俺とマリューはマリューの肩慣らしの為にジャイアント・トードの討伐のクエストを受けていた。今回のクエストは俺は見学をしていた。
【ジャイアント・トード5匹討伐 クエスト報酬 15万エリス】
「ほれマリュー、500年振りの戦闘だろ?訛ってねぇよな?」
「愚問ですね?こう見えても竜帝だったんですよ!?」
「今はパンダだけどね?」
「いーえ!例えクマになってしまったとしても実力は変わりませんよ!」
二足歩行で鼻息を荒らげながら偉そうにしているマリュー。
パンダになっても戦えるのだろうか?ヌルヌルにならないか心配だ。
1匹のジャイアント・トードがマリューに近付いて来た。
「おっ?来たぞ?」
「まぁ、見てて下さいよ!はぁぁぁぁ!」
ドスッドスッ!っと四足歩行で走って行き、ジャイアント・トードのお腹にぶつかり稽古を始めた。
ドシーン!
「ふんぬっふ!こんのぉぉぉぉ!」
マリューはジャイアント・トードを投げ飛ばした。そのまま追い討ちを掛けてマウントポジションをとって顔をボコボコ殴り始めた。
「オラァ!カエルがなんぼのもんじゃい!ドラゴン舐めんなぁ!」
「アイツ……パンダなのにまだドラゴンって言い聞かせてる」
マリューはジャイアント・トードを持ち上げた。
どうやらトドメを指す様だ。
「くらぇぇぇ!『マリュー・スープレックス』!」
「ゲコォ!?」
マリューはジャイアント・トードにジャーマンスープレックスを繰り出してジャイアント・トードを一体倒した。
狂戦士のお陰か?打撃が効きにくいカエルを簡単に仕留めやがった。
「おー、すげぇな、プロレス技使えたのか」
「ぷろれす?」
「あーいや、説明するのダルいから気にすんな、ほらまた来たぞ?」
「むむっ!?クエスト内容は確か5匹でしたね?どんどん行きましょう!どりゃぁぁぁ!」
マリューはそのままジャイアント・トードの群れに突っ込んで行き、様々な技を繰り出した。
「『マリュー・ラリアット』!!『マリュー・チョップ』!!『マリュー・プレス』!!『マリュー・スイング』!!『マリュー・バスター』!!」
チョップにブレーンバスターにジャイアントスイング……ほんとにマリューはプロレスを知らないのか?繰り出した技が全てプロレス技ばかりなのだが……?
「ふんっ!私が本気になればこんなもんですよ!」
「すげぇな、俺とクリスで苦労したクエストがたった3時間で終わったな…」
「えへへ、褒めて下さい!」
「分かった分かった、よーしよしよし!」
俺は動物を愛でる様にマリューの顔を撫で始めた。
「あの、私ドラゴンなんで、小動物扱いしないで下さい!」
「パンダでしょ!?いい加減認めろよ、ドラゴンの時より可愛いぞ?」
「ホッホントですか?」
パンダ姿をしたマリューはモジモジして照れ始めた。
魔王の時もこんな事あったなぁ……。
「ほら、ギルドに報告しに行くぞ?今回の報酬はマリューの独り占めにしていいから」
「ホントですか!?ヤッタ!」
「ほら、帰るよ?」
「はーい」
俺とマリューはクエストを完了させ、ギルドに報告しに行った。するとあのメリッサに見つかってしまった。
「あら?鋼のリュウジじゃない?」
「またお前か」
「あなたが頷くまで訪ね……んにゃ!?」
メリッサはマリューを見つけた途端目をキラキラさせていた。
「きゃわわわ!なーに君?どこから来たの?1人で来たの?」
「えっあっの、すいません……やめて下さい……」
「やだ〜可愛いーー!モフモフさせてぇー!」
どうやらメリッサは見た目によらず動物が大好きな様だ。むしろデレデレし始めた。
「いや〜ん!喋れるのね!!あなたお名前は?なんて言うの?」
「マリューと言います……」
「女の子なのねぇ!ねぇ鋼のリュウジ、マリューちゃんもアドベンチャーズに入るのかしら?」
「まぁ、そうだな、俺の仲間だしな?」
「決めたわ!感謝しなさい?私もアドベンチャーズに入るわ!」
何を急に言い出すんだコイツは……
「あのな?簡単に入れる訳じゃないんだぞ?どうしても入りたいならカズマ、俺、ミツルギの3人のパーティーに入らなきゃないんだよ」
「あら、そうなのね?ならあなたのパーティーに入るわ!」
「嫌です」
俺は即答してメリッサを拒否した。
「なんですって!?私を入れないって言うの!?」
「うん、だって盗賊はクリスいるし」
「くっー!!」
「お前どーせ、マリュー目当てだろ?そんなやつ信用出来ねぇ」
「すいません、メリッサ様、諦めて下さい」
「ガーン……そっそんな……」
相当マリューに言われたのに応えたのか、ショックで座り込んでしまった。その隙にリュウジとマリューはルナさんに報告して報酬を受け取った。
「イシシシシ、15万エリス総取りだなんてリュウジ様も太っ腹ですねぇ、服でも買おうかなぁー!」
クマが服着たらアレだから、映したらダメな奴だから!!〇ーさんになっちゃうから!
「とりあえず服も買うのも良いけど、武器と防具は買えよ?」
「あっ肝心な物忘れてましたね、んじゃ防具屋さんに行ってますね?」
「1人……1匹で大丈夫か?」
「あの、動物単位ででカウントしないで下さい、リュウジ様のお師匠様のお店に行ってリュウジ様の名前出せば大丈夫かと思います、なので1人 で大丈夫です!」
今思いっきり1人を強調して来たな……、動物扱いするなって言われても……無理でしょ!?だって見た目パンダだもん!!
マリューはそのまま武器屋に向かって行った。待ってる間に俺は小腹が空いたのでギルドで唐揚げ等を食べていた。
────────────────────────
「ふう、いつ食ってもジャイアント・トードの唐揚げは上手いな…」
今からダンジョンに向かいます
嫌です
行きます
嫌です
行くって行ったら行くんだよ!
「ん?あっカズマ達だな、何をそんなに揉めてるんだろう?」
俺はカズマ一行に近付いて行った。カズマ達の顔はとても深刻そうな顔をしていた。
「どうしたんだよ、そんな落ち込んで」
「あら、リュウジじゃない、カズマが……」
「あっリュウジじゃないですか、リュウジからも行ってやって下さいよ、カズマがダンジョン探索に行くって言うんです!ダンジョン探索だと私の存在意義なんてないじゃないですか!!」
「ダンジョン探索?なに?儲け話なの?」
「リュウジだって分かるだろ?俺達の借金が国家予算くらいの借金だって、ルナさんにクエストを斡旋して貰ったんだ」
あーなるほど、少しでも足しにしたいのね
「私の牛乳パックたたむ内職の単価上げてもらったりしてるのにダンジョン探索に行こうって言うのよ、リュウジも止めてよ!」
「わっ私は行きたいのだが……」
アクア、牛乳パックのたたむ内職ってなんですか?少しはダクネスを見習え
「うーん、ダンジョンねぇ〜代わりに俺が──」
「リュウジ、今回は俺達に譲ってくれ、お前を危険な目に合わせたくない……」
カズマは俺に近付いて来てサキュバス喫茶店の割引券2枚を渡して来た。
カズマが言いたい事は「これやるからあっち行け」って事なんだろう、仕方ないなぁ、今回はカズマに譲るか。クーポンありがとうございます
「大事に使えよ?」
「勿論さ、大事に使わせて貰うよ、げへへへへへ」
リュウジはクーポンを受け取り、ギルドを後にした。
このクーポンは大事に使おう、幸いマリューも体を手に入れたし、宿に泊まっても問題無いだろう。
(さて…そろそろ夕方だな、金獅子の道具でも作って時間潰すか、煙玉、手裏剣、くないだな、必要なのは……前に買った爆発するポーションに小麦粉かな…?爆発するポーションをもう少しウィズの店に行って買って行くか)
俺はマリューを迎えに行くついでにウィズの店に向かった。
───────────────────────
「こんにちは〜ウィズいる〜?」
「あらリュウジさん、いらっしゃいませ♪どうしました?」
「あのさ、爆発するポーションまだある?」
「あのポーションですか?ありますけど…?」
「実は作りたい物があってさ、2本くらい売ってくれる?」
「作りたい物?分かりました!ちょっと待って下さいね?」
ウィズは棚の方に歩いていき、爆発するポーションを”3本”取り出してリュウジに渡した。
(あれ?2本って言ったのに……)
俺は首を傾げてウィズに訪ねた。
「あれ?ウィズ?俺は2本って言ったんだけど……?」
「いえ、サービスです!いつもリュウジさんにお世話になってますので!皆さんには内緒ですよ?」
ウィズは頬を赤らめながら俺にポーションを手渡した。
恥ずかしがってるウィズを見るとなんかドキドキするな……。
「あっ、ありがとう…、はい、お金」
「ふふふ、ありがとうございます♪」
「ん、んじゃ……帰るね?」
「はい♪また来てくださいね♪」
「うん♪またね♪」
俺はウィズに挨拶をして店を後にした。
─────────────────────────
俺は家に戻ると、武装したマリューが座っていた。
「なんだ、戻っていたのか?」
「あっおかえりなさい、見て下さい!この鎧!」
マリューは胸当て、腕輪、爪を装備していた。
師匠…パンダ用の武器も作ってたの!?
「ん?リュウジ様、それは?」
マリューはウィズの店で買ったポーションを見ていた。
「うん、ちょっと作りたい物があってな?」
「作りたいもの?」
「うん、ちょっと工房に籠るわ」
俺は直ぐに作業にとり掛かった。桶に小麦粉と炭を粉にした物を混ぜ、そこに爆発するポーションを垂らした。そして団子にして導火線と一緒に紙に包んてみた。
「こんなもんかな?試して見るか……」
「マリュー?」
「はい?なんですか?」
「コレ試して見たいんだけど見て貰えるか?」
「ん?なんですか?コレ?」
「まぁ、外に出れば分かるよ」
俺とマリューは外に出て、実験を始めた。
「道具名は…『煙玉』でいいかな?」
「煙玉……、使って見て下さい!」
俺は導火線に火を付けてポンッと投げた。ジジ……っと導火線が煙玉に引火した瞬間
ボォン!
爆発した瞬間灰色の煙が辺り一面に広まった。
「おお!リュウジ様!これは大発明ですよ!」
「だろ?ダンジョンでモンスターに囲まれた時にとか使えそうだろ?」
「はい!クリス様も見たら欲しがると思いますよ!」
「だろうな、ホントはスモークグレネードが作りたかったけど原理も仕組みもよく分かんないから作れないし……今の俺にはこれが限界だ」
「そうなのですね、けど、コレも立派な発明ですよ!」
「よし、実験は成功だな!コレを今から大量生産する!」
「はい!」
俺とマリューは工房に戻って作業を再開させた。
まさかここまて成功するとは思ってなかった、コレを使ってヒーロー活動だって出来る、姿を見られること無く相手を無力化出来る。バットマンも煙幕使ってたしな。
───────────────────────
そして、夜になり、俺は金獅子の装備に変えて準備を整えた。
「んじゃ、マリュー、ちょっと夜のパトロールに行ってくる」
「はい、行ってらっしゃいませ」
俺は窓から屋根に伝って行き、家屋の屋根を駆け抜けて行った。素早く駆け抜け、『敵感知』スキルを発動させながら街を見渡していると、何かに反応した。
ん?向こうの路地で4つの反応が見えるな…、1人は女性かな?後の3つは男の様だな……こりゃ女性が悪漢に襲われてるって所か?
俺は直ぐにその場所に向かって行った。辿り着くと男3人が1人の女性に絡んでいた。
「なぁ姉ちゃん、ちょっと付き合ってくれるだけだって」
「良いだろ?気持ち良くしてやるからよぉ」
「そのポニーテール可愛いなぁ」
「ダスト達がいない時に限ってこんな目に遭うなんて…はぁ、あんたら怪我したくなかったらどっか行ってよ!」
女の子はワンズを構えていた。
ん?ありゃ…リーンちゃんか!?助けなきゃ!
金獅子は煙玉の導火線に火を付けてリーンの前に投げつけた。
「あ?なんだこりゃ?」
「ん?」
「え?」
「やっば!!」
ボォンッ!!
リーンちゃんの周辺は煙に包まれた。その瞬間金獅子はリーンの周りにいた悪漢に攻撃を仕掛けた。
ドス!バキ!ゴキ!
(えっ……誰かが助けてくれた?……なら、今がチャンス!!)
「『ウインド・カーテン』!!」
リーンは風魔法を唱えて煙幕を吹き飛ばしてしまった。それにより金獅子はリーンに姿を見られてしまった。
げっ!?風魔法使っちゃったの!?
「あなた誰?私を助けてくれたんでしょ?」
「………………」
(ここで喋ったら声でバレちゃう……黙って立ち去ろう)
金獅子は何も答えずジャンプして屋根に登り、その場を立ち去った。リーンはその姿をただ見つめていた。
(誰かは知らないけど……カッコイイ……)
────────────────────────
金獅子は家に戻って装備を慌てて脱いだ。マリューはびっくりして俺に訪ねた。
「リュウジ様?どうしたのですか?そんなに慌てて?」
「初っ端から姿を見られちゃった……」
「はい!?なんの為の煙玉だったんですか!?」
「いやまさかあそこで『ウインド・カーテン』使われると思って無かったもん……しかもリーンちゃんだったし」
「リーン様が!?運悪いですねぇ……」
「明日騒ぎになって無ければいいんだけどなぁ……」
「何事も無ければ良いんですけどね……」
翌朝、俺がギルドに足を運ぶと、リーンの周りには既に人集りが出来ていた。
「なっなんの騒ぎ?」
「あっ!リュウジ!ちょっと聞いてよ!」
俺が唖然としているとリーンが話し掛けてきた。俺はブラックナイトを装備していたが、体中に冷や汗を描きながら返事をした。
「どっどうしたの?」
「あのね、昨日の夜帰り道に変な男達に絡まれちゃってさ、困ってた時に知らない人に助けて貰ったんだけどさ〜?」
「うっうん、それで?どんな人だったの?」
リーンは顔を赤らめて恥ずかしそうに応えた。
「えっとね?金色と黒い鎧に赤いマフラー、背中にモンスターの刺繍がされてたよ、すっごくカッコよかった!」
はい、バッチリ見られちゃいました。
「そっそうなんだねぇ、いや〜俺も会ってみたいなぁ(棒読み)」
「でしょー?あたしさ〜一目惚れしちゃったよ!また会いたいなぁ」
リーンの言葉に俺は凍り付いた。
「え?今なんて?」
「だってすっごいカッコよかったんだもん、また会いたいよ!デート誘って見たいなぁ!!」
ヤバいヤバいヤバい!なんかカッコイイナンパをした感じになっちゃったよ!違う違う!そんな為にやってる活動じゃないから!
「まっまぁその内また会えるんじゃないかな?あはは……」
「だよねー!リュウジも会ったら私の事教えといてね!」
「うっうん、分かった、ちょっと体調良くないや……帰る」
「え?大丈夫?」
「あっうん、大丈夫、またね?」
俺はクエストを受けず、家に帰って行った。