※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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いよいよ、最終回です!


エピローグ★

 俺が大女神イシスターにどこかへ連れて行かれた後、カズマは魔王を倒し、再び地上に戻って来た。突如現れたカズマに、その場にいた皆が驚き、そして───────

 

「「「「カズマ!お帰………り…………?」」」」

 

 めぐみん、ダクネス、キャル、マヒルがカズマにお帰りを言おうとして、言葉尻をすぼませて首を傾げた。カズマが皆を見ると、ダクネスは手酷い傷を負い、マヒルは槍を折られていた。めぐみんとキャルは呆然とした表情を浮かべているが、怪我らしい怪我は無かった。……と、向こうではミツルギが倒れ、その傍らにはアオイとゆんゆんがセシリーと共に治療に勤しんでいた。

 

「あの、カズマ?」

 

 マヒルが恐る恐るといった感じで。

 

「…………その人は誰だべか?」

 

 カズマの隣に佇む、女神エリスを指しながら尋ねてきた。カズマは、えぐえぐと泣くエリスに手を向け。

 

「こちら、あの有名な女神エリス様。今ちょっと泣いてるけど、魔王を倒したご褒美代わりに、せっかくなんで連れて来た」

「「「「えっ!?」」」」

 

 めぐみん、ダクネス、キャル、マヒルが、驚きの声と共に後退る。と、ダクネスが突然片膝をつくと───────

 

「こ、これはエリス様!その御姿、確かに教会に記されていた通りの……。通り……の?」

 

 深々と頭を下げていたダクネスは、チラッと顔を上げてエリスの顔をじっと見た。エリスは目を赤くさせながら目を逸らす。

 

──────と、その時だった。

 

「なんでよ───────!」

 

 突然光の柱が現れると、そこからアクアが飛び出して来た。

 

「あっ!お前、なんで自力で降りて来れるんだよ!」

「ぐすっ、先輩!?何してるんですかぁ!リュウジを説得して来るって言ったの先輩じゃないですか!!だから私来たんですよ!?」

 

 カズマとエリスの声を受け、アクアも泣きながら声を上げた。

 

「だってぇ!だってぇ!イシスター様どこにいるか分からないんですもの!」

「だったら最初から啖呵切るなよバカ!」

 

 わあわあと泣くアクアを見て、めぐみん達が安心したように息を吐いた。

 

と、その時。

 

「ぐはっ!」

「きやぁっ!」

 

 クレアさん、メリッサ、ペコリーヌが激昂した魔王の娘に吹っ飛ばされて来た。魔王の娘は剣をカズマに向けて、

 

「よくも父上を……皆殺しにしてやる!」

「ヤバいヤバいヤバい!リュウジもミツルギも頼りにならない!ほら、いつまでも泣いてないでとっとと帰るぞ!目的は果たしたんだ、魔王の娘は後日考えるってことで…………!」

 

 カズマ達が逃げようとしたその時、エリスが立ち止まって魔王の娘の方に振り向いた。

 

「私が時間を稼ぎます、今のうちに!」

 

 ゆんゆんとキャルがテレポートを唱えようとした瞬間。突然、雷が落ちて来た。とてつもない爆風で魔王の娘がクレーターを覗いてみるとそこには、右手にはダニエルが持っていたトールハンマー、青い鎧をと稲妻を纏わせ、青い瞳を輝かせていた男が立っていた。男は飛び上がり、魔王の娘に向かって声を上げた。

 

「唸れ稲妻!」

 

 叫んだ途端、トールハンマーから雷が放出される。

 

「『神の稲妻(ゴッド・バレーノ)』ッ!!」

 

 トールハンマーが振り下ろされて青白い稲妻が魔王の娘に直撃した。突然現れた謎の男にカズマ達は唖然としていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「えっ、誰?誰この人?」

「新手か!?」

「また別の魔王とか言わないわよね!?」

 

 アクア、ダクネス、キャルが身構える中、カズマが恐る恐る尋ねた。

 

「あのぉ……失礼ですが、どちら様ですか?」

 

 謎の男は振り返り、答えた。

 

「おう、カズマ。俺だよ俺!」

「……え?」

「リュウジだよ」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

 その場にいた全員、あのエリスすら驚きの声を上げていた。アクアが俺の顔をジッと見つめると、

 

「ホントにリュウジだわ。けど、リュウジから神格を感じるんですけど?」

「えっ、何で!?どうしてですか!?」

「あー、それはだね」

 

 俺はトールハンマーを肩で担ぎながら答えた。

 

───────────────────────

 

 ───────遡ること数十分前。イシスターに連れて行かれた俺は、晴天の空にどこまでも続く階段の前にいた。

 

『なんですか?ここは?』

「生まれ変わる階段と言った所でしょうか。フクヤマリュウジ、今回は本当にお疲れ様でした」

 

 イシスターは俺に深々と頭を下げる。

 

『いえいえ、俺もあの世界に行けて良かったですよ』

 

 俺がしみじみ言うと、イシスターは手をポンと叩いて。

 

「そうそう。私からの報酬の件ですが」

『報酬?何でしたっけ?』

「サトウカズマにやる気を起こさせるという依頼です」

 

あー、そんなのあったな。

 

『すいません、達成してませんよね?最後はめぐみんに丸投げしましたし?』

「そんな事ありませんよ。あれも一つの方法です。見事に達成しましたね」

『えっ!?』

 

 思わず声を上げた。

 

「ですが、魔王の娘がまだ残っていますがね?」

『そんな、どうにか出来ないんですか!?』

「その答えは、この先にあります」

『この先に……ですか?』

「ええ。さぁ、お行きなさい」

 

 俺は言われるがまま階段をフワフワと飛び始めた。だが、どんなに進んでも先が見えなかった。俺は焦り始める。

 

魔王の娘は魔王以上に強いってウォルバクが言っていた。いくらミツルギがいたとしてもどうなるか分からない……。今まで何人もの仲間を失った。

 

 誰も失いたくないと頭に過ぎると思わず、大声を上げてしまった。

 

『スラッシュ、バージル、サニー、ティーチ、ディアボロ……ジキル、バルバロ……そして、カズマ! もう二度と、誰も死なせない!うおおおおぉっ!!』

 

 叫んだ瞬間、失った筈の右腕が形になって行き右手にはトールハンマーが手にされていた。バチバチと稲妻が纏いながら空へ飛び上がった。

 

───────────────────────

 

「って訳よ」

 

 今までの経緯を説明した。

 

「えっ、んじゃ今、リュウジじゃないって事?」

 

 エリスが俺に指を差して言う。俺はトールハンマーをチラつかせながら、

 

「うん。俺、雷様になった見たい」

「って事は……雷神トール?」

「じゃないのかな?ほら、もう魔王軍倒したんだし帰るぞ?」

「ちょっと待って!あんた神になったっての!?」

「後で聞けば良いだろ!ゆんゆん、テレポートを頼む!」

「あっはい!」

 

みんなハッピーエンドが好きだ。でもいつもそうはいかない。多分今回も。全てが戻り、家族が再会し、この世界が争いが無く平穏になったとき。そんなときがあったか不満もあるけど。まったく、この世界は。異世界は広いと思ってたけどまさかここまでとは。言ってみれば光と闇が入り乱れて戦う世界。良くも悪くもあったけど楽しかったな…………。

 

 ───────それから数ヶ月後。エリスの職場に常連客が現れた。

 

「やぁ」

 

 カズマは気さくに手を挙げ挨拶してくる。

 

「やぁ、じゃありませんよ!まったく、どうしてあなたは………」

 

 カズマは両手を後ろについて床に足を投げ出し、満足そうにリラックスしている。

 

「いやぁ、やっぱりここが一番落ち着きますね。なんつーか、エリス様を見てるだけで癒されます」

「そんなことを言ってると、めぐみんさん達に愛想をつかされますよ?」

「その時はエリス様一筋になりますから」

 

 そんな事を言いながら、カズマは腕を枕に寝そべった。

 

「残念ですけど、私、彼氏がいますから」

「あー、噂の最強の神?」

「はいそうです」

「あの後、リュウジ居なくなったけど、リュウジはどうしてんすか?」

「リュウジ……じゃなくてトールは初仕事の真っ最中ですね」

「初仕事?」

 

 頬を赤らめながら答えるエリス。カズマは首を傾げた。

 

──────その頃、俺は…………。

 

「今回、救済難易度Sクラスの世界『ランドソル』の担当になった男神は、雷神トールです!!」

 

 カズマ達の住む世界とは次元の異なる統一神界。その神殿内に割れんばかりの拍手喝采が巻き起こっている。ネメシス、ヘスティア、アメス、リスタルテが爆笑しながら拍手しいる先には─────俺がいた。

 

「リュウジじゃなくて、トールさーん!頑張って下さいねー!」

「初仕事がSだなんて凄いじゃない!」

「うんうん、頑張れ後輩よ!」

「ま、頑張って」

 

 4人の先輩の声を聞きながら俺は顔を引き攣らせていた。

 

人手不足って、コレ?

 

 俺はそれから転生者リストに目を通し、担当となる勇者を探し始めた。

 

どいつもこいつも似たような名前、性格。つまらん!

 

 俺は椅子に持たれながら考え、閃いた。

 

「あっ、アイツの魂どうなったのかな?ちょっと調べよっと」

 

 俺はモニターを映し出し、魔王のリストから『八坂恭一』を探した。画面をスクロールして行くと、八坂恭一を見付けた。

 

いたいた。与えられていたチート能力は……【ダークナイト】。パーティー仲間を強化する能力か。

 

 顎をトントン指で叩く。

 

今統一神界はチート能力もチート武器も廃止されている。だから転生者も出来るだけステータスの高い奴が好ましい。だが、新たな転生者からチートは廃止のなので魔王のリストから選ぶことにしたのだ。

 

「まず名前を……適当にユウキにして、能力はダークナイトじゃダメだから【プリンセスナイト】に書き換えて、能力の効果は『女の子の仲間のみ強化』でいいや。記憶を全部消して、年齢は16辺りにして、精神年齢を5歳くらいにすっか」

 

 モニターをポチポチいじくり、八坂恭一をユウキという人物に生まれ変わる様に設定した。俺は大理石の通路を通り、召喚の間に向かった。観音開きの扉を開くと、床も白、天井も白、見渡す限り真っ白な空間が現れる。召喚の間はエリスの所の空間とは違って異空間で神殿内にあるのにも関わらず、広大の広さだった。俺は扉から十数歩、歩いた位置で立ち止まり、リスタルテから教わった通りに魔法陣を描く。そして召喚する勇者の名前を読み上げる。やがて魔法陣から光が溢れ、生まれ変わった八坂恭一ことユウキが現れた。ユウキは、魔王の時の姿とは違って、170cmくらいの身長で、素朴な青年が現れた。ユウキはキョトンとしながら辺りを見渡している。俺は優しく声を掛けた。

 

「初めまして、俺は雷神トール。この統一神界に住む男神です。故あって君を死の国からこの次元へと召喚しました。ユウキ。君こそ異世界『ランドソル』を救うのです」

「………………」

 

 ユウキはぼーっと、俺の顔を見つめていた。

 

ヤバい、いじくり過ぎたかな?まぁ、いいや。

 

 俺は小さく呟いた。

 

「この元魔王に素晴らしい祝福を!」




ご愛読ありがとうございました!二次創作はしばらく控えてオリジナルに専念しようと思います。書きたいものを書き終えたらまた二次創作(続編)を書くかも知れません。
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