俺はコボルト軍団に数枚の手裏剣を投げて動きを封じ、その隙に接近して近接格闘で攻め始めた。回し蹴りでコボルトの首をへし折り、アッパーで別のコボルトの顎を砕き、対峙したコボルト達を倒し終えた。
(これでここのコボルトは問題なさそうだな、他の方に向かうか)
俺は振り向き、共に戦った冒険者に声を掛けた。
「倒したコボルトの手柄は貴殿らに譲る、我は別の場所へ行く」
「そっそうか、金獅子さん、助かったぜ!」
「ここは俺らに任せてくれ!」
「かたじけない、でわ」
俺は建物をつたって登って行き、屋根に上がり他の戦地に向かった。辺りを見渡すと、ミツルギ&ゆんゆんと騎士団達が戦闘をしているのを見つけた。
ミツルギ達と騎士団は問題無さそうだ、他の冒険者達をメインに助太刀しよう。
そうして、他の戦地を見て回って居ると、アクアが懸命に回復魔法で怪我をした冒険者達を治療して回っていた。
「アクアだな、って事は…カズマもこの辺にいるんだな?心配だから様子を見て行くか……」
カズマを探す為にキョロキョロしていると、弓を放ってるカズマを見付けた。
「いた!カズマだ!」
カズマは調子に乗ったのか、後退したコボルトを追いかけ始めた。
このままではカズマは深追いして取り囲まれてしまう、助けねば!
カズマはそのままコボルトを追いかけていき、案の定コボルトに取り囲まれてしまった。カズマは袋叩きされ始め、俺は慌ててカズマを助けに入った。
「カズマァァァァ!はぁぁっ!とりゃっ!おりゃあ!」
カズマを取り囲んでいたコボルト達をなぎ倒したが、時すでに遅く、カズマはこと切れていた。カズマを見た途端……俺はフラッシュバックして、かつての仲間でもあるティーチ、スラッシュ、バージル、サニー、ディアボロ、ジキル、ワイズ、フランケン達を思い出してしまった。
「よくも……カズマを……うおおおおお!」
怒りに任せて俺はコボルトを次々と殴り殺し、壁に叩きつけ、踏み付け首をへし折ってその場のコボルト達を全滅させた。俺はそのままアザだらけのカズマを見つめていた。
「はぁ……はぁ……カズマ……ごめん……」
「カズマ〜?カズマさ〜ん?」
「あの声は……アクアだな?」
俺が立ち尽くしているとアクアの声が聞こえて来た。アクアは他の冒険者を引き連れて俺とカズマを見付けた。返り血だけらけの俺を見たアクアは驚いていた。
「カズマ!?あんた誰?カズマさんを助けてくれたの?」
「我は金獅子、済まない……助けるのが遅かった……」
「そっそうなの?、ごめんなさいね?ウチのカズマさんが」
「構わない、ここはもう安全だ、我は他を見て回る」
「そう?ありがとうね?」
アクアのやつ何か軽いな〜、カズマ死んでるのに……。
俺は再び屋根に上がって他の戦地に向かった。
その後、魔王軍のコボルト兵隊の全滅が確認された。俺は噴水の水で鎧に水をかけて返り血を洗い落とし、夜明けと共に宿に戻って行った。
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昼頃まで宿で体を休め、小腹がすいた為近くの大衆食堂に入って昼食を取っていると、偶然クリスが通りかかった。クリスは俺を見付けた途端近付いて声をかけて来た。
「あっ!リュウジ!戻って来てたの!?」
「おっおう、朝に戻って来てんだよ」
クリスは疲れた顔をしながら俺のテーブルに座り、ぐたっと俯き始め、ため息を吐いた。
「はぁ〜、疲れたぁ〜」
「どうしたんだ?随分と疲れてる様だけど?」
「うん……実はね?昨日カズマさんがコボルトに殺されちゃってさ」
あ〜それでか、俺が助けに行った時にはもうアザだらけだったからな
「そうだったのか……」
「うん……、オマケにカズマさんを説得する為に城から追い出されたカズマさんの宿へ忍び込んだらセクハラされるしさぁ〜、それに、カズマさん死ぬのこれで2回目だよ!?天界規定引っかかりまくりだよ!特例で許してるけど!」
セクハラねぇ〜、なんかコイツ満更でも無さそうなんだけど?すげえ胸がキリキリモヤモヤして来て気持ち悪いんだけど?、口を開けばカズマカズマカズマって、どんだけカズマVIP待遇なのよ、何?幸運値って高ければ女にモテんの!?恋愛運も備わってんの?。それよか……カズマ何回死んでんの!?それに、なんで城から追い出されたんだよ!
「色々言いたいことあるけど、アイツ2回目なの!?」
「うん、前回は木から落ちて首の骨折って死んだよ?」
冬将軍の時に必死で庇った時や今回の俺の意味は!?通りでアクアが落ち着いてる訳だ……。
「木から落ちて死ぬってのがちょっと……」
「はぁ〜、もう疲れたよ…。ねぇ、何か頼んで良い?」
「ん?ああ、良いぞ?」
クリスは喉が乾いたのか、飲み物を注文した。ウェイターがアイスコーヒーを持って来て、クリスはチューチューと飲み始めた。
「ふぅ、それで?金獅子くんには連絡付いたの?」
「まっまぁな?事情を話したら力を貸すってよ?」
「良かった〜、作戦は今夜が丁度良いんだよ」
随分急だな、なんでだろう?
俺はクリスに何故今夜なのか尋ねた。
「なんで今夜なの?」
「実はね?、昨日王都に魔王軍が攻めてきたんだよ、なんとか騎士団と冒険者達で退いたんだけど、今夜その打ち上げパーティーがあるの」
なるほど、どんちゃん騒ぎしてる隙に忍び込むって作戦か……。
「なるほどね、それで今夜なのか」
「うん、金獅子くんに伝えてくれるかな?」
「わかった、何処に待ち合わせにするんだ?」
「うーんと、ちょっと待ってね?」
クリスは腰のポーチから地図を取り出し、テーブルに広げた。
「この先の公園があるんだけど、そこに集合って事にしてくれる?」
「ここな?了解、伝えとく、カズマの方は?」
「カズマさんにもなんとか協力して貰える様に頼んだよ、ホントは頼みたく無いんだけどね?」
大事な人だもんね、カズマの話になるとなんか胸がズキズキする…なんでだ?
「3人も行けば余裕だろ、夜まで騒ぎ起こすなよ?」
「うん、リュウジはこれからどうするの?」
「俺は今から金獅子に作戦教えに行けなきゃないだろ」
「ふーん、ねぇ?あたしにも金獅子くん紹介してよ、なんでリュウジだけが連絡手段なのさぁ〜」
クリスはブスーっと頬を膨らませる。
当たり前だろ、金獅子は俺であり姿変えなきゃ出て来ないんだよ!クリスには悪いけど、隠させてもらう……。
俺は冷や汗をかきながらクリスに誤魔化した。
「俺から色々話しといたから気にすんな」
「ふーん、ホントは金獅子くんがリュウジだったりして?」
俺は手をピクっとさせ、ほんの少し動揺してしまった。
コイツ……鋭いな
「な、何言ってんだよ…噂では金色の瞳をしてるんだろ?」
「あはは!そうだったね、あたしは暗い中だったから良く見えなかったけど、声も違うしね?」
ホッ、気付かれなかった様だな?
「だろ?それにお前を負かす程俺にそんな実力まだないから」
「あはは、だよね!」
腹立つなコイツ!負かしてんのに!今に見てろよ!
「さて、なら俺は金獅子に今夜の事を説明してくる」
「うん、んじゃまたね?」
俺は夜に備える為に、宿に向かい夜を待った。
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真夜中、俺は金獅子になり、『セイクリッド・ヴァーサタイル・エンターテイナー』を唱え、クリスの新装備を持って来て待ち合わせの公園にやって来た。そこには黒装飾を纏って変な仮面を付けてるカズマとクリスが待っていた。
「待たせて済まない、鋼のリュウジから事情は聞いている」
「おっ!来たね?金獅子くん!、ほら下っ端くん、挨拶したら?」
「おっおう、こんばんは、はじめまして……」
カズマは俺の威圧感を感じて少し怯えていた。
人の相棒にセクハラしやがってこの野郎、それにその仮面はなんだ?バニル見たいなデザインしやがって、少し懲らしめてやるか
「お主がサトウカズマだな?貴様の事は聞いているぞ?この銀髪に不埒な事をしたと」
俺は手をボキボキ鳴らしてカズマに近付いた。
「そっそれは、違う!ごっ誤解なんだ!」
「そーだそーだ!金獅子くんからも叱ってやってよ!」
「あまり、鋼のリュウジを怒らせるなよ?」
「わっ分かった、分かったから来ないでくれ!、金獅子さんは日本から来た人なのか?見るからに忍者って感じの格好なんだけど?」
やべっ、カズマが日本生まれのヒキニートだってのを忘れてた!!忍者っぽいスタイルにしたのが仇になったか!?適当に誤魔化そう……。
「いっいや、我はニホンという所は知らんぞ?偶然だろう?」
「そうか?なら良いんだけど?リュウジは?」
「そう言えばリュウジはどうしたの?金獅子くん」
やっぱりそう来たか、だけど織り込み済みだよ。
「鋼のリュウジなら、アクセルの街でクエストを受けているぞ?何やら急用の仕事だとか?」
「そうなのか?なら仕方ないな、リュウジがいたら俺必要無かったし」
「緊急のクエストなら仕方ないね〜」
「それで、銀髪、鋼のリュウジから預かってる物があるぞ?」
「え?リュウジから?なんだろう?」
俺はトランクをクリスに渡した、クリスはトランクを受け取り、あけた。
「うわぁ!これ!私の用の服!?」
「奴からの伝言だ、「いつも同じ軽装だからいずれバレるぞ?」だそうだ、早く着替えて来い」
「うん!ちょっと待っててね!」
「俺もちょっとトイレ」
クリスは公園のトイレに向かい着替えに向かった。カズマはどさくさに紛れてついて行こうとしていた。すかさず俺は手裏剣をカズマの足元に投げつけ止めた。
「小便ならそこでしろ」
「すっすいません……」
数分後、クリスは新装備を纏って現れた。見た目は黒猫のような仮面に青いリボンに黒い頭巾、足当てには猫の肉球が付いていて、全身黒いスーツを身に着けていた。
「おまたせ〜、どう?かな?」
「おやびん!めちゃくちゃ似合ってますよ!」
「うむ、サイズも丁度良いようだな?」
「うん、今度リュウジにギュッてしてあげよっと♪」
あっ、胸のモヤモヤが取れた感じがする、なんなんだろう?いかん、しっかりしろ俺!
「準備は良いな?」
「うん!バッチリだよ!」
「おっおう!大丈夫だ!」
俺達3人はベルゼルグ城へ向かい始めた。その道中、クリスはカズマの仮面を付けてる仮面が気になっていた。
「ねぇ下っ端くん、その仮面何?ちょっと格好良いね?何処で手に入れたの?」
クリスめ、こんなダッサイ仮面が好きなのか?腹立つわぁ、またチクチクしてきたな……。
「これはアクセルの街の、とある魔道具店の怪しげな店員から貰ったんだ。これって一応売れ筋商品らしいぞ?お頭の仮面もかっこいいですよ?」
バニルの野郎なんてもん売り出してやがる!
「へー?それ、あたしも欲しい…あっ…やっぱりいいや。コッチの仮面の方が格好良いし。その怪しげな店員さんってどんな人?」
「どんな人……?ゴミ捨て場を荒らすカラスを追い払ったりして、ご近所の奥様方からは、カラス殺しのバニルさんって呼ばれてるらしいぞ?」
バニル普段そんな事してんの!?魔王軍辞めて良かったな!
「へぇー!立派な人じゃないか!その人には是非会ってみたいね!キールのダンジョンの時の悪魔と同じ名前なのが癪だけど」
お前1回会ってるだろ!?ってかエリスって悪魔嫌いだったよな?会わない方が良いんじゃね?生きてるって聞いたらアイツ暴れそうだな……。
「それより、銀髪、城には何があるのだ?」
「あっ、金獅子くんは知らなかったんだね、下っ端君が教えてくれたんだけどね、城には【入れ替わるネックレス】っていう危険な神器があって、それをアイリス王女が身に付けてるって言うの、【入れ替わるネックレス】は使い方によっては永遠に生きられるんだけど、もし誰かが城の人と悪い人が入れ替わったら……ここまで言えば分かるよね?」
なるほどな、悪徳貴族がもしそのネックレスを悪用したら直ぐにでも城を乗っ取れるって事か……確かにやべぇな。
「確かに……危険だな」
「でしょ?だからリュウジに頼んだら金獅子くんを寄越したって事」
「ふむ、あいわかった、喜んで協力しよう」
やがて、俺達3人はそびえ立つ城を見上げ、クリスはカズマと俺に声を掛ける。
「じゃあ下っ端君、金獅子くん、準備は良いかい?」
「俺はいつでも大丈夫だよ、おやびん!」
「我もいつでもいいぞ?」
「ねぇ?金獅子くんはともかく、おやびんは止めて欲しいんだけど」
「じゃあ、俺を下っ端呼ばわりすんのも止めろよな。大体、なんで俺が手下見たいな扱いになってるんだよ!」
なんでって…… こん中で雑魚なのお前じゃん?
3人は建物の陰に隠れてコソコソと囁き合う。
「だって、あたしの職業は盗賊だよ?本業だよ?メリッサさんより凄いんだよ?キミの職業はリュウジと同じ冒険者でしょ?、リュウジの方がよっぽど強いけどね?」
「そうは言っても今はリュウジいないだろ?千里眼って言う暗視スキルを持ってる俺の方が、盗賊家業をやるには向いてると思うぞ。実力的には俺の方が親分だろう?」
何を話すかと思えば……くだらねぇ!そんなのいらねぇじゃん!
「下らん、2人でジャンケンでもしておけ!」
「ほう、金獅子さんナイスアイデアだ」
「ジャンケンか、いいよ?やろうか?」
「じゃぁいくぞ?ジャーンケーン……」
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「まずは、城内に侵入する所からだね助手くん」
「ですね、お頭。ここはしばらく、城の中でミツルギやゆんゆんが働いてるのに堂々と伊達にニートをやってた訳じゃない。暇を持て余してあちこちウロウロしてる間に、大体の城の造りは把握した。案内は任せろ」
うん、うん、かっこいいこと言ってるけど、コイツ城で何してたんだよ、馬鹿なの?。ねぇ、返してよ!助けた時の俺の気持ちを返してよ!バカバカしくなって来たよ!
俺達3人は、門番が立っている正門を避け、城の城壁へと回り込む。
「助手くん、こんな所から侵入するの?壁の高さが物凄いよ?3階位の高さだし、流石のクリスさんもここからは……」
「『狙撃』!」
カズマは以前デストロイヤーの時に使ったロープ付きフック式の矢を放ち、壁の縁に引っ掛けた。カズマはそれを使い、登り始めた。
「助手くんは便利だねぇ!」
「銀髪、捕まれ」
「えっ?」
「ふんっ!」
俺はクリスを掴んでそのまま高くジャンプして城壁の縁に着地した。2人が話してる間に支援魔法を唱えており、筋力を強化しておいたのだ。
「うわぁ、金獅子くんは凄いねぇ。なんの職業なの?レベルはいくつなの?リュウジとどっち強いの?」
うるせぇ……胸が軽くなったり、ズキズキしたり忙しいなぁ……。
潜入に成功した3人は先へと進む、今の時刻は月からすると夜中の1時〜2時あたりだろう。城の明かりは消え、皆が寝静まっている。
「ここからは我が先導しよう、我も暗視スキルが使える」
「金獅子さん、頼んだ!案内は任せろ、お頭は俺の後ろを付いて来てくれ」
「了解だよ、金獅子くん、助手くん」
「して、サトウカズマ、目的地は?」
「この城の最上階だ、そこの扉を進んでくれ」
「承知した」
3人は中庭から城内に至る扉の前に立った。俺はドアノブを回したが鍵が掛かっていた。
「鍵が掛かっておる」
「金獅子くん、ここはあたしの出番だね。『解錠スキル』が輝く時だよ」
「任せた、見張りは任せろ」
クリスが前屈みになり、ピッキングツールの様な物を取り出した。そして鍵をカチャカチャとやりだす。その間に『敵感知スキル』を発動させ、辺りを警戒する。やがてカチッ!と音が鳴り、あっさりと扉が開いた。
「開いたよ」
「良し、行くぞ」
「へい、お頭」
3人はベルゼルグ城内部の潜入に成功した。
クリスの新装備のモデルはニンジャバットマンに登場するキャットウーマンのスーツです。キャットウーマンとは泥棒をしながらバットマンに協力したりする女性なのでクリスにピッタリと思い、参考にしました