このすばアニメ化おめでとう!!
高原の魔女こと、アイザワアズサさんのアドバイスにより新たな魔法【ライトニングフィールド】を身につけた俺、魔法剣に更に磨きがかかったミツルギはコテンパンにされたカズマがいるアクセルの街に戻って来た。ボコボコにされたカズマの様子を見に行く為に、俺とミツルギはカズマの屋敷に立ち寄った。
「ただいま〜、カズマ〜?」
「カズマ、少しは考えを改めたかい?」
屋敷のリビングに行くと。
「おや?リュウジと魔剣の人ではありませんか。さぁ、共に戦場に向かいましょう!そして魔王軍の幹部を打ち倒すのです!」
何を言い出すんだこの子は。
我が意を得たりと言わんばかりにめぐみんが突然言い出した。カズマは呆れた顔をしながら、
「おう、真面目っ子共。お前らも言ってやれよ。こいつら最前線の砦のあるオーエドに行こうって言ってんだぜ?俺達が遠出するとロクな目に遭わない事をちっとも学習しないらしい。リュウジもミツルギも魔王軍の幹部と戦うだなんて反対だよな?」
こっちはこっちでちっとも学んじゃいねぇ。
「アズサさんにボコられて拗ねてんのか?俺らが反対する訳ねぇだろ?」
「少しはやる気を出すと思ったのだが、逆効果だったか……」
俺とミツルギが答えると、カズマは質問をする奴を間違えたと言わんばかりな顔をしながらゼル帝に「お手!ゼル帝、お手をするの!」と芸を仕込もうとして指先をつつかれているアクアに振った。
どうせアクアも嫌がると思って助け舟出しやがったな?どうせアクアも行かないとか言い出すんだろうなぁ。
だが、俺やカズマの思いは覆された。
「私は行ってもいいわよ?昨日カズマがボコボコにされて帰って来た理由を聞いて私も可哀想と思ったの。ここらでカズマをパワーアップさせる為に人様に迷惑を掛けている魔王軍を倒そうじゃないの!それに私は女神、救いを求めている下々の者を放っておけるわけないでしょ?」
あ、あれ?
「ア、アクア?どうした急に?」
「お前どうしちゃったんだよ。悪い物でも食ったのか?」
「流石はアクア様!その通りです!共に行きましょう!」
「そりゃあそこら辺のモンスターなら私が出張るまででもないんだけどね?今回は私に挨拶もなく、【邪神ウォルバク】とか勝手に神を自称する不埒者が相手だもの。ここはアクシズ教団の御神体としてギャフンと言わせないと」
アクアは縄張りを荒らされたヤクザ見たいな事を言い出した。カズマはいよいよ不味いと思ったのか、顔を歪ませる。
「お前までそんな事言うのか!?俺は絶対に行かないからな。毎回毎回魔王軍幹部と相手にしてられるかよ。もっと強い冒険者はいくらでもいるだろ?王都の事は勇者候補に任せとこうぜ?死に急ぐ必要なんてないだろ」
「カズマは新聞を読んでないんですか?最前線にいる勇者候補が数人殺されているんですよ?」
めぐみんの言葉に俺は上ずった声で聞き返した。
「めぐみん!?今なんて言った!?」
「はい。新聞の話によると、夜襲を受けて一晩に数名の勇者候補が殺された様です。その邪神がやったのかは分かりませんが、殺されたのは事実です」
「ミツルギ、お前王都の勇者候補に知り合いは居たか?」
「ああ、そんなに多い訳じゃないが居るよ」
不味いな、となるとクリスは天界に行ってる筈だ。このままじゃ最前線の砦どころかオーエドまで制圧されちまうな。
「ミツルギ、カズマが行かなくても俺達は行くぞ」
「そうだな。最悪カズマがいなくても行かなては……」
「ほら、リュウジ達も行く気なんですから行きましょうよ!往生際が悪いですよ。大丈夫、この私がちゃんと一撃で仕留めますから!」
「まさかお前このメンツでもしもの事態が起こらないとでも思ってんのか?今までの戦いを振り返って本当に問題なく事が運ぶって言い切れるのか?言い切れるのなら行ってやるよ!おい、どうなんだよ。……目を逸らしてんじゃねぇよ!こっち向けコラ!」
カズマとめぐみんがわちゃわちゃしてる時だった。玄関が激しく開けられた。
「カズマ様!めぐみん様!大変です!」
と、そこに現れたのはちょむすけを抱いたマリューとゆんゆん&アオイだった。
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「粗茶ですけど」
「ありがとうございます。アクア様……ってこれ……」
「安めのお茶なんだけど結構美味しいでしょ?カズマから貰ったお小遣いで買ってきたヤツなんだけど、最近のお気に入りなの」
「は、はぁ……美味しいです」
アクアに淹れてもらったを
アクアが気を利かせてお茶を淹れたが、また浄化してしまったらしい。と、満足そうなアクアに気を遣ったマリューは一気に飲み干してぐったりとして動かないちょむすけを両手で抱き、困った表情でカズマとめぐみんの方に差し出してきた。
「我々は農場と美食殿の買い出しに行った帰り、ちょむすけ様が子供にいじめられてるのを保護したのですが……」
どうやらちょむすけは羽が生えてる猫の姿をしてるからか、子供たちの標的にされたらしい。
「ゆんゆん、良いところに来てくれました!実はですね、まぁ大した事ではないのですが、ちょっと不味い事になっているのですよ!」
めぐみんはゆんゆんに新聞を手渡した。
「ま、不味い事?」
ゆんゆんは嫌な顔をしながら新聞をアオイと共に覗き始めた。
「ええと……日刊連載四コマ冬将軍旅情編。文通相手募集コーナー?」
「文通!?あの、めぐみんさん。この部分切り取って良いですか!?」
「一体どこを見てるのですかこのボッチどもは!これです!ここの記事を見てください!」
めぐみんが新聞を取り上げ、件の記事を指さす。訝しげな表情だったゆんゆんの反応は凄かった。
「うえええええ!?ちょちょちょちょちょちょ!?」
「ど、どうしたのゆんゆん!?」
「こ、今度は騒ぎ過ぎですよゆんゆん!そこまで大袈裟な記事じゃないでしょうに!」
「いや全然騒ぎ過ぎでも大袈裟でもないから!だってこの邪神ウォルバクって、元は私達の里に封印されてた」
「シーッ!声が大きいですよゆんゆん!」
なんて?
「なぁ、カズマ?今なんか聞こえなかったか?」
「ああ、バッチリ封印とか聞こえた」
「とてつもなく聞き捨てならない事が聞こえて来たね」
「気のせいですよカズマ、リュウジ、魔剣の人、この子はちょっとこういったおかしな事を言うせいで、紅魔の里でハブられていたほどですから」
俺達の言葉にめぐみんがプイッとそっぽを向く中、ゆんゆんがキレた。
「めぐみんちょっと待ちなさいよ!、おかしな言動はめぐみんの方が多かったじゃない!それよりカズマさん達も聞いてください!かつて私達の里には、この邪神ウォルバクが封印されていたんです。ある日何かの弾みにその封印が解けてしまったんですが、めぐみんは里の皆には内緒で、その邪神を勝手に使い魔に……」
「や、やめろぉ!紅魔族の恥を世間に広めてはいけません!このままオーエド近辺で暴れている邪神を名乗っている偽物を退治し、何も無かったフリをするのです!」
俺達3人は両手で顔を隠しながら。
「ちょっとあるえに確認してみる」
「おいミツルギ。セナさんから嘘つくとチンチンなる魔道具借りて来てくれ」
「分かった……」
数時間後……。
嘘を感知する魔道具を借りてきた俺達は、カズマのバインドで拘束され、絨毯の上に正座させられためぐみんを取り囲んでいた。
「うん、うん、分かった。ありがとう、あるえ」
俺が通信魔石をしまうとカズマが顔を向けて来た。
「なんて言ってた?」
「あるえが言うには、「めぐみんとゆんゆんに間違いないよ」だそうだ」
「裏は取れてるみたいだな。よし。念には念をいれて隠している事を答えて貰おうか。そもそもこの邪神ウォルバクってのは何なんだ?」
「実は私、ゆんゆん、あるえはこの邪神と因縁があるのですよ。それで気になって、昔、邪神の事を調べた事があるのですが……。ウォルバクは【怠惰と暴虐を司る邪神】なのだそうです」
怠惰か……なんだか懐かしいな。
俺達はジッと魔道具を見たが、鐘はならない。どうやら嘘では無いようだ。
「なんでそんな強そうな奴が紅魔の里に?」
「その昔、我々のご先祖様が邪神と激戦を繰り広げた末に、それを封印ふる事に成功しました。その後、邪神を紅魔の里まで運び込んで厳重に管理する事にしたので───────」
チーーーーン!
言い終わる直前に魔道具の音が鳴った。
「嘘じゃん」
「めぐみんちゃん。怒らないから正直に話してくれないかい?」
「……。「邪神が封印されているって何だか格好良いよな」と誰かが言い出し、どこかの誰かが封印した邪神を勝手に拉致し、里の隅っこに再封印して観光地にしたです」
めぐみんの説明に魔道具は反応しなかった。
「おい、この厨二病患者」
「やめろ!気持ちは分かるけどやめろ!」
今にもぶん殴りそうなカズマを抑えると、ゆんゆんまでもが目を逸らす。
それまで頭を抱えていたダクネスが。
「やってしまったのは仕方ない。結局誰が邪神の封印を解いたのだ?」
「それはおそらく、封印邪神が本来の力を取り戻し、人類を滅ぼすため、自らの下僕を操り封印を───」
ヂーーーーーン!
「「「「「……………」」」」」
俺達が無言で見詰める中、めぐみんは観念したかの様に項垂れた。
「…………こめっこが遊び半分に邪神の封印を解いちゃいました」
「こめっこが!?」
「お前の妹すげぇな」
「ちょっと待って!?ねぇめぐみん、それって私初耳なんだけど!?」
めぐみんの告白にゆんゆんが驚きの声を上げるが……。
チリーン!
「あ、あれ!?」
「どうしてゆんゆん本人が驚いているの!?」
魔道具が鳴った事に驚いているゆんゆんを見たアオイがつっこんだ。めぐみんは思い出したかのように、
「そうでした!邪神の封印が解けたのは過去2回。1回目はうっかり私が封印を解いてしまい、通りすがりの謎のお姉さんに助けられ事なきを得たのです。こめっこが封印を解いたのは2回目でした」
そう言って、魔道具が鳴らないのを確認すると満足そうに頷いた。
「ちょっと!あるえすら知らない事やってるじゃない!」
「な、何をするか!?や、やめ!あるえにバレたらそれこそ大騒ぎになるから黙ってたんですよ!」
「ある意味紅魔族ってすげぇな」
「悪い意味でな。ロクな事しないな」
絨毯の上に正座させられていためぐみんが、何を思ったのか突然ぺこりと頭を下げる。
「…………カズマ、安全に生活していたいのにこんなお願いしてすいません。私と一緒に来てくれませんか?実は、過去にちょむすけを攫われそうになった事がありまして。どうにも、新聞記事のそいつが関わっているとしか思えないのですよ。飼い主としては、そのウォルバクを名乗る自称邪神をどうにかしたいのです」
こう言い出したらめぐみんは頑固だからなぁ……。
「カズマ、俺とミツルギは行くぞ。どうするんだ?」
「カズマ、僕らと共に行こう!」
「そうよ!カズマ!行きましょうよ!」
「カズマさん!行きましょう!」
「カズマ様!」
俺達がカズマに声をかけるとカズマは頭を悩ませた。そして、とどめの一撃にめぐみんが言い放つ。
「…………ダメですか?」
めぐみんはカズマを潤んだ瞳で見詰めた途端、
「しょうがねぇなぁー!」
カズマが決意した瞬間、リビングのドアがバンと開かれた。
「うるっさいわよ!なんの騒ぎよ!」
「なんだべ?なんの騒ぎだべか?」
農場から戻ってきたマヒルと、パジャマ姿のキャルが現れた。