※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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191 めんどくさい女神

 俺達は気が付くと、暗く湿った狭い部屋。まるでろくな明かりも無いその場所は、今にも幽霊やゾンビが出そうだった。そして何処からともなく、女がすすり泣くような微かな声が聞こえた。俺達3人は咄嗟に三角形に陣形をとり、互いに背を向けながら警戒した。

 

「罠か!?」

「罠じゃなかったらなんだよコレ」

「カズマ、遅れて来たという事は力を蓄えて来たんだろうな?」

「うぎゃぁぁぁぁああああ!!」

 

 ミツルギが皮肉を言うと、薄暗い部屋の隅から聞き慣れた悲鳴が聞こえて来た。

 

…………ん?

 

「そこにいるのは、アクアか…………?」

「えっ?アクア?」

「アクア様!?アクア様なのですか!?」

「…………へっ?…………カズマ?」

 

 そこにいたのは、部屋の隅で膝を抱え涙目で小さくなっているアクアだった。アクアはカズマの顔を見た途端、顔をクシャッと歪める。ミツルギが近づくと、

 

「アクア様!ご無事ですか!?」

「どいて!わぁぁぁぁぁぁっ!わぁぁぁぁぁぁっ!カズマさんカズマさんカズマさーん!!」

 

 感極まったように立ち上がって近付いて来たミツルギを殴り飛ばしてカズマの胸元に飛び込んだ。だが、カズマは華麗に躱す。

 

なんだあのスキル!?

 

「わぁぁぁぁぁぁっ!わぁぁぁぁぁぁっ!」

「思いっきり壁に激突したぞ?なんだよ今のスキル!?」

「『自動回避』だ、結構便利だぞ?」

「アクア様!お怪我はありませんかぁっ!?」

 

 カズマが身を躱した事で、壁に激突したアクアはミツルギに慰められながらも未だに泣き止まずにいた。

 

「悪かった!いや、しょうがないだろ、確率で勝手に発動するんだよ」

「確率で発動すんのか、俺には不向きだな」

「もう泣き止めよ、ここは魔王の城なんだから。あんまし泣いてると魔王の手下達が駆け付けてくるぞ」

「だって、だって…………!リュウジと魔剣じゃ物足りなかったし、せっかく会えたと思ったのに!カズマのカズマがぁぁっ!」

 

…………物足りなくて、すいません。

 

「ほら、ぶつけたとこ見せてみろ、治してやるから。………『ヒール』」

 

なに!?

 

 カズマはアクアの頭に出来たコブに手をかざし、ヒールを掛けた。俺やミツルギ、アクアまで目を見開いて。

 

「お、お前…………ヒール覚えたのか!?」

「今の今までまともな魔法を覚えてなかったあのカズマが!?」

「ひ、ひーるした…………。カズマが、カズマが、ヒールを使った!あ、あ、あああ!わぁぁぁぁぁぁっ!このクソニート、とうとう私のアイデンティティーを奪ったわね!コッコロといい、リュウジといい遂にはあんたまで!?この私をトイレの女神と貶めるだけでは飽き足らず、唯一の取り柄まで奪うつもり!?いいわ、かかってらっしゃい泥棒ニート!私の本当の敵は魔王じゃなくてあんただったのよ、今こそ決着をつけてあげるわ!リュウジ、魔剣!見ててなさい!どっちが上かを見せてあげるわ!」

「面倒くさい事ばっか言ってんじゃねぇ!お前があっちこっち歩いてる間にこっちは特訓だったんだぞ!?リュウジがスキルアップポーションを置いててくれなかったらもっと余計時間かかってた所だ! 構ってちゃんな手紙残して勝手に行きやがって、本当に面倒くさい女だな!」

 

あのスキルアップポーションがここで災いを呼ぶとは。

 

 カズマは拳を構えるアクアに向けて溜まってた鬱憤をぶちまけ始める。見兼ねた俺とミツルギはカズマとアクアの間に割って入る。

 

「ほらほら、ケンカはもういいから離れろ。ここは敵陣なんだから」

「アクア様も落ち着いて、あまり騒がない様に…………」

 

 お構い無しに2人はヒートアップする。

 

「構ってちゃんとか面倒くさい女だとか、これはいよいよ天罰食らわせるしかないようね!水の女神を怒らせた事、後悔なさい!あんたに、頭洗ってる時だけシャワーが出なくなる罰を与えるからね!」

「毎度毎度天罰が地味なんだよ!もうちょいまともな天罰はねぇのか!」

 

全くコイツらは…………ん?

 

 俺は何かの気配を感じ取った。ミツルギにアイコンタクトを取って方向に構える。今だに揉めている2人に無言でゲンコツをして向き直すと、話し声が聞こえて来た。部屋に入って来たのは漆黒の鎧を着た騎士と2メートルを超える巨体を持ち、額に2本の角を生やした赤銅色の鬼だった。敵と判断した瞬間、俺は漆黒の騎士を狙い、ミツルギは赤銅色の鬼を狙った。

 

「『ブルーインパルス』!」

「『魔法剣・獄炎龍』!」

 

ドガーン!!

 

 大爆発を起こしながら俺達は部屋から脱出した。爆発を聞き付けてモンスター達が襲いかかって来た。カズマは今までリザードマンに近かったのだが、少しドラゴンに近い翼の生えたリザードマンに変身して言い放つ。

 

「アクア、支援は任せたぞ!パワーアップした俺の力を見せてやる!」

「きゃー!カズマさん素敵ー!ねぇカズマ、芸達者になる支援魔法はいるかしら?」

「ください!アレは良いものだ!」

 

まさか、カズマを戦力として見れる日が来るとはな。

 

「ミツルギ、俺達もうかうかしてられないな」

「その様だね。行くぞ!カズマ!」

 

 支援魔法を受けたカズマをセンターにして、俺達はアクアを守る様に前に出た。

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