※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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188 魔王降臨

 魔王の城の外で大暴れをして暫くたった。1万の兵隊を倒した俺達は肩で息をしながら辺りを見渡す。

 

「大方片付いたか?」

「予想以上に体力を消耗したね。少し休もう…………」

 

 魔剣グラムを杖にしながらミツルギは言う。ゆんゆんとアオイは背負っていたリュックからポーションを配り始める。

 

「リュウジさん、キョウヤも今のうち回復して」

「ありがとうゆんゆん」

 

 俺は渡されたポーションをがぶ飲みする。そして、お返しにバックからゆんゆんに紅く輝く吸魔石を投げ渡した。

 

「ゆんゆんもだいぶ魔力使ったろ?めぐみんの吸魔石を持ってきたから回復しておけ」

「あっ、はい!ありがとうございます」

 

 すると、顔を汚したアクアが急に座り込んで騒ぎ出す。

 

「ねー、もう疲れたんですけどぉ。今回はもう帰らない?魔王も暫くは襲って来ないわよ」

「ここまで来てそれはないでしょ!」

「そうね、もう他の街に向かった兵隊を呼び戻してる可能性もあるわ。休める時に休んだ方が良いわよ」

 

 アクアの言葉にキャルとウォルバクが言い返す。すると、ミツルギの傷を治療していたセシリーがふと魔王の城の窓を見つめた。セシリーの目線に人影が見えていた。

 

「あ、あの〜。あそこに誰かいるんですけど?誰でしょうか?」

 

は?

 

 俺達は同時にセシリーの方向に視線を送る。だが、そこにはもう誰もいなかった。俺は立ち上がって騒ぐ。

 

「魔王が来るぞ!メリッサ、ミツルギ達と潜伏しろ!俺はアクアとミフユさんを連れて行く!」

 

 それぞれ瓦礫に身を潜めると、テレポートを使ったのか一瞬で何者かが現れた。近くで見る魔王は一見すると大柄な老人で、白髪の間から2本の角が生えているが、どこか人間の様な感じがした。

 

「あいつが……この世界の魔王か?まぁ、いかにも魔王っぽいな」

 

 潜伏スキルで身を潜めていると、ウォルバクが迎えていた。

 

「久しぶりね、魔王」

 

 ウォルバクは瓦礫に腰をおろし、足を組んでいる。

 

「占い師は死んだのか?今日は大きな犠牲を払ったが、せいぜい後悔するがいい」

「随分余裕ね、アクセルの街への兵隊は倒させてもらったわよ?けど、その兵隊のおかげであなたは魔王軍最強の魔術師と対峙することになったのだから」

「そうか、なら貴様も消すまでだ」

「キャル、あの子も解放しなさいな。あの子もまだやり直せるわ」

「好きにすればいい。世界征服には犠牲は付き物だからな」

「そしてこの世界の人間を皆殺しにするの?何の為に世界征服するの?」

 

 ウォルバクが魔王に尋ねると、何食わぬ顔で。

 

「人口増加と食糧難にあえぐ前に手を打たなければならない。金持ちも貧乏人も分け隔てなく。そう、これは…………慈悲だ」

 

 魔王は拳を握りながらそう言った。ウォルバクは立ち上がり、魔王に近付く。

 

「慈悲?その後はどうなるの?」

「ようやく休める。新たな世界の夜明けを眺めるさ。辛い道を選ぶには強い意志が必要なのだ」

「私達の意志だって同じくらい強いわ!」

 

 ウォルバクがそう言うと、オレンジ色の魔法陣を2つ繰り出した。

 

今だ!

 

「私達?」

 

 魔王がそう言って上空を見上げた。

 

ガッガーン!!

 

 俺がエレクトロとライトニングを唱えて創り出した新魔法『磁石超人(マグニート・ハルク)』を繰り出して、俺の右腕に魔王軍の兵隊達の武器が磁石のようにくっついていた。その状態で魔王めがけて殴り付けた。

 

「やったわ!やりましたよ!アクア様!」

「一発食らわしたわね!」

 

 アクアとセシリーは俺に続いて飛び出した。

 

「うおおおおぉ!」

 

 魔王は巨大な鉄の塊の下敷きになったが、まるでこたえない。怒りがいきなり絶頂に達し、俺に向かってインフェルノを放った。俺はたまらず後退するが、怒れる魔王にアオイが植物で魔王の動きを封じた。それに乗じてマリューも果敢に挑む。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

 マリューに気を取られている隙に、ミツルギが雄叫びを上げて燃え上がる魔法剣で襲いかかり、その脚をザクッと切りつける。ミツルギが更にもう一撃を食らわせようとするが、それは弾き飛ばされたものの、今度はウォルバクが魔法の剣で斬りかかる。だが、魔王はマリューを殴り飛ばしながらウォルバクを蹴飛ばす。

 

 それでも普段あまり組まない者同士の急造チームのコンビネーションは完璧だった。魔王の背後からアクアとセシリーのセイクリッド・エクソシズムを浴びせたところで、ウォルバクが円形の魔法陣を投げ付ける。魔王はそれを避けるが、後ろから器用にポンポンと飛んで来たアクアとセシリーがその魔法陣の上に飛び乗り、魔王が振り向いたところでその背中に石鹸と洗剤をぶつける。

 

「悪魔死すべし!」

「魔王しばくべし!」

 

 アクアとセシリーは右手の中指を立てて、ウォルバクが作ったオレンジのサークルに仰向けに倒れて消えてゆく。

 

べちょ!

 

「なっ、なんだこれは?洗剤か!?」

 

 魔王が黒い法衣に付いた洗剤を見つめる。

 

「魔法を使わせないようにしなさい」

 

 ウォルバクは浮遊マントに命じ、魔王の左手を封じさせるように命じた。マントが魔王の左手に巻き付くと、ウォルバクは右手をクルクルと動かし締め付ける。

 

「ぐぁっ!!」

 

 動きが取れなくなった魔王に、ミフユさんが槍で攻撃を仕掛ける。

 

「魔法で! 効率よく! 魔法で素早く!」

 

 ミフユさんは素早い動きで数回槍で斬りつける。

 

「魔法で……しまった!」

 

 だが、遂に捕らえられてしまった。

 

「小娘めっ!」

 

 激昂した魔王は右手でミフユさんの首を絞めつけ、その体を地面に叩きつけてからウォルバクに向かって投げつけた。さらにその手で浮遊マントも切り裂いた。だが、マントの半分はまだ左手に貼り付いたままで、残り半分はどこかに飛んで行った。怒れる魔王はマントが貼り付いたまま左手をウォルバク達に向けようとするが、俺が瓦礫の上からクリムゾン・レーザーを放つ。魔王はレーザーに包まれるが、魔王は右手を向けてインフェルノを放って来た。俺はたまらず後退するが、その瞬間、何者かが雷魔法を放った。

 

「魔王、これでお終いよ!」

「おやおや」

「好きな人が出来たの。だからその人を守る為にあたしはあんたを倒す!」

「残念だ、キャル」

 

 魔王は魔法の弾幕に動じることはなく、殴り飛ばす。だが、ウォルバクが数本の魔法のロープを投げつけて、魔王の左手を縛り付けた。動きが止まったところでアオイが植物に足に絡むように命じ、よろめいたところを俺とメリッサがクラーケンのアームとバインドのワイヤーで右手を縛りつけ、ミフユさん、マリューとミツルギが背中にしがみつく。

 

「ぐぁぁぁぁぁっ!」

 

さすがの魔王も動けない様だ。

 

 俺はクラーケンのアームを2本出して背後の地面に突き刺してしっかり固定する。

 

「アクア、今だ!トドメを刺せ!!」

「了解!最後は女神である私が締めなきゃね!」

「は、早くしろ!そんなに長く持たないぞ!」

「そうね。その前に魔王に言っておかなきゃ、これは私の作戦なの」

 

 アクアは顔を近付けて聞く。

 

「さぁ、観念しなさい!けど、女神である私は慈悲深いの。今ならごめんなさいって言えば許してあげるわ!」

「め、女神…………だと?寝言は寝て言え…………」

「あ、あの…………アクアさん?そろそろ限界……」

 

 ゆんゆんが今にも手を離しそうに言う。

 

「なんですって!?謝って、謝ってよ!それともアクシズ教徒の子達に袋叩きさせたって良いんだからね!」

 

 俺は慌ててアクアに話しかける。

 

「アクア!冷静なれ、いいな? 一気にトドメを刺んだ!」

「それとも、ゴッドブローの餌食にさせてあげようかしら?」

 

 アクアは両手をゴキゴキならしながら魔王を威嚇する。

 

「おいアクア、それ以上煽るな!」

「もう遅いっ!」

 

 魔王は俺とメリッサを弾き飛ばした。

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