※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

218 / 232
183 セレスディナ決着

 魔王の城へと大空を飛行し始めて小一時間。

 

「ねぇセシリー副船長?」

「はい、なんですか?アクア船長?」

「飽きたんですけど?」

「同感ですアクア船長。ではそろそろ帰りましょうか」

「お前ら何しに来たんだよ」

 

 訳の分からん小芝居を見ていた俺は2人に言い放つ。

 

「いつもの私なら帰ると言うとこだけど、今回は違うわ。だってこのまま帰ったら、魔王に苦しめられているアクシズ教の子達が救われないわ」

「今の言葉を聞くとエリス教は苦しんでも構わないって事か?」

「さすがですアクア船長。ですが、そろそろいい加減空の旅も飽きて来たのも分かります。という訳で、アキノ操舵手に言ってそろそろトイレ休憩でもしてもらいませんか?」

「セシリー、まだその小芝居を続けるつもりなのかい?」

 

 ミツルギは船酔いになりながらもセシリーを止めようとしている。アクアはセシリーに向かって、

 

「…………ダメよセシリー副船長、さっきアクセルの街を出たばかりじゃない。カズマに追いつかれちゃうわ」

「…………え、競走してるんですか?」

 

 夜風に吹かれながら、ゆんゆんが反応した。アクアは長い髪を靡かせながら風景を眺める。

 

「それにしても、空ってこんな感じなのね。馬車でアルカンレティアに行った時は砂漠を見ていた様なもんだったからかしら?」

「なにこのくだり。長ぇわ!」

 

 耐えきれなくて俺はアクアにツッコんだ。

 

「今から魔王の城に行くんだぞ!?もうちょい緊張感持てよ!」

「緊張してるから騒いでるんでしょ?リュウジさんったら何言ってるのかしらプークスクス!」

「いや何を言ってるのか分からない。もうすぐでアルカンレティアに着く。色々物資を集めるから手伝えよ?」

 

 ───────そうこうしているうちに、アルカンレティアにたどり着いた。入り口近くに着地して降りてみると、メリッサが何か違和感を感じた。

 

「…………変ね、飛空挺で着陸したのにアクシズ教が1人も現れないわ」

「確かに、あれだけ勧誘してたのにそれが…………」

 

 真夜中の所為もあるからだろうか、通行人がほとんど居ない。ミフユが首を傾げながら俺と同じく辺りを見回している。そんな俺達にアキノさんが提案して来た。

 

「調査が必要の様ですわね。わたくしは飛空挺を見張って居ますので、リュウジ様方は聞き込みと物資調達をお願いしますわ!」

「なら私も残るわ。ここにいい思い出ないしね」

「なら私も残ります。リュウジ様、お気を付けて」

「そうだな。ほら、ミツルギ行くぞ」

「あ、ああ…………」

 

 ウォルバクとマリュー、アキノさんを残して物資調達はミフユさん、ゆんゆん、アオイに任せ、メリッサを連れてフラフラしながら歩くミツルギと共に歩き始める。

 

「────この街のアクシズ教徒は、教団最高責任者のゼスタ様指揮の下、魔王城へ続く道のモンスター狩りに出かけております」

「えっ!?ゼスタ様いないんですか!?」

「ゼスタって誰?何もんなの?」

 

 俺が首を傾げながらセシリーに尋ねる。

 

「ゼスタ様はアクシズ教団の最高責任者です。アークプリーストで実力はそこそこありますよ?」

「不安しかない」

「なんでそんな事言うの!?謝って!うちの教団に謝って!」

「エリス教徒はこれだから困るわ!」

「やかましいわ!」

 

あーもー疲れる。

 

 アクシズ教徒と話していると、ぐったりしていたヤツが居た。

 

「あれ?そこにいるのセレスディナか?」

「お、お前はリュウジ!?な、なんでお前がここにいるんだよ!?」

 

 そう言いながら、イライラと足元の石を蹴るセレスディナ。

 

 エルロードでキャルに傀儡で操り、俺達を仲間割れさせた黒幕の1人。エルロードで姿を消していたセレスディナが、なぜかアクシズ教会の前でげんなりしていた。

 

どうやら俺がネメシスに頼んでいた願いがこたえてるらしい。

 

「なんでかしらないけどよぉ、パンを崇めたくなるし、復讐の力が無くなってんだよ。それもこれもお前の仕業なんだろ?」

「うん」

 

 俺がこくんと頷くと、

 

「やっぱりてめぇかっ!?ここに身を隠してあたしがどんな目にあったか教えてやろうか!?崇めていたパンはことごとく盗まれるし、アクシズ教団の奴らにはセクハラされるしよぉ!」

 

 思い出したかのようにセレスディナはメイスをゴンゴン地面に叩きつけながら愚痴をこぼし始めた。ミツルギは俺に声を掛ける。

 

「リュウジ、彼女に一体何をしたんだ?」

「え?まぁ、色々かな?危険な能力を封じてやっただけさ。なんだっけ?パンを司るレジーナ教徒だっけ?良かったじゃん。明日から崇拝者増えるんじゃないか?」

「パン!?なにそれプークスクス!なんですか?春と秋にパン祭りでもやるんですかぁ〜?」

「本当にパン祭りしたらパン盗み放題じゃないですか〜!」

「んだとごらぁぁぁっ!!」

 

 アクアとセシリーに煽られたセレスディナが遂にキレてメイスを振り回しながら暴れ始めた。

 

「危ないからそれしまえよ。セレスディナ」

「暴力は良くない。夜中なんだから」

「うるせぇっ!」

 

ガン!

 

 激昂するセレスディナのメイスが俺の頭に当たった。それにより頭から血が流れ始める。

 

「いってぇ…………」

「あっ…………」

 

 セレスディナは慌てて手を引っこめようとするが、俺がメイスを掴んで離さなかった。それを見ていたアクアとセシリーは指を差す、

 

「あっ!怪我させた!いーけないんだー!いけないんだー!」

「暴行罪の現行犯です!逮捕されればいいのよ!」

「お、お前が悪いんだ!お前なんか、お前なんか!」

 

 俺は暴れるセレスディナを優しく抱き締め、ゆっくりと両頬にキスをした。突然の出来事にセレスディナは大人しくなり、ただ呆然と立ち尽くしていた。

 

「あ…………お、おま…………」

「セレスディナ、これは生まれ変われるチャンスだ。傀儡と復讐なんか忘れて徳を積むことだけを考えなよ」

「あ…………え?」

「悪さばかりしてるセレスディナより、善行しているセレスディナの方が俺は好きだな」

「ば、バカ!お、お前!だ、騙されないからな!」

「騙してなんかいないよ?」

 

 俺が真っ直ぐセレスディナの目を見て言い放つと、セレスディナは顔を真っ赤にさせながら、

 

「やっぱり、す、すきぃ…………」

 

 呟きながらバタリと倒れ込んだ。

 

「勝手に倒れたんですけど?なに?鯖折りでもしたの?」

「んな事どうでもいい。そろそろゆんゆん達が戻って来るだろ?戻るぞ」

「そうですね、ゼスタ様も連れて行きたかったのですが留守の様ですし?」

 

 来た道を戻ろうとしたその時。

 

「お、おい、リュウジ。彼女はこのままでいいのか!?」

「えっ?あー、アクセルの街にでも送って置くか。『テレポート』」

 

 俺はテレポートを放ち、セレスディナをアクセルの街に飛ばした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。