プロローグ
留置所に連れてこられた俺の罪名は国家転覆罪だった。メンバーの前で土下座をして仲間達の罪を全て1人で背負い、現在にいたる。ブラックナイトを没収され、俺は体育座りをして俯いていた。
「俺の冒険の第2章の始まりがここからかよ……」
ポロリと涙を流す鋼のリュウジ
《リュウジ様、そんなに落ち込まないで下さい、先程のリュウジ様はとてもカッコよかったですよ?仲間の為に土下座をして命乞いをするなんて……流石は魔王と呼ばれただけありますね、私は誇らしいです!》
「それはどーも……はぁ……」
鋼のリュウジの冒険第2章の始まりは薄暗い牢屋からお送りします。
その日の夜、うなされながらも横になっていると、声が聞こえて来た。
リュウジ!リュウジ!
「ん?誰……?」
「あたしだよ!」
牢屋の小窓を見上げると、クリスが顔を覗かせていた。
「なんだ、クリスか?どうしたんだよ?」
「心配になったから見に来たんだよ、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ?他のみんなは?無事か?捕まったりしてないか?」
「うん、カズマさん達の借金以外はみんな大丈夫だよ?」
「そうか…はぁ、…良かった……」
俺はため息を吐いて落ち着いた。
「あのね?昼間の事なんだけどね?」
「ん?なに?昼間って?」
「検察官の人に頭を下げた時だよ、あの時のリュウジ…すごくカッコよかったよ?」
クリスは恥ずかしそうに俺に言った、面と向かってクリスからまともに褒められたのは初めてだった。
「珍しい事もあるもんだな、お前からお褒めのお言葉を貰えるなんて」
「あっあたしだってちゃんと褒める時は褒めるよ!」
「そうですか、あっ、クリスお願いがあるんだけど?」
「ん?なに?」
「家にある金庫、素材、道具、戦利品を絶対安全な所に隠して欲しいんだ」
「え?良いけど……なんで?」
「このイカレ狂った世界だ、押収されたり、さし押されられそうだからさ、頼めないかな?」
「それくらいならお易い御用だよ!任せて!」
「うん、んじゃ…頼んだ」
「んじゃ、早速家に戻って準備するからそろそろ帰るね?」
「うん、見付かるなよ?」
「あたしは盗賊なんだから余裕だよ!んじゃね?」
クリスはコソコソとその場を後にした。
「あいつがいてくれて助かったな、今度運が良ければ探索に付き合ってやるか……」
俺は再び横になり、朝を迎えた。
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翌朝、俺はセナに呼び出されて取り調べを受けていた。机にはなにやら呼鈴の様な道具が置かれていた。
「フクヤマリュウジ、これは嘘を看破する魔道具だ、なので我々には嘘は通じないから正直に答えろ」
「ういっす……」
「まず、出身地と冒険者になる前の職業を聞かせてもらおうか?」
え?どっち答えれば良いだろう……嘘は通じないって言うし、ここは正直に答えるべきなのだろうか?ってか魔王だっていったら即処刑じゃね?
俺は恐る恐る答えた。
「出身地は日本という国です、学生をしていました。そして、メルロマルク国と言う国に引っ越して勇者をしていました」
チーン!
魔道具は激しく鳴った。
「えぇ!?なんで鳴るの!?」
「出身と経歴詐称……」
俺の後ろにいる記録係は音を立てながら記録していく。俺は考えるのをやめた。
「出身は日本です、元々は学生をしており、後にメルロマルク国に引っ越して勇者をしていましたが、その後色々不祥事を起こして……魔王をしていました」
「なっ!?魔王だと!?」
セナは魔道具を見つめると鳴らずに佇んでいる。
やはりこれが正解だったか
「ニホン、メルロマルクと言う国は聞いた事がないが、貴様は魔王なのか?」
「いいえ、魔王と言っても、肩書きだけでこの国に来てからは普通の冒険者なので世界征服とか考えてません、現に魔王軍幹部と一騎打ちしたじゃないですか、デストロイヤーだって食い止めたじゃないですか、確かに領主の屋敷を吹き飛ばしましたけど、アレは事故じゃないですか!?俺の意思じゃないですから!!なんなら冒険者カード見ますか!?おぉうコラ!!」
「うっうむ、拝見させて貰おうか……」
俺は最早ヤケクソで冒険者カードを取り出し、机に叩きつけた。セナはリュウジの冒険者カードを手に取って調べ始めた。
「プロフィール欄を見るからに……『異世界の元魔王』とされている…貴様は本当に魔王だった様だな?冒険者カードは偽造出来ないので事実なのだろう、今は鋼のリュウジとギルドではそう呼ばれて居るようだが?」
「はい、魔王の力はもう無くなっているので今はただの人間です」
「うっ……うむ、嘘は言っていない様だな……」
「この際言いますけど、こっちの魔王を倒さないと俺国に帰れないんですよ、なので世界征服とかそんな悠長な事言ってる場合じゃないんすよ、あーもうめんどくせぇ!弁護士!弁護士を呼んでくれぇぇ!!」
俺は机をガタガタ揺らして騒ぎ始めると、セナが慌てて止めに入った。
「おっ落ち着いて下さい!事情は分かりました!分かりましたから!暴れないで下さい!」
「うるせぇぇぇ!国の為に貢献してんのになんだこの扱いは!?えぇ!?この世界はどんだけ俺の事バカにすれば気が済むんだよ!ざっけんなよオラァァァ!!」
《リュウジ様!この小娘殺っちゃいましょうよ!私もう頭に来ましたよ!何なんですかこの小娘は!!メガネ巨乳の無礼者め!》
「おっおっ落ち着いて、誰か!誰かぁぁぁぁ!?」
「弁護士呼べって言ってんだろぉがぁぁぁ!!」
その後、取り調べ室で大暴れしたリュウジは『スリープ』と『パラライズ』を掛けられて再び牢屋に運び込まれた。
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そして、状態異常が解けて目を覚ますと、看守が目の前に立っていた。
「何見てんだゴラァァァ!」
「鋼のリュウジ、お前に面会が来ているぞ?」
「あ?面会?」
面会って誰だよ
「どうぞ、面会時間は1人30分までなので、それと先程まで暴れて居たので牢屋には近付かないように、でわ」
看守が案内して通したのは、ウィズだった。ウィズは心配そうに見つめていた。
「ウィズ〜!!」
ガシャーン!と牢屋の柵に縋り付く。その姿は檻に入れられたライオンそのものだった。
「リュウジさん大丈夫ですか?大暴れしたって聞きましたけど?」
「うん……だってさ、あいつらさ、人を犯罪者扱いするんだもん……、鋼のリュウジさんだよ?こんなに国に貢献してんにさぁ……」
ズーンと落ち込んでいると、グゥ〜っと腹の虫が泣き始めた。
そういえばここに来てから何も食べてなかったな……。
「あっ、お腹すきました?差し入れにお弁当持ってきましたよ!」
「マジで!?ヤッター!わーいわーい!」
ウィズは風呂敷から金持ちのお母さんが運動会で持ってきそうな重箱を取り出した。
《ウィズ様!?めっちゃ気合い入ってませんか!?この大きさだとこれ柵通りませんよ!?》
「あっそうですね……どうしましょ〜?」
「あっ任せて!」
オロオロし始めるウィズ、俺は柵に手を掛けて力を入れた。
「うっだらぁぁぁぁぁ!」
ギギギ……と牢屋の柵を歪ませて腕と顔を出せるようにした。
「よし、これで食える!」
「まぁ!柵壊しちゃいましたね」
俺は重箱を開けると様々なおかずが入っていた。
ちゃんとタコさんウィンナーまで入ってる!!
「気にしない気にしない!コレ何?」
「これは煮込んだドラゴンテールです」
「ドラゴン!?マジで!?食べる食べる!!」
煮込んだドラゴンテールは見た目は煮込み牛ステーキの様な感じだった、俺は1ヶ月ぶりの飯見たいな食べ方をしていた。
やっだ何コレ!?めちゃめちゃうめぇんだけど!!
《どうしてその子供の様なテンションで居られるんですか!?でも美味しそうですね、ドラゴンテールってのが引っ掛かりますが……》
「あの、美味しいですか?」
「おいひい!けどこんな食材どーしたの?高かったんじゃない?」
「それなんですけど、リュウジさんの金庫から少し貸してもらいましたからね?けど大丈夫です!クリスさんには許可は貰っていますから!」
俺は箸をピタッと止めた。
え?今なんて?
「おかげで助かりました!リュウジさん、ありがとうございました!ほえ?、リュウジさん?なんで泣いてるんですか?」
「大丈夫……なんでもない……あぁ、うめぇ」
希望と絶望が二人三脚して俺の頭を走り回ってるんだけどね……。
「面会時間終了です、お引き取り下さい」
「あら、もう時間ですか?看守さんも食べますか?」
「マジックショップの美人店主さんの弁当ですか!?頂きます!」
「うぉい!それ俺の弁当だぞ!?ゴラァ!!金払えボケェ!」
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その日の午後、ほっぺにご飯粒を付けた看守が再びやって来た。
「はっ鋼のリュウジ、また面会が来たゲフゥウ〜」
「てめぇ!全部食いやがったな!?美味しかったか!?」
「ああ、美味かったよ、お礼に面会時間を30分おまけしてやるよ」
「1時間!?誰!?今度誰!?」
看守が連れて来たのは、ミツルギだった。
「やあ!リュウジ!元気そう」
「んっだよ!おめぇかよ!?」
「なっ!?急にどうしたんだ!?」
「まぁ、ミツルギにも頼みあったからまぁ良いか」
「ん?なんだい?」
「今すぐギルドに行って、ドラゴンの死体取ってきて!」
「ドラゴンをかい!?無茶を言うなぁ……」
「報酬は…ベルディアの大剣を改造した剣をやる、どうだ?」
「あのベルディアの大剣を!?キミの戦利品じゃないか!」
「元々お前にやる為にとっといたんだよ、ほら早く行ってきて!」
「わっわかった……」
俺はしっしっとミツルギを追いやった。ちなみに面会時間は3分だった。
「1時間もかからねぇじゃねぇかよ…他に誰か来ないかなぁ……」
「よっ!元気〜?」
体育座りしていたら、リーンがひょっこり顔を出して来た。ミツルギよりテンション上がるな。
「リーンちゃん!来てくれたの!?」
「うん、ダストもカジノに行っちゃったし、キース達も忙しい見たいだから暇つぶしにね〜、何か欲しい物ある?」
「弁護士!弁護士が欲しい!なんとかならない!?」
「うーん弁護士かぁ〜、あの貴族に聞けばなんとかなるかも?」
あのガチホモ野郎か!?
「まぁ腐っても貴族、そいつが頼りだなぁ…お願い出来る?」
「それくらいならお易い御用だよ!んじゃ早速行ってくるね!」
リーンは意気揚々にギルドに向かって行った。
弁護士を付けてあの巨乳メガネを泣かしてやる!覚悟しとけ!!
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そして、夜……腹を空かせながら横になっていると、呼び起こされた。
リュウジ!リュウジってば!
「んぁ?……クリスか、今度はどうした?」
「言われた通りに、全部隠したよ!」
「ありがと、ってかウィズから聞いたけどウィズにいくら上げたの!?」
「あっ……ウィズさん来たんだね、3万エリスだけだよ?」
びっくりしたぁ〜、100万単位で貸したかと思った……。
「それくらいならいいけど…」
昼にまともに食べてないのが災いしたのか、また腹の虫が泣き始めた。
「あはは、お腹減ったの?」
「減ったよ、看守には弁当食われるしさぁ…」
「あはは!災難だったね、まったく仕方ないなぁ〜」
ニヤニヤしながらクリスは小窓から小さい箱をチラチラ見せてきた。
すいません、小窓の位置が高いから見にくいんですけど?
「なにそれ?」
「あたしが作ったお弁当だよ?」
「マジ?」
「うん、食べたい?」
「食べたい……」
「そうかそうか、何から食べる?タコさんウィンナー?」
「タコさんウィンナーは後でに決まってるだろ!ってかこの高さからどうやって食えと?」
「うーん、トスするからちゃんと食べてよ?」
俺はクマ牧場のクマか!?
「女神が食べ物を粗末にするんじゃありません」
「あはは!冗談だよ、登って来れる?」
「んー、ちょっと離れてろ」
俺は壁をトントンして丈夫な部分を探り、パンチを数発入れた。
「フンっ!」
ドン!ドン!ドン!ドン!
俺は壁に段差を作って登れるようにした。よじ登ってようやく小窓に辿り着いた。
「ちょっと!まさか壁に穴開けたの!?」
「まぁね、よっこいしょっと…あっ檻が邪魔だわ……」
「まぁコレは仕方ないよね、”あーん”してあげるから食べな?」
「あーん」だと!?男の子が女の子にやって欲しいランキングがあったら必ず上位にランキングされる”あーん”をしてくれるだと!?
「クリスいや、エリス……今なんて言った!?」
「檻が邪魔でお弁当通らないんだもん、”あーん”するしかないでしょ?」
「そっそうだけど……お前、恥ずかしくないの?」
「えぇ!?ちょっと、変な事言わないでよ!」
「不思議な光景じゃね?魔王が女神から餌付けされてんだよ?」
「エサじゃないよ!ほら!最初は卵焼きね?あーん」
「あ……あーん……」
届くか届かない所で口に入れてくれないクリスさん
「あー?あにあってんあよ?はあく!」
「面白いなぁと思ってさ……」
バカにしてんのかコイツ!!好きでしてるわけじゃねぇわ!
「はあくひてよ!あごつかれる!」
「あはは!ごめんごめん、ほい、あーんと」
ようやく卵焼きを口に入れてくれた。
もぐもぐ……
ちょっ、味付け上手くねコイツ!?なんか学生の時の友達とおかず交換してた頃、友達の家の卵焼きがやたら美味く感じたんだよなぁ…それに似てる!!。
「どう?美味しい?」
「うん、美味い、料理上手いならさ、お前女神なんか辞めて嫁げば?」
「はぁ!?きゅっ急になんなのさ!」
クリスは顔を真っ赤にして箸を突き付けて来た。
「あぶねっ!なんだよ褒めてんのに!!事実じゃん!!そんなに料理うめぇなら嫁いでもいいじゃん」
「はっ恥ずかしいから大きな声出さないでよぉ〜、また作ってあげるから……////」
「あたしも食べよっと……もぐもぐ」
「あっ」
「え?なに?」
クリスは何食わぬ顔をしながらリュウジが使った箸を使って食べ始めた。
しれっと関節キスしてっけど、コイツそういうの気にしないんだなぁ、黙っておくか……。
「いや、なんでもない…ご馳走様でした!」
「んじゃ、そろそろ帰るね?明日天界に行くから来れないからさ」
「ふーん、あのさ、お願いがある」
「また?どうしたの?」
「俺の幸運値を思いっきり下げて欲しいんだ」
「はぁ!?何言ってんの!?」
クリスは大声を出して俺に聞き返した。
「中途半端に上がってると今回見たいに何が起こるか分かんないからさ、下げとけば色々予測出来るし?」
「えぇ〜?下げれるけど…良いの?災難だらけになるよ?」
「災難ってのは畳み掛けるように訪れるのが世の常さ、頼めるか?」
「うーん……、どうなっても知らないからね?」
「幸運の女神が相棒なら怖くねぇよ」
「バッバカ!、無茶しないで大人しくしてるんだよ!?」
クリスは照れながらその場を後にした。
「アイツの弁当…ウィズと五分で美味かったな、腹も脹れたし寝るか」
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翌日、雪の降る朝一番に看守に起こされた。
「鋼のリュウジ、面会だ、毎日誰かは来るんだな」
「すいません、寒いです、ってかこんな朝早くに?誰だろう?」
「おはよっ!」
「リーンちゃん!それと……」
リーンの隣には、ダストにある意味一矢報いた貴族がいた。
「おはようございます、ご無沙汰しております!リーンさんからお聞きしましたよ!弁護士をお連れしました!」
「おはようございます、ホントですか!?」
「はい!この方です!先生、お願いします!」
ガチホモ貴族が手招きすると、正装に身を包んだ紳士がやって来た。
この人が弁護士なのだろうか?
「初めまして、弁護士のヤリーナゲットと言います!明日の裁判は私に任せて下さい!」
《名前にちょっと違和感がありますけど、心強い味方が付きましたね!これであの小娘を泣かしてやりましょうよ!》
(うっうん、ヤリーナゲットって名前が気になるな……)
「リュウジ!これで明日の裁判はバッチリだね!」
「うん!リーンちゃん、ありがとう!明日頑張るよ!」
その後、弁護士とギリギリまで作戦を立てた。
そして……運命の裁判が始まった。
ちょっと運営さん違う違う!俺が欲しいのは水着クリス!アラビアンナイトクリスじゃないから!…すっ iTunesカード1万円分