンは、パンプキンボムを手に取ってグライダーを上昇させた瞬間。
今だっ!!
「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
コンテナから飛び上がった俺はタキオン・フィールドを作動させてグリーン・ゴブリンのグライダーを斬った。グライダーは真っ二つにされ、グリーン・ゴブリンは地面に落下した。アイアンマンと俺は直ぐに駆け寄り、リパルサーと刀を構えた。
「グライダーはもう使えない。降伏しろオズボーン」
「後ろから一刺しも出来ねぇぞ」
すると、グリーン・ゴブリンは突然泣き始めて、
「よしてくれ!俺は、奴に操られていただけなんだ!!」
「泣き落としが僕に通用すると思うか?」
「スタークさん。この後オズボーンをどうするんですか?」
刀を構えながら尋ねると、アイアンマンが。
「SHIELDが拘束し、後はニック・フューリーの仕事だ」
「なるほど、普通の刑務所じゃなければ良いですね」
俺とアイアンマンが話している隙に、グリーン・ゴブリンはデバイスを操作しようとしていた。俺は一瞬目に入り、刀でデバイスを破壊してグリーン・ゴブリンの喉元に刀を突き付けた。
「それ以上動くな、斬るぞ?」
「よくやったサムライくん」
────────────────────────
その後、アイアンマンの拘束具により拘束したグリーン・ゴブリンを連れて行くと、バットマンがデスストロークを連れてやって来た。アイアンマンがマスクを開けてバットマンに尋ねる。
「そっちも済んだか?」
「ああ、済んだ」
「スタークさん、ブルースさん、お疲れ様でした」
俺が頭を下げるとアイアンマンが、
「アベンジャーズに入る気はないか?ピーターパーカーと良いコンビになると思うんだが?」
「ええっ!?」
おいマジか!?
すると、バットマンが前に出て、
「それより僕の助手にならないか?」
おいマジか!?
思わぬスカウトを受けた俺は内心喜んだが、俺は首を横に振った。
「ありがとうございます。嬉しいですけど、辞退させてもらいます」
俺がそう言うと、アイアンマンとバットマンが驚いた様子で。
「な、なに!?どういう事だ!?アベンジャーズだぞ?」
「そ、そうなんですけどね!?」
「僕の助手が気に入らないのか?給料だってちゃんと払うぞ?」
「いや、そうなんですけど!!」
2人に挟まれながら俺は正直に答えた。
「い、急ぎの仕事があるんでいけません!!」
「断る気か?僕を見ろ、ブルースを見ろ。これでも断る気か?」
「はい。すいません……」
俺が断ると、アイアンマンとバットマンは顔を見合せて、
「まぁ、急ぎの仕事があるなら仕方ない」
「そうだな。だが、これだけは言っておく。俺達を憧れるのは構わないが、君には君だけの正義を見つけるんだ」
俺だけの正義……。
バットマンがそう言うと、アイアンマンが共感したのかうんうんと頷いた。
「ブルースはいい事を言うな。僕も覚えておくよ」
その後、ブラック・ウィドウ達とも合流すると、アベンジャーズの空母ヘリキャリアが埠頭に到着した。SHIELDの兵隊にグリーン・ゴブリンとデスストロークは連れて行かれると、次々とパトカーがやって来てあっという間に野次馬が集まって来た。俺はヘルメットを脱いで休んでいるとクリスは横でぐったりとしていた。
「キミの夢は凄いねぇ、ここまでスリルがあるとは思わなかったよ」
「巻き込んで悪かったな」
「いいよ、なんだかんだで楽しかったしね」
2人で休んでいると、ブラック・ウィドウ、キャットウーマン、バットマン、アイアンマンがやって来た。
「どうだ?落ち着いたか?」
「ええまぁ、この様子だと……そろそろ帰らなきゃないですよね」
「そうだな。お別れだな」
アイアンマンがそう言うと、夜空が青くキラキラとオーロラの様に輝き始めた。
どうやら目覚めが近いらしい。だけど、目を覚ますまえに、母ちゃんにクリスを紹介してぇ。
「スタークさん、俺の親とか来てますか!?」
「そういえば剣一郎と一緒にいた女性がいたな」
「クリス、ちょっとこいっ!」
「え!?あっ、ちょっと!」
俺はスーツを着たままクリスの手を引いて野次馬の中から母ちゃんを探し始めた。すると、警察と話している母ちゃんを見付けた。
「母ちゃん!!」
「リュウジ!?あんた無事だったの!?ってなにそのカッコ!?」
「時間がないから先に言うわ!俺、この子と結婚していい!?」
「えぇっ!?」
突然の報告にクリスは上ずった声を出した。だが母ちゃんは呆れた様子で、
「あんた先走りし過ぎよ?いい?まずはお付き合いをしてから決める事なの。それに、お父さんがなんて言うか」
「あ、あの〜?」
置いてけぼりにされたクリスは堪らずに声をかけてきた。母ちゃんは落ち着いた様子で答える。
「あらあら、はじめまして。リュウジの母です。こんな形でごめんなさいね?このバカの言う事なんて気にしなくていいからね?」
「こ、こちらこそはじめまして!あ、あたしクリスって言います!リュウジにはお世話になってまして……!」
辿々しい言葉でクリスが挨拶をすると母ちゃんは、
「緊張しなくていいわよ?これからもリュウジの事をよろしくね?」
「はっはい!」
「リュウジ?お父さんにはお母さんが言っておくから、大事にしてあげるのよ?」
「おう!大事にするわ!」
「ねぇ?こんな感じでいいの!?こういうのってもう少し落ち着いた時にするんじゃないの!?」
「いいのいいの!母ちゃん、久しぶりに会えて良かったわ」
「全く、バカ息子。向こうでもちゃんとするのよ?クリスちゃん、頼むわね?この子バカだから無茶ばっかりするから」
「あはは……努力します」
母ちゃんと色々話していると、更に光が強くなって来た。
もうすぐだな……。最後に!!
「クリス?ブラック・ウィドウ達に挨拶しとく?」
「慌ただしいねキミは!?そんなの当たり前でしょ!!」
「んじゃ、母ちゃん。行ってくるわ!」
「はいはい。気を付けて行くのよ」
母ちゃんと一通り話をした俺は再びアイアンマン達の元へ行き、別れの挨拶を始めた。
「スタークさん、ブルースさん。短い間でしたが勉強になりました」
俺が頭を下げると、2人は俺の肩を叩いた。
「どんなに辛い事があっても決して諦めるな」
「君自身が正しいと思うならば、そのまま突き進め」
「はいっ!」
クリスはブラック・ウィドウとキャットウーマンに抱きつきながら、
「ナターシャさん、セリーナさん。ありがとうございました」
「元気でね」
「泥棒のテクニックは中々のものだったわ。頑張りなさい」
挨拶を終えると遂に青白い光が俺とクリスを包み込んだ。俺とクリスが同時に目を開けると、そこはエリスの部屋に戻っていた。目を覚ました瞬間、アメスとネメシスは抱き合いながら喜んでいた。
「「起きたー!!」」
俺は目を擦りながらネメシスに尋ねる。
「俺ら、どれくらい寝てた?」
「そうですね……12時間くらいでしょうか?」
「そんなに!?って、そっちの方は?」
俺はアメスを目を細くしながら見つめると、アメスは名乗り始めた。
「はいっ、お疲れ様〜。あたしは夢を司る女神・アメス。あんたが目が覚めなないと言ってエリスとネメシスに頼まれて来たのよ」
「そ、そうなんですね……ご迷惑かけてすいません」
「全くよ、目を覚ましたならあたしは帰るわよ?」
「ありがとうね、アメス」
エリスが立ち上がって深く頭を下げると、
「別に大した事じゃないわ、んじゃね」
アメスはそう言い残し、帰って行った。ネメシスはペタンと座り込んで、
「あぁ〜一時はどうなるかと思ったよ」
「俺ってそんなに起きなかったのか?夢の世界じゃ1週間以上暮らしてたぞ?」
「それ程……思い詰めてたんですか!?」
ん?
俺はネメシスの言葉に首を傾げた。
「思い詰めてたって?何?」
「リュウジさん、魔王として生きるか、冒険者として生きるか迷ってたんですよね!?すいません!!リュウジさんの気持ちも知らずに!!」
ネメシスはぐしゃぐしゃに泣きじゃくりながら何度も何度も頭を下げる。俺は慌ててネメシスを止めた。
「な、何の話をしてるんだ?俺は別に迷ってなんかいないぞ?」
「えっ!?」
「いや、だから。魔王になんて未練はもうないよ?今回はデュークが手強かったから急遽魔王に戻っただけなんだけど?」
キョトンとした顔をしながらエリスとネメシスに言うと、2人は何故か崩れ落ちた。
そんなに深刻な事だったのか?
「まぁ無事に起きたんだし、問題ないだろ?。で?なんでネメシスがここにいるんだ?」
「ふぇ?あ、あー……あっ!そうだ!リュウジさんに創造神様からの大事なお話しがあったんですよ!」
ほう?
「詳しく聞こうじゃないか」
「散々心配させておいて……腹立つなぁ」
エリスが頬を膨らませながらボヤいている中、ネメシスはコホンと咳払いをしながら本来の用事を話し始めた。
「では……。堕天使デュークの一件でフクヤマリュウジさんには司法取引の報酬を前借りで叶えて構わないという報告です」
前借りか、さしずめ口止め料って所か。
俺は腕組みをしながら考え込む。
「報酬ねぇ〜。ちなみにあといくつ残ってるんだっけ?」
「えーっと、リュウジはあたしの世界に入る前に資料を要求したからあと4つだけだよ?」
え!?
「え待って!?アレもカウントされんの!?」
「当たり前でしょ!キミは他の人より3つも多いんだよ!?贅沢言わないでよ!!」
そ、そう言われるとな……。
「悪かったよ……後4つは良いんだな?」
「はい。なんでも叶いますよ?」
どうしよっかなぁ〜。
「逆にさ、コレはダメってのはあるの?」
俺がそう言うとエリスが頬をポリポリかきながら、
「ダメな事?そうだねぇ。魔王死ねとか、チート能力を増やすとかかな?」
「ふーん。んじゃ世界征服とか言ったら?」
「別に叶うけど、あたしもうリュウジとは会わないからね?」
エリスは顔を引きつらせながら俺にいってくる。
ヤダ怖い。
「世界征服とかもう興味ねぇよ。世界征服したし」
「そうですね。リュウジさんはもう前回しちゃいましたね」
「ならどうしよう……あっ!ネメシスちょっといい?」
「はい?」
俺はネメシスを手招きして耳元にヒソヒソと囁いた。するとネメシスは目を見開いて俺を見つめる。
「それで良いんですか?」
「思いつかないんだよ。思い出として用意出来ないか?」
「まぁ、可能ですけど……」
ネメシスはチラリとエリスを見ると、エリスは首を傾げた。ネメシスは問題ないと判断したのか、頷いた。
「分かりました。ご用意しておきます」
「ねぇ?何をお願いしたの?」
「秘密だよ、秘密」
「え〜?何〜?」
「やましい事じゃないから大丈夫よ?これ以上はプライバシーの侵害だから伏せておくわね。んじゃ、3つを保留にして1つは叶えたいと思います。今から創造神様に伝えて来ますね?」
「うん。お願いねネメシス」
「了解です!では、失礼します」
ネメシスは深くお辞儀をしてエリスの家から出て行った。残った俺とエリスは同時にベッドに座った。エリスは肩を叩きながら、
「あー、寝てたのになんだか疲れちゃったなぁ」
「ゴメンな、変なのに巻き込んで」
「ナターシャさん達と楽しく過ごせたから別にいいよ。それより、お母さんに言った事なんだけど……」
エリスは頬を染めながら俺を上目遣いで見つめ始める。
「あー、うん。こんな型でしか伝えられなくてさ……」
「うん……」
「けど、焦りすぎたな」
「そう……だね。その前に言わなきゃない事あるんじゃない?」
それもそうだな……2人だけだし、ダメ元で言っちまうか!。
覚悟を決めた俺はエリスの方を向いて、
「エリス……俺と付き合ってくれないか?」
そう告げると、エリスは顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
やっぱり無理だろうなぁ、魔王と女神が恋愛だなんて……。
俺は顔を歪めながらエリスから離れると、エリスは口を開いた。
「気持ちは凄く嬉しい。けど、今は答えられないかな」
だよなぁ……。
「そうか……。けど、前から言いたかったからなんかスッキリしたわ」
「けど、誤解しないでね?ホントはあたしだって付き合いたいよ?けど、女神は人間と恋愛関係を結んじゃダメなの。それが例え魔王討伐報酬だとしてもね?」
「そうなのか……。なら、仕方ないな」
俺は無言でエリスをベッドに押し倒した。エリスは突然の出来事に声を出せずにいた。
「───────っ!?!?!?」
「んなもん知った事か、俺はお前が欲しい」
「だ、ダメっだってば!!これ以上は絶対ダメッ!」
「俺は確かに魔王だ。だけど今は鋼のリュウジだ、報酬でエリスって一瞬思ったけどそんなんで手に入れても嬉しくねぇ。スタークさんやブルースに教わった通り、男らしく力ずくで手に入れてやる!!」
そう言いながら俺はエリスの法衣を脱がそうとすると、
「ちょちょちょちょちょちょ!!ダメッ!リュウジ!!本当にダメッ!」
エリスはドンと俺を突き飛ばし、身なりを整えた。
「なんでだよ!俺は本気なんだぞ!?ちゃんと責任だってとる!」
「だとしてもダメなの!ね?あたしは女神なの、だから……ね?」
「うー……んじゃキスは?デュークとやり合ったんだし、ちょっとくらいご褒美あったっていいじゃん!」
俺が不貞腐れながら言うと、エリスは頬をポリポリかきながら……。
「まぁ、キスならいいけど……」
「嫌なの?」
「嫌じゃないよぉ……恥ずかしいんだよぉ」
嫌じゃないと聞いた俺はホッと胸を撫で下ろした。恥ずかしそうにしているエリスを抱き寄せると、エリスは目を閉じた。俺は胸の鼓動を大きくならしながら優しく口付けをした。少しずつ激しくさせ、舌を絡めようとすると、エリスも受け入れてぎこち無く絡めて来た。
このまま勢いでヤれないかなぁ……。
そう思った俺はそのまま押し倒すと、
「コラ。ダメだってば」
「やっぱり?」
「ダーメ。どうしてもあたしが欲しいなら今後更に頑張る事だね」
っ!?
「そ、それは魔王を倒したらって事か?」
俺がそう言うと、エリスはいたずらっ子の様にニヤニヤしながら。
「どうだろうねぇ?そろそろ帰らないとペコリーヌやマリューさんが心配するよ?」
「クソッ!!」
結局俺は童貞を捨てれず、泣く泣くアクセルの街に帰って行った。