感謝祭の準備が順調に進んでいった平和の日々、クリス達と共にエリス教の教会の掃除をしていると、ヒソヒソとクリスに声を掛けられた。俺は屈んでクリスに耳を貸した。
「リュウジリュウジ」
「ん?なんだ?」
「神器の回収の件なんだけどさ、今夜決行するから」
「えー?急過ぎない?」
「感謝祭が始まっちゃったら抜け出すの大変でしょ?だからさ」
はぁ…けどなぁ、聖鎧アイギスかぁ…どんな鎧なんだろ?
「まぁいいや、カズマに伝えてんの?」
「うん、時間指定は助手くんが決めてさ。かなり夜中見たいだから、寝過ごさない様にって金獅子くんに伝えてくれる?ってか金獅子くんは今どこにいるの?」
クリスは俺をジト目で見つめてくる。
いや目の前にいるだろ
「今は多分王都じゃないか?後で王都に行ってくるよ」
「ふーん、あのさ?前から気になってるんだけど、毎回どうやって連絡とってるの?手紙?それとも会話が出来る魔道具でも持ってるの?」
うぉ…今日は追求してくるな、そりゃ気になるか
俺はこの展開を予測していた為、嘘は考えていた。平然とした顔をしてクリスに説明する。
「鳩だよ鳩、伝書鳩!王都に住まわせてる鳩でやり取りしてんの」
「ふーん……」
うわ〜あの顔はかなり疑ってるよ、ここは強気で行かねぇとバレるな
「随分気になるんだな、どうした?金獅子にでも惚れたか?」
「ちっちがうよ!ちょっと確認したい事があるだけだよ!いきなり何言い出すんだよ!」
「いつもなら引き下がるのに今日はグイグイ来るからさ?もしかして?と思ってね?違うの?」
「違うよ!まったく」
クリスはブツブツ言い頬を膨らませながら飾り付けを続ける。
ホッ……誤魔化せた様だな…、金獅子の装備を知ってるのはペコリーヌだけだから大丈夫だと思うけど……念の為口封じして置くか。
その後、教会の掃除を終えたその日の夜、俺達は家で晩御飯を食べ終わり、囲炉裏の周りでくつろいでいると、クリスが動き始めた。どうやら支度をするつもりらしい。
時間も丁度いいし、俺も準備するか
バタバタと動き始めた俺とクリスを見ていたペコリーヌは首を傾げて俺の行動を目で追っていた。マリューは悟ったのか、洗い物を始める。
「俺ちょっと王都に行ってくるから、朝までには帰って来るから」
「分かりました、ペコリーヌ様、お風呂お先にどーぞ?」
「あっはい、分かりました♪お着替え持って来ますね!」
俺は自分の部屋に戻って金獅子の装備を取ろうとした時、ドアがノックされた。
コンコン。リュウジくん?入りますね?
ん?ペコリーヌ?
「ん?ああ、どーぞ?」
「失礼しまーす、リュウジくん、どうして王都へ行くんですか?」
「え?いや、ちょっと野暮用でね?」
「野暮用ですか……?」
「うん、忙しいから後でいい?」
俺が服を脱いで着替えようとしてもペコリーヌは部屋から出て行かなかった。それどころか、ドアに鍵をかけた。
え?まだ食い付いてくるの!?
ペコリーヌはドアに寄り掛かりながらクスクスと笑った。俺はたまらずツッコミを入れる
「ちょ!着替えるんだってば!」
「えへへ……金獅子さんになるんですか?」
ドクンと俺の心臓が鳴り響く。
「なっなんの事?」
「クリスちゃんはもう出掛けてますし、鍵をかけたので大丈夫ですよ♪こう見えてわたし結構口が硬いんです☆」
やっぱりバレてたか、仕方ない
俺はため息を吐いてペコリーヌに尋ねた。
「はぁ……いつから気付いてたの?」
「それはですねぇ、森での一件でリュウジくんが眠っている時に、王都の騒ぎの新聞に目を通したら、リュウジくんが身に付けてる鎧と全く同じだったのでピンと来たんです。けど、リュウジくんは何も話してくれないので隠してるんだろうなって思ってたので今まで黙ってました!」
やっぱりあの時か…まぁ、バレない方がおかしいんだよな
「出来れば他の皆には内緒にしてて欲しいんだけど……?」
「いいですよ?」
「ホッ……良かった」
俺が胸を撫でおろすと、ペコリーヌはズビシィ!と俺に指を指さして来た。
「その代わり条件があります!」
「じょ条件……?」
ここに来て人の弱みにつけこんで来やがった!まぁ、食べ物でも与えとけば問題ねぇか。
「良いよ?何が望み?」
「それはですねぇ〜、わたしと一緒にごはんを食べに行きませんか?」
「え?それだけ?」
「はい☆ダメですか?」
ペコリーヌは指をツンツンと合せながら上目遣いで見つめる。
なんだ、高難易度の食材を求められるかと思った……。
俺はベットに座り、答えた。
「それくらいならお易い御用だよ?むしろ、そのうち誘って行くつもりだったし?」
「ホントですか!?ヒューヒュー♪太っ腹ですねぇ☆」
「それとさ、2人で行く前に、感謝祭が終わったらウィズと一緒に美味しい所にでも行かない?」
ペコリーヌはウィズが誰の事か分からないらしく、首を傾げた。
「ウィズさん?はて?誰の事でしょうか?」
「ちょっと前にカズマの家で死にかけてた人居たでしょ?」
「あっ!その人ですか!?」
「うん、どう?ダメ?」
「そんな事ないですよ☆約束ですからね?」
ペコリーヌは俺に向けて小指を向けて来た、恐らく指切りげんまんをしたいのだろう。俺はペコリーヌの小指に小指をかけた。
「「ゆーびきりげんまん、嘘ついたら針千本のーます、指切った♪」」
「コレで良い?」
「はい☆良いですよ♪んじゃ、楽しみにしてますね☆」
そう言い残すとペコリーヌは鍵を開けて部屋から出て行った。俺は金獅子に着替えてリビングに入り玄関に向かう。それを目の当たりにしたマリューは紅茶を吹き出しむせ始めた。
「ブフォッ!ちょっとリュウジ様!?ペコリーヌ様が!」
「おぉー、森の時より綺麗ですね!カッコイイですよ♪」
「えっ!?ペコリーヌ様も知ってるんですか!?」
マリューはズンズンと俺を壁に追い詰め問いただす。
ふぇぇ……こっ怖い
「オラァ、クソ魔王、少しは男見せろよ…何正体バラしてんすか?」
「ちょ待て待て、ペコリーヌにはエルフの森の時からとっくの昔にバレてたんだよ、けどペコリーヌは気を使って黙っててくれたんだってよ」
「えぇ!?そんなに前からですか!?ペコリーヌ様ホントですか!?」
マリューはペコリーヌに尋ねると、ペコリーヌは笑いながら答えた。
「はい♪やばいですね☆」
「はぁ……って事はこの家で知らないのはクリス様だけですか?」
「そうなるね」
「隠してて良いんですか?クリスちゃんに?」
ペコリーヌは心配そうに手甲足甲をつける俺を見つめた。だけど、俺は迷わず答えた。
「うん、ずっと隠してるよ、神器の回収は今回で最後だしな、最後まで隠し通すさ」
「そうですか……」
「あとで痛い目にあっても知りませんからね?」
2人に言われながらも支度を整えた俺はドアに手をかけてペコリーヌ達に挨拶をした。
「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」
「はーい♪行ってらっしゃい☆」
「くれぐれも問題は起こさないで下さいよ?」
フラグを立てないでください!
俺はいつも通り支援魔法と『セイクリッド・ヴァーサタイルエンターテイナー』を唱え、屋根を伝って待ち合わせの所に駆けて行った。
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時刻は深夜を回り、後2〜3時間もすれば夜が明ける頃。俺はカズマとクリスが待つ場所に辿り着いた。場所はアンダインという貴族の屋敷、俺達3人はアンダイン邸の前に立っていた。
「ふぁ〜、ねぇ助手君、どうしてこんな時間なの?」
「人間この時間帯が深く眠りに付いている時間帯なんですよ、眠ってすぐだと眠りが浅くてちょっとした物音で目が覚めるもんなんです」
「ほぅ、随分詳しいではないか?サトウカズマは盗人出身なのか?」
すると、カズマはチッチッチッと指を振って否定した。
「違いますよ金獅子さん、日本で家族と暮らしてた頃、こっそり飯とか取りに下りるのはこの時間帯がベストだっただけです。これは、俺の日々の生活で培った知恵ですよ」
「そっそうか……難儀な事をしていたのだな」
まぁ気持ちは分からなくもないけど……俺も友達から借りたエロビデオ見る時とかよく夜中に茶の間で見てたし?
今の俺達はサトウカズマとクリス、鋼のリュウジでは無く金獅子・銀髮盗賊団の連合チーム、助っ人とお頭と助手だ。
今夜の天気は曇り、侵入には持ってこいのコンディションだ。俺はこの屋敷の下見をしてたカズマを見ると、背中には何故か大きな荷物を背負っていた。
なに?その荷物?何を持って来たの!?
「もうキミには何も言わないよ。うん、諦めた……それより、その大荷物は何なのさ?その風呂敷の中には何が入ってるの?」
「我も気になっていた。一体何が入ってるのだ?」
「気になる?2人とも気になっちゃう?」
そう言いながらカズマは風呂敷から何かを取り出した。それは日本でよく宅急便とか、ワレモノ注意の中に入ってる「プチプチ」だった。前々から作成していて、何故持って来たかと言うと、その理由は鎧を運ぶ時に音が出ないようにとの事、なんという用意周到。クリスは感心したように目を見開いていた。
「なるほどねぇ……助手くん、それって日本にあったプチプチでしょ?潰して遊ぶと楽しいやつ。あのさ?ちょっとだけ……」
「おお……これはなんと繊細な作り……我も少し……」
「ダメですよ、これ作るの苦労したんですから。それよりさっさと行きましょう」
闇夜に紛れて俺達は屋敷の敷地に入った。
王都の城に比べれば今回は簡単だな、クリスが言うにはアンダイン家は貴族と言ってもダクネスやシュナイダー程の大きな家柄では無いようだ。入り口に見張りもいなかったし、もしかして正直中の警備も手薄なのだろうか?
俺とカズマは千里眼スキルの暗視能力を活かして壁に張り付いた。するとカズマはクリスに尋ねる。
「そういや気になったんですが、お頭やリュウジは女神や魔王なんですし、アクア見たいな暗視能力持ってないんですか?」
「この体は地上での仮の姿だからね。それにリュウジはこの世界に入った時にあたしが人間に戻して邪悪な力は消滅させたしね?。先輩見たいに直接降りて来たわけじゃないからあたし達は、悪魔やアンデッドの正体を見通す目もなければ、邪悪な気配を感知する事も出来ないの。とてつもない殺気とか魔力は感じ取れるけどね?その代わりに、邪悪なオーラや女神オーラも出ないからアンデッドにたかられる心配はないよ?」
「へぇ〜、ならなんでリュウジはクリスの正体を見破ったんですかね?」
クリスは恥ずかしそうに頬をポリポリかいた。
それはアレだよ、見た目めっちゃ似てるからだよ
「あはは…なんか見た目で分かった見たいだよ?助手くんの方が見てる回数多いんだけどね〜?」
「あう……そう言われると……もういいです。それじゃ気を取り直してお頭、手を握って下さいね?俺が先導しますから」
「あっお構いなく、金獅子くんのマフラーを握ってるから」
「きっ貴様!?いつの間に!?やめろ!」
グイグイと俺は引っ張るが、クリスは離そうとしなかった。カズマは呆れながら引き離そうとする。
「ほら金獅子さんも困ってるじゃないですか、ここは俺で我慢しときましょうよ?一瞬の油断が命取り。王城の時に比べて舐めてると痛い目に合いますよ?だからホラ!手を……」
「佐藤和真さん、私へのセクハラ行為を働くと魔王と女神から強烈な呪いと天罰が下りますよ?その日の気分で決められる呪いを初めとする、急な腹痛、トイレに駆け込もうとしたら先客がいたり、間に合ったとしてもトイレットペーパーが切れてたりとか?」
「すいません、調子に乗りました……許してつかぁさい」
うん、アクアのしょぼい天罰に比べれば俺達の呪いと天罰はかなりやばいと思う。
カズマは震えながら先頭をきって進み出した。そのまま屋敷の裏口へと回り込んだ。
「お頭、金獅子さん、このまま堂々と行きましょう。見張りがいない事ですし、罠発見スキルと解錠スキルで問題なく行けます!それより問題は神器を盗んだ後ですね。プチプチでどれだけ音を消せるか……」
「確かに、神器の大きさがよく分からんからな…包み込めるか?」
「まぁその辺は助手君のアイテムを信じるよ。いざとなれば城の時見たいに強行突破すればいいじゃん!」
「ふむ、あの時のサトウカズマは頼りになったからな、期待してるぞ?」
クリスはあの時の頃を思い出したのか楽しそうに話をしながら解錠していた。
「ねぇ、助手くん、その仮面のお店ってウィズさんのお店?」
「そうですよ?お頭も何度もリュウジと行ってるじゃないですか、けど、お頭はアクア見たいに喧嘩なんかしませんよね?」
「しないよ!喧嘩なんて!まったくもう、先輩は誰とでも喧嘩するんだなぁ……」
大丈夫かなぁ、ウィズはリッチーだし、バニルは悪魔だし、取っ組み合いの殴り合いの喧嘩にならないかな?
「あっ、開いた!それじゃ行こっか!2人とも!」
「うす!お頭」
「今度はヘマをするなよ?」
遂に屋敷の中に入る。アンダインの屋敷内はやはり見回りは居なかった。クリスの宝感知スキルを使い、反応があった方向に進んでいるのだが…。
「銀髪、いちいち止まるな、今は神器に集中しろ」
「ホントですよ、神器だけ頂いてとっとと帰って寝ましょうよ、リュウジが待ってますよ?」
「うっうん、それは分かってるよ。これ1つでどれだけの子供達が助かるんだろうって考えるとつい……」
「そうですけど、あんまりリュウジを心配かけると……」
「うっうん……今何してんだろうなぁ…、寝てるかなぁ?」
何かを思い出したのか、急にカズマが立ち止まった。俺とクリスが首を傾げる。
「どうしたのだ?サトウカズマ?」
「助手君?」
「あの、俺が初めてリュウジと会ってた頃、お頭とリュウジ喧嘩してましたよね?添い寝がどーとか?」
クリスもあの時の事を思い出したのか、ビクッとして立ち止まった。
「だとしたらリュウジはエリス様と毎晩……」
「寝てないから!たまに一緒に寝るけど、毎晩じゃないから!」
「おっおい、2人とも落ち着け!どうした急に!?静かにしろ!」
やめろ!それ以上カズマを刺激するなぁ!それに恥ずかしいから止めて!
カズマはしゃがみこんでブツブツ喋り出す。
「落ち着いてなんからんないっすよ、魔王が女神がひとつ屋根の下で暮らして一緒に寝てるとかなんなんですか?こちとら使えない駄女神、頭のおかしい紅魔族、変態貴族の御令嬢……あーあ、やる気無くすわ」
うわぁ、コイツこんな時に拗ねやがった!!
俺とクリスは近付いて拗ねるカズマに語りかける。
「まぁ聞け、サトウカズマ、これは鋼のリュウジが愚痴をポロッとこぼした事なんだがな?状況的にはお前と同じ様だぞ?食費のかかるエルフの王女、帰ってこない不良盗賊、凶暴な熊、仕事を押し付ける検察官、毎日気が気じゃないらしいぞ?」
「ステータスなんかどうでもいいんすよ、王道的ヒロインのエリス様が別世界の魔王と一緒にいるのが納得いかないンすよ」
「それは仕方ないよ、リュウジは助手くんと先輩の尻拭いに来たんだから、先輩やキミに振り回されて悩まされてるあたしの気持ちも考えてよ」
そう言われると何も言い返せなくなったカズマは立ち上がった。
「はぁ……リュウジが羨ましい……」
「先輩を筆頭にキミにはめぐみんやダクネスがいるじゃん」
「うっ……」
「ほら、つべこべ言わずに進むよ?ホラ立って!」
クリスはカズマに喝をいれて立ち直らせた。先に進んだその後、隠し扉を見つけ、中に入ると部屋の真ん中には、封印されているかのように鎖で拘束されており、継ぎ目が見当たらない白銀色の鎧があった。
俺は生唾を飲みそれを見つめる。
「これが……聖鎧」
「うん、そうだよ金獅子くん。これこそが聖鎧アイギス。この世界で最高峰の鎧でもあり、これを身につける者に勝利をもたらすと言われる神器だよ」
めちゃくちゃカッコイイんですけど!?
俺達は鎧に近付き、改めて鎧を見る。
「あちこち傷があるな」
「そうだね……魔王軍相手にずっとご主人様を守り続けて来た鎧だしね。知ってる限りではこの鎧の持ち主は最後まで生き残ってたんだよ。ご主人様が亡くなるまでよく頑張ったね……」
クリスは鎧を優しく撫でながら微笑んだ。
それを他所に俺は興奮していた。
着たい、めちゃくちゃ着たい、コレ着て大暴れしたい!
そんな気持ちを抱いているその時……。
《コラ坊主、気安く俺に触ってんじゃねぇよ》
「「「……は?」」」
突如響き渡った男の声。クリスは聞こえた方向を向いてアイギスに尋ねた。
「えっ!?ぼっ坊主……?あたしの事!?今キミが喋ったの?」
《ん?なんだお前、坊主じゃねぇのか?ならもうちょい触ってていいぞ?、では改めて……初めましてだ御三方。俺の名は聖鎧アイギス。歌って踊れるハイブリッドな神器さ。アイギスさんと呼んでくれ》
「なんだ、コイツ話せるのか?」
「うん、金獅子くん、そう見たいだね」
《なんだよ、そこの2人、驚かねぇのか?喋る鎧だぞ?》
別に?こちとら魔力分析、飛行能力、念話機能も付いてたしな?
クリスもあまり驚かずにアイギスと話し始めた。
「えーっと、アイギス」
《黙れ小僧!アイギスさんだって言ってんだろ?》
「小僧じゃないよ!女の子だよ!なんで神器のクセにそんなに態度デカいのさ!」
「銀髪落ち着け!安い挑発に乗る……な!……ブッ」
「まぁまぁお頭、夜な夜な侵入してるんですから、喧嘩してる場合じゃないですよ!……ブフッ」
笑いを堪えながら俺とカズマは鎧の胸元をポコポコと叩き喧嘩を始めた女神を押さえた。キレやすい女神は落ち着きを取り戻し、真顔になる。
「そうだった…ふー。アイギスさん。あたし達が侵入して来た理由─」
《うるせー、どーせまた新しい持ち主用意してやるから戦えってんだろ?ヤダよ、バッカじゃねーの?俺にだってダメージあんだぞ?このボディにだって傷付くんだぞ?なんなの?人権侵害じゃねぇかバーカ。あっ、ちなみに俺、女剣士しか受け付けないから》
すっげえ口悪ぃな……クリスが口喧嘩で押されてんじゃねぇか。俺もこんな鎧お断りだな、根本的に本人が嫌がってるし
「そこを何とか…男ですけど、あたしが自信を持って推薦する人が」
《無理無理、男は断固拒否だから……おい、そこの黒ずくめの小僧、さっきから何ゴソゴソしてんだ?》
俺とクリスが見ると、カズマはプチプチを取り出して段取りよく準備を始め、アイギスは俺達に尋ねて来た。
《その前、お前ら誰?なんかさっき「侵入」とか単語聞こえて来たんだけど?》
俺はアイギスの前に立ち、アイギスの質問に答えた。
「そう、我らは侵入者。貴殿を持って帰ってやって鋼のリュウジに渡してやる、奴に渡せば貴様の希望が叶うぞ?」
「あっ!そうだよ!ペコリーヌ!そういえばペコリーヌ剣士にジョブチェンジしたんじゃん!」
「そーだった!そうと決まればお頭!急ぎましょう!」
鎖に手を掛けたその時。アイギスは大声で叫び始めた。
《キャァァァ!人さらいー!誰かー!誰かー!》
「「「お前は鎧だろ!」」」
3人同時に同じ言葉を叫んだ。
ようやく登場アイギスさん!ちなみに、祭り前に淫夢編再開させます。