マリューやカズマ達がクーロンズヒュドラと戦うと決めた最中、王都から数十キロ離れた場所で小鳥のさえずりが鳴り響き、川のせせらぐ中、1人のエルフの少女が釣りをしていた。歳は17歳前後で、髪は長く、青いブラウスに白のスカート、背中には弓を背負っていた。
「なかなか釣れないなぁ、これじゃお昼ご飯抜きになっちゃうよ」
しょんぼりしながら釣りを続けていると、ベレー帽を被ってる小さいエルフ、槍の様な武器を持っている小さいエルフの少女達が近付いて声を掛けて来た。
「アリサさま、どうでしょうか?釣れていますか?」
「ご苦労さまです!アリサさん!」
「コッコロちゃん、アオイちゃん、ぜーんぜん釣れないよ〜」
「左様で御座いますか」
「なんだか大物のフラグの予感がしますね!」
「そういえばコッコロちゃん、ネフェリア様は?」
「ネフェリアさまなら食材になりそうなモンスターを狩りに──」
小さなエルフの女の子がアリサと呼ぶ少女に声をかけたその時、ググッと釣竿がしなり始め、竿が引き摺られ始めた。アリサとコッコロとアオイと呼ばれた女の子達は慌てて竿を引き始めた。
「わぁっ!!コッコロちゃん!アオイちゃん!凄い引きだよ!?」
「おお!?本当に大物がかかりましたよ!」
「このままでは切られてしまいます、岸まで誘導しましょう」
「うん!そうしよう!せーのっ!」
ザバッ!
エルフの3人はそのまま岸まで手繰り寄せると、黒い鎧を纏った男が釣れた。
「わぁぁぁぁ!人だよ!コッコロちゃん!!」
「うぎゃぁぁぁぁああああ!!」
「落ち着いて下さい、わわっ、酷い怪我ですね」
「腕も折れてるし、足と肩から凄い血が…早く引き上げなきゃ!」
3人は鎧の男を陸に引き上げ、顔を覗いた。
「息はありますね、『ヒール』が使えそうです」
「わたしは切り傷の止血をするね、それにしても…こんな重症で生きてるなんて凄い人だね……」
「そうですね、見た所、何処かの街の冒険者なのでしょう」
「とにかく今は鎧を外さなきゃ!」
アリサは鎧を外し始め、コッコロはヒールを唱え始めて治療を始めた。アオイはオロオロ見ていて、アリサは男の体に触れたのは初めてなのか、顔を赤らめながら脱がしていた。
「男の人の体……初めて触っちゃった/////」
「アリサさま、恥ずかしがってる場合ではありません、このお方は瀕死の状態です、アオイさまは落ち着いて下さい」
「だっだよね!?ごめんなさい!」
「ごめんなさぁぁぁい!」
3人は懸命な治療をしていると、イノシシの様なモンスターを引きずりながら1人のエルフの少女がやって来た。
「おいっす〜☆、みんな〜、大きな『イノシシノシシ』が取れましたよ!」
「ネフェリアさま、ご苦労さまです、ですが今は忙しいので」
「ネフェリア様、大変です!」
「ネフェリア様、とんでもないのが釣れました!」
「どうしたんですか?3人ともそんなに慌てて、大きなお魚が釣れたんですか?」
そう、以前リュウジとクリスが出会ったエルフの少女、ネフェリアが現れた。ネフェリアは釣られた獲物をひょっこり覗くと大声を上げた。
「わぁぁぁぁ!リュウジくん!?どうしたんですか!?」
「えぇ!?ネフェリア様のお知り合いなんですか!?」
「ネフェリアさま、このお方は?」
「この人は、アクセルの街の冒険者のリュウジくんです!だけど、アクセルの街はここからずっと南の方なのに、どうしてここに!?」
「とにかく、今は治療です、一度、秘密基地に戻りましょう」
「うん!リュウジくんはわたしが運びます!よっこいしょ!」
「んじゃ、わたしは鎧を運びますね!」
ネフェリアは上半身裸のリュウジを担いで秘密基地と呼ばれるファンタジー感満載の一軒家に運ばれて行った。
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リュウジはその後、包帯で身体中をグルグル巻にされ、ソファーに寝かせられているリュウジは怪我のせいで熱が出てうなされていた。
せいぜい強くなるよ!?勇者どもぉ!!
さようなら、ラフタリア……
お前らの正義は使えねぇんだよ…てめぇら全員やり直しだぁぁ!
かつての夢でうなされながらリュウジは意識を取り戻し、目を開き始めた。アリサがタオルを濡らし、リュウジの額に置いていると、アリサが話しを始めた。
「凄い熱……どうしよう、えーっと確かこの辺に……」
ガタガタと棚を背伸びして何かを探し初めているアリサのスカートがヒラヒラしている所を目の当たりにした。目をうっすら映し出した物は、不思議な光景だった。
(う〜ん……ここは……どこだ?俺は確か……そうだ、ブギーマンと戦って、橋から落ちて道連れにしようとしたんだよな、それにしても、このくまさんのパンツが丸見えの女の子は誰だ?これは起きた方が良いのか?しばらく見ていたい所だけど、起きた方が良さそうだな……)
俺はワザとらしく声を出して、モゾモゾと動き始めた。それに気付いたアリサは振り向いて顔を覗かせた。
「あっ、気が付きましたか?」
「ここは……それと、君は?誰?」
「はじめまして、わたしはエルフ族のアリサと言います、ここはわたし達の秘密基地です、安心して下さい、敵ではないですから!」
「そうなんだ、俺はリュウジ、エルフって言うと……ネフェリアちゃんと同じハイエルフなのかな?」
俺は上半身を起こしてアリサと話し始めた。ネフェリアの名前を出した途端アリサという女の子はグイグイ質問をして来た。
「やはりあなたはネフェリア様を知ってるのね!?ネフェリア様とはどんな関係なの!?」
「どんな関係って言われても……、1度クエストでモンスターを一緒に戦った仲って言えば良いかな?」
「そうなんですね、うーんと、リュウジくんと呼べば良いのかな?」
「うん、良いよ?それより、助けてくれてありがとう、正直もうダメかと思ってたからさ───」
俺が辺りをキョロキョロしていると、丸太に顔を書いた物がテーブルに置かれており、その変な物に声を掛けられた。
「キミは、冒険者なのかい?」
「えぇ!?なにこの……ああ、はい、冒険者です」
アリサは青筋を立てながら物陰に隠れている子に声をかけた。
「アオイちゃん?引いてるから、この人引いてるから!出て来ても大丈夫だよ?」
物陰からベレー帽を被っているエルフの少女が現れ、その女の子は明らかに緊張している様子だ。
「すっすいません!テンパっちゃって、そのテーブルにあるのは『だいじょうぶマイフレンド君1号』です!わたしは決してあやっ、あやっ……あやとり大好きあや太郎ぉぉぉぉ!!」
アオイと呼ばれた女の子は緊張のあまりに大声を出した。
「うぉぉ!?どうした!?落ち着いて!?大丈夫だから!何もしないから!ね!?あいてて……あれ?痛覚が……」
俺は大声を出した途端包帯を巻かれた肩に激痛が走り、肩を抑えた。
なんかアオイって子、初めて会った頃のゆんゆん見たいなエルフだなぁ……
アリサはアオイを宥めるかのように頭を撫で始め、アオイは落ち着きを取り戻した。
「よしよし、大丈夫大丈夫、この人はネフェリア様の知り合い見たいだから、安心して?悪い人じゃなさそうだよ?」
「あっすいません!大声を出しちゃって……」
「それでリュウジくん、どうして川から流れて来たの?」
「えーっと、それは───」
「もしかして人間の男の人は川からどんぶらこと流れる習性があるのですか!?」
「違う違う、そんなんじゃないから!」
「アオイちゃんは少し大人しくしてて!?」
俺とエルフの少女達と話していると、ドアが開いてさらにエルフの女の子が増えた。その中にはネフェリアが混じっていた。
「おいっす〜☆、リュウジくん、おはようございます!」
「ネフェリアちゃん、久しぶりだね…その子は?」
「はじめまして、わたしくはコッコロと言います、リュウジさまの体に重症の上に呪いがかかっていたので解呪させてもらいました」
コッコロはペコりと俺にお辞儀をした。俺はブギーマンとの戦いの時に自分に掛けた【痛覚をなくす呪い】が解呪されているのに気が付いた。
「なるほど、だから痛みを感じるのか……」
「まだまだ治療が必要なので、あまり動かないで下さいまし」
「あっはい、ご迷惑をおかけします、そう言えば俺の鎧……」
俺は顔をぺたぺた触り、鎧や顔を隠していた頭巾を外しているのに気が付き、辺りを探し始めた。ネフェリアは外の物干し竿を指を指した。
「リュウジくんの装備なら洗濯して乾かしてますよ?頭巾も乾かしてるので安心して下さい☆」
「そっか、ありがとう、ネフェリアちゃん」
「えへへ、ご飯食べれますか?」
「うん、少しなら食べれそうってか、この両腕じゃ食べれないけど」
俺は両腕と左足に添え木で固定され、包帯を巻かれている状態で寝かせられている状況でとても1人では食事が出来る状態では無かった。その上熱もあり、どこからどう見てもボロボロってやつだった。
「そう言えば……このパジャマは誰が着せてくれたの?」
リュウジは下半身を見ると、ツギハギだらけのハーフパンツに着替えているのに気が付いた。すると、顔を赤くしてモジモジしているアリサが答えた。
「えっえっとね、着替えはわたしがした……/////」
「あー、ごめんね?傷だらけの体触らせちゃってあはは……」
「えっ!?あっ、その、大丈夫……/////」
えっ、何この子、可愛いんだけど……
それを見ていたネフェリアがパンと手を叩いて声を上げる。
「それじゃ、リュウジくんも目を覚ました所ですし、ちょっと遅めのお昼ご飯にしましょ〜☆」
「そうですね、そうしましょう」
「わたしもお手伝いしますね!」
「あっ、リュウジくんは休んでてね?」
「あっはい、アリサちゃん、何も出来ずすんません……」
エルフの少女達はパタパタと台所に向かい、アリサに促され俺は1人でポツンとしていた。俺は再び横になり、見慣れない天井を見上げていた。
(ふぅ〜、これじゃテレポートも唱えられないな、今すぐにアクセルの街に戻りたい所だけど……この状態じゃ戻る事が出来ても皆に心配掛けるだけだな……はぁ、マリューやクリス、怒ってるだろうなぁ……)
そう考えていると、コッコロが近付いて来た。何か用があるのだろうか?
「コッコロちゃん、どうしたの?」
「いえ、治療の続きをと思いまして、せめて歩けるようになればと」
「申し訳ないです、腕が治ったら『ヒール』を教えてくれるかな?」
「はい、構いませんよ」
コッコロちゃんは俺の片足にヒールを手を当ててヒールを唱え始めた、徐々に痛みが引いて行き、ミシミシと骨がくっ付く様な感覚があった。
おお、成長痛の様な痛みがするな
数分後、足の痛みも取れて添え木を外して見ると、見事にくっ付いており、熱も引き、傷口も傷跡は残ったが傷口はふさがっていた。コッコロちゃんは魔力がギリギリなのか、少し息を切らしていた。
「はぁ、はぁ、申し訳ごさいません、わたくしの魔力ではここまでが限界でございます……」
「大丈夫だよ、歩けるようになれるだけでも有難いから、コッコロちゃんは小さいのにしっかりしてるんだね」
「いえ、プリーストである務めですから」
ホントにしっかりしてるなぁ……見た目は10歳くらいなのに、どこぞの女神とは大違いだわ
「熱も引いたし、うん、なんとか歩けそうだ」
「なら良かったです」
俺はソファーから体を起こして立ち上がり、足をクイクイと動かして見て異常はないかチェックしていると、お粥を持って来たネフェリア達が戻って来た。
「はーい、アツアツのお粥が出来ましたよ〜☆」
「何から何まですんません……」
「いえいえ、さっ、食べましょ〜!」
俺はソファーに座り、ネフェリアに介護されるようにアーンをしてもらう事になった。ネフェリアはスプーンでお粥をすくい、俺の口に運んで来た。
「はい、リュウジくん、アーン」
「あ〜ん──」
ジュ!
俺の口が高熱で満たされていった。だが、吐き出す事は出来ない為、我慢した。
「ん゛ん゛っ!!」
「あっ!熱かったですか!?フーフー」
めちゃくちゃあづい……、けど、めちゃくちゃ美味い
ネフェリアは掬ったお粥をフーフーしながら再び俺の口に運んで来た。
「どうですか?美味しいですか?」
「めひゃめひゃおいひい」
「良かった〜、あと”3日”は安静にしてないといけませんからね?」
「3日!?マジで!?」
そんな呑気にしてられねぇ、早くアクセルの街に帰らねぇと……
焦りを見せるとアリサやアオイが首を傾げていた。
「リュウジくん、何か急いでるの?」
「何か事情があるんですか?」
「うっうん……仲間が心配してるからさ……」
「あの、リュウジさま?何故川から流れて来たのか聞いても宜しいですか?」
コッコロが、俺の身に何が起こったのか、尋ねて来た。
そりゃそうだ、滅多に人が川から流れてくるなんてないからな。
「そうだよね、救って貰ったんだし、話さないとね、実は───」
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俺はブギーマンとの戦闘をネフェリア達に話した。どうやらネフェリア達も王都の大騒ぎを耳にしていたらしい。だが、俺は金獅子である事は伏せて置いた。
しかし、道連れにしたブギーマンはどこ行ったのだろうか、あるいは逃げたか?
「なるほど、そのような事があったんですね」
「ブギーマン、危険な悪魔だね」
「魔王軍幹部候補、侮れませんね」
「うん、だからゆっくりしていられ───」
5人で昼食を食べながら話しているとリュウジは何かの気配を感じ取ったのか、窓の方をバッ!と向いて立ち上がった。
「外に何かいる……」
「えぇ!?まさか、”奴ら”がここまで来たのかな!?」
「そんな!」
「わたしちょっと窓から覗いて見ますね!」
アオイはコソコソと窓際に隠れながら様子を伺い出した。俺は首を傾げていた。
奴ら?奴らってなんだ?
「ネフェリアちゃん、奴らって?」
「実はですね、この辺りにゴブリンが攻め込んで来まして……」
ネフェリアが説明すると、コッコロやアオイ、アリサが顔色を歪めていた。どうやら訳ありの様だ。
「アオイちゃん、どう?」
「えーっとですね、ゴブリンが5匹いますね…あっ!1匹こちらに来ます!どどどどうしましょう!?」
オロオロし始めるアオイをコッコロが落ち着かせていた。
今全員見つかる訳には行かないな。仕方ない、アレを使うか。
「みんな、コッチに来て俺の近くに来てくれ!」
「え?どうしたの?リュウジくん!?」
「どうしたのですか?」
「なっ何をするのですか!?」
「そろそろコッチ来ちゃう!」
「しっー、静かにしててね!……『潜伏』!!」
俺はそのまま4人の女の子達を覆うように添え木を外して両手を4人に触れるようにして潜伏を発動させ、身を隠した。すると、秘密基地の窓を外から覗くゴブリンがいた。しばらく覗いた後に、ゴブリンは5人に気付く事無く、立ち去って行った。気配が遠くなったのを確認した俺は潜伏を解除した。
「どうやら行った様だね、いてて」
俺は無理が祟って座り込んだ、慌ててネフェリアとコッコロが駆け寄って来る。
「リュウジくん、無理しちゃダメですよ?」
「リュウジさま、両腕の治療は明日にしましょう」
「はい、すんません……」
「リュウジさん、今のは?」
アオイは何のスキルなのか分からなかったらしく、不思議がって俺に尋ねて来た。見た所アオイはネフェリアと同じアーチャーの様だ。
「今のは盗賊スキルの潜伏って言うんだ、俺のクラスは冒険者でね、スキルを教えて貰えれば使えれるようになるんだ」
「凄いですね!最弱職って言われてるのにこんな便利な使い方があったなんて!ぜぜせひぃ、わわわわわたしと、とととととと友だちになって下さい!」
アオイは緊張しながら見つめてくる。
「俺で良ければ友達になるよ?、ねぇ?アオイちゃん、今度アクセルの街においでよ、アオイちゃんとめちゃくちゃ気が合いそうな女の子紹介してあげるからさ」
「ホントですか!?行きます!絶対行きます!」
なんだろう興奮し始めるアオイちゃんを見つめていると、ゆんゆんと被って見えてくる……。確実に仲良くなれるだろうな。とにかく、アクセルの街に帰るのは腕を治してからにしょう。
「よし、気を取り直して、昼食を続けよう!」
「そうですね☆そうしましょう!はい、リュウジくん、アーン」
「あ〜ん」
「ゴブリンが来なければ良いんですけどね」
「やめてよコッコロちゃん!」
「友達……わたしに友達……」
個性豊かなエルフの女の子達に囲まれながら俺は昼食に戻った。
プリコネのコッコロちゃんとアオイちゃん、シャドウバースのアリサちゃんをクロスオーバーさせました。理由はエルフ繋がりだからと、アリサちゃんはプリコネのゲームで推しキャラの1人なので採用しました!