翌朝、俺達はペコリーヌをカズマチーム、ミツルギチームに紹介する為に、朝イチにカズマの家にやって来た。
「おはよーさん」
「あら、リュウジ!結婚式の時は助かったわ!」
「リュウジじゃないですか!今までどこにいたのですか?」
「おう、リュウジ!おかえり……って誰その人?」
カズマは俺の後ろにいたネフェリアに気付き、声を掛ける。
「あっ、はじめましてですね!えーっと、サトウカズマさん!」
「おはようございます、カズマ様、めぐみん様、アクア様、ダクネス様」
「これはどうもご丁寧に…はじめまして。あっリュウジ、ミツルギ達も来てるから上がれよ」
「おう、朝早く悪かったな」
「お邪魔しま〜す☆」
「おはようございます、ちょむすけ様」
「にゃ〜!」
リビングに向かい、俺はミツルギ達とも顔を合わせて本題に入った。
「まず、最初に……2週間以上行方不明なっていて本当に申し訳ございませんでした!ご迷惑お掛けしました!」
俺はテーブルに頭を擦り付けるとゆんゆんは慌てて声を掛けてくる。
「えちょっ、リュウジさん!?そんな、みなさん怒ってませんよ!?」
「いや、いいんだゆんゆん、皆、本当にごめん、マリューから事情は聞いた、高額賞金首のモンスター、クーロンズヒュドラと戦って討伐に成功したって。凄いじゃないか!」
アクア、めぐみん、ダクネス、マリュー、ゆんゆん、メリッサ、ミツルギは照れながら同時に答える。
「「「「いやいや〜それほどでも!」」」」
一人残らず照れてる場合か!?まぁ、頑張ったのは確かだからいっか!
そして、さっきから存在感が満載のペコリーヌをガン見しているアクアが遂にリュウジに問い掛けた。それにメンバーも続いて聞いてくる。
「あの〜、リュウジさん?、さっきから気になってるんだけど、その……おにぎりを食べてる女の子はどちら様?」
「見るからにダクネスと同じ騎士の様なカッコをしてますが?」
「それともミツルギくんと同じソードマスターなんですか?」
「ゆんゆんの言う通り、ボクと同じソードマスターの様な感じがするね」
「勿体ぶらずに早く紹介しなさいよ、鋼のリュウジ」
「なっ!?何故貴方様がここに!?」
「ララティーナ、知り合いか?」
「おっお前!こんな時にふざけてる場合じゃ!!」
「みなさん!落ち着いて!リュウジ様、早く!」
あー、やっぱりダクネスは気付いたか、まぁ隠しても仕方ない。
「まぁまぁ、ほら、自己紹介して?」
「ハムハム……はい☆Adventuresの皆さん、初めまして!わたしはお腹ペコペコのペコリーヌと申します、クラスは元はアーチャーなのですがジョブチェンジして【ルーンナイト】になりました!ヤバイですね☆」
「これはご丁寧に、俺はサトウカズマ……ちょっと待て!情報量が半端ないんだけど、とりあえずお腹ペコペコって何!?」
「あっそれには深い理由が──」
「待て!リュウジ!、そこは私から説明させろ!」
バンッとテーブルを叩きながら立ち上がり、ダクネスが冷や汗をかきながら話し出した。
「その御方は……エルフの森の第一王女、ユースティティアナ・フォン・ネフェリア様だ!」
「王女!?」
「エルフの森の王女様がなんでここに居るのよっ!?」
「まぁまぁ!みんな落ち着いてくれ。とりあえず皆の自己紹介を終らせてから─ネフェリアこと、ペコリーヌがAdventuresに加わる事になった理由を説明するから!」
──────説明中─────
「なるほどな、俺達がヒュドラと戦ってる間エルフの森に居たのか」
「うん、それで一昨日帰って来てこの騒動って訳なんだよ、帰って来て早々ダクネスが結婚するって聞いた時はビックリしたわ」
「今じゃバツネスさんだしな?」
「おっお前って奴は!それを言うなと言ってるだろ!」
バツネスさんは涙目になりながらカズマの首を締め上げる。
バツネス……あっ、なるほどね、バツイチのダクネスさんだからバツネスね。そんな事よりこのリビングの大荷物はなんだ?夜逃げでもするつもりだったのか?
「それよりカズマ、聞いたか?領主の話」
「領主?なんの事!?」
「カズマ達に言う前にAdventuresが集まってしまったからな、言いそびれてしまった。アルダープが失踪したそうだ」
「あのおっさんが失踪!?」
ダクネスの言葉にカズマ達は耳を疑った。
「ああ、使用人達がいくら探しても、姿が見当たらないそうだ」
あーそっか、バニルが地獄に連れてったからな、そりゃいないわ
ダクネスはその後の話を続けてくれた。
「何故か今日になって、突然あちこちで領主の不正が湧いて出て来てな。王都でアイリス様に体を入れ替える神器を贈ったのも、アルダープであったらしい。アルダープは、それらの発覚を押さえ込む事が危うくなった為に夜逃げしたのではないかと言われている」
「ねぇ?めぐみん、私達、もう夜逃げしなくて良いって事よね?」
「そうですね、その様に聞こえましたね」
「キョウヤが急に荷物をまとめろって言うから慌ててしたのに無駄になったわね」
マリューとダクネス以外のAdventuresメンバー全員夜逃げする気だったのかよ
「……そんな訳で、もう夜逃げする必要もないから、全員その荷物を片付けるといい」
「早く言えよ!」
カズマは鋭いツッコミを入れて、全員荷物を片付け始めた。
「あーあ、落ち着くまで暖かい海で暮らそうとしてたのに」
「無人島で爆裂魔法も悪くないと思ってたのですがね」
「みんなで海かぁ……憧れちゃうなぁ……」
「はぁ……アクア様の水着姿が……」
「ん?なんか言った?キョウヤ?」
「え!?いやメリッサ、なんでもないよ!?」
ガッツリ水着姿がどーとか言ったよな!?
「まぁ、それなら良かったな」
「そういえば、カズマ、バツネスとは何ですか?」
「それ私も気になってました」
めぐみんとゆんゆんの問い掛けに、アクアが「あっ!」と手を叩いて声を上げる。
「そっかそっか、めぐみんとゆんゆんは最初から教会にいた訳じゃない知らないのよね!聞いて!ダクネスは、なんとカズマに買われちゃったのでした!カズマがダクネスの借金を肩代わりしたんだけどね?それに戸籍上ダクネスは──」
アクアが話している途中にカズマは慌ててアクアの口を塞ぐ。
「おいコラ!それ以上言うな!それに、言い方!言い方を考えろお前は!」
そうだった、ダクネスはカズマの物になったんだ!
「は?」
「えっ……カズマさん……」
「買った方も買われた方もヤバイですね☆」
「相変わらずクズねぇ」
「カズマ……君って男は……」
「おい皆、待て待て、おかしいおかしい。言ってる事は合ってるけど色々おかしい、これだけは言わせろ、アクア、お前の言い方が間違ってるぞ!」
めぐみんとゆんゆんは目を紅く輝かせ、カズマをゴミの様な目を向ける中、ダクネスは泣き真似をする。
「……カズマには確かに公衆の面前の中、身体で払えと……」
あっ、めぐみんとゆんゆんが魔法を唱え始めて、メリッサはダガーを抜いた。
すると、ダクネスが急に頭を下げる。
「リュウジが謝った後で次いでにの様で申し訳ないが、結婚式の件では自分勝手な事をして済まなかった、皆には迷惑をかけた。……本当に、自分でも馬鹿な事をしたと思っている。許して欲しい……」
それを見たゆんゆん、アクア、めぐみんが慌ててダクネスに駆け寄った。
「もういいじゃないですか、こうして無事に帰って来たんですから」
「そうですよ!私は気にしてませんよ!」
「そうそう、今回の事でダクネスの家に行かなかったらダクネスのお父さんの呪いに気付かなかっただろうし?あっ!あの呪いを掛けた犯人捜しをしなあといけないわ!、犯人はあの仮面の悪魔が呪いを掛けたんじゃないかと疑ってるんだけどね!。私のくもりなきまなこで見た感じ、間違いないわ!これから皆でカチコミに行きましょう!」
バニルがとばっちりを食らう、誤魔化すか……。
「待て待てアクア、その犯人なら金獅子が倒したって言ってたぞ?」
「えっホント!?なら良かったわ!」
ダクネスは4人の言葉を聞きながら、カズマをまっすぐ見つめる。
「カズマには、本当に大きな借りが出来た。全てを投げ出し、金を作ってくれたと言っていたが、カズマが私の代わりに払ってくれた金や、リュウジが払っていた慰謝料など、それらは全て、今すぐにでは無いが国から還付されるだろう。父が体調を回復させ次第、領主から没収された財産を計算し、それらの補填が行われるはずだ……だが、カズマが売ってしまった知的財産は、もう戻って来ない、これから商売をやって安全に生きて行きたいと言っていたのに……」
えっ、カズマ何それ、あんたそんな事考えてたの!?
「そんな事ならもういいよ、料理スキルを覚えてるし、今後は屋台でも開発して俺の国の料理でも──待って、金が返ってくるの?」
「……えっ!なら俺の散々払った慰謝料もかっ!?」
ハタと気付いた俺とカズマは真顔でダクネスに聞き返す。
「ああ、返ってくるはずだ。今回の用立てて貰った20億、過去にリュウジが払っていた慰謝料約10億がな?屋敷や屋敷の私物を売ってでも返ってくる」
「20億……20億エリスだと!?」
「10億も払ってたの俺……あの野郎……!!」
いきなり10億エリス貰ってもなぁ……どうしよ、土地でも買って薬草育てて薬でも作って憧れの会社作れるぞ!?。ウェイン産業、スタークインダストリーズならぬ【大企業フクヤマ食品&製薬】とか作りながらアクセルの街にレストランでも作ろうかなぁ、ペコリーヌ料理出来るし、バイト雇って恵まれない子供達に食べさせてあげれるなぁ……。アレ?ちょっとまてよ?、あのサキュバスのサービス何回行けんのよ、5000エリスで3時間……アレ?永眠出来るんじゃね?コレ?
「マリュー、ペコリーヌ、帰ってから緊急会議だ」
「え?また何を考えてるんですか〜?」
「リュウジくんお金持ちなんですか?ヤバイですね☆」
そんなカズマにアクアとめぐみん、メリッサがピタリと寄り添う。
「今日のカズマってなんかアレよね。イケメンよね。ねぇカズマさん?私産まれてくる”ゼル帝”の為の立派な小屋が欲しんですけど?」
「ですね、カズマはイケメンですしね。ちなみに私のは魔法の威力を向上させる魔道具なんかが欲しいんですけど」
「カズマくぅ〜ん、私と良いことしない?新しいダガーが欲しいの」
照れながらもカズマは3人の女を振り払う。
「早速金の匂いを嗅ぎつけて来やがったなビッチどもめ!」
「リュウジ様、新しい防具欲しいんですけど?後、家買いません?」
「黙れクソパンダ、部屋があるだけでも有難く思えよコラ」
俺とマリューが揉めていると、カズマはダクネスに言い放つ。
「金が戻って来るなら、昨日の件は無かった事にしよーぜ?」
「それは……。私を買った事も無かった事に?」
カズマにまとわりつくアクア達は、至近距離でジーッと顔を見つめる。
カズマがモテまくってる……
「勿論だ!無かった!何も無かった!もう忘れよう!なっ!?」
「ダクネスどんだけ気にしてんだよ〜、もういいだろ?」
俺とカズマがそう言うが、ダクネスは何故か沈んだ顔をする。
あれ?なにこれ、えっ?ダクネスさん、本気でカズマ事が?
「それと…Adventuresを抜けると言う話も」
「あー、マリューから聞いてるけど、俺関与してなかったから白紙だよ白紙、Adventuresから抜けてないから安心しろ」
「そうですよ!ダクネスはウチの大事な人材なんですから」
「そうよ?今更何言ってるのよ、Adventures以外居場所なんてあるの?」
それは言い過ぎだろ
ダクネスはカズマに向かってオドオド上目遣いで言い放つ。
「そっその……私は、硬いだけが取り柄のクルセイダー……です、ですが、もっももう1度仲間にして貰えますか?」
堅苦しい……
俺とカズマはため息を吐いて怯えるダクネスに言い返す。
「俺の鎧より硬い奴が居ると俺も安心して戦えるんだ、だから今後ともよろしくな」
「だそうだ、お帰り、ダクネス」
その言葉にダクネスはパァッと明るくなる。
「たっただいま!!」
「無事に解決だな!」
「良かったですね☆ララティーナちゃん!」
「ミツルギ、ネフェ── ペコリーヌ殿、今後とも宜しく頼む!」
無事に解決しようとしたその時、アクアの一言で混沌を迎えた。
「──ねぇカズマさん?でも、本当はちょっと残念なんじゃない?ダクネスに身体で払ってもらうセリフ、アレってちょっとエッチな意味も含めてるんでしょ?」
その言葉を聞いた途端めぐみんは手をボキボキさせながら戦闘態勢に入った。
「おい、クズ、その辺の話をちゃんとしようか?」
「そっ、そう言えば私も、カズマが屋敷に忍び込んで来た時、危うく一線を越えそうに」
「えっホント!?」
えっ……なんだかんだでカズマ、俺よりハーレム進んでるじゃん、なんなの?良くあるラノベの鈍感系主人公なの?モテモテなの?なんなのこの子ら
カズマは冷や汗を垂らしながら声を荒らげる。
「止めろ!マジで止めろ!アレは未遂だろ!?」
その言葉で俺とミツルギ、ペコリーヌやメリッサは反応する。
「はっ?未遂?」
「カズマ、本当に君って男は……」
「ヒュー!ヒュー!カズマさんはモテモテですね☆」
「あら?助けに行ったんじゃなく、夜這いをかけに行ったのかしら?」
そして、ダクネスが恥ずかしいそうにモジモジしてトドメを刺した。
「まぁ、夜這いと言っても……。深夜に私の部屋に押し入って、叫ぼうとした私の口を塞ぎ、ベッドに押し倒してのしかかって私のお腹をまさぐったぐらいだ」
ラウンド2!、レディ……ファイ!
「おい!大体合ってる、合ってるけども!」
「合ってんのかよ」
「羨ましい……」
「えっ?何か言った?ミツルギくん?」
「あっいや!なんでもないよ!?」
めぐみんは戦闘態勢を解いて、ドン引きしながら離れる。
「カズマがダクネスをいやらしい目で見ていたのは知ってますが、まさか手当り次第に手を出すとは思って居ませんでした。誰でもいいのですね、この男は!!」
はいカオス〜。
めぐみんに罵声を浴びせられるカズマを見てダクネスは勝ち誇った顔をする。すると、カズマはボソッと呟いた。
「お前が先に、一緒に大人にならないか?って誘ったクセに……」
カズマの反撃の言葉に全員が凍りついた。
「ダクネス様……狂ってますよ!」
「わぁ☆ララティーナちゃん大胆!」
「ちちちちがっ!違う!アレはアルダープのもとへ嫁にいくぐらいなら、それならもういっその事と……」
「おい、認めたぞ!コイツ今認めたぞ!、このビッチめ!」
「悲劇のヒロインぶって何を色気出してんですか!?、心配して損しましたよ!」
Booooooo!
メンバーにブーイングされるダクネスは慌てて弁解する。だがもう遅い
「待ってくれ!待ってくれ!……うぅぅぅ……」
めぐみんに杖でグリグリされるダクネスはカズマを睨みつけ、それとワァッ泣き始め逃げ惑い始めた。そして、ごった返してる最中、アナウンスが流れ始めた。
『ピンポンパンポーン♪お呼び出し致します。Adventuresの皆さん、Adventuresの皆さん、至急冒険者ギルドに集まって下さい──繰り返します。Adventuresの──』
アナウンスを聞いたメンバーがピタッと止まった。
「呼び出し?なんだろうな?」
「よし、ウィズがいないけど、このまま皆で行くぞ?」
ウィズを除くAdventuresは冒険者ギルドに向かった。
────────────────────────
冒険者ギルドに辿り着いたメンバーはルナから詳しい話を聞いていた。ルナに慌てた様子は無く、落ち着いていた。
何事?
「ルナさん、どうしたんですか?クエストですか?」
「いえ、Adventuresの皆さんにお会いしたいと申してる方がいまして」
「会いたい人?誰かしらね?アクシズ教に入りたいのかしら?」
「それはねぇだろ」
ミツルギは不思議な顔をして首を傾げならルナに尋ねる。
「それで?その人は何処にいるのですか?」
「その方でしたら、街の正門で待っていると仰ってましたよ?」
何者だろうか?とにかく会って見ないとな
「兎に角会ってからだな、もしかしたらAdventuresに入りたいのかも知んないし?」
「可能性はありますねぇ」
「新メンバーですか?ヤバイですね☆」
「使える人なら良いんだけどね?」
そのまま俺達は、街の正門に向かった。するとそこには、草原の中にポツンと老紳士が1人立っていた。俺はとりあえず声を掛けた。
「すいません、お待たせしました、Adventuresの者ですが?」
老紳士は振り向き、答えた。
「お待ちしておりましたよ?Adventuresの皆さん、その鎧を見ると、あなたが鋼のリュウジさんですか?」
「はい、そうですが?何か御用ですか?」
老紳士は帽子を取り、紳士的な挨拶をして頭を下げた。
「申し遅れました。私の名前はダニエル。魔王軍幹部候補の1人です」
「「!?」」
メンバーは咄嗟に武器を構え、俺は咄嗟に距離を取った。
「おいおい、魔王軍幹部候補が俺達を呼び出したってのか?」
「その、魔王軍が何の用だ?」
俺とミツルギが問いかけようとした時、ダニエルは腰に下げていたハンマーを手にして、空に掲げ始めると、雲行きが怪しくなり、雷が鳴り始めた。
「それはですね?………唸れ!稲妻!」
幾重の巨大な雷がメンバーに向かって落ち始めた。メンバーは吹き飛ばされた。カズマは慌てふためき始めた。
「なっなんだ!?いきなり雷が!?」
「俺と同じ雷系魔法か?『カースド・ライトニング』!!」
俺は咄嗟にダニエルに向けてカースド・ライトニングを放った。だが、ダニエルの持つハンマーからも雷が放たれ、雷のぶつかり合いになった。
「ぐうっ!今だ!ミツルギ!メリッサ!マリュー!ゆんゆん!ペコリーヌ!行けっ!」
「分かった!メリッサ!奴をバインドで動きを!ゆんゆんは単独でライトオブセイバーを」
「任せなさい、『バインド』!!」
「うん!『ライトオブセイバー』!!」
「マリューさん!わたしと一緒に!」
「えぇ!ペコリーヌ様!はぁぁぁっ!」
俺がダニエルを抑えてる隙に、ミツルギ、ペコリーヌ、マリュー、ゆんゆんが四角形の形に囲い、メリッサが接近して『バインド』を放った。
「4人とも今よ!」
「「「「はぁぁぁっ!」」」」
ミツルギ達が向かって行くのを確認したカズマは、自分のパーティーメンバーに指示を出す。
「この隙に、めぐみん!爆裂魔法の準備だ!」
「分かりました!ダクネス、その間守りをお願いします!」
「任せろ!」
「カズマカズマ、私は?」
「余計な事するから体育座り」
「分かったわ!」
アクアは下がってカズマの隣で体育座りをして、ダクネスは剣を構えてめぐみんの防衛に徹する。
バインドに捕らわれたダニエルは簡単にバインドを引きちぎり、カースド・ライトニングを打ち消したが、ゆんゆんのライトオブセイバーと他の3人の攻撃をまともに直撃し、衝撃で土煙が上がった。
「やったか!?」
「お前フラグ的なこと言うなよ!」
あっ……。
案の定、土煙が晴れた瞬間、ペコリーヌ達がぶっ飛ばされて来て、俺は受け止める体勢を取る。
「「「きゃぁぁぁぁ!」」」
「おっと!ペコリーヌ、マリュー大丈夫かっ!?」
「はい、なんとか……」
「あいたた……あの人硬いですね、剣が刺さりませんでした」
「ミツルギくん!大丈夫!?」
「ああ、アイツ、人間じゃないのか!?」
ダニエルはため息を吐き、余裕の顔をしながらハンマーを腰に下げる。
「やれやれ、Adventuresの実力はこんなものでしたか…なんだか拍子抜けしましたね、今日はほんの挨拶代わりなので今回は引き上げましょう」
シックなスーツを着こなしていたダニエルはホコリを払い、帰ろうとした。
「おい、こんだけ仲間痛め付けといて、帰れると思うなよ?」
俺は一瞬で距離を詰めてブンと音を立てながら拳をダニエルに向けて撃ったが、片手で止められた。
嘘だろ……!?
「なっ!?俺の拳を!?」
「あなたはウチの”エース”に任せてあるので手は出しません、では、皆さん、精々強くなって来てくださいね?私は【エルロードにある高級ホテル】でお待ちしてま────」
ダニエルはそう言い残し姿を消そうとした瞬間、空に赤い魔法陣が展開された。隙を見せた所をカズマは逃す事無くめぐみんに指示を出した。当然ダニエルの近くにいた俺達は巻き込まれんと蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。
「皆逃げろぉぉぉぉ!」
「なっ!?いつの間に!?」
「めくみん!今だ!」
「行きます!『エクスプロージョン』!!」
ズガーーーーーーーーン!
めくみんのエクスプロージョンがダニエルに直撃し、ダニエルはクレーターに埋もれた。
流石にコレは効いただろ!!
俺達は再び1ヶ所に固まり、武器を構えて警戒を緩めなかった。ここに来てアクアがポロッと呟いた。
「ようやく片付いたわね!さっ!みんな帰りましょ?」
「お前はホントに……」
「ホント良い子にしてくれ、どうしてフラグ的な事言うんだ!?」
俺とカズマが注意を促すと、クレーターから何事も無かったの様にダニエルが上がって来た。俺、カズマ、ミツルギはゾッと青ざめる。
あのエクスプロージョンを食らって……立ってるだと……?
ダニエルはホコリを被った帽子をパンパンと払い、かぶり直した。
「素敵なお嬢さんのエクスプロージョンはまぁまぁ効きましたね、いやはや油断しましたよ、では?今日は失礼しますね?」
ダニエルはそのまま姿を消して行った。俺達は……完全に負けた。