※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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リュウジの本来の素性が明らかになります!

元太刀の勇者の方でも後々修正して行こうと思います!後付け設定ですけど……。


49 正義を司る魔王

チャーリーを追い掛けて外に出ると、チャーリーは黒い箱を抱き抱えながら余裕の顔をしていた。

 

「ふんっ、しつこいヤツめっ!!」

「うるせぇ、良くも仲間を傷付けやがったな?」

「グハハハ!この魔道具のおかげで容易く倒す事が出来たわ、貴様も餌食になるがいいっ!」

 

チャーリーは黒い箱を地面に置き、俺に見せ付けて来た。

 

コレが相手の恐れてるモノを呼び出す魔道具。願わくば……出て来ないで欲しい……。

 

「さぁ!いでよ!コイツの恐怖!!」

 

ガチャッ!と宝箱を開けるようにチャーリーは箱を開けると、ドス黒い煙が飛び出して来た。すると、箱の中から見覚えのある右手が出てきた。俺は冷や汗を垂らしながら見つめていた。

 

出るな……出てくるな……!!

 

その願いも虚しく、箱の中から現れたのは……かつての自分だった。そう、俺が最も恐れているものとは、魔王と呼ばれていた頃の自分だった。昔の俺は、俺に声を掛けてきた。俺は腰を抜かしてしまい、ガタガタ震え始めた。

 

『よぉ……久しぶりだな、もう1人の俺』

「……あ……あ……」

『なんだよ、その情けねぇ声は?何自分見てビビってんだ?』

 

チャーリーは怯える俺を見た途端、高笑いをしながら余裕を見せる。

 

「グハハハ!さぁ!これで怖い物なしだっ!死ねぇ!侵入者!」

『……黙れ』

 

もう1人の俺はチャーリーを見て呟いた。

 

「なんだと!?貴様っ!?魔道具から出て来た”幻影”分際で!」

『ゴブリンの分際で俺に命令するな』

 

ズバッ!

 

「ギャァァァァァァ!!」

 

もう1人の俺は魔剣を振りかざし、チャーリーを一刀両断した。すると、手下のゴブリン達がもう1人の俺を囲い始めた。

 

「チャーリー様がっ!?」

「そんなっ!チャーリー様が殺られた!?」

「あの魔道具に殺されたのか!?コイツを生かして帰すなっ!」

 

エルフの兵士達を相手にしていたゴブリン達は、無謀にもう1人の俺に挑んで行った。俺は掠れた声でゴブリン達を止めようとした。

 

「やっやめろぉっ!お前らに勝てる相手じゃ───」

『手遅れだ…『疑似魔法・リベレイション・ダークネスヘルファイア』!!』

 

もう1人の俺は以前の異世界の魔法で”ゴブリンのみ”を狙った。ゴブリン達は黒炎に包まれて行き、消し炭になった。

 

『けっ、ゴブリン如きが俺に勝てる訳ねぇだろうが、そうだろ?ほら、コイツらに言ってやれよ、俺のもう1つの名前をよ?名乗れないなら代わりに言ってやろうか?俺の名は───』

「やめろぉぉぉぉぉ!」

 

言うなっ!それ以上言うなっ!

 

『俺は八つ目の大罪人『正義』であり、72人の魔王が1人!正義を司る魔王リュウジ!!またの名を、アンドロマリウス!!』

 

もう1人の俺こと、アンドロマリウスは魔力を全開に吹き出し、雲行きを悪くさせ、地響きを立てながら邪悪なオーラを纏い、手を広げていた。

 

終わった……もうこの世界もお終いだ……。

 

※以降、過去のリュウジをアンドロマリウスと表記します※

 

────────────────────────

 

アンドロマリウスの魔力は世界中に感知され、無論アクセルの街にも響いていた。ウィズや、バニルも店内でとてつもない反応を見せていた。

 

「なっなんですか!?この魔力はっ!?」

「フハハハハ!ヤツめ、遂に正体を見せたか!」

「バニルさん!この魔力、もしかして!?」

「罪多き鎧の男よ!この窮地をどう対処するのか見ものである!」

 

その頃、冒険者ギルドに集まっていたクーロンズヒュドラを倒したマリューやカズマ達も謎の地響きで驚いていた。

 

「なんだ!なんだ!?ヒュドラはもう倒しただろっ!?」

「この魔力……まさかっ!?」

「なっなによコレ!?とてつもなく嫌な気分なんですけど!?」

「こっこんな魔力……初めてです!それにあの雷雲を出してる人は間違いなく紅魔族のセンスを熟知してます!カズマ!今から行きましょう!」

「馬鹿言え!あんな所に行けるかぁ!」

「みっ見ろ!向こうの山に更に雷雲が集まっているぞ!?」

「なっなんだアレは!?」

 

とりあえず興奮するめぐみんを置いといて、アクアやダクネスやミツルギでさえ、怯えながらエルフの森の方角を見ていた。アンドロマリウスは怯える俺を後目に、辺りを見渡し何かを考えていた。

 

────────────────────────

 

そして、この世界の魔王の城でも魔力が察知されて、この世界の魔王も気付き、手下の魔物達も騒ぎ出した。

 

「なんだ?この魔力は?」

「魔王様、いかが致しましょうか!?」

「エルフの森に偵察隊を送れ、この魔力の持ち主を見つけろ」

「承知致しました!」

 

その場所には、セレスディナもおり、彼女もクスクスと笑いながら話した。

 

「へぇ、ウィックの話も満更間違いじゃなさそうだな……」

 

 

────────────────────────

 

そして、エルフの森に場所に戻り、リーンやネフェリア達は城の窓からリュウジと謎の魔物が対峙しているのを目の当たりにしていた。

 

「えっ……何この全てを否定する様な魔力は!?」

「これは……」

「ええっと、ネフェリア様?リュウジと合流しませんか?」

「あっ、あのわたしの名前はペコ──」

「もう誤魔化なくて良いですよ!?兎に角リュウジの知り合いなんですよね?あたしもその……リュウジの……親友なので」

「そっそうでしたか!んじゃわたしとも友達ですね☆けど、今行ったらリュウジくんの邪魔になりそうなので父上達を避難させてからにしましょう!」

「そうですね、そうしましょう!」

 

リーン達はエルフの森の国王達を避難させる為に、城から脱出した。そして、俺とアンドロマリウスは睨み合いを続けていた。

 

『おっと?─少し目立ち過ぎたか?ギャラリーが邪魔だな……』

「やっやめろ!この人達は!──」

『安心しろ、殺しはしねぇ……』

 

アンドロマリウスは指パッチンをすると、エルフの兵士達が急にバタバタと倒れ始めて行く。俺はそれを見て何をしたのか分からなかった。

 

「おい……何をした!?」

『ちょっと”一部の人達”には眠ってもらっただけだ』

「くっ……どうすれば……」

『さて、これで落ち着いて話が出来るな?』

「一体何をしにここへ来た!?俺はもう世界征服なんて──」

 

アンドロマリウスは淡々と話し始める。

 

『おいおい、勘違いしてんじゃねぇよ、俺達は元々、世界征服なんて次いでに過ぎなかったろ?あの時のお前は、ティーチ達を殺され怒り任せに悪に染った勇者を殺して、悪女神とロキを誘き出す為に罪も無き民間人を殺し、悪役を演じながら自分の正義を貫いたに過ぎねぇだろ?』

「だから俺はっ──」

『だからもう俺は魔王と名乗らないし、一生このまま自分の過去から逃げるってか?バカかてめぇは?』

 

見抜かれたかの様な顔をして俺はアンドロマリウスを見る。

 

「!?」

『いくらお前が魔王を辞めたいと言ってもこの称号はもう消せない、消せたとしてもお前の心には一生残る。だから一生このまま背負って生きて行くんだよ!現に今まで散々異世界の魔王と名前を名乗ったじゃねぇか?』

「そっそれは……」

『それにその頭巾と鎧はなんだ?金獅子ってのはなんなんだ?』

「これは、仲間達が危険を及ばないように顔を隠して──」

『それで顔を隠して夜な夜な街を駆け回って悪党退治ってか?だったら顔を隠す必要なんて無いだろ、この臆病者』

「なんだと!?俺は臆病者なんかじゃない!」

『そうだろ?ならなんで武器を使わないんだ?まさか「血を見るのが怖いです」だなんて言うんじゃねぇよな?』

「違う!そんなんじゃない!もう俺は人を殺したくないんだ!」

『おいおい、そんな事言ったらストームブリンガー達が泣いちゃうだろ?』

 

アンドロマリウスはこれ見よがしに魔剣ストームブリンガーを見せ付けて来た。

 

これは幻だ!あの時魔剣ストームブリンガーは塵に消えた筈だ!!

 

『チートの力に甘える勇者共も、か弱き者から富を貪り至福を肥やす貴族共も全て殺すべきなんだよ!!』

「殺すだけが解決策じゃねぇだろ!?あの時の俺は間違ってたんだよ、殺すだけが全てじゃない!」

『ならどうするんだ?またあの監獄に戻るか?ルシファー、ベルゼブブ、アザゼル、べルフェゴール、ヴァラク、マモン、みんなまだ居るだろうよ?なら、何故お前はどうしてこの世界にやって来たんだ?あの時断れば良かっただろ?』

「ぐっ……それは……」

 

俺は悔しそうに歯をギリッと食いしばった。

 

確かに、あの時司法取引を受けなければ俺はまだ監獄に残っていた。

 

俺はアンドロマリウスを睨みつけ、言い返した。

 

「やり直すチャンスだと思ったから来たんだ、罪を償うチャンスを!」

『はんっ、ここに来て何をするって?』

「贖罪だよ、贖罪を必ず見付けて一からまたやり直すんだ!」

 

アンドロマリウスはクスクスと笑い始めると、手を叩いて大笑いした。

 

『ククククク……あーっはっはっは!!』

「何が可笑しい!!」

『ああ、可笑しいね、甘い甘い!甘いよお前は!人間に戻ったお前の正義はそんな物か?』

「なんだと!?」

『贖罪?そんなものがある訳ねぇだろ?またどーせ神々に散々利用されて利用価値が無くなればはい、サヨナラがオチだ。それにな?悪の根源を絶たねぇとまた悪が生まれる、どの世界にも正義なんて無い!!勝った奴、生き残った奴が正義なんだよ!』

「勝った奴が正義……」

 

勝った奴が正義……か。

 

『天界監獄でお前は何を学んだ?総勢79人の魔王が蔓延る所で、あの混沌とした監獄の世界でよ?』

「………………悪なんて存在しなかった……」

『そうだろ?互いの掲げる正義と正義がぶつかり合って争いが起こり、負けた方が悪と罵られる。世の中そんなものなのさ』

「………………」

 

遂にリュウジは何も言い返せなくなった。そして、アンドロマリウスは魔剣を肩に掛けながら近付いて来た。

 

『お前の正義は甘過ぎる、甘過ぎて蟻が寄ってくるほどな、あのエリスだって必ずお前を裏切るぞ?今からでも遅くない、俺が代わりにこの世界の魔王を殺してこの俺が世界を手に入れてやる』

「!!!」

 

俺は地面をガリッ!とえぐり、悔しそうにアンドロマリウスを睨みつけながら立ち上がり、アンドロマリウスに拳を構えた。

 

「そんなのダメだ……」

『あ?聞こえねぇな?』

「お前の言う通り、この世界の魔王は必ず倒す。だけど……俺がこの世界の魔王になってもまた他の冒険者が俺と争う事になるだけだ!そんなの絶対あってはならない!」

『ふーん、ならどうするつもりだ?』

「アンドロマリウス……お前の正義が間違ってる事を証明する為に、貴様をここで倒す!」

『ほぅ?人間に戻ったお前に?俺を倒すだって?あーっはっはっは!』

 

アンドロマリウスは高笑いをしながら魔剣ストームブリンガーを地面に突き刺した。

 

俺は遂に、アンドロマリウスにファイティングポーズをとった。

 

「か弱き人々を脅かし、理不尽な暴力や権力で苦しめる悪者達を成敗するこそが絶対的正義!たとえ小さい正義だとしてもそれが破れたらこの世は恐怖のどん底だろ!──俺はもう迷わない!全てを平等、全てを平和にする為に俺は戦う!この先一生自分の正しいと思う事を信じて戦い続ける!!今の俺は……自分の正義を掲げるただの冒険者だ!」

『ふーん、なら貴様の正義をとことん見せて見ろ!!』

 

【超高難度クエスト・正義を司る魔王アンドロマリウスを討伐しろ!!】

 

俺は支援魔法を唱えアンドロマリウスに殴り掛かると、アンドロマリウスも迎え撃つ様に構えた。

 

「うおおおおおおっ!」

『うおおおおおおっ!』

 

ガシーーーンッ!と拳と拳がぶつかり合い、激しい衝撃波が生まれた。それにより、2人の間にはクレーターが形成された。

 

「てめぇ、なんでストームブリンガーを使わねぇ!」

『人間如きの貴様に使う価値もねぇよ』

「なら……使わせてやるっ!」

『やって見な……』

 

俺は体勢を低くし、両手を地面に手を付きながら顔面に向かって足技を繰り出した。アンドロマリウスの首に右足が直撃したが、ビクともせずにリュウジの足が止まった。

 

「なっ……!?」

『なんだその蹴りは?───0点』

 

ズガーーーーン!

 

俺はアンドロマリウスに右足を捕まれ、地面に叩きつけられた。

 

「がっはぁ!!」

『弱くなったなぁ!それで世界が救えるのかぁ?』

「こ……のっ『カースド……ライトニング』!!」

 

バチィーン!カースドライトニングがアンドロマリウスの顔面に直撃し、煙が上がった。だが、手の力は緩まることは無かった。

 

『効かねぇな……』

「やっぱ……効かねぇか……」

 

────────────────────────

 

その頃、リーンとネフェリア達はエルフの森から数キロ離れた場所まで避難をしていた。国王と女王はネフェリア達と話していた。

 

「はぁ、はぁ……ここまで来れば…」

「大丈夫ですね、父上、母上、怪我はありませんか?」

「ああ、すまなかったな、ユースティアナ」

「私達の為に苦労掛けましたね、コッコロ、アオイ、アリサ、ご苦労さまでした」

「いえ、勿体なきお言葉でございます、女王さま」

「わたし達は当然の事をしたまでです!」

「この森はわたしの故郷ですから!」

 

エルフの国王はリーンを見つめ、ネフェリアに訪ね始めた。

 

「ユースティアナ、彼女は?」

「あっはい、彼女はアクセルの街からやってきた、リーンちゃんです!ゴブリンロードを殴った人の友達です!」

「あっ国王様!!はじめまして、リーンと言います、鋼のリュウジとは親友で彼を助ける為に来ました!」

 

リーンは慌てて国王に頭をペコペコ下げた。

 

「構わぬ、鋼のリュウジ……噂では、鎧を纏っている冒険者と聞いていたが?それに、今の彼は同盟国のベルゼルグ王国で大立ち回りをした金獅子と良く似ているのだが?」

 

リーンはギクッとしたが、覚悟を決め、正直に金獅子の正体を国王に言い放つ。

 

「そうです、彼は……鋼のリュウジでもあり、義賊の金獅子でもあります。王都で大騒ぎをした理由は、第一王女を助ける為と言っていました」

「なんとっ!?我が身を顧みず、処刑覚悟であのような事をしたと?」

「はい、ですが彼は今王都では指名手配され追われる身になっています、そんな彼を助ける為にわたしはここに来ました」

 

リーンは王都で起こった事を全て正直にエルフの国王に話した。すると国王は髭を撫でながら考え込んだ。

 

「ふむ……よし、我々が彼を助けよう!」

「えっ?」

「指名手配犯であるが、彼は我が国、我が娘を救ってくれた事には変わりはない、今回の件が収まり次第王都に使いを送ろう」

「ありがとうございます!国王様!!」

「リーンとやら、彼を親友にして後悔はないか?追われる身の彼を?」

 

リーンはキリッとした顔をして、国王の質問に答えた。

 

「はい、例え彼が悪人と呼ばれようともわたしは彼の親友です!」

「ふむ、いい答えを聞いた。ユースティアナ、お前もか?」

「はい!リュウジくんがなんと言われようがわたし達はリュウジくんの仲間、友達です!」

 

大木に座っていた国王は立ち上がり、自分が持っていた翡翠色に輝く宝石が付いたワンズをリーンに手渡した。

 

「リーン殿、この『クリプトナイトの杖』をそなたに授ける」

「えぇ!?」

 

リーンは驚き、両手をブンブン降って拒んだ。

国王から直々物を貰うのは初めてだったのだろう。

 

「え!?そんなっ!頂けません!!」

「構わぬ、クリプトナイトは伝説の宝珠コロナタイトに匹敵する魔石ではあるが、クリプトナイトは清き心の持ち主でないと効果は発揮しない……、今のリーン殿なら使いこなせるだろう」

 

国王はリーンにクリプトナイトロッドを渡した。渡した途端、クリプトナイトロッドの魔石が強く輝き始めた。

 

「わっわっ!?」

「うむっ、クリプトナイトはリーン殿を認めた様だ。クリプトナイトの効果は”中級魔法が上級魔法と同等の威力が発揮出来る”様になる。さぁ、これで彼を救ってあげなさい」

「はい!」

「ユースティアナも気を付けるのだぞ?」

「はいっ!父上!、リーンちゃん!行きましょう!」

 

リーンとネフェリアはリュウジの応援に向かう為、来た道を戻って行った。




79人と表記した理由は、七つの大罪の悪魔と72柱の悪魔を足した数です。

八つ目の大罪は『正義』説を参考にしました。大罪に該当する動物は、正義を象徴するライオンです。

リュウジのもう1つの名前【アンドロマリウス】とは、ソロモン72柱の72番目の大悪魔であり、『正義を司る』世にも稀な悪魔です。それらを参考にしました。
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