工房に引き篭って2日、俺のブラックナイトに商人のおじさんから貰ったアダマンチウムの欠片を全身に少しずつ含ませた。アイアンマンとバットマン要素が無くなってしまったが、マントをコウモリの様にしてギリギリバットマンの要素を残した。それにより防御力が大幅にアップした。2日間部屋にいたがお昼頃に必ず爆裂魔法の爆音が聞こえて来た。
何故かは考えないでおこう。
俺は改良型ブラックナイト装備をして鏡の前に立った。
「どう?変かな?」
《いえ?前より軽量化もされてますし、問題ないかと思いますよ?》
トントン
鏡の前で様々なポーズを取っていると工房のドアがノックされた。
「リュウジ、ちょっと良いかな?」
「ん?なに?」
ガチャっとドアを開けてパジャマ姿のクリスが入って来た。何やら小難しい顔をしていた。
「あのさ、ちょっと相談があるんだけど良いかな?」
「相談?どうしたんだよ?」
「洗濯物の事なんだけどね?もうちょい楽な方法ないかなぁと思ってさ?」
「楽な方法?このおかしな異世界で発明でもしろってか?」
「カズマさんも勅令で暇を持て余して色々作ってるみたいだし、これを機にリュウジも何か作ってみたら?洗濯物を楽に出来るやつとかさ!」
ほう、カズマがねぇ……この世界で日本率の高い物を目にするがこうやって転生された人達が発明していく訳か、どうりで色んな物がある訳だ。
「うーん、発明かぁ…直ぐにはいそれとは作れるもんじゃ無いからなぁ……ってかこのブラックナイトを見ても何もコメントなし!?」
「へ?……アダマンチウムちょっと含ませた?」
「うん、どう?変かな?」
「変じゃないと思うよ?それなら狭いダンジョンでモンスターに遭遇しても動きやすそうだね」
「ちょっと見ただけでそこまで分析するとは流石は女神だな、ネメシスは元気だったか?」
「ネメシスの事なんだけどね?いつの間にかネメシスがいなくなってたんだよね……書類整理でもしてるのかな?」
「ふーん、忙しいんじゃねぇか?前の世界で天界の公安の仕事してるって言ってたし」
「そうだね、どう?何か思い付かない?」
俺は兜を脱いで考え込んだ。
アレが直ぐに思い付いたけど、構造を細かく調べないと作れない可能性があるんだよなぁ……それともオリジナルを作るべきか……。
「どう?」
「うーん……『洗濯機』かな?」
「せんたくき?」
「うん、とりあえず作って見るか」
「あっならこのマナタイトの結晶使って見て?」
「あっそっか、動力源をマナタイトの結晶にすれば上手くいくかも」
「でっきるかな?でっきるかな?ふふふふ〜ん♪」
そう言って改良型ブラックナイトを脱いで工房を見渡す。
「マナタイトとこの大樽とこの廃材を使って……」
トントン……カンカン……チュイィィン!
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「意外と出来るもんだな……」
「あはは……そうだね……」
《あの、細かい構造はどうなってるのでしょうか……?》
俺とクリスの前には大樽の底に金具を取り付けて蓋を出来るように改良した物があった。金具からは排水出来るように施されていた。
※木製のドラム型洗濯機をイメージしてください。
「試しに使って見る?」
「うん、使って見る!」
俺とクリスは浴室に洗濯機を運び、クリエイト・ウォーターを発動させて洗濯機の中に水を入れ、アクシズ教の洗剤を入れた。
「ほれ、洗いたい物入れてみな?」
「あっあの…恥ずかしいからあんまり洗濯物は見ないで欲しいな…」
「はいはい……誰もてめぇのシミ付きパンツなんか見ねぇよ」
「むっか!」
そう言うと俺をボコボコにしたクリスはいそいそと洗濯機の中に洗濯物を入れて蓋を閉めた。
「はい、もういいよ?魔力ちょっと頂戴」
「はい、エリス様『スパーク』!」
パチっと洗濯機に魔力を注ぐとゴウンゴウンと動き始めた。
「おー!凄い凄い!」
「爆発したりしてな」
「なんでそういう事言うのさ!」
「いや、なんか上手く行き過ぎてるし……」
《嫌な予感がしますね……》
言ってるそばから急に洗濯機がガタガタと言い出して激しく揺れ始めた。
「こっこれは……」
「嫌な予感しかしないんですけど!!」
バーーーーーーン!
魔力が強過ぎたのが原因なのか、洗濯機が爆発した。2人仲良く盛大に水を頭から被った。
「まぁ……発明には失敗と爆発は付き物だ」
「ううぅ……こっち見ないで……」
「は?」
俺が隣を見るとずぶ濡れになったクリスはしゃがみこんで体中透け透けになった胸元を隠した。上はともかく下が透けてパンツが丸見えになっていた。
「そんなガードの緩いパジャマ着てるからだろ」
「エッチ!こっち見ないで!」
「いった!」
クリスは洗濯機の破片を俺に目掛けて投げつけて来た。破片は顔面に当たり俺は悶絶した。
もう我慢できん、俺の
「エリスさぁぁん?これは不可抗力ってやつじゃないですかねぇ!?」
「そっそうだけど!ここは普通タオルとか渡してくれるんじゃないの!?ジロジロ見ないでよ!また天罰与えるよ!?」
「ふんっ、貴様の天罰なんぞもう怖くないわ!喰らえ!俺の新しい力をなぁ!『カースド・ダークネス』!!」
「きゃあ!」
クリスの体はシュインと黒いオーラが纏った。
《リッリュウジ様!?クリス様になんて事を!?》
「じゃかぁしい!無理難題押し付けやがって!くくく…どうだ、汗水鼻水垂らしてようやく習得した俺の力だ!」
「???」
クリスはずぶ濡れの体をキョロキョロして何が起こったの確認した。
「ん?ん?」
「くくく……オラ、喋って見ろよ」
クリスが首を傾げて喋ろうとしていると、アナウンスが流れ始めた。
『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で冒険者ギルドに集まってくださいっ!魔王軍が現れました!繰り返します……』
「魔王軍だと!?」
「もんげー!? え!? オラの言葉おかしくなったズラ!それより雷魔法はどーしたズラ!?」
「おっと、いけない!ブラックナイトを装備しないと!ほら、クリス!
「ちょっと!オラの言葉を戻すしてから行くズラ!」
《ああっ!?なんと言うことを!?またリュウジ様相手の言葉をズーズー弁になる呪いを掛けたのですね!?》
クリスを置き去りにして俺はブラックナイトを装備し、冒険者ギルドに辿り着いた。そこには、カズマ一行、ミツルギ達が待っていた。
「リュウジ!待ってたぞ!」
「すまねぇ、洗濯機を発明してたら遅れちまった!」
「あら?リュウジ、クリスはどうしたの?」
「クリス?あー今着替えてたからすぐ来るんじゃないか?」
すると、めぐみんがカズマの影に隠れながら俺に尋ねてきた。
「まさかとは思いますが……リュウジ、クリスにも呪いをかけたのですか?」
「おっ?流石はめぐみん!頭が良いだけあって鋭いね!」
「おっおまえは!クリスにまで呪いを掛けたのか!?その呪いの事を是非詳しく聞かせてくれ!」
「てめぇは黙ってろ雌豚!今度は語尾に「ブヒッ」って付くように呪いかけんぞ!」
「ぶっ豚のような語尾だと!?ひゃう!!」
バァン!
勢い良く冒険者ギルドの扉が蹴破られると、そこには怒りに満ちたクリス様がドシドシと歩いて来た。
くくくく……来たか、ブチ切れてるのは想定内、さぁ、ジャンジャン喋るがいい!!
クリスの覇気に驚くカズマやミツルギ、ダスト達は冷や汗をかきながら俺とクリスのやり取りを見届けようとしていた。
「………………」
「来たのかクリス、そんなに怒ってどうしたって言うんだい?俺達アドベンチャーズで魔王軍を打ち倒そうじゃないか!」
クリスは恥ずかしそうに周りを見渡し、覚悟を決めたのかリュウジに言い放った。
「んだ!オラもアドベンチャーズの1人ズラ!誰一人傷づぐこどなぐ帰って来るズラ!!」
「「「「「「!?」」」」」」
クリスの話し方、イントネーション、語尾を聞いた途端ギルドの中にいた人達が凍り付き、ヒソヒソ話し出した。
おっおい、クリスちゃんどうしたんだ?
なんか変な喋り方だったよな?
ズラッてなんだよズラッて……
ヒソヒソ話が聞こえたのかクリスは顔を真っ赤にしてプルプル震えだした。すると、アクアがカズマにヒソヒソと話し掛けた。
「ねっねぇカズマさん?クリスの話し方……コ〇さんよね?」
「あぁ……コ〇さんだな」
ミツルギにも聞こえたのか、カズマに確認をとった。
「サトウカズマ、クリスちゃんの話し方……コ〇さんだよな?」
「あぁ……コ〇さんだな」
「私ね?クリスはコ〇さんより、ジ〇ニャンの方が似合ってると思うの、「ニャン」の語尾の方が似合うと思うの」
「しまったー!「ニャン」の方が良かったかぁー!」
俺はあいたーって感じで頭を右手で押さえ込んだ。それを見ていたクリスは武闘家が見ていたらクリスの回し蹴りに100点をあげるくらいとても綺麗な回し蹴りを俺に繰り出した。
「げふぁ!?」
「もういいズラ!早く街の入り口に行くズラ!」
「おっおう、そうだな…リュウジは丈夫だしほっといても来るだろ」
「アクアさん、この呪いを解呪して欲しいズラ……」
「勿体無いけど仕方ないわね、『セイクリッド・ブレイクスペル』!」
クリスはアクアの解呪魔法により俺の『コ〇さんの喋り方になる呪い』を解いてもらった。
「やっと解けた!まったくこのバカはなんて事をしてくれるのさ!」
げしげしと俺を踏みつけるエリス様
「いだだ!ごめんなさい!調子に乗りました!ごめんなさい!」
「ふんっ!こんなやつほっといて皆行こ!」
クリスはプンスコ怒りながらも他の冒険者達と一緒に街の入り口に向かって行った。置いてかれたリュウジを見てゆんゆんは心配そうに俺に尋ねた。
「リュウジさん、大丈夫ですか?」
「あててて……あいつ本気で蹴りやがって…」
「え?どういう事ですか?まさかリュウジさん、クリスさんが危険な目に会わないように……」
「ちっちがうよ!?変な詮索しないで!」
「あっはい、立てますか?」
「立てるから大丈夫だよ、先に皆と合流しててくれ」
「あっはい、分かりました!」
ゆんゆんはミツルギを追いかける為に街の入り口に向かって行った。1人取り残された俺はマリューと話し始めた。
《まったく、伝わりづらいやり方してもクリス様を守れませんよ?どうしてそんな回りくどい仕方するんですか!?》
「なんだよ、お前まで」
《長い付き合いなんですから手に取るように分かりますよ!守ろうとしたんですよね?》
「さぁ?どうだろうねぇ?さて、俺も行きますか、登場シーンはかっこよく決めないとな」
俺は立ち上がって街の入り口に向かって行った。
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街の入り口に集合した冒険者、アドベンチャーズは乗り込んで来た魔王軍と対峙していた。
「なぁ、アクア、リュウジ来るよな?」
「来るに決まってるでしょ!……多分」
「多分って!?」
すると城壁を高く飛び上がった俺はアドベンチャーズを含めた冒険者より前にヒーロージャンプを繰り出しながら着地をして到着した。
「待たせたな……」
「「リュウジ!!」」
「鋼のリュウジが来たぞ!これで勝てる!」
「リュウジが来た!」
歓喜が巻き起こる中俺は呟いた。
「さぁ……パーティーの時間だ」
俺は魔王軍の暗黒騎士に向かって言い放った。すると暗黒騎士が騒ぎ出した。
なんだ?魔王軍の恐ろしさと強さを見せ付けにでも来たか?
「毎日毎日っ!!俺の城に、ポンポンポンポン欠かさず爆裂魔法撃ち込んでくる大馬鹿は、どこのどいつだあああああああーっ!!」
「………………は?」
《クレーム!?》
魔王軍の暗黒騎士は物凄く怒っており、何やらクレームを入れに来たようです……。