※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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171 雷獅子★

 トロールロードに姿に変えたダニエルを見ためぐみんとゆんゆんは指を指しながら呟いた。

 

「これがトロールロードですか、とても気持ち悪いですね…………」

「ええ…………怖いし気持ち悪いね」

 

 そういった途端、ダニエルはピタリと止まった。

 

「…………ん、ちょ、ちょっと待って下さい。気持ち悪いですと?」

 

ん?

 

「その言葉はいただけませんね。トロールは気持ち悪くないです!」

 

 ダニエルが変身を解いて人間の姿に戻って弁明を求めた。だが、めぐみんとゆんゆんは、

 

「そう言われましても、ねぇ?」

「気持ち悪いものは、気持ち悪いもんねぇ?」

「ぐ、ぐぬぬ…………」

 

 明らかにショックを受けているダニエルを見た俺とカズマはヒソヒソと話し始める。

 

「なんでコイツちょっとショック受けてんの?」

「もしかして、カッコイイと言われたいタイプ見たいだな…………そうだ!」

 

 何か閃いたのか、カズマはニヤニヤしながらダニエルに向かって話し始めた。

 

「めぐみんもゆんゆんもそう思って仕方ないよなぁ。変身したら気持ち悪いカッコしてんだもんなぁ〜、今の姿の方がカッコイイのに。リュウジもそう思うだろ?」

 

なるほど、そういう事か。

 

「言えてる。今の方が紳士的で渋くてカッコイイよなぁ?」

 

 カズマに便乗してダニエルに言い放つと、ダニエルはあっさりと。

 

「鋼のリュウジにまで言われたら仕方ありませんね。本日は人間姿のままお相手してあげましょう!!」

 

かかった!

 

「ミツルギ!ダクネス!今だっ!!」

「任せろ!ララティーナさん、行きますよ!」

「そ、その名前で気安く呼ぶなっ!」

 

 カズマの合図でミツルギとダクネスが剣を抜いて一斉に駆け出した。ダニエルも迎え撃つようにハンマーを構える。

 

「『ルーン・オブ・セイバー』!!」

「はぁぁぁぁっ!!」

「うおおおおっ!!」

 

 ミツルギとダクネスはダニエルと擦れ違いながら剣を振る。ダニエルは空振りをすると同時に切れはしなかったが、首にダメージを追った。

 

「浅かったかっ!?」

「なんて硬さなんだ!」

「うぐぐ…………唸れ稲妻!!」

 

 ダニエルは振り向いてミツルギとダクネスにハンマーを向けると、

 

「おりゃぁっ!!」

 

 竜人化したカズマがイージスの盾を構えながら稲妻を防いだ。その隙にカズマは指示を出す。

 

「マヒル!メリッサ!足だっ!足を狙え!」

「任せてけろっ!」

「仕方ないわね、ひとつ貸しよ?」

 

 マヒルとメリッサが同時にダニエルの左足に攻撃を仕掛けた。ダニエルは衝撃でバランスを崩す。チャンスと見たゆんゆんが前に出た。

 

「アオイ!今のうちに捕まえて!」

「任せてゆんゆん!この部屋の植物の皆さん、力を貸して下さいっ!」

 

 アオイが部屋に置かれていた観賞用植物は鉢を突き破って根を伸ばし始めた。細い根はダニエルの両手に絡み付く。

 

「捕まえたよゆんゆん!援護するからやっちゃって下さいっ!」

「任せて!物理攻撃が効かないなら『ライトオブセイバー』!!」

 

 ゆんゆんのライトオブセイバーはダニエルの体に直撃した。ダニエルの服は破れて少し血が滲み始める。

 

「ぐぬぬぬ…………皆さん腕を上げました、ね」

 

 未だに倒れないダニエルを見た俺は右手に魔力を込め始める。

 

「タフな野郎だな。まだ倒れないか」

「リュウジ、トドメにやっちゃおう!あたし合わせるから!」

「分かった、行くぞ!」

「うんっ!」

 

 拘束されているダニエルに向かって俺とクリスは飛びかかった。

 

「『ブルーインパルス』!!」

「『クロスハリケーン』!!」

 

 ブルーインパルスの打撃とクロスハリケーンの斬撃はダニエルの体に直撃する。ダニエルは血を吐き出す。

 

「ぐはっ!!」

「はぁ、はぁ…………変身してない姿だってのに意外とやるな。さすがは魔王軍の男だ」

 

 カズマが構えながら愚痴をこぼすと、ダニエルは植物の根を引きちぎって立ち上がった。

 

「お褒めいただき、ありがとうございます。申し遅れましたが私は魔王軍幹部まで昇進しているのですよ。こちらもあなた方を見くびっていたようです。まさかここまで追い詰められるとは…………。かくなる上は、気持ち悪いと罵られようと変身を─────」

 

 さすがのダニエルも危機感を感じたらしく、気持ち悪いと言われる覚悟で変身し始めた。

 

「まずい!こいつが本気を出す前にトドメを刺さないと!」

「このホテル何気に頑丈だから大丈夫じゃないか?」

「確かにな、ぶちかましてもなんとかなりそうだ!お見舞いしてやれめぐみん!」

 

 カズマの指示により、めぐみんは目を紅く輝かせながら杖を強く握り締めた。

 

「任されましたよ、カズマ!黒き流れに身を任せ、爆焔の女王が踊りけり……!!『エクスプロージョン』!!」

 

ズドーーーン!!

 

 爆風が襲い掛かり、ホテルの最上階の外壁は吹き飛ばされた。その中で魔力を使い果たしためぐみんが静かに倒れ込む。煙はしだいに晴れ、視界が開けて来た。ダクネスは剣を構えながら、

 

「…………どうだ、やったか!?」

「ぐふっ、はぁはぁ…………」

 

 ヨロヨロと立ち上がるダニエルを見てアクアが変なポーズをしながら言い放つ。

 

「まだ動けるの!?しぶとい奴ね!!」

「かくなる上は…………トールハンマーよ、力を貸したまえ!!」

 

 ダニエルは最後の力を振り絞ってハンマーを空に掲げると、先程まで晴天だった天気が崩れ始めた。

 

「あら、どうしたの?急に天気が…………」

 

 空がどんどん雲に覆われて、ゴロゴロと雷が鳴り始めた。

 

「きゃあっ!雷まで鳴り始めたよ!?どうなってるの!?」

 

 そして、雷はダニエルのハンマーに吸い込まれるかのように何度も落ちて行き、ダニエルの体に変化が起き始めた。それを倒れながら見ていためぐみんが、

 

「はぁ…………あれは紅魔族の琴線を刺激します!カズマ!私を起こしてトールハンマーのもっと近くに!近くで見たいです!」

「こんな時に何言ってんだバカ!とっとと起きろ!」

 

 カズマは慌ててめぐみんを起こしておぶったが、めぐみんは目をキラキラ輝かせていた。それを見ていたダニエルは、

 

「あの…………自分で言うのもなんですが、危険な武器ですので、もっと恐れおののいた方が良いのでは?」

 

 危険を察知した俺は顔を青さながら叫んだ。

 

「不味い!みんな逃げ─────」

「これがトールハンマーの力です!『トール・ブレイク』!!」

 

 ダニエルはトールハンマーを床に叩きつけると、とてつもない衝撃が響き渡り俺達Adventuresを吹き飛ばした。

 

「うわぁぁぁぁっ!?こんな所から落ちたら絶対死ぬわよぉぉっ!!」

「女神だろ!なんとかしろよ!」

「そんな事言ったって無理なものは無理よぉぉっ!!」

「アクアさんっ!その羽衣広げて下さいっ!」

「えっ!?今!?」

「今すぐです!早く!」

 

 クリスの指示によりアクアは首に巻いていた羽衣を広げ始めた。すると、羽衣は風船のように膨らみ、気球の様になった。そこへ運良く俺を除いたAdventuresメンバーが落下して来た。

 

「でかしたぞアクア!」

「あたし女神なのに、あたし女神なのにぃぃっ!!」

「リュウジ、早くっ!落ちたら死んじゃうよ!?」

 

 運悪く俺は一番離れており、とても間に合う距離じゃなかった。

 

「俺の事はいいから!早くここから離れろ!瓦礫が落ちて来るぞ!!」

「ゆんゆん、ウィンドブレスでこの場を離れるんだっ!」

「けど、ミツルギくんっ!リュウジさんがまだ!」

「リュウジならなんとかする。早くっ!」

「リュウジさん、ごめんなさいっ!『ウィンドブレス』!!」

 

 ゆんゆんのウィンドブレスにより、アクアの気球は軌道を変えてホテルから離れ始めた。無事に戦線離脱したのを見送った俺は落下しながら考えた。

 

今のダニエルなら斬撃が効くかも知れない、刃物は使いたくなかったが…………仕方ないっ!

 

「カズマ!ちゅんちゅん丸を貸せっ!」

「分かった!受け取れっ!!」

 

 竜人化したカズマはちゅんちゅん丸を俺に向かって投げ付けた。ちゅんちゅん丸を受け取った俺はチェストブレイクのベルトに鞘を納めて目を閉じて呟いた。

 

「じいちゃん、福山流剣術の奥義…………恥ずかしながらも、使わせて貰いますっ!」

 

 近くに落下していた瓦礫を足場にして俺は居合切りの構えを繰り出した。それと同時にエレクトロを唱え、体に雷を纏わせた。それを最上階でダニエルはトロールロードに変身しながら見下ろしていた。

 

「あれは鋼のリュウジ…………まだ余力がありましたか」

「福山流剣術・奥義!!」

 

 一気に飛び上がる様に瓦礫を踏み抜き、天に昇る落雷の様にジグザグに飛び上がりながらダニエルを目指した。エレクトロの威力でスピードが上がっており、瓦礫の破片が弾丸の様にチェストブレイクに当たって来る。徐々にチェストブレイクの装甲に亀裂が走り始めた。

 

「な、なんですかアレは!?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「雷獅子(らいじし)っ!!」

 

 俺はダニエルの首をちゅんちゅん丸で目にも止まらない速さで切り落とした。だが、亀裂が大きなりチェストブレイクは粉々に砕け散った。

 

「馬鹿な…………まったく見えなかっ……た…………!」

「福山流剣術・奥義…………この技じゃなきゃ勝てなかった…………」

 

 俺はそのまま最上階の床に叩きつけられたが、ダニエルの方を向いて見るとダニエルは首を切り落とされた状態で大の字になって倒れていた。

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