裁判当日、俺は万全な態勢を整えた。俺はガチホモ貴族、ヤリーナゲット弁護士と共に裁判所に向かった。
「レディ・パーフェクトリー、準備は全て整った!」
「そうです!必ずリュウジさんを自由にしてあげますからね!」
「我ら3人いれば問題ありません!行きましょう!」
これであの忌々しい巨乳メガネを涙目にしてやるぜぇ!
《リュウジ様その意気ですよ!あの小娘をギャフンと泣かしてやりましょうよ!》
リュウジは堂々と裁判所に入って行くと、アドベンチャーズのメンバーや、アクセルの街の住人の人達が集まっていた。カズマ達が声援を送って来る。
「リュウジィィ!!頑張れぇぇぇ!」
「リュウジー!負けんじゃないわよー!」
「リュウジー!もしもの場合は私の爆裂魔法を撃ちますからね!」
「リュウジ!牢獄プレイの事を詳しくっ!!」
牢屋プレイってなんだよ、まともな声援寄越せよ。
隣を見てみると、クリス、ウィズ、リーンが見えた。3人にはガッツポーズをして立証台に向かった。そして、カラスが鳴き叫ぶ中、裁判が始まった。
カンカン!
裁判長が開始の言葉を放った。
「これより、罪人フクヤマリュウジの裁判を執り行う」
(よっしゃぁぁ……覚悟しとけよゴラァァァァァ!)
リュウジの目の前には、太った金髪の男が睨み付けていた。
どうやらコイツが大領主アルダープって奴か……。見た目だけでもクソ野郎の匂いがプンプンしやがる。
《リュウジ様なんですかあの豚野郎は!?いかにも女を食い物にしてる様な奴じゃないですか!気持ち悪いっ!生理的に無理です!》
肉体を持たない魂のマリューにすらも拒否されてる
そして、俺の運命の掛かった裁判が始まった。
ーーJUDGEーー
「では、検察官は前に出て下さい」
「はい」
「ふんっどっからでも掛かってこい」
セナは前に出て来て立証を始めた。
「領主という地位の人間を陥れる事は国家を揺るがしかねない事件です、よって被告人フクヤマリュウジに国家転覆罪の適用を求めます!」
「それでは証人をこちらへ呼んで下さい」
「いえ、証人など必要ありません、被告人フクヤマリュウジは魔王軍に加担している証拠があります!」
やはり俺の冒険者カードを出すつもりか、だがそれは折り込み済み!
「イーギアリ!」
「んん!?」
突然裏返った様な声がした。俺が弁護士席を見るとガタガタ震え出したヤリーナゲット弁護士が手を挙げて異議を申し立てようとしていた。ガチホモ貴族もびっくりしていた。
おい、さっきの勢いはどうした?すっげぇガタガタ震えてるけど大丈夫かっ!?
ヤリーナゲット弁護士は異議を申し立てた。
「フクヤマリュウジさんの冒険者カードのプロフィールを確認しましたが、あくまでもフクヤマリュウジさんは”異世界”の魔王であり、この世界の魔王とは全く関係ないと思われます、現にフクヤマリュウジさんは魔王軍幹部と一騎打ちをしておりますし、アクセルの街を救っております。もし魔王軍と関わりがあるとしたら一騎打ちをするとは思えません。機動要塞デストロイヤーの時には自ら最前線に立ち、食い止めております、冒険者カードだけで魔王軍幹部と決め付けるのは可笑しいと思います」
声ちっさ!!
検察官のセナ、ガチホモ貴族、俺、アルダープ、裁判長、そして冒険者達も両耳に手を当てた。
「ヤリーナゲット弁護士、もう少し大きな声で異議を唱えて貰えますか?」
「あっはい、すいません…」
案の定セナにツッコまれた。
そりゃそうだよ、まさかの予想外だよ、今さっきまでペラペラ喋ってたじゃん!!なんでここに来て声小さくなんだよ!
「裁判長、この弁護士はなんだ?ろくに話せないのか?」
「はい…すいません」
「まともな弁護士も用意出来ないとなると、弁護の必要もありませんね」
「ならお手元にある資料を確認して下さい、私はもう降ります」
急に書類をぶちまけるヤリーナゲット弁護士。
「ヤリーナゲット弁護士!まさか諦めるのですか!?」
「嘘だろ!?ヤリーナゲット弁護士!!急に諦めんなよ!!」
「もぉ終わりだよぉ〜!みんな今から夜逃げしましょ!?リュウジさんが犯罪者だょぉぉぉ!」
トドメにチームの誰よりも先にアクアが諦め始めた。それを見た瞬間俺は地面に大の字になって叫び出した。
「だぁぁぁ!ちくしょう!どうせこのまま足掻いたって首吊らされんだろ?うぉらぁぁ煮るなり焼くなり好きにしろぉい!殺すなら殺せぇぇ!うぁぁぁぁ!!」
「リュウジ……」
「リュウジさん……」
「リュウジ〜」
クリス、ウィズ、リーンは心配そうにやけを起こした俺を見つめる。それを余裕な顔をしながら髭を触るアルダープは裁判長に圧力を掛け始めた。
「もういい、コイツは魔王軍の関係者だ」
魔王軍関係者……?はぁ?俺が?あんな中途半端な魔王軍の関係者だと?関係ある訳ねぇって言って……あっ!!そういう事か!
「おい…てめぇら良く聞いとけや!俺は──」
カチッ!っと音がしたその瞬間……全ての時間が止まってい。俺は辺りを見渡すと、女神であるアクアやクリスでさえ止まっていた。
「は?えっなに?どういう事!?」
「いや〜、久しぶりに魔道具の力を使ったよ…」
俺の後ろから聞き覚えのある声が聞こえて来た。俺は後ろを振り返って驚いた。
「え?……あっあんた!!創造神のおっさん!?どうしてここに!?」
そう、そこには俺をこの世界に転生させる提案をした張本人、創造神様が立っていた。
「今回はさすがに緊急事態だからね、クリス…いやエリスにも知られたら不味い、緊急の為この『時を止める魔道具』を使って助けに来たんだよ」
「創造神様…けど、どうしよう、俺魔王だってバレちゃった……」
「大丈夫、任せてくれ」
創造神はスタスタとセナの所に行き、俺の記録の調書とリュウジの冒険者カードを取り、セナとアルダープの頭に魔法をかけながらプロフィール欄を触り始めた。どうやら創造神はセナやアルダープや裁判長には見えないように細工を施した様だ。
「え?…創造神様…何したんすか!?」
「この2人からリュウジ君が”異世界の魔王”という記憶を無くし、調書も改ざんしてプロフィール欄を見えなくさせたんだよ。今の私が出来るのはこれが限界だね……そして時が進み出したらさっきの続きからだからね?今回は特別に助けたんだからね?いいかい?、次はないよ?毎回助けてたらネメシスに叱られちゃうからさ……」
ネメシスどんだけ怖いの!?
「分かりました…あなたは命の恩人です……」
「その命、無駄にしちゃダメだからね?それと、今回の件はエリスには内緒にしててくれると助かるなぁ」
「分かりました、約束します!」
「でわ、失礼するよ」
創造神は再びカチッと音を立てると創造神は消えていた。そして……時が進み出した。
よし、1発逆転のチャンスだ!
俺はアルダープに向かって大声を出して証明した。
「お前ら良く聞いとけや!俺は!、魔王軍の手先でもテロリストでもない!」
裁判所に集まった人達全員は嘘を見抜く魔道具を見つめたが全く音を立てなかった。
「これで無実って証明されたも同然だよな?」
「なっ!?そんなバカな!?確かに証拠が…あっあのその……」
「証拠ってなんですか?教えてください今すぐに!!」
「検察官殿?証拠は?どうしたのですか?」
「証拠は…申し訳ありません…ないです……」
創造神は先程の記憶をいじって本当に魔王だと言うことを忘れさせた様だ。これはめちゃくちゃ助かった。
「証拠が不十分なら認められませんねぇ、よって被告人フクヤマリュウジを無罪と──」
「まぁて……裁判長……」
セナに勝ったかと思った途端……アルダープが口を開いた。
「アルダープ殿……」
「このワシに恥をかかせる気か?んん〜?」
アルダープはまた裁判長に圧力を掛け始めた。
「なっ……くっ!」
「おい、そんなのアリですか?」
「フンっ!冒険者風情が偉そうに喋るな!」
(こんの豚がぁぁ!!今すぐここでぶち殺してやる!)
俺は手枷をメキメキと言わせて壊そうとした時、マリューに止められた。
《リュウジ様!いけません!今ここで暴れたら!?アドベンチャーズのメンバーにも被害が!!》
「ひっ被告人は有罪……判決は……死刑に……」
「待てやゴラァァァァァァ!!」
「裁判長……私の話しを聞いて貰えないだろうか?」
「私もお話したい事があります」
弁護席と、アドベンチャーズの席からガチホモ貴族とダクネスが立ち上がって異議を申し立てた。
「ダッダクネス?それに貴族の人まで……おい!なんのつもりだ!?」
2人は懐から大きなネックレスの様な物を取り出し、裁判長に見せた。裁判長は2人のネックレスの紋章を見て驚いていた。
「そっその紋章は!?…シュナイダー家とダスティネス家の紋章!?」
その紋章を見た瞬間、冒険者達が騒ぎ出した。アドベンチャーズの席からウィズが驚いていた。
「あの、ウィズさん?ダクネスの紋章ってなんなんですか?」
状況を飲み込めないリーンがウィズに尋ねた。
「国王の懐刀と呼ばれているダスティネス家と国王の御庭番衆と呼ばれているシュナイダー家、どちらも名家ですよ!?シュナイダー家の貴族は大手警備会社の『八咫烏』と設立したと言われています!」
「おっおい、2人共……そんなに凄い人だったの!?」
「リュウジには黙っていて済まなかった……やつは狡猾だ、こうでもしなければ処刑されていたぞ?」
「やれやれ、まさかここでララティーナお嬢様にお会い出来るとは思っても居ませんでしたよ?」
「お久しぶりです、シュナイダー殿」
俺を他所に2人は深々と挨拶を交わした。
やべぇ、ダクネスを思いっ切り殴ったし、シュナイダーさんにはリーンに手を出したら許さないって啖呵切っちゃったよ……やべぇよ
すると2人は俺の前に立ち、仕切り始めた。
「この裁判、我々に預からせては貰えないだろうか?」
「なっなんだと!?」
「アルダープ殿?なかった事にしろとは申してませんよ?」
「時間を貰えれば必ず身の潔白を証明して見せる!」
「いくらダスティネス家とシュナイダー家の意向があっても許されん事なのですぞ!?」
「だが、これは私からの借りになる、だから私が出来る事ならなんでも聞こう」
「なっなんでも!?」
「なら…私からはリュウジさんに、慰謝料をお支払いさせる事を約束します」
「いっ慰謝料だと!?」
「リュウジさん、これで宜しいですか?」
俺はシュナイダーさんの雰囲気に呑まれ頷いていた。この前のガチホモ感はどーした!?
「あっ……はい……」
「そーだ!そーだ!リュウジは悪くないぞ!」
「裁判なんてクソ喰らえだ!リュウジ!リュウジ!リュウジ!」
ダストの周りからはリュウジコールが鳴り響いた。ダストの声を聞いた途端シュナイダーさんがものすごい勢いで振り向いた。
「ダスたん!?リュウジさん!?今ダスたんの声が聞こえましたよ!」
「え?ダストならあそこに……」
俺がダストを指さすと、シュナイダーさんは大声を出してダストに言い放った。ダストはシュナイダーを見た瞬間怯え始めた。
「ダスたんの事…好きになってもいいですかぁ〜!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
ダストは両手で胸や股を隠すようにして拒否していた。
お前は女かっ!
リーンちゃんは汚物を見るような目で見ていた。
「静粛に!静粛に!静粛にしろって言ってんだろうがぁぁ!」
「リュウジさん!無事に終わりましたね!私頑張りましたよ!」
「ヤリーナゲットさん、あんた何もしてねぇだろ?」
「ウオッホン、他ならぬダスティネス家のご令嬢と、シュナイダー家のご子息、あなた方の言葉を信じましょう」
カンカン
「被告人フクヤマリュウジの判決を保留とする!」
「やったぁぁぁぁ!」
「リュウジ!良かったね!一時はどうなるかと思ったよ!」
「リュウジさん、お疲れ様でした!」
「ダストはもう好きにさせていいからね」
メンバーの皆、体を張ってくれたダストのおかげで俺は命を救われた。
【フクヤマリュウジ処分保留】
その後、裁判所を後にした俺は家に戻り、ダクネスとシュナイダーに頭を下げていた。
「今日はホントにありがとうございました、あなた方は命の恩人です、必ず恩は返します!」
「いえいえ、私も愛しのダスたんに会えたので満足ですよ!慰謝料はある時払いでも構わないというので、頑張って下さいね!」
「はい、寝ずにクエストをやりまくって稼ぎます!ダクネスも、今日はホントに助かった」
「親友の相棒を護ったまでだ、気にするな!私はこのままカズマ達に顔を出して実家に帰るつもりだ」
「ダクネス……ありがとうね!」
クリスはダクネスとハグをして、ダクネスとシュナイダーを見送った。クリスはため息をつき、背伸びをした。
「あー、疲れた!一時はどうなるかと思ったよ」
「クリス、金庫とかはどこに隠したの?」
「ん?絶対誰にも行けない所に持って行ったよ?」
クリスは空に指をちょんちょんと指を指した。
なるほど……あそこなら誰も行けないよな。
「あそこなら大丈夫でしょ?」
「あはは!そうだな、さぁて、明日から俺の冒険の第2章の始まりだ!」