セナと睨み合いを続けると、セナが口を開いた。
「最近モンスターが溢れかえってる原因を突き止めたらキールのダンジョンから謎のモンスターが現れたと報告があった、何か知らないか!?」
キールダンジョン?そんなダンジョンは俺は行ってないんだけどな?
カズマの方を見るとカズマの顔が引き攣り始めた。
「キールのダンジョンは俺には関係ないぞ?」
「そうだね、あたしらは無関係だね」
カズマが手を挙げてセナに答えた。
「キールのダンジョンなら俺達が行ったけど…、念の為に聞くが、お前ら心当たり無いよな?」
カズマがめぐみん、ダクネス、アクアに尋ねた。
「爆裂魔法関連で無ければ心当たりはありませんよ?」
「私も特に問題は起こしていないぞ?」
「おまえは?」
「私だって何もしてないわよ!疑いすぎよ!?キールのダンジョンに関しては私のお陰でモンスターが寄り付かなくなってるハズよ!?」
おい、今なんてった?
「ごめん、リュウジ!このバカに聞いてくる、ちょっとこい」
カズマはアクアを連れて離れ話しを聞いた。するとカズマの怒鳴り声が響き渡った。
「こんのぉ!馬鹿がぁぁぁぁぁぁ!」
「なんだよ!お前ら何したんだよ!」
「リュウジ、すまん、協力してくれ!」
「え!?無関係なのに……」
「あはは……仕方ないよ、みんなで行こう?」
「はぁ……やれやれ、行くかぁ……」
カズマチームとリュウジ&クリスでキールのダンジョンの調査を行う事になった。
【キールダンジョンの異変を調査しろ!】
キールダンジョンに辿り着いた6人は茂みに隠れながら様子を見てみると、仮面のような物を付けている小さい生物が列を成してダンジョンから出て来ていた。
「なんだありゃ?」
「確かに不思議なモンスターだな?」
「サトウさん、フクヤマさん」
「サトウです」
「はい、フクヤマです」
セナは俺とカズマに声を掛ける。
「御協力感謝します、どうやら何者かがモンスターを召喚してるようです、ですので、術者を倒し、魔法陣にこの強力な札を貼ってくだい」
カズマはセナから封印の札を受け取った。セナ曰く、これで封印出来るなら強いモンスターでは無さそうだ。その間にアクアとクリスは近くにいた謎のモンスターを観察していた。
「なんか私あのモンスター生理的に受け付けないんですけど?」
「そうですか?あたしは普通なんですけどね?」
「私はムカムカしてくるんですけど?」
アクアが石をぶつけようとした時、謎のモンスターが2体近付いて来て、アクアとクリスの足にくっついて来た。
「えっなに?何かしら?甘えてるのかしら?」
「そっそうですね、なんだか可愛げのあるモンスターですね」
「見ててムカムカするけど、確かに可愛げのある」
ドカーン!ドカーン!
アクアが褒めたと同時に謎のモンスター達が爆発した。黒焦げになる女神コンビ
「がっは……」
「なっなんなの……?」
「クリス?大丈夫か?」
「うん、なんとか大丈夫……」
それを見た他のメンバーにセナが説明し出した。
「ご覧の通り、このモンスターは相手に取り付き自爆するという習性を持っております」
「なるほど」
「ちょいと危ねぇ奴だな」
「「ちょっと冷静に話さないでよ!」」
「ふむ、自爆か……ちょっと行ってくる」
「リュウジ!?」
俺がダンジョンに近付いて行くと数体のモンスターが取り付いて爆発した。だが、ブラックナイトを装備しているリュウジには全くダメージは無かった。
「ブラックナイトには問題ないな、カズマ、2人で行くぞ?」
「おっおう!んじゃお前ら待ってろよ?」
俺とカズマはキールダンジョンの中に進んで行った。
話を聞く所によるとカズマ曰く、前回の時は以前と違って明かりが付いているそうだ、どうやら親玉が配備したと考えるべきであろう。このモンスターは面白いくらい攻撃が当たる、これならダクネスでも当てられただろう、だがやたらと数が多いのが問題だな。
「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!」
「いいぞー!リュウジ!その調子で突き進めぇ!」
「コイツらストレス解消に丁度いいんだけどコレ!なんか楽しくなって来た!うひゃひゃひゃひゃ!」
大笑いしながら破壊の限りを尽くす俺とカズマは問題のポイントに辿り着いた。遠くから偵察してみると、仮面のような物を付けている男が土をコネコネして人形を作っていた。
この爆発するモンスターを量産している張本人だろうか?
「なぁカズマ、アイツが本体だよな?」
「まぁ高確率であいつが親玉だろうな」
「どうする?突っ込むか?」
「うーん、そうだな!行くか!」
カズマと俺は土をコネコネしている男に声を掛けた。
「おい、お前がモンスターを量産している元凶か?」
「ん?よもやここまで辿り着いたか……」
「なっなんだコイツは……」
仮面のような物を付けていた男がゆらりと立ち上がった。
「我がダンジョンにようこそ、冒険者達よ!我輩こそが元凶であり魔王軍幹部にして悪魔を束ねる地獄の公爵……この世の全てを見通す大悪魔、バニルである!」
「いや、ここキールのダンジョンだろ?ダメだろ不法占拠しちゃ、ちゃんと役場に許可取らなきゃ」
「いやそこじゃねぇだろ!?コイツ魔王軍幹部だって!?」
「大悪魔ねぇ……」
ウィズが教えてくれた見通す大悪魔か、これまた厄介な奴が来たな
【緊急クエスト】
【魔王軍幹部大悪魔・バニルを倒せ!】
「おい、リュウジ!一旦逃げるぞ!?」
「馬鹿言え、セナに疑われている以上倒さないと俺達ずっと容疑者だぜ?」
俺はファイティングポーズを構えて戦闘態勢に入る。
「ほう?魔王より強いかもしれないこのバニルさんと評判の我輩を倒すと?」
「へぇ……お前、魔王よりつえーのか?」
俺が警戒を強めると、バニルは余裕な顔をして説明する。
「まぁ我輩は魔王軍幹部といっても結界維持を頼まれてるなんちゃって幹部だがな?魔王にベルディアの件について調べて来いと言われて調査に来たのだ……」
あっ……俺が原因?
俺は背中に冷や汗をかいた。
「そして次いでに稼いでも稼いでも貧乏になる能力を持つポンコツ店主に用があるのだ」
「ウィズに用がある…だと?」
俺は無意識に拳に力が入っていた。それを見抜いたバニルはニヤリと笑う
「そして、我輩は悪魔族、悪魔の最高のご飯は人間のいやだなと思う悪感情……汝ら人間が1人生まれる度に我は喜び庭駆け回るだろう!」
バニルはクルクル回って踊り始める。
これはアレだ、めちゃくちゃめんどくさいタイプの敵だ。
ペースを乱されないように俺とカズマは言いたい事をバニルに言い放った。
「庭駆け回るっておまえは子供か!?初雪が降った時喜ぶ子供か!?お母さんに「今夜は焼肉よー」って言われた時の子供か!?」
「ダンジョンからその人形がポコポコ溢れて来てその人間が難儀してるんだが?」
「そーだそーだ!いい加減生産中止しろ!」
「なんと、コイツらを使いダンジョン内のモンスターを駆除していたのだが、外に出てしまったか……ならば必要ない」
バニルは人形を土に戻し、不気味な笑みを浮かべる。
「次の計画に移行するとしようか……ポンコツ店主の事を言われて少し怒った鎧の男とパッとしない冒険者よ聞くが良い!」
「うおぃ!カズマの前で訳分からん事を抜かすな!」
「パッとしない冒険者……ってかお前ハーレム気取りですか?」
「んなわけあるかぁ!本気にすんじゃねぇよ!」
「まぁよい、我輩には破滅願望があるのだ!」
バニルは嬉しそうに自分の野望を力説し始めた。
「まず、ダンジョンを手に入れ手下の悪魔達を配置させ罠を作る、そのダンジョンに挑むのは歴戦の猛者冒険者達、そして死闘を繰り広げ最後の部屋に辿り着いた冒険者達と対峙する!もちろんそこで待ち受けてるのは我輩である!「良くぞここまで来たな冒険者達よ!我輩を倒し莫大な資産を手にしろ」と冒険者達に叫び遂に始まる冒険者達との激戦!その死闘の末、我輩の後ろにある宝箱に手にした冒険者達が見るのは……「スカ」と書かれた紙切れ1枚!それを目の当たりにしてガッカリする冒険者達を見ながら我輩は朽ち果てるのだぁ!」
俺とカズマはポカーンと聞いていた。なんとも言えない野望を持っているバニルは力説を終えた。
「だが、計画を実行する資金が足りない故、友人の元で巨大ダンジョンを作ってもらうつもりだったのだが偶然ここを通りかかった、主も居ないようだし、ここでいいかなぁって、だがこの奥にあるけしからん結界があってな?中に入る事が叶わんのだ」
あー、カズマがさっき言ってたアクアが書いたっていう魔法陣か?運が良いのか悪いのか分からん。
「おや?パッとしない冒険者の仲間が作った様だな?」
バニルはカズマを指を指して言い当てた。全てを見通すと言うのはハッタリでは無さそうだ。
「どれどれ……見える見えるぞ!外で茶を呑気に盗賊の娘と啜ってるのが目に浮かぶわぁ!」
あんの馬鹿共がぁぁぁ!
「そして!悪夢でうなされてる事を言い訳にしてサキュバスの淫夢を利用し、ハーレム無双をしていて誰を本命にしたらいいかモンモンしながら迷ってる鎧の男よ!!」
俺のプライベートをペラペラ喋り出したバニル
「モンモンしてねぇし!迷ってもいねぇ!てめぇそれ以上言うな!……わぁぁぁぁ!言うなぁ!」
「ハーレム無双をしている友人を目の当たりにして「あっ俺もやろうかな?」って思っているソワソワしている男よ!」
見破られたカズマも顔を真っ赤にして否定し始めた。
「そそそソワソワしてねぇし!はっハーレムなんか……やんねぇし!」
「さぁ!そこを通してもらおうか!こんなけしからん結界を作りおって!そのアークプリーストに1発キツイの食らわしてくれるわ!」
どうやらアクアを狙っているようだ、俺には関係ないが……本来の目的1つであるカズマとアクアのサポート、見過ごす訳には行かないな。
「アクアを狙っているようなら通す訳には行かねぇ!」
「不器用で破天荒な罪大きプレイボーイな鎧の男よ!今すぐ街に戻ってポンコツ店主を口説けば、すんっごい!事が実現することであろう!」
マジ……?
俺達はバニルにペースを思っきし握られた
「おっおい!リュウジ!耳を貸すな!悪魔の囁きだ!惑わされんな!」
「だだだだだ誰が惑わされれれるか!」
「思っきし惑わされてんだろぉが!」
「そっちの貴様は今夜の件でムラムラを抑えきれなくて今夜は誰をオカズにしてゴシゴシ励もうかモンモンしている男よ!」
「だぁぁぁぁぁ!言うなぁ!リュウジ!やるぞ!」
「おうよ!プライバシーを守るんだ!」
「「ぶっ殺してやる!」」
俺は拳をフルスイングするがバニルは意図も簡単にかわし続ける。
「おりゃぁぁぁぁぁ!」
「フハハハハハ!汝はさっさと街に戻ってポンコツ店主と共に連れ込み宿でご休憩でもしてくるがよい♪」
「〇△□× × !!」
もはや自分でも何を言ってるのかすら分からない言葉を発して怒り狂いながら拳を振るう。
「おっおい!リュウジ落ち着け!お前ほんとにウィズと関係持ったらエライ事だぞ!?修羅場だぞ!?しっかりしろ!」
「ウガァァァァァァァ!名前をだすなぁぁぁ!」
「フハハハハハ!そうは言うものの先程から攻撃が当たらんでは無いか!おや?先程のへっぽこ冒険者はどこに行った?貴様も厄介だが、小賢しい行動をする小僧もなかなか手強いやつなのだが……」
俺は辺りを見渡すとカズマを見失った。どうやらカズマは隙を見て『潜伏』を発動させたらしく、姿を消していた。
「舐めんなぁ!オラァァァァ!」
ブォン!と俺はアッパーカットを繰り出したが空を切る
「フハハハハハ!残念!」
「今だ!おりゃぁぁぁぁぁ!」
カズマは『潜伏』を解除してバニルにショートソードを振りかざした。挟み撃ち状態になりいくら見通す大悪魔でも逃れられないだろう。
「もらったぁぁぁぁぁ!」
グギッ!
カズマは瓦礫に足をつまずき、派手にバニルに当たった。
「うぎゃっ!」
「いったぁぁ!」
「今だ!『ゴッドブロー』!!」
ズガーン!
ゴッドブローがバニルの腹にクリーンヒットした。
「ぐあっはぁぁ!」
倒れたバニルの体は土に戻り、仮面だけが残された。
「やったか!?」
「くそっ!瓦礫がなければ……ん?ホントにやったのか!?」
俺が様子を見ると……仮面が動き始めた。
「……と期待させといて隙ありぃ!」
「しまった!」
「リュウジ!?」
ガシーン!
バニルの仮面が俺の兜にくっついてしまった。
最悪だ、バニルはまだ生きていた!!
「よもや討ち取ったと思ったか?残念!なんのダメージも無いわ!」
「ぐぁぁぁぁぁぁ!」
「貴様らの悪感情……大変美味である!フハハハハハ!」
「やっやめろぉぉぉぉぉ!」
俺が、よろよろとのたうち回ったが、急に動きを止めた。カズマは声をかける。
「リュウジ!?おい、リュウジ!!返事をしろ!」
リュウジは急にバニルの様に高笑いを始めた。
不味い!リュウジがバニルに乗っ取られてしまった!
「フハハハハハ!小僧!聞くが良い!我が力によりこの鎧の男は」
「うひゃひゃひゃひゃ!やべぇよ!体言う事聞かね〜うひゃひゃひゃ」
「どうだ小僧!この鎧の男を攻撃出来るもんなら」
「うひゃひゃひゃひゃ!くすぐったいやめてぇ!うひゃひゃひゃひ」
「やかましいわ!お前は何を笑っとるんだ!?」
カズマは困惑している。
仲間が乗っ取られてしまったと思えば大爆笑している。何がそんなに楽しいのだろうか?
「バッバカな!?なんて「イケメンな」この男は!?一体どんな頑強な精神を持っているのだ!?「まるでアイアンマンの様だ!」えぇい!やかましいわ!なんなんだ貴様わぁ!?」
バニルとリュウジが体の中で戦っている様だ。
「はぁはぁ……我の支配力に耐えるとは中々どうして大した男よ!」
「ちょっ、暴れんなってうひゃひゃひゃひゃ!くすぐったい!」
「だが、耐えれば耐えるほど耐え難い激痛が」
「全然痛くないんだけど!?寧ろくすぐったいんですけど!?」
「なん……だと……!?」
「すいません、ちょっと通りますね〜?」
リュウジとバニルが格闘している間にカズマは魔法陣に近付いて消し始めた。
「ギャハハハハ!くすぐったい!マジくすぐったいから!」
「痩せ我慢はよせ、耐えれば耐えるほど貴様の精神の崩壊を招き……ん?貴様、よもや楽しんでるのか?このシチュエーションを楽しんでるのか?」
「違う違う!うひゃひゃひゃひゃ!くすぐってぇー!」
魔法陣を消し終えたカズマが何食わぬ顔をして出て来た。
「よし、リュウジ〜、アクア達と合流して逃げるぞ〜?」
リュウジ(バニル)が拳を突き付けた。
「小僧!それ以上近付くでない!」
「カズマ、先に行ってクリスに事情を説明して来てくれ」
「早々貴様らの思惑通りに「ちょっと今のカッコよくね?」貴様が憎からぬこの鎧の男を傷付けたくはあるまい?「まぁカズマには無理だろうな」やかましいわぁぁぁ!ゼーゼー……ちぃこの体は失敗だったか!」
「おいおい、失敗じゃねぇだろ?むしろ成功だろ!」
「んがぁー!やかましいぃ!!」
バニルとリュウジが言い争いをしている隙にカズマはセナから受け取った札をブラックナイトの兜に貼り付けた。
「もういい!この体から出ていく……ん?なんだこれは?」
「カズマ、もしかしてこれ」
「そう、セナから受け取った封印の札だ、このまま上に戻って浄化してもらう」
「まぁそうだろうな、行くか!」
「きっ貴様!?まだ我輩の支配に抗うか!?」
リュウジ(バニル)とカズマは地上を目指して走り出した。