偶然ってすげぇ……。ちなみに10月6日にこの回を描き始めてました。
リーンの一言で涙目になる俺をゆさゆさとリーンは揺さぶりながら金獅子の捜索を手伝って欲しいと祈願して来る。
「お願いよ!ねっ!?それでチャラだから!」
「うっう……どうしよ……」
(どうしよう、マジでどうしよう……金獅子は俺なんだけど!?でもネフェリア達も助けなきゃ無いし、えぇい!、こうなったら!)
「分かった!分かったから!」
「え!ホント!なら今から帰って──」
「今すぐ会わせてあげるよ」
そう言うとリーンはピタッと止まった。
「え?今、なんて言ったの?」
「今すぐ会わせてあげるよ、その代わり──」
「ちょっと待って!?この近くに金獅子さんがいるの!?」
興奮しながらリーンは辺りをキョロキョロと見渡している。
リーンちゃんなら、きっと正体をバラしても問題ないだろうな。
俺はリュックを持って林の中に向かう。
「ちょっとそこで待っててくれる?」
「え?どこ行くの?」
「金獅子に会いたいんでしょ?今呼んでくるから」
「うっうん、分かった」
数分後、焚き火をしながらリーンが待っていると、着替え終わったリュウジこと、金獅子がリーンの前に現れた。
「待たせたな」
「あっ!金獅子さん!?あっその、こんなカッコでごめんなさい!」
リーンは見るやいなや途端に髪や服装を整え始めた。恥ずかしいのかリーンは目を逸らしてモジモジし始める。
可愛いかよ
「貴殿の願いを叶えてやったぞ?」
「あっはい!ありがとうございます!あの、金獅子さん、リュウジは?」
「鋼のリュウジもここに居る」
「え?どこですか?リュウジー?どこー?」
リーンが俺の名前を呼ぶ、それと同時に俺は頭巾を外し、顔をリーンに向けた。
「ここだよ、リーンちゃん」
「え?……どうしてあたしの名前を……?」
焚き火の灯りで照らさた金獅子の素顔を目の当たりにしたリーンは驚きを隠せず、理解が追い付かない状態になった。
「俺が……金獅子だよ」
「えっ待って?声も目の色も違うのに!?」
「これは瞳の色を変える目薬を使ってるからね、声も魔法で変えてる」
「それじゃ……あの時助けてくれたのも」
「うん、夜の治安を守る為にパトロールをしてた時に君に出くわしたって事、ごめんね、今まで嘘ついちゃってて」
「リュウジが金獅子?……あっ……そう言えばあたし!!本人の前でとんでもない事口走っちゃった!!」
リーンは顔を両手で覆い隠し、耳まで真っ赤にしながらうずくまった。そりゃそうだ、本人の目の前で一目惚れしたって言ってたのだから。
「ああぁ……恥ずかしい〜!」
「あのさ、お互い無かった事にしない?俺も聞かなかった事にするからさ?ね?だからリーンちゃんも金獅子の正体が俺だと秘密にして欲しいんだけど……聞いちゃいないか」
「聞いてる!聞いてるから!うん、そうしよ!ね!?」
「おっおう、聞いてたら良かった」
2人はそのまま焚き火の前に座った。座るや否やリーンからの質問攻めが始まった。
「ねぇ?なんで顔隠してるの?」
「うーん、変な事言うけど、大切な仲間達から危険から遠ざける為って言えば良いかな?」
「なるほどねぇ、全然変じゃないよ?凄いことじゃん!」
「怒ってないの?憧れた男が俺なんかでさ?」
リーンはクスクス笑って体育座りしながら俺を見つめた。
「怒ってないよ?なんていうか、安心したかな?」
「安心?なんで!?普通なら「あんたかよ!」ってなるじゃん?」
「うーん、助けてくれたのがリュウジで良かったって思った!最初ダストなんじゃないかなって思ったりもしたしね。それで?金獅子の正体を知ってるのは他にも誰かいるの?」
「えーっと、マリューとリーンちゃ──」
リーンは急に俺の口元に手を当てて来た。
「はいストップ、「ちゃん」付けはもうやめて」
「ふぇ?なんで?」
「あんたにちゃん付けで呼ばれるとなんか違和感あるのよ、これからはあたしの事は呼び捨てで良いわよ?」
「はぁ、では改めて言うけど、金獅子の正体を知ってるのはマリューとリーンだけだよ?今の所」
「そうなの?クリスは知らないの?この前王都で大騒ぎしたって新聞に書いてたけど?、それにあんた、今じゃお尋ね者よ?懸賞金4億エリスだったは──」
「え待って!はぁ!?俺懸賞金掛けられてんの!?」
結果オーライになったかと思ってたのに!!
俺はズーンとうなだれ始める。
「マジかよ……ヒーローになったかと思ったらダークヒーローになっちゃったよ〜」
「まぁシュナイダーさんに相談すればなんとかなるんじゃない?あの人貴族だし?王族の御庭番衆って言ってたから」
「そうかなぁ、アクセルに戻ったら相談してみるわぁ」
すると、急にリーンは立ち上がって帰り支度を始めた。
急にどうした?何?正体知ったから用済み!?
「どうしたの?」
「どうしたの?じゃないわよ!今アクセルの街は大変なのよ!?ほら、帰るわよ!?」
「えぇー!いや、待って!?俺も色々やらなきゃ行けない事があるんだけど!?」
「何言ってんのよ!あんたを連れて帰る為にあたしここまで来たんだからね!?この辺ゴブリンが沢山いるんだから逃げなきゃ!」
そう言うとリーンは俺の腕をグイグイ引っ張る。
何この子、すっごい力!!確かに帰りたいのは山々だけど、ネフェリア達を助けなきゃ!
「待ってくれリーン!話を聞いてくれ!」
「何よ!!」
「エルフの人達を助けたいんだ!」
パッとリーンは俺の手を話し、真顔で聞き返して来た。
「あんた、今なんて言ったの?」
「エルフの森の人達を助けたい!俺の命の恩人なんだ!放って置けない!」
「えぇ!?本気で言ってんの!?そこら中にゴブリンがわんさか居るんだよ!?」
「そんなの分かってる、現にここまで1人でゴブリンの軍勢を倒して来たからね」
「ウィズさんのお店の店員も言ってたんだけど、エルフの森で何があったの?」
「エルフの森に魔王軍幹部候補の1人がゴブリンの軍勢を引き連れて攻め落とそうとしているんだ、その命の恩人達が乗り込んで行ってる、だからその子らを助けに行きたいんだ!」
「魔王軍が攻めてきてるの!?あたしら2人じゃ厳しいわよぉ!?」
「リーンはこのままアクセルの街に帰ってもらっても構わない、もしリーンの身に何かあったらダストやキース達に申し訳ないし」
「リュウジ……」
リーンは困った顔をして悩み始める。
ゴブリンも大勢で仕掛けて来るとかなり厄介だし、リーンを守りながら戦う自信がない、ここはアクセルの街に帰って貰おう。
「これ以上リーンに迷惑掛けられない、俺の『テレポート』で──」
「待ってリュウジ!」
「え?何!?」
リーンの口から思い描けない言葉が放たれた。
「あたしも手伝うわ!」
「え!?ダメだ!リーンまで危険な目に合わせる訳には──」
「確かにあたしじゃ役不足かも知れないけど、ゴブリンくらいならあたしにだって倒せるわよ!リュウジは魔王軍幹部候補って奴を倒して、あたしは手下のゴブリンを片付けるから!”特訓”の成果を見せてあげるわよ!」
「だけどリーン、相手は数で攻めて来る──」
「大丈夫、少しはあたしを信用しなさいよ!あたしら、もう”親友”なんだからさ」
リーンの満面な笑顔を見た俺は思わず胸をドキッとさせてしまった。
親友か…相棒とは違ってなんか落ち着く言葉だな。リーンも冒険者だ、リーンを信じて背中を預けよう!。
「分かった、んじゃ俺に中級魔法教えて貰って良い?雷系とか」
「お易い御用よ、そうそう言い忘れてた事があるんだけど?」
冒険者カードを取り出して習得する準備をしながら俺はリーンの言葉に空返事をした。
「え?何───」
リーンに振り向いた瞬間、俺の頬っぺたに柔らかいモノが当たった。
「!!!!!!!」
「あの時助けてくれてありがとう、金獅子さん♪」
「ななななななな!?」
「何驚いてんのよ、ダスト達には内緒だからね?あくまでもただのお礼だから!ほら、『ライトニング』を教えるから!準備してよ!」
「はっ、はい……」
顔を真っ赤にしながら俺は冒険者カードを取り出し、リーンから中級魔法を教わり、『ライトニング』を会得した。リーンは再び荷物を下ろし、地面にシーツを敷いて横になった。
「よし、んじゃ交代で休もうか!」
「ならリーン、先に休んでいいよ?」
「え?良いの?リュウジ疲れてるでしょ?」
頬っぺにチューされたら悶々して寝れねぇよ!!
「まだ俺は眠くないから大丈夫だからお先にどーぞ」
「そう?んじゃ、おやすみ〜♪襲わないでよ?」
「だっ誰が襲うかっ!」
「あはは!なんてね♪」
リーンは毛布に埋もれながら顔を隠した。その時リーンはおもむろに自分の唇に手を触れ、ニコッと笑いながら眠りに付いた。俺はリーンが眠りに付いたのを確認し、焚き火に枝を放り込み、体育座りで夜空を眺めていた。
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同時刻、とある高級ホテルの一室に場所は変わり、ソファーに座る2人の姿があった。1人は白い服を身に纏い、目元にホクロがあって黒髪の女性ともう1人はシックなスーツに身を包んだ老紳士が座っていた。老紳士の脇にはハンマーが置かれており、青く光り輝いていた。老紳士は黒髪の女性に声を掛ける。
「まさかこのホテルに来て頂けるとは思って居ませんでしたよ、これも諜報隊長ある”ラグクラフト”さんのおかげです、セレスディナさん」
「魔王軍幹部候補の1人であるあんたがエルロードでホテルを経営してるって聞いたからな、どうだ?景気の方は?ダニエルさんよぉ?」
キセルに火をつけて吸い始める黒髪の女性を後目にダニエルと呼ばれる老紳士は答えた。
「えぇ、順調ですよ?ここは悪徳貴族の御用達でもあり、殺し屋家業の悪魔達も利用なさってるのでね?ここにアイリス王女の様な女の子が泊まってくれたら満足なのですがね?」
「相変わらずロリコンかよ、気持ち悪ぃな!だから正式に魔王軍幹部になれねぇんだよ!小さい頃の魔王様の娘さんを舐め回す様に見てるのをバレて昇格を見送られたクセに!」
「ロリは正義なのですよ!?」
「正義じゃねぇよ、どストレートの悪だわ!あんたもそう思うだろ?ウィックさんよぉ?」
セレスディナと呼ばれる女がソファーから後ろを振り向くと壁に寄りかかりながら話しを聞いているブギーマンの姿があった。ブギーマンは無言で顔を逸らした。
「俺には関係ない」
「おいおい、目上のあたしにそんな口聞くなよ?残機減らしてノコノコ帰って来やがって、あんた程の実力者、誰に殺られたんだい?」
「…………奴は……人間ではない」
ウイスキーを飲みながら話しを聞いていたダニエルがコップを置いてブギーマンに尋ねた。
「人間ではない?どういう事ですか?」
「言葉通りだ、見た目と中身は人間の成りをしてるが、”奴”は人間の皮を被った化け物だ」
「答えになってねぇよ、まさか、悪魔って言いたいのか?」
「悪魔だなんてそんな可愛いものでは無い」
「ほう?まさか魔王様って言いたいのか?」
「その通りだ」
ブギーマンの言葉にセレスディナとダニエルはピクッと反応し、ブギーマンに言い返した。
「おいおい、やられて頭がおかしくなったんじゃねぇか?この世界には魔王様は1人しかいねぇんだぜ?」
「まさか、アクセルの街に強力な助っ人がいると言う噂がありましたがそのお方が?」
「ああ、確実に奴の事だろう」
「へぇ、助っ人ねぇ?城の預言者の話では『サトウカズマ』って奴が現れてから勇者候補がパッタリ無くなったかと聞いていたが…影でそんな奴が現れてたなんてねぇ、幹部のベルディアもバニルも殺られた見たいだし、”新しい人材”を探さねぇとな?」
セレスディナがそう言いながらキセルの火種を消してソファーから立ち上がり、帰り支度を始めながら話しを続ける。
「あたしは1度城に戻って今後の事を魔王様に相談して見るよ、それで?その肝心の助っ人さんってのは何処にいるんだ?」
「エルフの森に向かっているとチャーリーの伝令が言っていた」
「チャーリー?あいつ1人で大丈夫か?」
ダニエルがクスクスと不気味にハンマーを擦りながら笑いながらセレスディナの質問に答えた。
「ええ、エルフの森の侵略の計画に問題ありません、彼には闇ルートで手に入れた魔道具を持たせてありますし、彼には兵力がありますからね、紅魔の里を担当しているシルビアさんにも結界破りの魔道具を送って置きました」
「そうかい、ハンスの方は大丈夫か?アルカンレティアはアクシズ教の総本山だって聞いてるけど?」
「彼の”能力”なら魔道具は必要ないですからね、大丈夫でしょう」
「なら問題ないな、んじゃ、あたしは城に帰るわ」
「わざわざお越し頂きありがとうございました」
「おう、んじゃな?”ラグクラフト”によろしく」
セレスディナは部屋から出て行き、ブギーマンとダニエルは残された。セレスディナが居なくなった途端ダニエルはブギーマンに尋ねる。
「やれやれ、参謀になると偉そうになるものですねぇ…人間の癖に生意気な」
「仕方ないだろ、奴の能力は強力だからな……」
「それで?その鋼のリュウジは一体何者なのですか?」
リュウジの名前を出した途端、ブギーマンは腕組みをしている手にミシミシと力を入れる。
「奴は”別世界の魔王”だ」
「別世界?これは理解し難い事ですね?他にも世界があると?」
「奴がそう名乗ったからな、事実だ……奴と銀髪は必ず俺が殺す」
「そうでなくては困りますよ?あなたに銀髪の盗賊の暗殺を依頼した依頼主のアルダープは大事な資金源なのですからね?」
「分かっている」
「ここはチャーリーさんで様子を見てみましょう」
「………………」
「話しを戻しましょうか、それで?その魔王と名乗った彼のもう1つの名前を教えていたたげませんか?」
そのままブギーマンはダニエルに近付き、ウイスキーをラッパ飲みしながら言い放った。
「貴様は……【72人の魔王】と【七つの大罪】を知っているか?」
「ええ、まぁ…書物での知識程度ですが?」
「奴はその中の1人だ」
「!?」
ダニエルは咄嗟にハンマーをギュッと力を込めて握りしめる。
「まさか、史実ではその魔王達は”ある場所”に封印されたと─」
「だが奴はこの世界にやって来た」
「それで?彼の【もう1つの名前】は?」
「奴の名前は─────」
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「なるほど……このホテルのエースが言うなら事実でしょう、なら近々私も挨拶をしなくてはなりませんねぇ」
「好きにしろ」
「では、ゆっくりして下さい、ブギーマンさん」
そう言い放ち、ダニエルはハンマーを手に取って部屋を後にした。
この愚か者に脚光を!も買おうかなぁ……リーンちゃんの情報がもう少し欲しいなぁ……。
72人の魔王とは、ソロモン72柱の悪魔の事です。