カズマ達が王都に行ってから数日後、俺がレッドウォーリアの手入れしていたら家のドアが叩かれた。
ドンドン!
「鋼のリュウジ殿はご在宅であろうか?」
「え?誰だろ?」
「おや?誰でしょうね?王都の使いの者でしょうか?」
「まぁいいや、どちら様ですかー?」
ガチャっとドアを開けると、召使いの様な人が立っていた。
どこの貴族の人だろうか?
「何の用ですか?」
「実は我が主、アレクセイ・バーネス・アルダープ様が鋼のリュウジ殿に仕事を依頼したいと仰せなのですが?」
「はぁ、仕事……ですか……?」
「詳しい話は王都まで御足労頂きませんでしょうか?」
「あっはい……、分かりました、直ぐに支度します」
「はい、ではお待ち申し上げます」
「マリュー?、仕事が入った、出掛けてくるから留守を頼んだぞ?」
「かしこまりました、お気を付けて」
俺はマリューに見送られながら新型装備のレッドウォーリアを装備して王都にあるアルダープの別荘に案内されて裁判以来でもあるアルダープと再会した。
なんだよ、慰謝料の話か!?
「これはこれは、鋼のリュウジ殿、わざわざ申し訳ない」
「すんません、慰謝料ならもう済みましたよね!?」
「いえいえ、慰謝料の話ではありませんよ?」
「違うんですか?ならなんの話しでしょうか?」
「実はですな、最近王都の方で”義賊”が悪さをしておりまして」
義賊?義賊とは時代劇で言う所の鼠小僧的なやつの事だよな?この世界にもいるって言うのか?
「それで、その義賊からこの王都の別荘を護って欲しいと?」
「察して貰えるとは流石は鋼のリュウジ殿ですな!、そうです、我が別荘をしばらく警護して貰いたいのです!もちろん報酬はお支払いしますぞ!」
ほほう……盗人討伐で大金か、悪くないな
「分かりました、私ではなく、知り合いに素早い奴がいるので頼んで見ましょう、報酬はその方にお支払いして貰って構いません」
「ほう、リュウジ殿が認めるほどのお方とは?魔剣のミツルギ殿ですかな?」
んな訳ねぇだろ、このブタが……俺だっての
「アルダープ殿もご存知でしょう、アクセルの街で悪を罰している金獅子と言う男を?」
「金獅子ですと!?あの夜にしか現れないと言われている正義の味方、金獅子とお知り合いなのですか!?」
「ええまぁ、一度手合わせをしたまでですが、信頼出来る男です」
「金獅子とお会い出来るのでしょうか?」
「ええ、私から彼に声を掛けておきます、なにせ気まぐれでしか現れませんが悪が絡めば必ず現れます、今夜にでもこの屋敷に来るでしょう」
アルダープは大喜びをして返事をした。
金獅子なら目の前にいるのにな……
「お会い出来ることを楽しみにしていますぞ!?」
「分かりました、では彼を探してきますのでこれで失礼します」
俺は屋敷中ををキョロキョロしながら屋敷を後にした。
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その夜、俺は金獅子になって再びアルダープの別荘に足を運んだ。
おっといけない、声を変えなきゃないな。
「『セイグリッド・ヴァーサタイル・エンターテイナー』」
俺はネメシス直伝の宴会芸スキルを発動させて自分の声を変えた。
「鋼のリュウジに言われて来た、アルダープ領主はあなたか?」
「おお!!貴方様が金獅子ですか!?」
「いかにも、賊を討ち取って欲しいと聞いたが?」
「ええ、そうです!」
「心得た、昼間は別の宿に泊まりたいのだが宜しいか?」
「分かりました!用意しましょう!」
薄々感じてはいたけどこのアルダープは何かを隠している、屋敷全体がどうも胡散臭い、ここは少しカマかけて見るか。
「では、金獅子殿、夜はこの部屋をお使い下さい」
「承知した、ん?お主から何やら妙な魔力を感じるのだが?」
「えぇ!?いえっ、私は何もしておりませんぞ!?」
「左様か?ではしばらく厄介になる、よろしく頼む」
「でわ、何かありましたらお呼びください」
ふんっ、白々しい奴だ、何もしてないって事は何かを隠してるじゃねぇか。
「さて、魔法が切れない様に早く寝るか長期戦になるだろうからな」
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それから金獅子は数日通い始めた、アクセルの街に帰る為の事を考えアルダープの召使いさんから『テレポート』を習得し、様々な場所を探索した、狙われそうな金目の物は結構あるから狙われるのも頷ける。
そしてちょっとイラッとしたのがあの魔道具の”マジックミラー”だな、あいつら『ライトオブリフレクション』使ってる俺に気付かずにメイドさん達の裸見てシコってやがった……気持ち悪かったなぁ。
そして、それから2日後、草木も眠る丑三つ時、ついにその時が来た、夜用の客間に眠るリュウジは何かの気配により起こされた。
「ん……なんだ?、もしかして来たか…?盗人め」
俺は金獅子になり、敵感知、千里眼、スピードゲイン、パワードを駆使して気配を辿ると……黒いブラの様な上着にスパッツでいかにも不審者です!と言わんばかりの侵入者が壁伝いに歩いていた。
「見張りもいないなんて、考えすぎだったかな?なんだか嫌な予感がして、2、3日はこの屋敷を避けてたんだけどなぁ……」
小さな独り言が聞こえてきた。
とりあえず後をつけるか
「さて、『宝感知』!ふむふむ、こっちの方かな?」
はい、現行犯確定っすね、宝って言ってるし?
「おい、そこのお前、見えてるぞ?」
「!?」
「こんな真夜中に何をしている?」
侵入者はびっくりした様にビクッと振り返った。
なんだコイツ、見えないとでも思ってたのだろうか?
「『バインド』!」
「んなもん食らうか!」
侵入者は俺に手を向けるとバインドを発動させた。俺は素早く壁を走り駆け走ってバインドをかわし、侵入者に接近した。
「我にはバインドは通用しないぞ?」
「!?」
「ここじゃまともに戦まい?表に出るか?」
俺は顎をクイッと外の方に向けてすると、侵入者は素直に付いて来た。
これならあの
「我の名は金獅子、貴様は……何者だ?」
「あたしの潜入を見抜くなんて凄いねぇキミ?」
「御託はいい、貴様を討伐するのが我の仕事だ」
金獅子こと俺は体術の構えをして戦闘態勢に入った。侵入者はダガーを抜いてステップを踏み始めた。
「悪いけど、あたしはまだ捕まる訳にはいかないの!」
「よく分からんが、かかってこい、相手になってやる」
「このあたしを捕まえられるかな!?」
「なら捕まえてやろう」
侵入者はダガーを逆手に持ち、猛スピードで接近して来た。
「ほう、やるでは無いか?」
「キミもね、あたしの大事な友達に近接格闘スキルを使う人いるけど、こんな不思議な動きはしないよ!」
友達?ん?大事な友達!?
まぁいい、取り押さえないと金が貰えないんでね?
「さて、そろそろ仕舞いにするか、『フラッシュ』!」
「きゃあ!」
俺は腕を絡めながら侵入者の足を払って転ばせ、マウントを取り押さえ込んだ。
「ふんっ!」
「うわっ!」
ドサッ!!
俺は盗賊を取り押さえる事に成功した。
「あいたた、負けちゃったよ……」
「このままあのブタに突き出しやる」
「あはは……それはちょっと勘弁して欲しいかなぁ?」
月を覆い隠していた雲がなくなるとその姿が明らかになった。侵入者は口元を布で隠していたが侵入者は自ら外して顔を露にした。
その姿は……クリスだった
「あはは、噂通り強いね、金獅子くん?」
「おっお前……」
「ん?金獅子くんとは会うのは初めてだよね?」
「ちっ」
俺は取り押さえるのを止めてクリスを自由にしてやった。
「あれ?自由にしてくれるの?」
「お前は…鋼のリュウジの知り合いだろ、今日は見逃してやる、失せろ」
「金獅子くんはリュウジの事を知ってるの?」
知り合いもなんも本人だわ!ってか意外とバレないもんだな。
騒ぎを聞きつけたのか、アルダープの声が聞こえて来た。
「ここの持ち主が騒ぎ出した、撃退した事にするから帰れ」
「うっうん、ありがとう、金獅子くん」
クリスは壁を飛び越えて逃げて行った。
「金獅子殿!侵入者ですか!?」
「うむ、尻尾を巻いて逃げて行きましたぞ?」
「ありがとうございました!どうぞ、報酬を受け取って下さい!」
アルダープから受け取ったのは小さい小袋だった。
え?少なくない!?まぁ撃退だから仕方ないか……。
「申し訳ない、では今夜はこれで失礼する」
「もう帰るのですか?」
「ええ、しばらく奴もここには来ないかと」
「そっそうですか、ご苦労さまでした」
「では……」
俺はシュッと姿を消して別荘を後にした。その足で泊まっていた宿戻り、窓から入った。丁度タイミング良く声も戻り、服を着替えようとしていた。
「ふぅ、まさか義賊がクリスだったとはな〜、しかしあー暑かった、この忍者装備は性能は良いけど通気性がなぁ…」
俺がブツブツ言いながら着替え終え、装備をベッドの下に隠していると窓がトントンとノックされた。
「はぁ……来ると思ってたよ」
呆れた顔をしながら俺はカーテンを開き窓を開けた。そこには案の定クリスが先程の服装のままで頬をポリポリかきながら苦笑いをしていた。
とりあえず何も知らないフリしとかないとな
「そんなところで何してんの?」
「あはは……こんばんわ……」
「とりあえず中に入りな?そんで?何の用?ってかなんで俺がここに居るの知ってんの?」
クリスは窓から部屋に入ってベッドに座り、足をパタパタさせながら答えた。
「王都のギルドに行って鋼のリュウジを探してるって言ったらここに辿り着いたの、何の用って、ってかリュウジこそなんで王都に来てるのさ!」
お前を討伐しに来たんだよ……って言いたい、けど言えない
「俺は〜アレだ、急遽出稼ぎクエストに来たんだよ、王都なら高額のクエストがあると思ってな?お前こそ何してんだよ」
「あたしはちょっと用事あってね、あはは……」
ウソがヘッタクソな女神だなぁ……困った時は必ずポリポリかく癖やめろよバレバレだから!
「言え、ヤボ用ってなんだよ、でなきゃ泊めてやんねーぞ?」
「えぇ!?うーん…どうしよ、怒らないって約束してくれる?」
「それ怒られるような事してるって事だよね!?アホなの!?」
「アホって言わないで!大事な事なの!!」
「はぁ……、それで?こんな真夜中に何してんだ?」
クリスは覚悟を決めたのか真実を話し出した。
「実は……あたし、持ち主がいなくなった”神器”を探してたの」
「神器?」
「簡単に言えば、ミツルギさんの魔剣あるでしょ?あんなの」
チートアイテムって事か?
クリスが淡々とした説明を真面目に聞く所によると、死んだ転生者達が残したチートアイテムがまだあちこちに残ってると言う。
まったく、めんどくさい物を残したもんだ。
「そんで?いくつ残ってんの?」
「話が早くて助かるよ、『モンスターを召喚する神器』『入れ替われるネックレス』リュウジが持ってる『聖盾イージス』そして……『聖鎧アイギス』かな?ネフェリアさんにあげた剣も神器だよ?」
「ネフェリアちゃんにあげたやつもか!?はぁ〜、めんどくさい神器ばっかりだな、魔王軍の手に渡ったらヤバくねぇか?鎧はちょっと気になるけど」
「うん、かなり厄介だよ、今日アルダープの屋敷にあるんじゃないかと思って侵入したら」
そこで運悪く俺に出くわしたと……なんという偶然!!けど、まだ正体を明かす訳には行かないな、ここは知らんぷりしておこう。
「侵入者したら?」
「最近噂の正義の味方…金獅子くんに負けちゃったよ、あはは……」
「へぇ、お前が負けるなんて余程強いんだな、アイツ」
「やっぱりリュウジ知ってるの?金獅子くんの事」
「まぁ〜、1回戦った事があるだけだぞ?」
「だから知り合いだったのか、リュウジみたいに近接格闘スキル使うんだよ、素早いしさぁ〜厄介な人が出て来たよ」
かなり遠回りだけど、俺、褒められてる
「それで?これからどうすんの?」
「とりあえずアルダープの所はしばらくやめとくよ、今度は城を目指して見るよ!」
「おいおい、あの城に忍び込むのか?つーか今城にはカズマ達がいるんじゃないのか?」
「うん、いるだろうね」
「ならカズマに頼めば?アイツこういうの得意そうじゃん、ずる賢いし、頭の回転早いし?幸運値激低の俺を連れてっても厳しくなるだけじゃないか?」
遠回しにカズマに全て任せようとしたらクリスは気まずそうに俺を見つめて来た。
え?俺!?俺に頼むの!?幸運値低いのに!?
「いやいや、俺は無理だろ!?」
「ダメ?」
「カズマ程スキル持ってねぇんだぞ?身体能力は遥かに俺が上だけど」
「うーん、リュウジの方が信頼出来るから……」
「え?それって……」
「だってあたしの相棒じゃん?」
「まぁ2回異世界を経験してるからじゃないか?」
「そうだけど、お願い協力して?」
「その前に知っておきたいんだけど、今の話の流れで大体把握すると、今巷で噂になってる義賊ってお前か?」
「うん、そうだよ?」
はぁ、やっぱりお前かぁ、どうしようか、ここはコイツの手伝いをするべきなのか?けど、いずれ下手こいて捕まりそうだな……。そもそもなんで金を巻き上げてるんだろうか…ここは聞いてみるか
「なんで貴族から金を巻き上げてるんだ?」
「なぜって…お金に困ってる人が孤児院に沢山いるし、それにあたしは女神だから…困ってる人を助けたいの」
「だから義賊になって困ってる人を見つけては助けてるのか?この世を少しでも良くする為に?」
「うん、そう、あたしがしなかったら……それで悲しい事が起こると自分のせいだと思うの……」
「俺やカズマ、ミツルギがこの世界に来る前からしてたのか?」
「うん、ずっと1人でしてたよ?」
「そっか……」
はぁ、今すぐ答えは出せそうにないな……今すぐ城には忍び込まないだろう、ここは作戦を立ててから動くべきだな
俺はため息を吐いてクリスに答えた。
「分かった、しばらく考えさせてくれ、アイツにも相談してみる」
「ホント?」
「事の事情を話せばヤツも分かってくれるさ、だから勝手な事はするなよ?」
「うん、分かった、ねぇねぇ?明日暇?」
「へ?まぁ……暇っちゃ暇だけど?」
「明日さ、あたしとデートしない?」
「ふぇ?」
俺は……目を点にしてしまった。
金獅子の声はバットマンの様に声が変わってます!
新たに習得した魔法…『テレポート』