俺が手紙の中身を読んでみるとこんな事が書かれていた。
【冒険者、フクヤマリュウジ殿。魔王軍幹部、ベルディア討伐。魔王軍幹部、バニル討伐。更には、高額賞金首機動要塞デストロイヤー、冬将軍、ミノタンロース討伐等のそれらの偉業の達成において貴殿が大きく関わっている事を聞き及んでおります。尽きましては、近日中に王家からの使者を送り、貴殿の功績を称え、表彰したい旨を手紙にてお伝えしました。場所は、王国貴族であるダスティネス家の屋敷にて執り行う事となります。その際には、是非Adventuresの方々と共にお越しくださいますよう……】
手紙を読み終えると3人は項垂れ始める
「えぇ…、俺行かなきゃダメぇ?」
「うーん、メンバー全員呼ばれてるしね…あたしも行きたくないなぁ」
「となると……わたしもですか!?」
城にパンダ連れ回したらとんだサーカス団だよ!!
俺が手紙をクシャッと潰しながら悩んでいると、カズマが俺の家にやって来た。
「おいーす、リュウジ、手紙届いてたか?」
「おう、カズマ、今読んでた所だ」
「リュウジに頼みたい事があるんだけどいいか?」
「ん?なんだ?」
カズマは1枚の設計図を俺に渡して来た。クリスとマリューはそれを見つめる。
「カズマくん?これ何?剣?」
「これは……刀ではありませんか?」
「そうだな、この刀身と刃文は日本刀その物だな」
「リュウジは鍛冶屋の親父さんの弟子なんだろ?良かったら俺の武器を作って欲しいんだ、同じ日本人だし、お前なら日本刀が作れるんじゃないかと思ってな?」
ふむ、確かに模造刀なら金獅子にも作ってたしまぁ、カズマの攻撃力が上がるなら作ってやるか
「まぁいいぞ?明日までには作って置くから、それで?このご招待に行くのか?」
「俺達は行くぞ?ダクネスの親父さんには世話になってるしな?」
「そっか、今からウィズの店に行かないか?材料も買わなきゃないし、バニルの事も話さなきゃないだろ?」
「そうだな……行くか」
「ちょっと2人とも、買い物行ってくるから留守番しててね?」
「分かった」
「はい、行ってらっしゃいませ」
鎧を脱いで私服に着替えた俺とカズマはバニルの事を話すべく、店に向かった。
店の前に立った俺達は口を開いた。
「なぁカズマ……俺ら…ウィズの友達倒しちまったんだよな」
「そう……だな」
「ウィズを泣かせる事になるかもな…」
重苦しい沈黙が続いたが、意を決して店のドアを開いた。
「ウィズ、話があるんだ───」
「へいらっしゃい!、店の外で何やら恥ずかしい台詞を吐いて遠い目をしていた鎧の男よ汝に1つ言いたい事がある、「ウィズを泣かせる事になるかもな……」とクッサイ台詞を言っておるが……おっと、どうした?急にしゃがみこんで?そしてとてつもない悪感情、大変美味である」
俺たちの前になんかヘラヘラと笑っているバニルがいた。それと同時に俺はしゃがみこんで顔を手で隠し、カズマに励まされる。
「どうした鎧の男よ我輩が滅んだとでも思ったか?フハハハハハ!」
「殺せよ……もうひと思いに殺せぇ!」
「フハハハハハ!何を言っている、貴様を殺すと甘美な悪感情がなくなるので殺す訳なかろう?」
「リュウジがかわいそ過ぎる……」
カズマがリュウジの背中を擦りながら励ましているとウィズが声を掛けて来た。
「リュウジさん、聞きましたよ?身を呈してバニルさんを倒してスパイ容疑が晴れたって!おめでとうございます!」
「ウィズ〜!俺悔しい!悔しいよ!こんな奴に負けるなんて!」
「よしよし、大丈夫です!リュウジさんが勝ったんですから」
「ちょっとまてよ!コイツなんで爆裂魔法食らってんのにピンピンしてんの!?リュウジが体張って倒した筈なのに!?」
俺はウィズに頭を撫でられているとバニルが説明してくれた。
「あんな物を食らったら流石の我輩とて無傷でおられるはずがなかろう?これを見るが良い」
バニルは自分の仮面に指を指した額の辺りに数字が描かれていた。
落ち着きを取り戻した俺はカズマとコーヒーを啜る。
「残機が1人減り、2代目バニルという事だ!」
「なにそれぇ……反則じゃ〜ん」
「よしよし〜♪、リュウジさん?バニルさんは前から魔王軍を辞めたがって居たんですよ、なので今のバニルさんは魔王城の結界管理もやっていませんからとても無害の筈ですよ?」
こっちの魔王どんだけ人望ねぇんだよ、なんだよ辞めたいから抜けさせるって、つーか結界なんぞいらねぇだろ、戦力を集めろ戦力を、数の暴力で潰すんだよ。って言いたい
「んじゃもう敵じゃないの?」
「はい!敵じゃ無いですよ?」
「ふむ、鎧の男はそこにいる毎日スカートの丈を1センチずつ短くしているポンコツ店主と同じくらい商才はないな、そっちのヘボ冒険者の男はなかなか見込みがある、汝にいい話がある、お一つどうか?」
コーヒーを盛大に吹き合う俺とカズマ。
「スカートの丈がなんだって!?」
「なんでスカート短くするの?」
「「はよ詳しく!!」」
見事にハモる変態冒険者の2人組
「バニルさん!その話はやめてください!」
ウィズは顔を赤らめてバニルに食ってかかる、ホントの事の様だ。
「あっそれよりウィズ?ちょいと相談があるんだけど?良い?」
「はい?なんでしょうか?」
「武器に属性を付けたいんだけどさ、何かいいアイテムないかな?」
ウィズは頬に手を当てて考え込んだ。
流石のウィズにも難しい問題だったかな?
ウィズは手をパンと叩いて閃いた。
「あっ!『吸魔石』なんてどうでしょうか?」
「吸魔石?」
「はい、吸魔石というのは魔力を吸い取り蓄積する石で通常、私の様な魔法使いは魔力を込めたものをいくつか携帯しており、いざという時に魔力を吸い出して補給するものです。石は魔力の量に応じて色が変わり、限界値以上に魔力を吸うと爆発してしまう石なんですよ」
なるほど、言わばバッテリーの様な物か……。
「んじゃ、雷系の魔力を込めれば雷属性が付属されるって事?」
「はい!そうなりますね!」
俺とウィズが話しているとカズマと色々商品の話をしていたバニルが入って来た。
「おや?鎧の男よ、汝はベルディアの剣を所持しているようだな?」
「うん、そうだけど?」
「あの大剣に吸魔石を加工すると吉と出た、悪くない発想であるぞ?」
ほほう、これはいい結果になりそうだな。
「んじゃウィズ、その吸魔石5つ下さいな!」
「ほえ?このお店にはありませんよ?かなり高額なので」
マジでか!?
「ふむ、鎧の男よ、八百屋さんの隣の魔道具店になら丁度5つあると出た、今すぐポンコツ店主と買ってくるが良い」
「おいコラ、ウィズの店乗っ取ろうとしてんじゃねぇだろうな?」
「バニルさん!からかうのはやめてください!」
「おや?ポンコツ店主は行きたくてしょうがないと感じたが?」
「えっ?ウィズそうなの?」
「あう…はい」
ウィズは頬を赤らめてモジモジしていた。
ちょっとやだ、可愛い……ってかバニル居るんだからクエストに連れてってもいいんじゃないかなぁ
「んじゃ行こっか?、カズマ?明日屋敷に迎えに行くから」
「おう!楽しみにしてるぜ!」
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「ありがとうございました〜」
「いや〜買えた買えた!」
「良かったですね!私も色々勉強になりました!」
「色んな便利グッズあったね〜、さて素材も集まったし〜今から帰って作ろう!」
「そういえば何を作るんですか?武器ですか?」
「うん、カズマの剣と、ミツルギの剣をね、ミツルギの剣にベルディアの大剣を使って見ようかと思ってね」
「ベルディアさんの大剣ですか……」
「ん?ベルディアと仲良かったの?」
「あっいえ、私が魔王城にいた頃、良く首を転がしてスカートの中を覗いてたりしてた時がありましたけど……」
ウィズは思い出したのか、頬を赤らめた。
あの野郎……もっと殴っとけば良かったな
「そっそうなんだ……買い物付き合ってくれてありがとね!」
「はい♪またお店にいらして下さいね?」
「うん!んじゃまたね〜!」
俺はウィズと別れ、家に戻って来た。帰ってドアを開けた途端エリスがコーヒーを啜りながらマリューと談話を楽しんでいた。
「ただいま〜……?」
「あっリュウジさん、おかえりなさい」
「おかえりなさいませ、リュウジ様」
「なんでそんなかっこしてんの?天界行くのか?」
「はい、なんだか嫌な予感がしまして…それに用事が…ゴニョニョ」
コイツの嫌な予感は大体当たる、警戒して置くか、最後の方何言ってるか分からんし
「つーかさ、俺と話す時はタメ口でも良くね?」
「うーん、それは確かに……」
「もう魔王と女神とかじゃなくてさ、相棒同士なんだから良いだろ?」
「まぁ、そうだよね!そうしよう!」
案外コロッと実行しやがった。少しはゴネろよ、女神としてなんかこうあるだろ
「今から行くのか?」
「うん、しばらく帰れないかもね〜」
「ふーん」
コーヒーを啜りながらエリスに余裕な顔を見せ、からかうように煽って来た。
「あたしいないと寂しい?」
「ウィズとリーンと一緒にクエストでもしてるからぜーんぜん?」
「はぁ!?キミ可愛くないんですけど!?」
「魔王ですから、可愛くないんです」
「キー!ムカつく!」
「ほう……、寂しがって欲しいと?構って欲しいと?」
俺はゆらりと立ち上がってエリスを壁に追い込み、壁ドンした。
「えっちょっ…やだ、やめてよ……」
「あら?どうしたの?免疫力ないの?」
「あっある訳ないでしょ!女神なんだから!そっそれに、女神は人間と恋しちゃ駄目なんだよ!?」
え?そうなの?
「そっそれにキミは魔王なんだよ?女神を口説くなんて大罪もいい所だよ!」
「別に口説いてはいないんだけどな?」
「んなっ!?ねぇ?もしかしてウィズさんやリーンちゃんとかにもしてるんじゃないよね?」
「はぁ?する訳ねぇじゃん」
俺はエリスの耳元で囁いた。
「こんな
「!?あぅ……やっやだ、やめてよぉ〜」
エリスは顔を真っ赤にして手で顔を隠し始めた。
やべぇ、女神なったこいつからかうのめちゃくちゃ面白い……
マリューはプルプル震えて必死に笑いを堪えていた。
「さて、仕事にかかるかぁ」
「切り替え早くない!?、カズマさんの武器作り?」
「うん、明日までに完成させないといけないからさ」
「ふーん、さて、そろそろ行くね?」
「おう、あっ、エリス?ちょっと良いか?」
「ん?何?」
俺は指パッチンする前にエリスを呼び止めた。
「マジで寝れないからなんかネメシスから魔道具借りて来てくんね?」
「えぇ!?ダメだよ!、神器は私利私欲で使っちゃダメなんだからね?ネメシスに相談して見るからもうちょい我慢してて」
「うぇ〜い、行ってらー」
「行ってらっしゃいませ」
「行ってきまーす」
エリスは指パッチンをして光に包まれていった。
「さて、やるかぁ」
「普通にイチャイチャしてましたね」
「そうか?普通にからかっただけなんだけどね?お前だって笑ってたじゃん」
「まぁエリス様のリアクションが可愛くて…クスクス」
「そうだな、さて……工房に籠るかぁ」
俺はその後、徹夜してカズマの刀とミツルギの剣を作成した。
────────────────────────
翌日、俺はカズマを呼びにカズマ達の屋敷にやって来た。扉を開けた途端リビングにはコタツと格闘しているダクネスとめぐみんがいた。
「おいっす〜、カズマ〜?」
「あっ!リュウジ!いいところに来てくれました!」
「リュウジ手を貸してくれ!」
「リュウジがきたわね?さぁカズマ?観念なさい!」
カズマはコタツから顔を出してコチラを見つめていた。
カズマめ、こんなもん開発しやがったのか?器用な奴だ
「お前、何やってんだよ」
「寒いから……」
「寒いけども…お前、人に刀作らせといて何してんだよ早く来いよ」
「すまん、持って来てくれ」
カズマはコタツの中に潜って行った。俺は大きくため息を付く
はぁ……そういう事するのね
「めぐみん、ダクネス、ちょむすけ連れて離れてろ」
「はい?何をする気ですか?」
「まぁいい、懲らしめてやってくれ」
俺は導火線が付いたゴルフボール位の大きさの玉を取り出した。
「リュウジ?それはなんですか?」
「リュウジ!こんな時に玉遊びなんかしてる場合じゃ」
「『ティンダー』」
ジジ……と導火線に火を付けてコタツの中に投げ入れた。
ボン!
コタツの中から煙が立ち込め、カズマがアフロの様な頭になって出てきた。
「ゲホゲホ、調子乗ってすいませんでした」
「とっとと行くぞオラァ」
「うわぁ……リュウジエグいわぁ……」
「あ、アクア?次いでになんだけど、支援魔法教えてくれるか?」
「え?いいわよ?『パワード』『スピードゲイン』ね?『宴会芸』は必要かしら?」
「要らんわ!」
アクアにドン引きされながらも俺はアクアに支援魔法を教えて貰い、その後カズマ達を家に招き入れた。その数分後、ミツルギ達も家にやって来た。
「まずは〜、ミツルギ!お前のだ」
「まともに依頼をこなしてないのに良いのかい!?」
「パンダでも十分さ、これがお前の新しい剣『魔法剣・ティルフィング』だ!」
俺は大幅に改造したベルディアの剣を渡した。
「この剣があのベルディアの剣なのかい!?面影がないのだが?」
「まぁな、ベルディアの剣と冬将軍の刀を合わせたからな、だから元は冬将軍の刀の大きさだ」
俺は事細かく新たな武器の説明をした。
「なるほど、ありがとう!」
「そしてこの剣には新機能がある、ゆんゆん?この剣へ弱めに魔法掛けてくれる?」
「魔法ですか?はい、『ライトオブセイバー』!」
バチバチ!とティルフィングにライトオブセイバーが当たると、みるみるうちにライトオブセイバーが吸収されて行き、それを見た途端メンバーは騒ぎ出した。
「え!?魔法が……あっ、吸魔石ですね!?」
「さすがゆんゆん!その通りだよ!」
「カズマ見て!魔剣の人の剣がライ〇セイバーになったわよ!?」
「これは凄い武器ですね、リュウジ?カズマの武器は更に凄い物なのでしょう?勿体ぶらずに見せて下さいよ!」
「そーだそーだ!俺のはミツルギのより凄いんだろ?」
「わーったよ!ほら、コレがお前の刀だ」
そして俺は次にいよいよ、カズマに日本刀を渡した。受け取ったカズマはとても嬉しそうに手に取り、はしゃぎ始めた。
「うぉぉぉ!これだよ!これぇ!」
「あと、師匠から名付け札を貰って来た、これに名前を書いてやれ」
「おう、ちょっと装備して歩いてみるわ!」
カズマは腰に刀を装備してウォーキングを始めると……。
ガシャーン!
鞘が様々な道具に当たり俺の鍛冶スキルに使う道具を軒並み倒した。
「ごめん!ほんとにゴメン!」
「あっああ……いいよ、向こうからホウキ持ってきてくれるか?」
「ああ!任せてくれ!」
カズマがホウキを取りに行こうとしたらガッ!とドアに鞘が引っかかっり、じたばたもがいていた。カズマは手に取り、大声を出した。
「思ってたのと違ーう!」
「………」
俺はその後、無言でカズマの刀を短くし、挙げ句の果てには短くなった刀をめぐみんに小馬鹿にされた。
「短くなりましたね、相棒」
「うるさいな! せめて名前くらいいい名前付けたいな……名前どーしようか、菊一文字?虎徹?村正?う〜ん」
カズマ悩んでいるとめぐみんが言い放った。
「ちゅんちゅん丸」
「へ?」
「はい?」
「めぐみんちゃん、今なんて?」
俺、カズマ、ミツルギはめぐみんに2度聞きした。
「この剣の名前はちゅんちゅん丸と言います」
めぐみんは名付札をカズマから奪い取り、刀に貼り付けた。それによりこの刀の名前は『ちゅんちゅん丸』となった。
この子……人が作った刀になんて事してくれんの!?
「うわぁぁぁぁ!お前なんて事してんだぁぁ!」
「はぁ……作んなきゃ良かった」
俺は膝を抱えて落ち込み始めたが、マリューの慰みにより気持ちを切り替えた。
「よし、とりあえず約束したものは用意した。会食の件はお前らに任せる……俺達は行かないから」
「分かった!任せてくれ!」
「おう!」
その数日後、カズマとミツルギはダクネスの家に招かれ、王都の人達と会食をした。そこで事件が起こった様だ、カズマチームとミツルギチームは王都に連れて行かれてしまったそうだ。風の噂で聞いた話だが、アイリス王女という方がチームを連れて行った様だ。