8章のテーマソングはSEKAI NO OWARIの「Dragon Night」です!
プロローグ
統一神界から帰ってから数日後、魔王軍幹部候補・堕天使デュークが魔王と女神に倒され、酷い目にあったウィズが魔道具店に引き篭った。クリスやアクアが入れ替わり立ち会わり慰めており、今日はクリスがなにやら新聞を片手に帰って来た。
「ねぇねぇ、見て!【最新版の冒険者ランキング】が発表されたよ!」
「冒険者ランキング?そんなのあんの?」
「もうそんな時期なんですねぇ!」
「ランキングは変わったのでしょうか?」
クリスを筆頭に、ペコリーヌやコッコロが新聞を眺めながら盛り上がっていた。俺とマリューは首を傾げる。
冒険者ランキングってなに?
「皆様、ランキングとはなんですか?」
「冒険者にランキングとかそんなんあんの?」
「あるある!この世界で1番有名な冒険者を決めるからね、名が通る冒険者はこの時期になると気になってクエストに行かなくなるんだよ」
クリスが得意気に言うと、ペコリーヌも便乗して。
「リュウジくんは気になりませんか?自分がどれ位くらい有名になったか?わたしは特に気にはしてないんですけどね?」
「ランキングねぇ〜。別にいいかなぁ、順位とか興味無いし」
「へぇ、興味無いんだ」
「無いね、カズマ辺りなら気になってるんじゃないか?」
俺がそう言うと、マリューがクスリと笑って、
「ちょっとカズマ様のリアクションが気になりますね。ちょっと見て来ませんか?今日は美食殿もお休みですし」
「そうだね、皆で行ってみようか」
「そうですね。参りましょうか」
俺達は新聞を持ってカズマの屋敷に向かった。カズマの屋敷に辿り着くと、ミソギ、ミミ、キョウカ、こめっこがいた。ミソギは俺を見た途端、
「あっ!にーちゃん!」
「おー、ミソギ。みんな揃ってどうしたんだ?」
ミソギに尋ねると、ミミが答えた。
「今日はこめっこちゃんがリトルリリカルの活動を決める日だったの。それでね、こめっこちゃんがめぐみんおねーちゃんに会いたいって言うから遊びに来たんだよ〜?」
「なるほど、そういう事か」
Adventuresが集結し、好き勝手にお喋りをしている時。こめっこが俺やミツルギ、カズマやアクア達などを観察してめぐみんを呼んだ。
「ねーねー。ねーちゃん」
「はい?なんですか?」
めぐみんが首を傾げると、こめっこがふとこぼした。
「Adventuresの中で誰がいちばん強いの?」
「「「「「「「!!!」」」」」」」
こめっこの言葉にAdventuresのメンバーはピクリと動いた。各々同時にこめっこに言い放つ。
「俺、私、僕、あたし、わたし、ワタシに決まってるじゃない!!」
同時に言い放った俺達はお互い睨み合う。
「おいおい、ろくに働かないヒキニートが何言ってんだ?」
「言ってくれるな鋼のリュウジさんよ?何だかんだ言ってAdventuresの中で一番強いのは俺だろ、常識的に考えて。同じ最弱職の冒険者やつに言われるとカチンと来ますよ?」
黙って聞いていたミツルギが紅茶を啜りながら。
「ふん。カズマ、この僕を差し置いて一番強い気でいたのか?片腹痛いというのはまさにこの事だね!」
「お前は俺に負けてるだろ」
「なんだとぉっ!?」
ミツルギが椅子から立ち上がるとアクアは、酸っぱそうにしながらもライムを口に入れ。
「あら、カズマ、リュウジ、魔剣の人ったらこのAdventuresの中で一番強い気でいたの?確かにカズマのスキルは便利ね。ドレインタッチやリザードマンになるスキルを使ったなら、ペコリーヌ、ダクネスなんて簡単に無力化しちゃうだろうし。……でも忘れたの?私にはドレインタッチやカースドダークネスなんて油断している時ぐらいしか通用しないって事を。カズマやリュウジが私をどうにか出来ると思ってるの?」
アクアの言葉にペコリーヌとダクネスも椅子をガタリと音を立てながら立ち上がる。
「おやおや、今のは聞き捨てならないですねぇ?」
「おい待て、私だってそんなに弱くないぞ。最近はドレインタッチや魔法攻撃に対策に、状態異常耐性や魔法防御力を上げるスキルを強化した」
言ってくれるじゃないか、アクアめ。
「へぇ〜、回復と宴会芸しか取り柄のない女神が何をいってるんですかねぇ?悪魔とアンデッドにしか強みの無い癖に」
俺がバチバチと稲妻を纏うと、カズマもアクアを煽り始めた。
「リュウジの言う通りだ。それに今の俺はイージスと竜人化が出来るカズマさんだぞ?盗みしか取り柄のないお頭メリッサや、ボッチ軍団、そして最近攻撃が当たるようになっただけで浮かれているダクネスなんて勝負にならないぐらい強いカズマさんだぞ?」
カズマの言葉にゆんゆん、アオイ、クリス、メリッサがピクリと眉を動かした。
「へぇ〜。助手くんも随分言う様になったもんだねぇ」
「ちょっと強くなったからって調子に乗ってるんじゃない?」
「カズマさん、今の言葉は聞き捨てならないです!」
「ぼ、ボッチを馬鹿にしましたね!?」
一触即発で殺伐とした空気の中、カズマがキッパリと告げた。
「よし、なら勝負するか。この中で一番誰が強いかハッキリさせよう」
「上等じゃねぇか。後で吠えずら描くんじゃねぇぞ」
「カズマ、今回は負けないからな!」
「悪くないね。いいよ、やろうか」
そんな中、リトルリリカルは。
「なんかワクワクして来たね!」
「そうだねぇ。誰が一等賞なのかなぁ?」
「こんな事してる場合じゃないと思うんだけど?」
「ねーちゃん!なんか楽しそうだから行こうよ!」
────────────────────────
着いた先は冒険者ギルド。俺達は顔馴染みに挨拶を済ませてゾロゾロとクエストが貼られている掲示板へと向かった。全員でクエスト掲示板を睨む様に眺めていた。
まさかここでバトルロワイヤルを始める訳にもいかず、この中で誰が強いのか勝負のルールは【モンスターの討伐数】で決める事になった。
会話に混ざらなかったリトルリリカルとマリューとめぐみんが審判だ。オマケに怪我をしてもいい様に、コッコロとセシリーは救護係になった。
武器を持たないアクアには、俺のように素手で戦うのはキツかろうと、ペコリーヌ、ダクネスを付けてやった。
討伐数を競うのだから、数の多いモンスターが良いのだが……。
冬場の為、カエルも冬眠してしまってる状況の中、とあるクエストに目を付けた。
【コボルト、ゴブリンの討伐】
「これで良いじゃねぇか。これにしようぜ?」
「コボルトか……良いぞ。リベンジだ!!」
カズマは王都でタコ殴りにされたのを思い出したのか、やる気を出し始めた。クエストを受注し、俺達は街からかなり離れた森林にやって来た。目的地に辿り着くと、俺達は横に並んで各自準備を始めた。
「いるわねゴブリンやコボルト達が!あの程度なら私のゴッドブローで一撃ね!」
「おいお前ら、もう一度ルールを説明するぞ。ルールは【コボルトとゴブリンの討伐数で勝負を決めること。魔法、スキル、横取り、妨害は認める】だからな?こっからはライバルだ。容赦しねぇからな?」
蒼き稲妻のコートを羽織り、レッドウォーリアの小手を装着させながら他のメンバーに釘を刺した。
「にーちゃん頑張れー!」
「アクア様!ミツルギさん!しっかり〜!」
「ミツルギお兄ちゃんも頑張れー!」
「カズマさんも頑張って下さい!」
「ワクワク!ワクワク!」
リトルリリカルやセシリーの声援が聞こえる中、マリューとめぐみんが。
「では。コボルト・ゴブリン討伐」
「開始です!よーい、ドン!」
合図を出した瞬間、俺は。
「我、鋼の使者が碧き稲妻の力を借りて天に命じ、地に命じ、稲妻の力よ、我が魔力と共に力を成せ。 力の根源たる鋼のリュウジが命ずる。森羅万象を今一度読み解き、我の全てを支えよ!『エレクトロ』!!」
更に、
「『パワード』、『スピードゲイン』!!お先っ!!」
ありったけの支援魔法を唱え、一気に森の中へ突き進んだ。
「あっ!ずるい!あたしも負けてられないね!」
「リュウジに先手を取られたわね……。けど、見てなさいカズマ!ゴブリンやコボルトの2〜3匹ぐらい、この私がアッサリと仕留めて見せるわ!行くわよ、ダクネス、ペコリーヌ!!」
そんな事を叫びながら嬉々としてコボルト・ゴブリン達に突っ込む。駆けるアクアの後ろをペコリーヌとダクネスが、鎧をガチャつかせながら必死で追っていた。そんな中、カズマは3人を見送り、竜人化したカズマが器用に木をつたって弓を構えていた。
スコーン!
「「「あっ!」」」
カズマが先行していたアクア達より先にコボルトの頭を狙撃した。遠くでは俺が雷魔法を轟かけている中、
「ヒギッ!」
「ギャフッ!!」
更には出遅れたアオイとゆんゆんが手を組み、アクア達の獲物を横取りし始めた。
「ちょっと!カズマ、それにゆんゆんにアオイ!!今から戦おうと思ってたコボルトとゴブリンを先にやっつけちゃうってどういう事よ!」
食って掛かるアクアに。
「リュウジは体力と魔力切れを起こすか、クリスが邪魔をするだろうし。なら俺はお前らの獲物を先に倒しちゃえば少なからずお前らには絶対負けないっていう作戦だ─────」
カズマが話している途中、突然カズマは植物のツタに縛られ始めた。
「あっ!コラッ!!」
「カズマさん、横取りと妨害していいとルールに入ってます!」
「カズマさん、アクアさん、ダクネスさん、ペコリーヌさん。申し訳ないですがここで大人しくしてて下さいっ!」
物陰からアオイが植物を操ってカズマ達を妨害し始めた。ツタに縛られたカズマ達が同時に叫ぶ。
「「「「卑怯者っ!!」」」」
「ゆんゆん、今のうちにゴブリン達を倒しちゃおう!」
「そうだね!『ライトオブ───』!!」
「そうはさせないわ、『ミッドナイトエッジ』!!」
ゆんゆんが狙っていたゴブリンの真上からメリッサがダガーを突き刺した。
「悪いわね、コイツはワタシが頂くわ」
「メリッサさん!?」
「『潜伏』で隠れてたんですね!?ならメリッサさんも拘束───」
「こんにゃろう!!『スティール』!!」
カズマが叫んだ途端、カズマの手が光出して手には茶色のショートパンツが手にされていた。
「よっしゃぁっ!!アオイのショーパンゲット!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!かかか返して下さいっ!!」
半泣きでワンピースになったアオイはヨロヨロとよろめきながら手を伸ばしていた。カズマはニヤリと笑いながら、
「返して欲しければこの植物をなんとかしろ。ほれほーれ」
「分かりました!分かりましたから!振り回さないでぇっ!!」
「不味いわね!竜人化したカズマの幸運値は格段に跳ね上がってるわ!」
「そ、そんなっ!?」
「くそ、こんな時にや、やめろぉぉぉ〜」
満更でもないダクネスを他所に、拍車のかかったカズマは。
「竜人化した今の俺は無敵だ!『スティール』!!『スティール』!!『スティール』!!『スティール』!!」
連続にスティールをしたカズマの手には、アクアの靴下、ダクネスのタイツ、ペコリーヌとゆんゆんのパンツ、メリッサのブラが手にされていた。
「ヒィーーヤッハァァァッ!!」
「あ、あんたって奴は……!!返して!返してよ私の靴下!!」
アクアがカズマに言った途端。
「こんなもん、こうしてやる!!ぽーいっ!!」
カズマは下着とショートパンツをまとめて遠くに投げ捨てた。
「カズマさん、ヤバいですね……」
「ちょっと、ここは手を組んであのクズを先に片付けない?」
メリッサの提案にアクアは。
「そうね。一時休戦しましょ、アオイ?私達だけ解いてくれる?」
「そうですね!そうします!」
アオイはツタの拘束を解いてアクア達を解放した。解放されたアクアは手をゴキゴキとさせて、
「コボルトとゴブリンよりまず、このクズニートを何とかしないとね?」
「そうね。妨害はルール違反じゃないんだし?」
「メリッサさん、手を貸します」
「カズマさんをやっつけちゃいます!」
「ショートパンツの仇!!」
「なんだお前たち、このカズマ様に盾突くのか!?やったろうじゃねぇか!!こんなツタ引きちぎってやる!」
ブチブチ!
カズマはツタを無理矢理引きちぎり、自由になった。イージスを構えながら叫び出す。
「かかってこいやぁぁぁ!!」
────────────────────────
その頃俺は。
「さて、ようやく追いついたよリュウジ?」
「もう追いついて来たか……クリス」
俺はコボルト5匹ゴブリン5匹を倒し、合計10匹を倒していた。切り株の上で休憩していた俺はクリスに声を掛けられていた。
「クリスは何匹狩ったんだ?」
「あたしはコボルト6匹。ミツルギさんはゴブリン4匹倒していたよ」
という事は、俺が今一番?
「つー事は俺がトップだな」
「まぁ、そう言う事だね。魔王だもん、当然でしょ?」
「だって一番にならないとカッコつかないでしょ。好きな人がいるってのに」
俺があっけらかんとした顔をしながら言うと、クリスは顔を真っ赤にさせてそっぽを向いた。
「そ、そんな事言ったって手加減なんかしてやんないよっ!?」
「別に手を抜いてくれとは頼んでないけど!?」
俺はそうぼやきながらパンパンとケツを払いながら立ち上がった。すると、ハーレイが声を掛けてくる。
《ぽーん!マスターリュウジに通告!モンスター接近!!》
「リュウジ、『敵感知』にも反応がある。ここは手を組もう?」
「しょうがないなぁ、さて?何が出てくる?」
運が良いのか悪いのか、森の奥から現れたのは、コボルトチャンピオンと、ゴブリンチャンピオンだった。
どうやらあのコボルトやゴブリンを束ねてたみだいだな。
「ガッファッ!!」
「ギャアォォ!!」
大斧と金棒を肩に担ぎながら威嚇してきた。俺は鼻で笑いながら構えた。
「なぁんだ、ゴブリンチャンピオンか。クリス?アレは俺がやる」
「んじゃあたしはコボルトチャンピオンをやるね?」
すると、
「「グオオオオオオオ!」」
コボルトチャンピオンとゴブリンチャンピオンが突然咆哮を上げる。すると、俺達の周りに100を超える程のコボルトとゴブリンがゾロゾロと現れた。俺とクリスは顔を見合わせ、
「「逃げよう!」」
俺とクリスはカズマ達がいる方向に向かって走り出した。コボルトチャンピオンとゴブリンチャンピオンは逃がさんとコボルトとゴブリンに指示を出し始める。なんとかアクア達と揉めているカズマを見つけた俺は声を掛けた。
「逃げろぉぉぉっ!!」
声を聞いたアクアは俺に振り返る。
「あら?リュウジさんったら、リタイアする気?だったらめぐみんに」
「逃げてぇぇぇっ!今すぐ!!」
「えっ?」
俺とクリスの後ろにはコボルトとゴブリンの大群が追いかけて来ていた。
「あんたら何やってんのよ!?そんな大群連れて来るんじゃないわよ!」
「あの数はヤバいっ!逃げるぞ!!」
全員合流し、同時に逃げようとしたその時。
「『エクスプロージョン』ッッッ!!」
突然轟音と共に爆風が吹き荒れる。そのあまりにも理不尽で圧倒的な暴力は、コボルトチャンピオン、ゴブリンチャンピオンの軍勢を全て巻き込んだだけで飽き足らず。付近の木々をはおろか、俺達まで吹き飛ばした。俺はガードをしながら踏ん張ってる中、クリスは俺を盾にして身を潜めていたが、突然ミツルギが飛んできて俺達も吹っ飛ばされる。爆風が収まると、めぐみんがリトルリリカルに言い放った。
「4人ともよく分かりましたか?Adventuresで誰が一番強いのか。これでハッキリしたでしょう。私こそがAdventuresの中で強いという事が決まりましたね」
「ねーちゃんすごーいっ!」
「すっごい爆発だったね!めぐみんねーちゃん凄いっ!」
「お兄ちゃん達大丈夫だったかなぁ〜?」
「これが爆裂魔法……わ、私も負けていられません!!」
白目を向いたペコリーヌ、ミツルギ、ダクネスを担ぎながら。
「この野郎っ!はなっからコレを狙ってやがったな!?」
「お前ってヤツは、お前ってヤツはっ!大人しいなと思ってたらこれだよ!お前審判だろ!!」
ちなみに、討伐数を計算すると。俺が10匹、クリスが6匹、ミツルギが4匹、ゆんゆん&アオイが2匹、メリッサが3匹、カズマが1匹、アクア、ペコリーヌ、ダクネスが0匹、そして100匹以上がめぐみんがトップになった。