翌朝、太陽が上がる前に俺とリーンはゴブリンが寝静まってるのを確認しながら第2、第3の防衛線を突破した。俺はリーンをおぶりながら王都の大立ち回りを話しながら走り、何とか太陽が登ったと同時にエルフの森にたどり着いた。エルフの森は大樹の中に建物があり、ジブ〇やファンタジーの映画に出てきそうな作りをしていた。リーンはおぶられながらも尻尾をフリフリしながら森を見上げていた。
「うわ〜おっきい木だねぇ〜」
「なぁ?そろそろ降りてくれる?見つかるから」
「あっ!ごめんね!リュック片手に良くここまで来れたね!?」
「『潜伏』使ったり『ライトオブリフレクション』使ったりしたからね、それにゴブリン達も寝てたしな?」
「カズマ見たいに便利なスキル使うねぇ、よっと──」
俺はリーンとリュックを降ろし、茂みの中からエルフの森の様子を伺った。町の中は武装したゴブリン達があちこちうろついて厳重な警備だった。ネフェリア達を探してみたが見当たらなかった。
おそらく捕まってるんだろうな、王女を殺す程ゴブリン達は馬鹿じゃない。
「なぁ、リーン?捕虜を捕まえるとしたら、リーンならどこに連れて行く?」
「うーん、どうかなぁ〜?地下じゃない?」
「だよな?個室に連れて行く訳ないよなぁ?」
「うん、この広さを探すとなるとねぇ……」
「うーん……」
某ステルスゲームの様には行かない、ゲームはやり直しは効くがこれは現実、失敗は許されない……。
「慎重に探して行こう」
「うん、見つからない様に気を付け──」
「あっ」
「「あっ……」」
コソコソ茂みから出た途端、ゴブリンと目がバッチリ合ってしまった。
「侵入者だぁぁぁぁぁぁ!!」
「「えぇぇぇぇ!?」」
俺とリーンを見付けた途端ゴブリンは大騒ぎし始めた。
「侵入者だぁ!侵入者が出たぞぉぉぉぉ!」
「コイツうるせぇ!敵が集まって来るだろうが!黙れお前!」
「ちょっとちょっと!いきなり見付かったんですけど!?」
俺は慌ててゴブリンの頭をヘッドロックしながら茂みの中に戻って行き、作戦を練り直した。
「モガモガ!!」
「うるせって言ってんだろ!」
「ちょっと早く黙らせてよ!」
「侵入者!侵入者!」
「このっこのっ!」
ドスドスとゴブリンの腹を殴ってゴブリンを気絶させた。
おそらく騒ぎを聞き付けてここにやって来るだろう。そしてリーンは涙目になりながら俺の頭をガンガン殴って来る。
「のっけから見つかってんじゃないのよ!!あんた王都でもこんなヘマしたんでしょ!?」
「違う違う!あの時は他にも仲間が居てな!?」
「何が金獅子よ!あたしのイメージ総崩れじゃない!」
「ちょ、それは言い過ぎじゃないかな!?」
「それよりどうすんのよ!?」
マジでどうしよう……。
「こうなったら……リーン、俺が囮になるからその隙に!!」
「あたし1人でこの広さを探せって言うの!?」
「えっダメ!?」
「ダメに決まってるでしょ!?何考えてんの!?」
あっアレ!?こいう場合ってどっちかが囮になって騒ぎを起こしてその隙に助けるってパターンじゃないの!?
「だって見付かったちゃったし!?」
「このまま移動すればいいでしょ?そうすればゴブリン達はここに集中するからどこかは手薄になるはずでしょ!?」
「あっなるほど」
「バカなの!?」
リーンのアドバイスを聞き入れ、俺達は気絶させたゴブリンを隠して移動した。案の定そこに他のゴブリン達が集まって来て、辺りを捜索し始めた。
そんなに遠くに行ってねぇ筈だ!
辺りをくまなく探せ!
”大樹の城の地下牢”には近付けるなぁ!
ガッツリ聞こえた、ネフェリア達は大樹の城って所にいる!
「リーン、聞こえた!?」
「バッチリ聞こえた!大樹の城だって!」
「その城はどこだろう、きっと豪勢で大っきい大樹だろうから〜」
物陰に隠れながらゴブリンの話しを盗み聞きをして、辺りを『千里眼』を駆使して見渡した。町の奥にとても大きく年季の入った大樹の建物がそびえ立ってるのが見えた。
おそらくあそこが大樹の城だろう。
「リーン、あそこ見えるか?」
「ん?ん〜ちょっと見えにくいけど、見えるよ?」
「多分、あそこが城っぽい」
城の見張りは3匹のゴブリンで固められていた。
「見張りは3匹だけだな」
「そう見たいね、どうする?あたしが魔法で倒そうか?」
「いや、ここは素手で倒すよ、リーンは極力魔力を節約してて」
「うん、分かった」
この程度なら何とかなるだろう。俺は『ライトオブリフレクション』を使い、3匹のゴブリンに襲いかかった。
ドスッ!バキッ!ゴンッ!
そのままゴブリンの死体を茂みに隠し、城の中に潜入した。城の中の作りは単純で中央に螺旋階段があり、上と下に繋がっていた。下に行けばおそらく地下牢に繋がっているだろう。
「リーン、おそらく下だ!」
「そうだろうね、行こっ!」
「『敵感知』!……地下には2匹ってとこだな、上に強い反応がある、多分チャーリーってのが玉座の間にいる様だな」
俺とリーンはゆっくりと階段を降りて行くと、大樹の根が剥き出し状態の地下にたどり着いた。奥はとても広く、ダンジョンの様な作りになっていた。『敵感知』と『千里眼の暗視』スキルを発動させ、奥に進んで行くとあちこちに牢屋があり、その中にはエルフの兵士が捕まっていた。兵士達は俺達に気付くと俺は「しーっ」と言うポーズをしてエルフの兵士に声を掛けた。
「助けに来ました、ペコ…いえ、ネフェリア王女はどこですか!?」
「貴方様は…!?」
「以前王女に助けられた者です」
「そうでしたか、どなたか存じませんが、国王と女王は玉座の間に連れて行かれました、奥には最近捕まった娘達と王女がおります」
「わかりました、見張りを倒して来ますのでもう少し待ってて下さい」
「かたじけない!せめてお名前を……」
金獅子の姿でやって来た俺は兵士に答えた。
「金獅子…と今は名乗って置きます」
「金獅子……承知しました!」
「リーン、階段を見張っててくれるか?」
「うん、分かった!」
俺はリーンと別れそのまま奥に進むと、ゴブリン2匹が誰かと話しをしているのが見えた。
少し様子を見よう
「バカな王女だ、たった4人で制圧した森におめおめと戻って来るとは」
「チャーリー様は能力こそないが兵力では魔王軍幹部ではトップクラス、貴様らが勝てる相手じゃなかったんだよ!ぐへへへへ」
「わたしは王女です、民を、兵士を、見捨てたりなんかしませんっ!」
「ネフェリアさまに無礼はゆるしません」
「そうよ!私達は気高いエルフ!逃げたりなんかしないんだからっ!」
「そーだ!そーだ!」
「減らず口をっ!」
どうやらあそこにネフェリア達がいる様だな。
俺はそのまま『ライトオブリフレクション』を使い、ゴブリン達に近付いて行き、奇襲をかけた。
「おい」
「なっ!?貴様どこから──」
ドスッ!
「なっ!?いつの間に──」
バキッ!
右ストレートと回し蹴りで見張りのゴブリンを無力化した俺はネフェリアと再会した。
「まったく、晩御飯の準備大食いのお前の支度なんて1人で出来ねぇよ……待たせたな」
「リュウジくん!?」
「リュウジさま!?」
「リュウジくん、助けに来てくれるって信じてたよ!」
「ごめんなさい!リュウジさん!」
見張りのゴブリンの懐から合鍵を見付けて、俺は牢屋の鍵を開けると、コッコロ、アオイ、アリサが牢屋から出て来た。
「アリサちゃん、アオイちゃん、この鍵使って兵士達を解放してあげて!」
「分かった!」
「分かりました!」
「さっネフェリアさま、お早く!ここはわたくし達の城ですが、今は敵地でございます」
「えへへ……、そうですね、せっかく出れたのにまた捕まったら台無しです、けどごめんなさい、安心したら、腰が抜けちゃいました」
王女といっても女の子、流石のネフェリアでも怖かっただろうな。
「んもう、仕方の無いお姫さまですね」
「はい、本当にありがとう、リュウジくん……今回は本当にもうダメかと思いました。えへへ……本当にやばい時は「やばいですね」が言えないんですね──」
俺はネフェリアを優しく抱き寄せた。
「ふゃあふ!?ビックリしたぁ!急に抱きしめちゃダメですよぉ──」
「遅くなってごめんな、本当は鋼のリュウジとして来たかったけど、色々訳アリでこの姿で来ちゃった、あとそれから、もうあんな手紙書くんじゃねぇぞ?心配しただろうが」
ネフェリアの目からポロポロと涙が浮かんで来る。
「わたし…平穏な生活を奪われて、途方に暮れてた時にあなたとクリスちゃんに出会って別れて……そしたらまたあなたに会えた。ペコリーヌってあだ名を付けてもらって楽しかった。そんなあなたを傷付けたくなくて……けれどあなたはまたわたしを助けに来てくれました。ありがとう、ありがとうございます、リュウジくん!そんなあなたが大好きです☆……そう思っても良いですか……?」
おおぅ…そんなストレートに言われるとドキッとするわぁ
平然を装いながらネフェリアの頭をポンポンと撫でた。
「大丈夫大丈夫、気にすんな?俺らはもう友達、いや、仲間だろ?」
俺はそのままネフェリアの涙を拭う為、顔に触れた。
「うひゃっ!?急になんですか?……リュウジくん?そんなに顔を近付けて……キスですか?キスしちゃうんですか?確かに、囚われのお姫様を助けた王子様又は勇者様には当然、その権利がありますけど」
「ちっちがっっ!!そんなつもりじゃっ!!」
つーか、俺……王子様や勇者様じゃなくて元魔王様なんだけどね
コッコロが堪らず、ネフェリアに声を掛ける。
「落ち着いてくださいまし、ネフェリアさま、リュウジさまは涙を拭いたいだけの様ですよ?」
「わわっ!?恥ずかしっ!!わたし、泣いちゃってますね」
「こっちも恥ずかしいわっ!まったく…」
「そうですね、変な誤解をしたわたしが馬鹿でした」
「ふふ、どうしてもキスがしたいのでしたら、ここはわたくし、空気を読んで後ろを向いてますので。その間に済ませて下さいまし」
そう言うとコッコロはプイッと後ろを向き、俺とネフェリアは目を合わせた。
「どうしますか……?しちゃいますか?」
「いっいやぁ……参ったな……」
正直めちゃくちゃしてぇ…けど、ここでしたら何かを失ってしまうような気がする…。あぁぁぁぁドキドキが止まらないよぉぉぉぉ!!!!
「なっなぁ、ネフェリア?キスの変わりに…今度は俺の秘密を教えてあげるよ、その時のまでとっとくわ」
「リュウジくんの秘密をですか!?わー!楽しみですね☆なら、その時に、キスするかしないか決めましょう!」
よしっ!よく耐えた!よく頑張ったよ俺!
「キスしないのですね、ならここから脱出致しましょう」
「よしっ、兵士の人達も外でゴブリン達と戦い始めたな……」
「リュウジくん、父上と母上を助けてくれますか?」
「勿論、キッチリ助ける!」
捕らえられた兵士達を全て解放すると、ネフェリアはキリッと顔をして兵士達に指示を出し、リーンと合流する事が出来た。
「あっリュウジ来た!?外でゴブリン達が──」
リーンがワンズを構えながら俺に声を掛けてくると、唖然とした顔をして見ていた。
「おや?この人は初めて伺いますね?はじめまして☆」
「はじめまして、わたくしの名前はコッコロと申します」
「わたしは……ペコリーヌと言います!」
「あっはい!はじめまして!リーンと言います、リュウジちょっと!」
「はいはい」
俺はリーンに引っ張られ、隅でコソコソ話し出した。
「ちょっとちょっと!助けたい人ってあの子達!?」
「うん、あの子達、紛れもない命の恩人だよ?」
「あのおっぱい大きい方の子、大丈夫なの?王族だったりしない?」
「ええっと……」
チラッとネフェリアの顔を伺うとネフェリアは「しーっ」と言うポーズをして来た。
はい黙ってろという合図ですね、分かります。
「うっうん、大丈夫大丈夫」
「ならいいんだけど……」
「なら次は玉座の間に行って、親玉を叩き潰す!」
「怖いけど行きましょ!」
「がんばりましょう〜☆」
俺はネフェリア達を引き連れて、玉座の間に向かった。扉を開けるとそこには、小太りで貴族の様な格好をしている男が王様の椅子に座っていた。近くには、エルフの国王と女王と思われる老夫婦がロープで拘束されていた。
「外の騒ぎの原因は貴様らだったか」
「ネフェリア、あいつか?」
「はい!、父上!母上!また助けに来ちゃいました!」
「陛下さま、今お助けします」
「「国王様!」」
「えっちょっと、今国王様って──」
俺は親玉と思われる小太り貴族に声を掛ける。
「このエルフの森を襲ったのはお前だな?」
「ああ、そうだ、私の名前は魔王軍幹部候補が1人、ゴブリンロードのチャーリー!この国は私が貰った。捕らえた王女まで連れて来て、貴様は我が身を犠牲にして来たエルフの娘達を引き連れてたった6人の無能の特攻隊気取りか?」
「ちょっと待って、ねぇ?今王女って言わなかった?」
「ネフェリア達は犠牲になったんじゃねぇ、先陣切ってここに戦いに来ただけだ!」
ネフェリア、コッコロ、アオイ、アリサ、リーンはそれぞれの武器を構えチャーリーに向ける。
「覚悟しろよ……ゴブリンロード……」
「ふんっ、貴様ら特攻隊に何が──」
「俺達が本隊だ!」
「者共!こいつらを殺せ!」
チャーリーの両脇からホブゴブリンが数匹現れると、リーンが前に出て来た。
「コイツらはあたしに任せて!『ブレードオブウィンドウ』!!」
とてつもない風の刃がホブゴブリンを吹き飛ばした。俺自分に支援魔法を掛けながらコッコロ達に指示を出した。
「アオイちゃん、アリサちゃん、コッコロちゃん、国王様を!」
「「「はいっ!」」」
「ゴブリンチャンピオン!この男を叩き潰せ!」
「はいっ!チャーリー様!グオオオオオッ!」
ゴブリンチャンピオンが金棒で俺を叩き潰そうと金棒を振りかざしたが、ネフェリアの剣で防がれた。
「リュウジくんの邪魔はさせませんっ!」
「コイツッ!なんて力だっ!」
俺はその隙に飛び出し、チャーリーに殴り掛かった。
「俺の仲間を……泣かしてんじゃねぇ!!」
ズドーーーン!!
「グハァッ!!」
チャーリーは顔面を殴られ、椅子から転げ落ちた。チャーリーは慌てて黒い箱を抱き抱え、窓から飛び出し、逃げていった。
「大事な部屋を壊されてたまるかっ!」
「待てっ!──ペコリーヌ、リーン、ここは頼んだぞ」
「はいっ!」
「ねぇ、やっぱりこの子王族なんじゃん!ちょっと!──」
俺はリーンの言葉をスルーして、チャーリーを追い掛けた。
このすばの魔王も強化系の能力だったの忘れてたぁー!ユウキとダダかぶりだなぁ、魔王を独自設定で魔王を改造するか……。