今回は新装備登場します!
翌日、俺は破れたマントを持ってウィズの店を訪れた。店に入った途端満面な笑みでウィズは迎えてくれた。
「あっ!リュウジさん!いらっしゃいませ、裁判の時はご苦労さまでした!」
「いえいえ、こちらこそお弁当ご馳走様でした」
俺は留置所の時の差し入れのお礼を深々と頭を下げた。ウィズは持っているマントに気が付いた。
「あら?リュウジさん?そのマントどうしたんですか?」
「実はさ、昨日爆裂魔法の爆風で敗れちゃってさ……」
「そうなんですか、それは災難でしたね……」
「それでさ、裁縫スキルを覚えようかと思ってね、誰かいない?」
ウィズは考え込むと、ポンっと手を叩いて閃いた。
「あっ!あの人なら大丈夫じゃないですかね?」
「ん?誰か居るの?」
「ポチョムキンさんです!よく冒険者ギルドに居るって聞きましたよ?」
「ポチョムキン?どんな人ですか?」
「えーっと、頭がこんな感じで、服装は冒険者の様な格好をしていますよ?」
ウィズは似顔絵を書くと俺とマリューは思い出した。
「あぁ!!初めてこの街に来た時居たわ!なんか話し掛けて来そうだったけど、無視しちゃったよ!」
《すっごいチラチラ見てましたね、ガン無視しましたけど》
「まぁ!おそらく今日も居るんじゃないですか?」
「わかった!ありがと!」
「はい!またいらして下さいね?」
「うん!」
俺はそのまま冒険者ギルドに向かって行った。
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「えーっと……どこにいるかな……あっ!いた!」
「あら?鋼のリュウジじゃない?昨日はよくもやってくれたわね」
俺がポチョムキンに近付こうとした時にタイミング悪くメリッサに絡まれた。
「邪魔」
《なんですかこの小娘は、小生意気な性格してそうですね》
メリッサは顔を引き攣らせて聞き返してきた。
「なっなんですって!?」
「ちょー邪魔、何?なんか用?」
「あなた、パーティー募集してるのかしら?」
「あ?してるけど?」
「あんな小娘盗賊より、大人のお姉さんの盗賊にしなさいよ、あたしと組んでるとメリットあるわよ〜?」
「………………」
スタスタ
俺は無言でメリッサを無視した。するとメリッサは諦めずに追い掛けて来る。
「ちょっとちょっと!無視するんじゃないわよ!」
「俺に触んな」
バチィ!!
俺は『スパーク』を発動させて肩に電流を流した。メリッサは静電気が起こったかの様に手を痛めた。
「いった!!ちょっと何するのよ!?」
「うるせぇ、俺の相棒を馬鹿にしたからだよ…お前あんま舐めてるとまた呪いかけんぞ?あ?コラ、小娘だろうがなんだろうが盗賊職の仲間はもう間に合ってんだよ、分かったらとっとと失せろ」
そう言い放つとメリッサは追いかけて来なくなった。
《あの、リュウジ様?クリス様がバカにされて怒ってます?》
(ちょっとうるさい、お前にも本気で怒るぞ?)
《あっ……すいません……》
メリッサは俺に本気で睨み付けられ少し怯んだ。俺はそのままポチョムキンに声を掛けた。
「あなたがポチョムキンさんですか?」
「ん?ようこそ!地獄の入口──」
「裁縫スキルを覚えてるんですよね?あの、1杯奢るので教えて貰えませんか?」
「えっあっ、おう、ついてきな」
俺はそのままポチョムキンに案内されると、作業小屋の様な建物に連れてこられた。そこには機織り機の様な道具があった。
「ようこそ!地獄の入口──」
「へぇー!ポチョムキンさんって機織り職人だったんですね、凄いなぁ〜見た目は斧とか振り回してそうなのに人は見かけに寄りませんね」
「あっ……うん……」
ポチョムキンさんは何故か悲しそうな顔をしていた。
「裁縫スキルだったな?何を作りたいんだ?」
「え?いや、このマントを直したいので覚えたいんですよ、裁縫スキルは他にも使い道があるんですか?」
「勿論だ、裁縫スキルは装備にも影響して来る、そのお前さんの鎧も更に強化出来るぜ?」
「そうなんですか……奥が深い……」
「今からお前さんにマントを直しながら裁縫スキルの極意を叩き込んでやる!辛いからと言って音を上げるなよ!」
「はい!師匠!」
その後、数時間かけて『裁縫スキル』を習得し、ポチョムキンさんレベルまで達した。
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「師匠、刺繍も可能になりましたよ!見てください!ライオンですよ!こっちは赤いマフラーを作って見ました!」
「あっうん……もう大丈夫だと思うけど……」
「ホントですか!?ありがとうございます!」
俺は数時間で様々な技術を身に付けていた。ブラックナイトのマントも破れた所が分からないくらいに修復出来た。
「もっもう寝かせてくれ……」
「見てください!鎖帷子が出来ましたよ!凄いですね裁縫スキル!」
「もう良いだろ!?なっ!?免許皆伝だから!なっ!?帰ってくれ!」
「あっもうこんなに暗くなってたんですね?夜分遅くまでありがとうございました!後ほどお礼に来ますね!お疲れ様でした!」
俺は意気揚々と帰って行った。ポチョムキンさんはぐったりしながらも最後までカッコつけていた。
「ふっ、あいつぁ…タダもんじゃねぇや…」
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俺は家に戻って来ると、ぐったりしているクリスが目に入った。
「ただいま、ん?随分疲れてるようだな?」
「んぁ〜おかえり〜、初心者のサポートは大変だよぉ〜」
「見たいだな、あれ?お前マントどうしたんだよ、破れてんぞ?」
「うん、ちょっとヘタこいちゃってさ……」
「いくら女神でも無茶すんなよ〜?ほら、寄越しな?修理してやるから」
「裁縫スキル覚えたの?」
「うん、スキルポイントもそんなにかからなかったらね」
「んじゃパジャマに着替えて来るから待ってて」
「はいはい、俺も着替えて来るわ」
数分後
「はい、んじゃお願いしまーす」
「かしこまりー」
チクチクチクチク……。
俺はメガネをかけて裁縫スキルを発動させてクリスのマントの修理に入った。クリスは隣でまじまじと見つめていた。
「やりずれぇわ!」
「え?でも上手いね、数時間で上達出来るものじゃないよ?」
「それも直してやろうか?そのブラ」
「ブラじゃないよ!チューブトップだよ!」
「ブラじゃん!女神の癖に露出高ぇ服装やめろ!」
「ブラじゃないってば!チューブトップだってば!」
「あのさ〜この際言うけど、一緒に寝た時結構ズレてたからね?」
俺の言葉にクリスさんは顔を真っ赤にした。
「えぇぇ!?もしかして……見た?」
「……………………チクチク」
「なんで無視するのさ!見たの!?ねぇ!見たの!?」
うるせぇ……集中出来ないんだけど!?
ぐさっ
「いったぁ!もう、針刺しちゃったじゃねぇか!」
「あっごめん!あ〜あ、血が出ちゃってるじゃん」
「あ?これくらい大した事ねぇよ」
「ほら指出して、治して上げるから」
「は?お前『ヒール』使えねぇだろ?俺まだ覚えてねぇぞ?」
「そんな大袈裟な怪我じゃないでしょ?これくらいなら民間療法で十分だよ?」
はて?民間療法とはなんぞや?
「どうすんの?」
「あむ、こうふるの」
クリスは何食わぬ顔をして俺の指を咥えた。
「ぷぎぁぁぁぁぁぁぁ!」
《クックリス様!?》
「何?どうしたの?」
どうしたの?じゃねぇよ、この子何してんの!?
「もしかして、汚いって思ってない?」
「いやそこじゃねぇよ……」
「だったらほら!指出して?バイ菌入ったら大変だよ?」
「あっあう……おっお願いします……」
「はい、任されました!」
勢いでお願いしちゃったけど、ちょっと何コレ、俺何されてんの?魔王の俺は今女神に何されてんの!?
「あむ…………ちゅ……」
「んっ……」
ヤバ……ちょっと立ってきた
「ん?モジモジしてるけど……痛かった?」
「ちゃう、そうやない……」
「ふふ、なにほのしゃへりかた?」
誰のせいだと思ってんの!?ホントこの子天真爛漫過ぎない!?やべぇよ、マジこのままだとフル勃起しちゃう、心臓の音やべぇエンジンみたいにドンドコ鳴ってるし……考えろ俺……、そうだ!、萎える事を考えよう……。ダストのランジェリー姿、シュナイダーのブーメランパンツ姿、ミツルギとカズマが裸で絡み合う姿……これは俺が編み出した心頭滅却法、いざと言う時に落ち着かせる為の呪文なのだ。
「あっトイレ行ってないよね?」
「行ってねぇわ!」
(ふぅ、今の言葉でちょっと落ち着いたわ、無意識って怖いなぁ……女神だから純粋な気持ちでやってんだろうなぁ……)
ボーッと考えていると遂にクリスは俺にトドメの言葉を言い放った。
「んー、なかなか止まらないね吸った方が良いのかな?」
「ぷぎぁぁぁぁぁぁぁ!それダメ!絶対ダメ!」
「ちょっと、何騒いでるの?」
「ううう〜、あっそっか」
俺は遂にこの状況を打開する方法を閃いた。
「ん?何?」
「ねぇねぇ、俺の肩書きなんだっけ?」
「ん?ちゅ、んー魔王?」
「そーだね、魔王だね?魔王って何族?」
「魔族、んー止まんないねぇ、キミ血圧高いんじゃない?」
「ねぇ?クリスいやエリス?、あーた今魔族の血吸ってんだよ?魔族の王様の血をね?しかも俺は異世界の魔王だよ?分かる?理解出来る?」
「うん、出来るよ?」
「ねぇ?汚くないの?魔族の血って、汚れてるでしょ?」
その言葉を聞いた途端クリスは止まった。
良かった〜、やっと自分のやってる事に気が付いたんだな。
クリスはニコッと笑ってまた咥え始めた。
「ふふ、何言ってるの?今人間でしょ?あたしも今は人間だし?それにリュウジの血は汚くないよ?」
「おふぅ……ごめん、ちょっと離れて……」
「ん?どひたの?」
(どどどどしよう、何すればいいの!?パニックなんですけど!?)
《これはヤバイ口撃ですね……あっリュウジ様、ここはクリス様の目を見つめて恥ずかしがらせればこれは終わりますよ!絶対!、女の子は男の子にガン見されると結構恥ずかしいもんですよ?》
(えぇぇ!?それ上手くいくかぁ!?)
《我慢比べですよ!いくらクリス様が可愛いからって負けちゃダメですからね!?》
(わっ分かった……)
「ちょっと、血止まらないから動かないでよ」
「うう……」
「ん〜……ちゅ〜」
「クリス?」
「ん?何?」
俺はそのままクリスの目をじーっと見つめた。クリスは首を傾げながら見つめ返して来た。
「じーっ………………」
(恥ずかしいけど……負けてたまるか!)
「じーーーーーーーー」
(なんで見てくるんだろう?なんか意味あるのかな?)
10秒経過……
(コイツなかなか目逸らさねぇな……)
(リュウジってメガネ意外に似合うんだなぁ、あっ目の下にホクロある)
(クリスの瞳ってアメジストの色してんだなぁ)
(あたしの瞳よりちょっと濃いめの色してるんだなぁ)
「だぁ!もう無理、耐えられない……」
「へ?何が?」
《ちょっ!リュウジ様が負けてどうするんですか!情けない!》
「今度は何さ!」
「いや、こっちの話し…もういいよ、ありがと、指抜くよ?」
「うん、あっ止まったね」
「あっほら、直したから……」
「おー!完璧じゃん!ありがとう!流石は相棒くん!」
「おう、俺は鎧のメンテナンスするからもうちょい起きてるから」
「うん、おやすみ」
「おやすみ〜」
パタンとドアを閉めてクリスは自分の部屋に戻って行った。俺は大きくため息をついた。
「はぁ〜、死ぬかと思った……」
《リュウジ様って何気にうぶなんですか?ホントにあのラフタリアと言う刀の勇者とそれなりの関係持ったんですか?》
「あの時は上手く行ったんだよ、アイツはあの子とは性格全く違うし?とにかく上手く行ったんだよ!何言わせてんだよ恥ずかしい、あーもうモンモンして寝れねぇよ、あっ!新しい装備作って見ようかな」
《新しい装備ですか?》
「うん、前にウィズと買い物した時の目薬覚えてるか?アレを使う時が来たんだよ」
《あの色の変わる目薬ですか?何をするつもりですか?》
「どうせ夢でうなされるならずっと起きてて街に貢献した方が良いかなぁと思ってたんだよ」
《なるほど……ヒーロー活動に目覚めたって訳ですね、新しい装備のデザインは決まってるんですか?》
俺はおもむろに紙とペンを取り出してデザインを描き始めた。
(うーんと、活動時間は夜、夜のヒーローと言えばバットマンやスパイダーマンが思い付く、恐怖の象徴や治安維持の抑止力になる様なデザインが良いな、ここはアイアンマン風は封印して……バットマンやスパイダーマンをイメージして見るか……。バットマンは黒、スパイダーマンは赤……なら俺は…)
そう考えながら俺は目薬を持って考え始めた。
(これは確か金色になるんだよな……金……刺繍もライオンが出来るほど上手くなったし……金……ライオン……あっ!)
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数時間後、俺はデザインした装備を具現化させる事に成功した。ニンジャバットマンと日本の忍者をモチーフにした隠密風装備【金獅子】が完成した。ちなみに背中の刀は加工して斬れないようにした。
「どう?決まってるだろ?」
《そうですね、背中の獅子が特徴的でいいと思いますよ?》
「でしょ〜?これ着てちょっと外出てみようか」
《そうですね、行ってみましょう!》
俺は窓から出て、月夜に照らされているアクセルの街に駆けて行った。
バットマン曰く正体を隠したい理由は、大切な人を守りたいからだそうです! 映画・バットマン・ライジング参照