※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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リーンにオリジナル魔法、リュウジにオリジナル必殺技を実装させます。といってもこのファンで使われてる魔法ですが……。


50 穿く蒼き稲妻

リーンとネフェリアが助けに向かう為に戻り始めている頃、リュウジとアンドロマリウスは巨大なクレーターの中で激しい攻防戦を繰り広げていた。

 

俺は、この世界で手に入れたスキルや魔法を駆使しながら過去の自分に戦いを挑んだ。

 

「『魔眼』!」

『ほう?死角攻撃が当たらなくなるのか、便利なスキルじゃねぇか』

「『ゴッドブロォォォォ』!!」

『オルァァァァァ!!』

 

ガスーン!

 

クロスカウンターが炸裂し、互いの顔にメキメキと拳がめり込む。リュウジの口の中が切れて、口元から血が垂れ始める。

 

「口ん中ズタズタだ……ぺっ」

『良いパンチ持ってんじゃねぇか……』

「格闘スキルのおかげでな!!」

 

俺はガードを固め、体を丸くさせ頭を揺らしながらアンドロマリウスに突進して行く。そのまま一気に距離を詰めてアンドロマリウスの脇腹に狙いを定めた。

 

「うおおらぁっ!」

『ちぃっ!!』

 

アンドロマリウスは咄嗟に脇腹を左腕でガードで固めたが、リュウジはお構い無しに左腕ごと脇腹に拳をめり込ませた。

 

昔の俺は『窮奇(きゅうき)の篭手ハーデス』を使って近接格闘で戦っていた、だが今の俺程の格闘は出来てないない筈!

 

脇腹殴られたアンドロマリウスは顔を歪ませると、アンドロマリウスは大きく距離を取った。

 

『やれやれ、”ハンデ”として素手を使ってたが……予定変更だ』

「ようやく使うのか?”四凶武器”を」

『いや?そうだな……』

 

アンドロマリウスは辺りをキョロキョロし始め、急にクレーターから出た、何をするかと思えば先程眠らせたエルフの兵士達の篭手や武器を集め始めた。

 

『ふむ、なまくらだがこれで良いか……』

 

ガチャガチャとアンドロマリウスは篭手を両腕にはめ、剣を握り、再びクレーターの中に入って来た。

 

『おまたせ』

「おい、なんのつもりだ!?なんで魔剣ストームブリンガーやハーデスを使わない!?」

『なんでかって?分からないか?四凶武器を使わなくてもお前を殺せるって意思表示だぜ?』

 

エルフの兵士が持っていた剣をヒュンヒュンと片手で振って構えた。構えた瞬間、アンドロマリウスの雰囲気が変わり、ビリビリと威圧感が大きくなって行った。

 

我ながらなんつー覇気を出しやがる

 

アンドロマリウスはニヤリと笑い、俺に剣を向けてきた。

 

『さぁ……第2ラウンドだ!』

「来いっ───」

 

俺が構えた瞬間、アンドロマリウスは一瞬で俺の間合いに入って来て首を切り落とそうと首元に刃を振るって来た。

 

「(ヤバイッ!首を斬られ───)」

 

刃がリュウジの首に届く瞬間、リュウジ後ろから声が響いた。

 

「『ウィンドブレス』!!」

『何っ!?』

「なんだ!?」

 

巨大な突風がアンドロマリウスを押し返した。アンドロマリウスは距離を取って警戒をし始め、俺の後ろに目を向けた。そこには、翡翠色に光り輝く杖を持ったリーンと、剣を構えたネフェリアがいた。

 

俺も後ろを振り向き驚いた。

 

「なっ、なんで戻って来た!?」

「待たせてごめんね、助けに来たよ!!」

「リュウジくん!今度はわたしがあなたを守ります!」

 

ダメだっ、この2人を巻き込む訳には行かないっ!

 

「帰れ!コイツには勝てないっ!……お前らには関係ないだろ!?」

「は?何言ってんの?」

「リュウジくん……」

『ほう?「助けに来た」…なかなか良いセリフじゃないか?だが、俺はコイツを殺す義務がある、そして、正義と正義がぶつかり合えば弱い方が淘汰される。この俺を止めるって?…その覚悟はあるのかい?お嬢さん方……』

 

殺気を感じてリーンとネフェリアはゾクッと怖気付いたが、気を持ち直し、再び構えた。

 

「友達を……親友を助けるのは当然でしょ!!」

「リーンさんの言う通りです!リュウジくんはわたしの大事な友達ですから!」

 

俺は顔を歪ませながら、向き直しアンドロマリウスに殴りかかった。

 

「くっ……うおおおおおおお!」

 

俺の右ストレートをスレスレにかわし、頭を掴んでそのまま地面に叩きつけた。

 

『おいおい、どうした?動きが散漫だなぁ?女の子に助けられてプライドがズタズタにでもなったか?見っともねぇなぁ!!』

 

アンドロマリウスは叩きつけた俺に剣を突き付けて来た。だが、リーンが初級魔法の『ウィンドブレス』を放ち、俺とアンドロマリウスの距離を保たせ、その隙にネフェリアとリーンは俺に駆け寄って来た。

 

「リュウジくん!大丈夫ですか!?」

「しっかりしてよ!あんた何ムキなってんのよ!?」

「ゲホッゲホッ……ごめん……」

『やれやれ、お嬢さん達……この場から逃げないということは、この俺と本気で戦うって事だよな?俺は例え女だろうと剣を向けてくる相手なら『躊躇いも無くぶち殺す真の男女平等主義者』なんだけど?……覚悟は良いな?』

 

アンドロマリウスは剣をネフェリアとリーンに向けた。リーンとネフェリアは構え、作戦を練り始めた。

 

「リーンさん、出会ってまだ間もないですけど、ここは協力してあの人をやっつけましょう!」

「ええ、頼りのバカが立ち直るまでは頑張らないと!あたしが後方支援に回ります、ネフェリア様は無茶をせずに攻撃を!」

「はいっ!では……行きますっ!」

 

ネフェリアはアンドロマリウスと鍔迫り合いを始めた。鍔迫り合いの隙にリーンは『ファイヤーボール』で援護射撃を行い、サポートしていた。

 

まだネフェリアは力を抑えながら戦っている、このままではいずれガス欠になり、殺されてしまう!それだけは絶対ダメだ!

 

「やめろ!ネフェリア!リーン!」

「うるさい!バカ!やめて欲しければさっさと立ちなさいよっ!あたしらは憧れてる人を守る為に戦ってんの!あんたにだって憧れてる人、1人や2人位いるでしょ!?」

「俺が……憧れてる……人……」

 

その言葉を聞いた瞬間、フラッシュバックしたかのように俺の頭の記憶が駆け巡った。そして……その記憶の中に現れたのは、スーツを着た2人の男が見えた。その2人は姿を変え、蝙蝠のコスチュームを来た男、赤と金色の配色のパワードスーツを着ている男になり、映し出された。

 

そうだ……俺はこの2人に子供の頃から憧れていた。金獅子やブラックナイトやレッドウォーリアもこの2人をモデルにして開発した産物…。姿形ばかり真似していた。ずっと嫌だった『魔王』と言う名を言い聞かせてはいたけど、心の中では全然受け入れられずにいて中身の俺自身を変えず、ずっと過去から逃げていた…こんな簡単なの事に気付かない俺はとんだ大バカ野郎だっ!

 

俺は立ち上がり構え、呼吸法と支援魔法をフルパワーに発動させ、猛スピードで突進して行った。

 

『どうした?もう終わりか?』

「くっ……ヤバイですね……」

「ネフェリア様───」

 

「うぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!」

 

バキーン!

 

アンドロマリウスは剣をネフェリアに振りかざした瞬間俺はアンドロマリウスの剣を蹴り、へし折った。

 

『なんだ!?今のスピードは!?』

「リュウジ!?」

「リュウジくん!」

「2人とも、ごめん、俺全然何も分かって無かったわ…自分のことばっかり考えてて君達2人の気持ち気付いて無かった」

 

アンドロマリウスはニヤリと笑い、剣を捨て、構えた。

 

『おやぁ?そろそろクライマックスかな?さぁ、かかって来い!』

「リーン、ネフェリア……行くぞっ!」

「はいっ!」

「それでこそ親友だよ!いくよっ!」

 

※挿入歌・キミシダイ列車※

 

リーンは魔力を最大限に発動させ、風魔法を放った。

 

「特訓の成果を見せてあげるんだから!中級魔法の新魔法を食らいなさい!!『サイクロン』!!」

 

巨大な竜巻の様な突風がアンドロマリウスを包んだ、アンドロマリウスはガードを固め動けずにいた。

 

『くっ!?鬱陶しい風魔法だ!!』

「ネフェリア様!リュウジ!相手の視界を遮った!今のうちよ!」

「おう!任せとけっ!その前にリーン、俺の”右足”を凍らせてくれ!」

「えっ!?ちょ、何言って──」

「早く!!足を氷で補強する、足首は凍らせないでくれよ?」

「はいはい!どうなっても知らないからね!?」

「リュウジくん!行きましょう!」

 

ネフェリアとリュウジはアンドロマリウスを挟んで同時に左右から攻め立てる作戦に出た。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

「たぁぁぁぁぁぁ!」

 

『コイツら!?いつの間にっ!?』

 

ペコリーヌの右ストレートと、リュウジ左回し蹴りが左右同時に繰り出され、アンドロマリウスの顔、胴体に直撃した。その衝撃によりアンドロマリウスの兜の口元から大量に血を吐き出した。

 

『ごほぁっ!!不味い、ここは体勢を──』

「リーン!合わせろ!!うおおおおおおお!」

「了解!一気に畳み掛けて!」

『ガードが……間に合わ───』

 

俺はそのままアンドロマリウスをリーンの強化された『フリーズ』で凍らせ、補強した右足をそのまま思い切り空に向かって蹴り上げた。蹴り上げられたアンドロマリウスは為す術もなく、リーンの『ファイヤーボール』が直撃した。アンドロマリウスはそのまま地面に叩きつけられ、動かなくなった。

 

「はぁ、はぁ、少しは効いただろ」

「ふぅ〜、お腹ペコペコになっちゃいました」

「リュックにおにぎり入ってるから食っとけ」

「はひ〜」

「あたしも魔力がそろそろ尽きそうだよ、けどその前に倒れて良かっ──」

 

リーンが言いかけた瞬間、アンドロマリウスは火傷や痣を再生させて動画の巻き戻しの様に起き上がって来た。アンドロマリウスは首や肩をゴキゴキさせながら何事も無かった様にしていた。ネフェリアとリーンは驚き、腰を抜かしてしまった。

 

『おー痛てぇ〜、挿入歌が流れて勝利確定だと思ったか?だけど残念、俺は不死身の呪いでお掛けで俺は死なねぇんだよ』

「そっそんな……」

「あわわわ」

 

邪悪なオーラを噴出させながら歩き近付いて来た。

俺は咄嗟にネフェリアとリーンを庇った。

 

「やめろ……、この2人には手を出すな!殺すなら俺だけにしろ!」

「リュウジ!?」

「リュウジくん!危ないですよ!?」

「ダメだ、2人だけでも逃げてくれ!」

『いい度胸だ。なら遠慮なく『ドライファ・ダークネスヘルファイア』!!』

 

アンドロマリウスは巨大な黒い火球を作り出し、俺に向けて投げ付けた。

 

「「リュウジーーーー!」」

『これで、終わりだぁ!!』

 

一か八か……カースド・ダークネス!!

 

チュドーーーーーーン!!

 

火球はリュウジに直撃した。めぐみんのエクスプロージョン並の爆風が広がり、リーンとネフェリアは爆風で吹き飛ばされ、土煙と煙幕で視界が遮られた。

 

『馬鹿な奴だ、黙って俺と代わってりゃ死なずに済んだものを……』

 

煙が晴れるとそこには、鎧が破壊され、体に大火傷を負ったリュウジが両手を広げて立ち尽くしていた。リュウジの体からは、何故かバチバチと青い稲妻が走っていた。

 

どうやら……上手くいったな。

 

アンドロマリウスは驚きリュウジに尋ねた。

 

『何!?お前一体何をした!?』

「か……体に……『稲妻を……纏う呪い』を……掛……け……た」

『なんだと!?』

 

体中をバチバチ帯電させながらフラフラとリュウジはアンドロマリウスに近付いて行く。

 

『まさか…その稲妻で俺のヘルファイアを防いだのか!?』

「そ……うだ」

『ちぃっ!!しぶとい野郎だぜ、ならこれでトドメだっ!』

「『パラライズ』!!」

 

アンドロマリウスが手をかざした瞬間、リーンがありったけの魔力を使い、アンドロマリウスの動きを状態異常にさせて動きを封じた。

 

『なにぃ!?このぉぉぉぉぉ!!』

「リュウジ!早く!トドメを!」

『がぁぁぁぁぁぁぁ!ドライファ──』

 

「させません!『プリンセス・ストライク』!!」

 

ズバッ!

 

リュウジのリュックからおにぎりを取り出して回復したネフェリアは麻痺状態でもお構い無しに魔法を発動させようとしたアンドロマリウスの右腕をリュウジから貰った剣で攻撃し、魔法の発動を食い止めた。

 

『このアマァァァァァ!!』

「リュウジくん!魔法は食い止めましたよ!」

「ありがとう……リーン、ネフェリア……」

 

俺は右手をギュッと握りしめて拳を作り、アンドロマリウスに殴りかかった。リュウジの拳はアクアのゴッドブローの様に燃え上がり、尚且つ稲妻が迸っていた。ギュルっと拳を捻った途端、拳が竜巻の捻りが生じてコークスクリューブローの様になった。

 

「『ブルーインパルス』!!」

 

ズドーーーーーーン!!

 

青い稲妻を纏わせたコークスクリューブローはアンドロマリウスの胸を直撃し、胸に風穴を開けた。

 

『が……はっ!』

「俺はもう何も恐れない!俺はお前を……超えて行く!!」

 

ドサッとアンドロマリウスは大量に血を吐き出し大の字になって倒れた。シューっと音を立てながらリュウジの右手の拳は血だらけになっていた。

 

魔力も体力も使い果たした……もう、為す術がない。

 

けど、俺はもう過去の自分は”怖くない”、皆のおかげで乗り越えられた。

 

ゼーゼー息を切らしながらアンドロマリウスを見つめていると、アンドロマリウスは風穴を再生させて、再び立ち上がって来た。

 

『今までで一番効いたぜ……』

「ひゅ〜……ひゅ〜……」

『ようやく、自分の力を恐れなくなった様だな?』

 

コクリと頷く。

 

『なら、恐怖がなくなれば俺はもうすぐ消える』

 

すると、アンドロマリウスの足元が塵になり始めた。

 

魔導具の力は『相手の恐れているもの』を呼び出す魔導具、裏を返せば恐怖を克服出来たならこの魔道具の効果は消える。

 

『もう、自分を恐れるな、持ってる力を正しい道に使えばお前はもう闇に堕ちる事は無い…だが、忘れるなよ?俺とお前は常に一緒、表裏一体だと言う事をな?』

「コクリ……」

 

アンドロマリウスはリーンとネフェリアの方を見て呟いた。

 

『いい仲間を持ったな、ジキル達やティーチ達の様に大事にしてやれよ?今度こそ、誰一人欠ける事無く世界を救って見せろ』

 

徐々に塵になり始めたアンドロマリウスと話していると、エルフの国王達やコッコロ達が戻って来た。

 

「リュウジ殿!ご無事かっ!?」

「リュウジさま、酷い怪我でございます、すぐに手当を──」

 

コッコロがリュウジに近付いて行くと、上空からドラゴンに乗った魔物が現れた。どうやら全て見ていた様子だった。魔王が寄越した偵察なのだろう。

 

「どうやらあの男が魔力の原因だった様だな!このまま魔王様に報告せねば!!丁度あの鋼のリュウジが瀕死、手土産に鋼のリュウジを殺して、あのエルフを連れて帰るとするか!」

 

ドラゴンに乗った魔物はそのまま滑空してリュウジとコッコロに狙いを定めた。ネフェリアは気付き、声を荒らげた。

 

「リュウジくん!コッコロちゃん!危なっ───」

「えっ……」

 

コッコロが振り向いた瞬間、コッコロはドラゴンに捕まり、風圧でリュウジは倒れた。

 

「コッコロちゃん!」

「アリサさん!わたしと一緒に矢で狙いを!!」

「うん!アオイちゃん!」

「コッコロ……ちゃん……くそっ体が動かない……」

「ギャハハハハ!死ねぇ!鋼のリュウ───」

 

俺が目をつぶって死を覚悟した瞬間、アンドロマリウスが魔剣ストームブリンガーを引き抜き、飛び上がった。

 

『待て、手負いの男とか弱き少女を狙って何が楽しいんだ?』

「なっ!?貴様───」

『死ね、『暗黒剣』!!』

 

ズバッ!

 

「ギャァァァァ!」

 

アンドロマリウスはドラゴン共々一刀両断し、ドラゴンが落としたコッコロを救出した。コッコロはアンドロマリウスに抱き抱えられた。

 

『大丈夫かい?お嬢ちゃん』

「あっあなたさまは……」

 

アンドロマリウスの兜が消え始め、アンドロマリウスの素顔が露になり、コッコロは驚いていた。

 

「リュウジ……さま?」

『しーっ、ややこしいから説明を省くけど、俺はもう1人のリュウジさ、この事は皆には内緒だぞ?』

「はっはい……」

 

アンドロマリウスとコッコロは着地して、コッコロを離した。アンドロマリウスは下半身まで消え始めた。

 

『ほら、行きな……君の知ってるリュウジは向こうだ』

「ありがとうございます、もう1人のリュウジさま」

『良いってことよ、弱っちぃ俺をよろしく』

 

そう言うとアンドロマリウスは消えてなくなった。コッコロは塵になって消えたアンドロマリウスに向かって深くお辞儀をして皆の元に戻って行った。後から聞いた話だが、チャーリーが使った魔道具は”トラウマを克服する為の教材魔導具”だった様だ。

 

────────────────────────

 

その後、俺達は診療所に運ばれて行き、エルフの国王の権限により、エルフの森に住むアークプリースト、プリーストをかき集められて治療を施された。俺が目を覚ましたのは3日後の真夜中だった。

 

久しぶりに良く眠れた気がした。

 

俺は診療所から抜け出し、満月が見える夜空の外で思い切り背伸びをした。

 

「んっあぁ〜久しぶりによく寝たな、あの魔法食らったのに火傷の跡がそんなに残ってねぇな、流石はコッコロちゃん、優秀過ぎる…Adventuresに是非とも加わって欲しいな」

 

体育座りをして夜風に当たっていると、声をかけられた。

 

「リュウジくん?起きたんですか?」

「ん?」

 

振り向くと夜風で髪を靡かせたネグリジェを身に付けたネフェリアがいた。眠れないのか、ネフェリアも起きてきた様だ。

 

「おいっす〜☆3日ぶりですね!」

「3日!?俺そんなに寝てたの!?」

「はい、酷い過労が祟った見たいです、ダメですよ?無茶をしちゃ」

「ごめんごめん、色々あってずっと眠れなかったんだ」

「よっこいしょ、そうなんですねぇ〜」

 

ネフェリアも隣に座り、一緒に体育座りをして月を眺めていた。

 

「そういえばリーンは?」

「あれからリーンさんはリュウジくんが目を覚ますまでこの森で更なる強さを求める為に『古代中級魔法』の勉強をしてまして、今は休んでますよ?」

 

古代中級魔法か…リーンも真面目だからな、よし!今度、今回のお礼しなきゃ

 

「リュウジくん」

「ん?何?」

「前に言ってたリュウジくんの秘密ってなんですか?」

「あー、アレか…約束だもんな、丁度誰もいないし、言うか」

 

覚悟を決めた俺は立ち上がり、ネフェリアから少し離れた。

 

「この前戦った不死身の化け物覚えてる?」

「はい、とても強かったですね」

「アレ……実は”俺”なんだ」

「え?……それはどう言う事ですか?」

 

その時、タイミング良く満月が半分雲に隠れて俺の体を縦半分を影で隠した。

 

「ゴブリンロードが使ってる魔導具の効果は覚えてるよね?」

「あっはい、覚えてますよ?、あの魔導具は厳重に保管してますし?」

「俺の恐いものは…自分自身だったんだ」

「んじゃ、あの人はもう1人のリュウジさんって事だったんですか!?」

「正義を司る魔王…アンドロマリウス、それが俺のもう1つの名前なんだ。だから俺は元々魔物であって本来は人間じゃないんだ」

「そうだったんですか、けど、どうして自分が恐いんですか?」

「それは…前にいた世界を正す為に大勢人達を犠牲にしたから」

「世界を正す、なんだかヒーロー見たいですね☆」

 

ネフェリアは何事も無かったかのようにニコッと笑い返して来た。

 

えっ……あれ?ここはシリアスな場面だと思ったんだけどな?

あれ?え?なぜ笑っていられる?

 

「ドン引きしないの?俺、魔王だったんだよ?」

 

そう言うとネフェリアはネグリジェをパンパンと払って俺に近付いて来た。

 

「わたしはあなたが例えどんな魔王でも構いませんよ?」

「なんで!?」

「わたしの、このエルフの森を守ってくれた人には変わりないですから!あなたはわたしにとってヒーローですから」

 

そう言われた俺は後ずさりしながらネフェリアから離れる。

 

「ウソだっ!ホントは俺が怖いんだろ!?気持ち悪いんだろ!?」

「気持ち悪くありませんし、ちっとも怖くないですよ?今のあなたは普通の人間で、鋼のリュウジと呼ばれた冒険者ではありませんか?」

 

徐々に俺の目から涙がこぼれ始める。

 

「俺…自分から魔王魔王って言ってたけど、ホントは怖くて…」

「分かりますよ?わたしも怖くて逃げたくて仕方なかったです。けど、その時手を取って助けてくれたのは、リュウジくんじゃないですか?」

「うっ……うっ……」

 

ネフェリアは俺に抱きつき、頭を撫でながら座り込んだ。俺は泣く事しか出来なかった。

 

「良くここまで1人で頑張りましたね、わたしでよければ甘えて良いんですよ?仲間なんですから」

「ごめん……ごめん……」

「泣き虫ですね〜☆、あの、リュウジくん、もう一度あの言葉を言ってくれませんか?」

 

あの言葉……言っていいのか?ホントに良いのか?

俺は涙を拭い、ネフェリアにもう一度あの言葉を言った。

 

「エルフの森の第一王女、ユースティアナ・フォン・ネフェリア様…いや、お腹ペコペコのペコリーヌ、俺の仲間としてAdventuresに入って下さい」

 

ネフェリアはネグリジェの裾をドレスの様に指でつまみながら頭を下げた。

 

「はい☆謹んでお受け致します!」

「ありがとう……ネフェリア」

「えへへ☆これからもよろしくお願いしますね☆」

 

俺はネフェリアと握手をして、見つめ合うとネフェリアは恥ずかしそうに呟いた。

 

「あの、リュウジくん目を瞑って下さいますか?」

「え?なんで?」

「いいからいいから〜☆」

「え?あっうん……」

 

チュッ

 

俺は目を瞑るとまた頬っぺに柔らかいものが触れた。

 

なんでみんなコッチなの!?ラブコメじゃないんだから!口にしてくれよ!!

 

「助けてくれたお礼です☆ホントはキスしたいんですけど、それはお付き合いをしてからにしておきますね♪」

「はっはい……」

 

惚れてまうやろ

 

「さっ、そろそろ寝ましょう☆」

「うん、んじゃ、また明日ね?」

「はい☆また明日♪」

 

────────────────────────

 

翌日、俺とリーンはエルフの国王から玉座の間に呼び出された。

 

「リュウジ殿、リーン殿此度一件、誠に感謝する」

「いえ、命の恩人を助けたまでです」

「親友や友達を助ける為ですから」

「謙虚な姿勢感服致します」

 

エルフの国王と女王は深々と頭を下げた。それに続きコッコロ、アリサ、アオイ、兵士達も頭を下げる。

 

「我が娘から聞きました、娘を仲間にしたいと」

「はい、誠に勝手ながら申し込み致しました」

「ふむ、ユースティアナ?良いのだな?」

 

国王はネフェリアを見て答えを聞く。ネフェリアは満面な笑みを浮かべて答えた。

 

「はい☆1人前の女王になる為に修行して参ります☆」

「そうか、リュウジ殿、何分この娘は大食いでおてんば娘で迷惑をかけると思うが娘をよろしく頼む」

 

俺は膝をついて国王に返事をした。

 

「はい、命にかえてもお守り致します」

「うむ、良くぞ言ってくれた!では……リュウジ殿、少しワシに付いてきてくれぬか?」

 

ん?付いてこい?何するんだろう?

 

「あっはい……」

 

俺は国王の後に付いていくと、宝物庫に案内された。宝物庫の中にはたくさんのツボや書物などが保管されていた。

 

「うわぁ……」

「実はなリュウジ殿、貴殿に貰って貰いたい物がありましてな?」

「はい?なんでしょうか?」

 

国王が大きな箱にブーケが被さっていた。そのブーケを引っ張るとガラスケースがあり、その中には”赤いマント”がふわふわと浮かんでいた。

 

あれ?これ……『浮遊マント』じゃね?

 

「国王様……これは?」

「これは先祖代々から伝わる家宝『浮遊マント』これを身に付けると『魔力が上昇し、”神秘的”な力を宿す』という効果がありまして」

「そっそんな!こんな高価な物いただけませんよ!?」

 

俺は手をビクッとさせながら離れた。

 

「それではワシの気が済まない、だだ、このマントは”意志”を持ってる様でマントが認めた者にしか言う事を聞かんのだ」

 

えぇ…じゃじゃ馬マントじゃん

 

「この国でクリプトナイトよりは高価な物ではないが……貰ってくれぬか?」

「うぅ……分かりました、この子に主を見つけて見せます」

「かたじけない、他に何か欲しい物があるか?」

「いえっ、コレだけで十分でございま──」

 

辺りを見渡しながら答えると、積み重ねられた本に目を止めた。俺はそれをペラペラめくるとそれは少女漫画だった。

 

「へぇ〜、こんなのもあるのか」

「はっはっはっ、リュウジ殿は勉強熱心ですな!古代文字に興味があるとは!」

「あはは……ならコレも貰って良いですか?」

「そんなもので良ければ構わんですぞ?」

 

俺は少女漫画を貰い、浮遊マントに声をかけた。

 

「マントさん?主を見付けてあげるから一緒に行かない?」

「コクリ……」

 

マントはペコっと頷き、俺の背中にくっ付いた。

 

「では、そろそろ俺達はアクセルの街に帰ります」

「うむ、娘を頼みましたぞ?」

「はい!」

 

その後、ネフェリアとリーンと合流し、城の外に出て国王達に見送られながら俺は『テレポート』を唱え、アクセルの街に帰って行った。




成長過程を書いてたらかなり長くなってしまいました。

リュウジの新技『ブルーインパルス』は、はじめの一歩の伊達英二の必殺技・ハートブレイクショットを参考に作りました。

『浮遊マント』とはMARVELヒーローの1人、ドクターストレンジの使っているマントを参考にしました。
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