最終章のテーマソングは僕のヒーローアカデミアのop『Make my story』です。
プロローグ
エルロードの事件から数日が経った。聞く話によると、カズマとキャルがアクア達を脱獄させたらしい。だが、アイリス王女とペコリーヌの懸命な働きによりお咎めなしとなったという。ちなみに、カズマ達はペコリーヌがエルフの森で匿っているらしい。あの後、俺はアクセルの街には戻らず、引き払う家の事はウォルバクとマリューに任せて紅魔の里にやって来ていた。
「エルロードでは助かったよ、あるえ。まさかあるえが助けに来るとは思ってなかったよ」
「気にすることないよ。だけど、まさか君がめぐみんの男に負けるなんてねぇ?。油断でもしてたのかい?」
「いや、油断なんかしてないよ。むしろ全力だった」
あるえと共にとある場所にやって来ていた。その場所はシルビアか魔術師殺しを手入れた謎の巨大施設だった。あるえは施設を見上げて俺に聞いてくる。
「ここへは何の為に来たんだい?まさか観光って訳じゃないだろう?」
「まぁね、カズマにドレインタッチされたのが納得行かなくてさ、魔力切れを起こさない持ってるだけで魔力を回復させる永久機関を作ろうかと思ってさ」
俺がここへ来た理由を話すと、あるえは首を傾げる。
「永久機関?まさか、伝説の宝珠コロナタイトでも作れるとでも?」
「無理かな?」
「無理に決まってるじゃないか。けど、その発想は嫌いじゃない」
流石はあるえ、分かってるじゃないか。
嘲笑うかのように俺を見るあるえ。だが、俺はニヤリと笑って言い放った。
「まぁ、俺ら2人で作れるとは思ってないよ。だから助っ人を頼んだ」
「助っ人?めぐみんやゆんゆんはエルフの森にいるんだろう?」
「まさか。別の人だよ。王都じゃ天才って言われてるんだ」
「天才…………興味深いねぇ」
あるえは誰のことか分からないらしく、腕組みをしながら考えていると俺の通信魔石から声が聞こえて来た。
《フクヤマ氏、聞こえるかね?》
おっ、着いたかな?
俺は通信魔石に向かって声を掛けた。
「ユニ〜?紅魔の里に着いたの?」
そう。俺は聖テレサ女学院の天才と言われたユニを紅魔の里に呼び寄せのだ。女の子の声が聞こえた瞬間、あるえの顔が少し歪んだ。
《なぁに、元学友の頼みならばぼくとてテレポートで飛んでくるさ。しかし、このグリフォンの石像は実に興味深い》
あ、そこに居たのか。
ユニの居場所が分かった為、俺はグリフォンの石像の方向に顔を向ける。
「あ、んじゃ今から迎え行くから待ってて。間違っても解呪魔法とかかけちゃダメだからね?それ本物のモンスターだから」
俺が通信魔石を仕舞うと、あるえがムスッとしながら俺に声を掛ける。
「随分仲が良さそうだね、君は誰でもいいのか?」
「え?何の話? ちょ、なんで怒ってんの?」
「別に怒ってなんかないよ」
「怒ってるじゃん!」
「怒ってない」
そんな話をしながらグリフォンの石像がある場所に行くと、ユニがどこか気まずそうにキョロキョロと辺りを見渡していた。ユニが俺を見付けるとトテトテと近付いて来る。
「やぁやぁ、久しぶりだね。フクヤマ氏」
「お待たせー、今めっちゃキョドってなかった?」
「そ、そんな事は無いぞ!?君にはぼくが挙動不審にみえたのかね!?」
「うん、見えた」
「な、なんだとこのやろう!」
ユニが俺をポコポコと脇腹を叩くと、ユニはあるえの存在に気付いた。ユニは、はっとした顔をしながら、
「失礼、ぼくは聖テレサ女学院に在学しているユニだ。知性溢れる大人の風格から一目瞭然だろうが、最上級の3年生。初めまして」
ユニが自己紹介を終えると、あるえが紅魔族のやり方で返す。
「我が名はあるえ。紅魔族随一の発育にして、やがて作家を目指す者!」
ユニはあるえの体型を見た瞬間、顔を引き攣らせた。
「よ、よろしく頼むよあるえ君。君とはいいポーションが飲めそうだ」
「奇遇だね、私も同じ事を考えていたよ」
あるえとユニが握手をすると、ギリギリと音を立てていた。
え、なんで殺伐としてんの?
「ま、まぁ積もる話もあるだろうから、早速取り掛かろうか」
「うむ。伝説の宝珠コロナタイトの様な模倣品を作るんだったな。象牙の塔にある書物をいくつか持ってきたからその中から候補になる魔石を探してみよう」
「ありがとう、助かるよ いった!」
ユニ、俺、あるえの横一列に並びで歩きながらユニから本を受け取った瞬間にあるえに足を蹴られた。俺は直ぐにあるえの顔を見るがあるえは知らん顔を決め込んでいる。
「いったぁ…………ん?【クリアタイト】?」
「クリアタイトかい?クリアタイトってのは、コロナタイトの元になる魔石だね。クリアタイトに長年に渡って魔力が溜まったのがコロナタイトになるんだよ」
俺が本をまじまじと読んでいると、あるえが顔を近付けながら俺に教えてくれた。すると、ユニはそれが面白くなかったのか、俺の脇腹を殴った。
「ぐほっ!? 何!?」
「なんだね、ぼくが何かしたという証拠はあるのかね?」
「なんなんだよ、2人して!。ほら、着いたよ」
謎施設に戻って来た俺達はそのまま中へと入って行った。中は電気が止まっているのか薄暗く、寂れた工場の様になっていて配線やら人1人が入れるポッドやら色々散乱していた。
「うわぁ、汚ぇ」
「シルビアが暴れたせいもあるからね。無事なだけマシさ」
「そうだなぁ、使えそうなものは結構あるね」
「しかしだな、フクヤマ氏。この薄暗い中では念入りな創作は望めないぞ。端的に換言すれば、暗いから明るくして」
ユニに小言を言われた俺は辺りを見渡し、天井を見あげてみるとライトの様な物を見付けた。配線を辿っていくと、ブレーカーと配電盤に辿り着いた。
ここに電力を流せば…………。
俺は配電盤に両手を付けて、
「『スパーク』!!」
青い電気が配線へ迸ると、機械音を立てながら施設に灯りを灯した。
「こんなもんでどう?」
「外の様に明るいね、これなら大丈夫そうだ」
「うむ、早速取り掛かろう」
俺達はユニが持って来た本を全て広げ、永久機関の魔石を作る方法を探し始めながら俺はユニとあるえに尋ねた。
「さっき言ってたクリアタイトに魔力に長い年月をかけるとコロナタイトになるんだよね?思ったんだけど、魔法を一気に注ぎ込めば出来るんじゃないかな?」
「可能ではないが、それには魔力が足りないよ」
「あるえ君の言う通りだ、それは不可能に近い」
それはどうかな〜?
「ここは紅魔の里だよ?魔力が有り余ってるじゃないか」
「ん?それはどういう事なんだい?」
「フクヤマ氏、何か閃いたのか?」
「それには道具が必要だ。ここを大改造するぞ!」
俺はそう宣言して、謎施設中の配線や工具をかき集めて、壁をガンガン叩き始める。何かに使われていた太いパイプを何本も繋いでいく。その間にユニとあるえにクリアタイトを用意してもらい、魔力を加速させる為の加速器が、だんだん形になって来た。
「あるえ、ここの部分を見て欲しいんだけどいい?」
テーブルに設計図を広げるとあるえが隣に座りながら一緒に考えてくれた。
「そうだねぇ、このままじゃバランスが悪いからここを支えればいいんじゃないかな?」
ビー玉くらいの大きさのクリアタイトを持ちながらユニがそれをじっと見つめてくる。すると、何を思ったのか、
「まて、それでは魔力が平等に加速しない。こうしなければ」
ユニが無理矢理俺とあるえの間に入って来て座り込んだ。
「フクヤマ氏、もっと端に行ってくれ。座れないじゃないか」
「あっはい…………」
数時間後、魔力加速器は完成した。それと同時に謎施設にふにふらちゃん、どどんこちゃん、ぶっころりーがやって来る。
「あるえ、連れて来たよ!」
「あ、外の人!久しぶり!」
「あれ?今日は1人で来たの?ってか、その子誰?」
ユニは突然現れた紅魔族に驚いたのか俺の影に隠れながら会釈をする。何故隠れるのか気になったが、俺はぶっころりーさん達にサングラスを渡しながら標的のクリアタイトに指を指して説明する。
「3人にはこのクリアタイトに『ライトニング』を注ぎ込んで欲しいんだ。勿論俺もあるえも」
「なんか良く分かんないけど、なんか楽しそう!」
「やるやるー!なんかワクワクして来た!」
「謎の装置に謎の実験!悪くない展開だ!あんたはやっぱり分かってるな!」
「んじゃ、早速やろう!ユニ、よろしくね?」
「うむ。ロゼッタ、計測を始めよう」
《ぽーん!魔力加速器、始動します!》
「よし、行くぞ。『ライトニング』!」
「『ライトニング』!」
「『ライトニング』!」
「『ライトニング』!」
「『ライトニング』!」
加速器の中にライトニングが注ぎ込まれると、青白いエネルギーが光出した。それと同時に、俺はユニに指示を出す。
「ユニ、早く…………!」
「うむ!」
ユニが加速器を操作すると青白いレーザーが走り出し、やがて、標的のクリアタイトに達した。その物体が、眩い光を放ち始める。俺はサングラスを外してクリアタイトを手に取ると、ロゼッタが言い放つ。
《ぽーん!新たな永久機関を生み出しました!》
「おめでとう、フクヤマ氏」
「本当に出来ると思って無かったよ」
「コロナタイトとは違って青白く光ってるね。リュウジ、この宝珠の名前は決まってるのかい?」
「ち、ちょっと…………魔力がスッカラカンなんですけど!」
「私達これから買い物とか色々あるんですけど!?」
「指一本動かせない」
日頃怠けてばかりいたのが祟っていたのか、ぶっころりーさん達は魔力を使い果たしてぐったりとしていた。それを見たあるえは頭を抱える。
「働かないからそうなるんだよ」
そんな中、俺は宝珠を見つめて閃いた。
「決めた!この宝珠を【エレキタイト】って呼ぶ!」
「エレキタイトか、いい名だな」
俺達は、コロナタイトと同じ永久機関を開発した。