※この作品はR-18です。

この元魔王に素晴らしい祝福を!改訂版   作:ボトルキャプテン

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64 黒き夜の疾風

ゾンビがやってくると、ナイスバディな女性に変身してる俺に「あ゛ーあ゛ー」と言いながらベタベタ体を触って来た。明らかにあ゛ーの後にムフーって荒い鼻息の呼吸が聞こえて来る。

 

これか、ってかもう現行犯じゃん。けど、もう少し証拠が欲しいな、ちょっと泳がせてみるか。

 

そう考えた俺は艶っぽい声を出して少し抵抗して見た。

 

「んんっ!やっやだ……やめてよぉ」

「あ゛ぁ゛っ!?ンフ〜!たまんねぇ……」

「おっおい、演技しろよバレちまうだろ!?」

「やっやらぁ〜触らないでぉー!」

 

俺の声が聞こえて来たのか、他のゾンビがゾロゾロと集まり出した。

 

そろそろ良いかな?

 

俺が女性の変身を解こうとしたその時、奥から女性の声が聞こえて来た。

 

「ちょっとちょっと!あんた達何してんのよ!その子を離しなさい!張り倒すわよ!?」

「あぁ!?あーうー」

「えっ?」

 

後ろを振り返ると、リーンがクリプトナイトの杖をブンブン振り回しながらアクシズ教のゾンビを追い払おうとしていた。だが、アクシズ教のゾンビ達はリーンを無視して俺の体をまさぐり続ける。リーンはプルプル震え始め、杖を構えた。

 

「いい加減……しなさい!『ブレードオブ……』」

「えっちょ!」

「『ウィンド!』」

 

ブワァァ!と凄まじい竜巻が起こり、お化け屋敷のセットを破壊吹き飛ばした。ゾンビ達は外まで吹き飛ばされ、お化け屋敷も風魔法で壊され、リーン目掛けて崩れて来るセットを支えるので必死だった。

 

「うごぉぉぉ!?」

「あっ!ごめんなさい!お姉さん、大丈夫ですか!?」

「リーン、俺だよ俺!」

 

ドロンと変身を解き、金獅子の姿に戻った俺を見たリーンは大騒ぎをし始めた。

 

「えぇ!?リュウジ!?なんでこんな所にいるのよ!?」

「声大きいよ!静かにしてよ、外なんだから!他の人に聞かれたらどーすんだよ!」

「あっごめん……大丈夫?」

 

セットを支える俺に心配そうにグイグイと間近に迫るリーン。

 

あっあの、淫夢の後だからちょっと……すいません、顔近いです。

 

「えっいや、あの……大丈夫」

「ねぇ?なんで顔をぷいっとするのよ、こっち見なさいよ!」

「いや、ちょっと……」

「何よ!あたしが何したって言うのよ!」

 

何したってより、してしまったって方が正しいですね。

 

「そっそれより、早く出てくれませんかね?重いんですよ」

「え?あっごめん!すぐ出るね!」

 

リーンはパタパタと壊れたお化け屋敷を脱出し、俺は支えていた瓦礫を退かし、外へ脱出した。外には警察が集まって来ており、大騒ぎになっていた。

 

「はぁ、はぁ、えらい目にあった」

「あんた、こんな所で何してたの?」

「え?このお化け屋敷で痴漢被害が出てるって言う報告を受けたから潜入捜査してたんだよ、まぁでも証拠も十分だし逮捕……する……あれ?」

 

俺が辺りを見回すと、先程吹き飛ばされたアクシズ教徒達は姿を消していた。

 

「あー逃げちゃった見たいだね」

「見たいだねじゃない!なんて事をしてくれたのだ!?」

「そういう事言うの!?あんたこそ紛らわしい事してるからよ!」

 

ギャイギャイとリーンと揉めていると駆け付けた警官に宥められる。

 

「まぁまぁ、金獅子さん落ち着いて下さい、数名は検挙出来たのでここは穏便に……」

「ほら〜結果オーライじゃない!」

「ふっふぐぅ……」

「御協力ありがとうございました。後は我々が引き継ぎますので、金獅子さんはゆっくり休んで下さい」

「かたじけない、では……失礼する」

 

そう警官に言い放ち、俺はシュッと姿を消し、夜の街へ駆けて行った。

 

「んじゃ、あたしも帰ろーかな」

 

リーンもクリプトナイトの杖でポンポンと肩を叩きながら歩き始め、警官に促される。

 

「君もそうした方がいい、今夜は物騒だからな」

「え?どういう事ですか?」

 

リーンは振り向き、警官に尋ねる。警官はアクシズ教徒に手錠を掛けながらリーンの質問に答えた。

 

「どうやら、最近金獅子さんの様に王都で噂になってる『黒き夜の疾風』という身元不明の冒険者がこのアクセルの街に潜伏していると聞いた。だからあまりやんちゃせずに今夜は帰る事を勧めるぞ?」

「へぇ〜そうなんですね、分かりました!」

 

そう言いながらその場を退散した。俺はと言うと、すこし離れた所でこっそり休憩していると、リーンと合流した。

 

「ごめんね?仕事の邪魔しちゃって」

「いいよ、数人逮捕出来たから、それよりなんでリーンこそあんな所に?」

「あたし?普通にお化け屋敷を楽しもうとしてただけなんだよね〜、あたしも少しお尻触られたし?犯人とっ捕まえようとしたら、そこにリュウジが集られていたって訳」

 

そういう事だったのね、リーンスタイル良いからなぁ……クビレがまたエロいんだよ

 

「そうだったのか、そう言えばダストやキースは?一緒じゃないの?」

「あの2人はなんか、「女の子禁制の所に行く」ってどっか言っちゃったよ」

 

ダスト達め、サキュバスの所に行きやがったな!?

 

リーンは木箱に座りながら退屈そうに呟き、足をパタパタさせる。

 

「なら、エルフの森の借りをここで返そうか?」

「えっ?良いの?仕事中でしょ?」

「いいよいいよ、俺にはコレがあるしね?」

 

そう言いながら俺は指パッチンをして『変身スキル』を発動させ、私服姿に変身した。

 

「あれ!?元に戻った!?」

「どう?便利でしょ?」

「へぇ〜!カズマと同じくリュウジも便利なスキル持ってるねぇ」

「んじゃ、2人で夜の祭りにしゃれこみますか?」

「うん♪そうしよ♪」

 

俺とリーンは商業区の出店に向かった。商業区はまだ大勢の人で賑わっていたので俺はリーンが転んだり、他の人にぶつからないようにガードしてあげた。

 

「ちょっとまだ混んでるな」

「うっうん、そうだね」

「おっと……そこ危ないから気を付けろよ?」

「あぅ……ありがと……ちょっとこっち見ないで」

 

そう伝えるとリーンの顔は真っ赤になり、顔をぷいっと逸らす

 

あっあれ?何コレ、甘酸っぱいんだけど!?なんか甘酸っぱい感じするんですけど!?

 

「リーン何か食べたい?」

「え?うーん……かき氷ってやつ食べたい」

「え?そんなんで良いの?」

「うん、あたし、なんかめちゃくちゃ暑いから!」

 

リーンは顔を手でパタパタ仰ぎながら誤魔化していた。その後、かき氷を買ってベンチに座りながらかき氷を食べ始めた。

 

「きー!頭がキーンとする!」

「あはは!よくある事だな、このシロップよく出来てるなぁ」

「ねぇねぇ、見て見て!べー!」

 

リーンはいたずらっ子の様に舌を出し始めた。リーンの舌は緑色になっていた。

 

何コレ、転生される前にはこんな漫画見てぇなシチュエーション出来なかったのに出来ちゃってるよ、やべーよ、この後絶対悪い事起きるパターンだよ!

 

その後、世間話をしながらかき氷を食べ、数分後にリーンはかき氷を食べ終わり、急に立ち上がり帰り支度を始めた。楽しい時間はあっという間に終わってしまった。

 

「あたし、そろそろ帰るね?」

「あっうん、送ろうか?」

「いいよいいよ、リュウジはまだ仕事が残ってるでしょ?これ以上あたしと一緒にいると、みんなに誤解されちゃいそうだしね?」

「うっうん、まぁ、そうだな……」

「けど楽しかったよ♪ありがとね♪んじゃ、また何かあったら声掛けてね!」

「うん、またな♪」

 

俺はリーンを見送り、感傷に浸りながら見回りに戻ろうとした時……バットタイミングでクリスに声を掛けられた。

 

「あっ!リュウジ!こんな所にいたの!?」

「ん?クリス、どうしたんだ?」

「大至急、金獅子くんを呼んで欲しいの!」

 

俺は首を傾げる。

 

「随分急だな、どうしたんだよ」

「急遽決めた事なんだけどね、アイギスにリベンジしようと思って!」

「はぁ……なるほどねぇ、分かった。今から探して来る、屋敷で待ってろ」

「了解、また後でね」

「おう、『テレポート』」

 

俺はテレポートで家に戻り、変身スキルを解除して時間を潰し始める。目薬を刺し直し頃合いを見てると、”炸裂魔法”が放たれたのが見えた。どうやら花火大会が始まったらしい。

 

花火綺麗だなぁ……。

 

しんみりとして俺は体育座りをしながら花火を眺めた。

 

────────────────────────

 

花火大会も終わり、日付が変わる時間帯に集合場所に辿り着くと、1人でポツンとクリスが待っていた。

 

あれ?カズマはまだ来ていないのか?

 

俺は着地して背後からクリスに声をかけた。

 

「銀髪」

「うわっ!びっくりしたぁ!金獅子くんお疲れ様」

「急に呼び出すな、我もこう見えて忙しいのだぞ?」

「ごめんなさい!リュウジは?」

「鋼のリュウジは我に代わってクエストを受けてもらっている」

「そっか、悪い事しちゃったね……」

「構わん、それで?サトウカズマはどうした?」

「それがね?まだ来てないんだよ〜」

 

はぁ?、まさかすっぽかしてんじゃねぇよな?

 

「仕方ない、暫く待つか」

「うん、そうだね。まぁ金獅子くんと話すいい機会だね!色々質問しちゃおうかな〜?」

 

クリスはクスクスと笑いながら近付いて来た。

 

「ねぇ?リュウジとは何処で知り合ったの?」

「なんだそんな事か?王都のクエストでモンスターを取り合ったのが初対面だったな」

「ふーん、んじゃ次は〜、金獅子くんは何歳?」

 

歳!?えっ歳!?え〜っと何歳設定なんだろ?

 

「にっ21だ」

「21なんだ〜へぇ〜」

 

クリスはジト目をしながら俺を見つめる。どうやら俺を探ってる様だ。

 

「そういう銀髪は何歳なのだ?見た目は若そうだが?」

「あたし?あたしは15歳だよ?一応」

15歳!?ギリギリ高校生って感じじゃん……うわぁ、俺犯罪じゃん。

この野郎、サバ読み過ぎだろ!やり返してやる!

 

俺はからかうようにクリスに質問返しをした。

 

「そっそうなのか?道理で若い筈だ、なら我からも質問なのだが、鋼のリュウジとは仲良くしてるのか?口説かれたりしてないか?」

「えっえぇ!?あたし達そっそんな仲じゃないよ!?」

 

あっあれ?思い切り否定されると思ったんだけどなぁ?

 

「そうなのか?なら恋仲ではないのだな?」

「こぉ!?恋仲!?そっそんな訳ないじゃん!ペコリーヌやマリューさんだっているのに、なる訳ないでしょ!」

 

脈ナシかぁ……ですよねぇ、女神ですもんね

 

「そうか……」

「え?なんで金獅子くんが落ち込むの?」

「いや、哀れな奴だなと思ってな……」

 

そうこうしてるうちに2時間が経過した。痺れを切らした俺とクリスはイラつきながら待っていると、ようやくカズマがやって来た。

 

「遅いよもう!なんだってこんなに時間掛かるのさ!」

「戯け者め、時間もろくに守れんのか!?」

「いや悪い、お頭と金獅子さん、実は出先にダクネスと色々あってさ。まさかこんな夜遅くに、あんな格好して部屋に来るとは思わなくて」

 

あんな格好!?どんな格好!?

 

プリプリ怒っていたクリスと俺は立ち止まる。

 

「えぇ!?」

「なんだと!?貴様……冗談であろう?」

「そっそうだよね?。またまたぁ、そんな適当な事を言って、あたしと金獅子くんの怒りを誤魔化さそうたってそうは行かないからね?意味深な事を言ってるけど、どうせ何も起こらなかったんでしょ〜?」

「臆病者のお前が一線を越えるわけがない、脅かしよって!」

「まぁ、2人の言う通り、確かに大した事は起こらなかったな。ダクネスにキスされたぐらいで」

「なんだ、そんな事か」

「はー!?」

 

俺を他所に冷静を装っていたクリスは素っ頓狂な声を出した。

 

お子様キッスくらいで騒ぐなよ、女神には刺激が強いのか?

 

「さて、理由も話したしとっとと行こうぜ?あんな事があったせいか知らないが、今夜はなんか調子が良いんだよ」

「そうか、なら頼りにしてるぞ?」

「いやいやいやいや!なんで2人ともそんな冷静にスっと行こうとしてんの!?見栄でしょ!?見栄張ってるんでしょ!?」

 

やたらとカズマにクリスは食ってかかる。

 

うるせぇなぁ、チューくらいで騒ぎやがって、中学生かよ

 

「ホントだってば!ならダクネスに聞けばいいだろ?しかしどうしたもんかね、企画倒れになったけど、めぐみんにも花火大会が終わったら2人きりで帰りましょうとか言われてたんだよ。お頭、金獅子さんどうしよう、俺もうすぐリュウジより先に大人の階段登りそう」

 

え?マジで!?それはダメだよ!!先越されたくないよ!

 

「マジでぇ!?えっそれって三角関係なの!?どっちを取るの!?」

「焦るなよお頭、コレはアレだよラノベ系主人公のパターンでハーレムを形成していく展開になるよコレは。あの2人は外見文句なしなんだけど、中身がヤベー奴じゃん?この調子だと、何かのきっかけでペコリーヌとかアオイとかでもフラグ立ちそうだし、結論を出すのは早いと思うんだよ。なぁ、金獅子さん、俺はどうすればいいと思う?」

 

いや知らねぇよ!てめぇで考えろよ

 

「いや……我に言われてもなぁ……」

「お頭……俺はどうすればいいと思──」

「死んじゃえばいいかなと思うよ?……でも驚きだよ、皆いつの間にそんな事に……」

「俺もだけど、お頭もうかうかしてるとリュウジ他の女に取られちまうぞ?良いんですか?」

「はっはぁー!?なんでここでリュウジが出てくるのさ!」

「え?もしかしてお頭、リュウジと何もしてないの?」

「してないよ!仮にもリュウジは魔王なんだよ!?女神と魔王がチューしたらアレだよ!大騒ぎだよ!……そういえば、リュウジも最近ペコリーヌやウィズさんやリーンちゃんとも仲良しだったな……はぁ……」

 

余程ショックだったのか、フラフラと歩き始める。カズマと俺はフラフラしながら付いてくるクリスを引き連れて屋敷を目指した。今夜は雲もなく綺麗な満月が昇っている。そして、アンダインの屋敷が見えてくると、以前侵入した裏口は完全に封鎖されており、正門には2人の見張りが立っていた。

 

「さてと、どうしようかね助手君、金獅子くん。屋敷は王城の様に広くない分、見張りが立てられていると侵入は難しいよ?」

「どうしたもんですかね〜、どうしましょうかね?」

「ここは、我が一瞬で距離を詰めて気を失わせる方法が──」

 

3人は少し離れた場所で悩んでいるとその時。

 

「あっあの、もしかして、そこにいるのは銀髪盗賊団と、金獅子の御三方ではありませんか?」

 

突然声を掛けれられ、3人は同時にバッと振り向いた。

 

「以前にも、王城でお会いしました、わたくし、あなた方3人のファンを自称しております、アークウィザードのめぐみんと申します」

 

めぐみん!?何故ここに!?

 

────────────────────────

 

「いやぁ、あたし達も有名人だねぇ!元はだけど金獅子くんは4億、あたし達には2億の懸賞金掛けられてたからねぇ!!」

「懸賞金を掛けられて得する物ではないだろ、何をはしゃいでいる!?」

「懸賞金を掛けられる程の盗賊段だなんて、本当に凄いですよ!金獅子さんもよく捕まりませんね!?。そう言えばお尋ねしたい事があるのですが、王女が危険な神器を所持していたからその身を守ろうと思っての所業だったのですか?」

 

あーネックレスの件のことか、確かに助ける為も含まれてるからな。

 

「そうだ我─」

「ああそうだ。我々は世に言う義賊、相手が王女だろうが庶民だろうが、が相手でも困ってる人がいるのならこの身を投じる覚悟だ。それが俺達『銀獅子仮面盗賊団』だっ!」

「ふわぁぁぁぁ!」

 

俺とクリスはカズマを引き離してヒソヒソと緊急会議を行った。

 

「貴様、あれ程仮面盗賊団は嫌だと駄々を捏ねた癖に何を言い出すのだ?随分かっこいい事を言うでは無いか、王城でヘマをした癖に」

「そうだよ助手君、銀獅子盗賊団じゃなかったの?ズルくない?」

「お頭も金獅子さん達こそ何なんですか!?混ぜるなとか言ってたじゃないですか!ならこの際全部混ぜてしまえば怖くないじゃないですか!」

 

ヒソヒソ囁き合う3人にめぐみんが問い掛けてくる。

 

「それで、御三方はこんな所で何をしているのですか?ここって貴族の家ですよね?あまりいい評判は聞かない……」

 

そう言ってめぐみんは、期待に満ちた目を向けて来る。3人は顔を見合わせて小さく頷いた。

 

「めぐみんと申したな?実はな、今から我らはこの屋敷にある鎧を狙っておる。その鎧は魔王を討伐するのには必要なのだ、だから我らは罪を犯してでもやらなくては行けないのだ」

「ふぁわぁぁぁぁぁー!ふわぁぁぁぁ!」

 

ヤダこの子ヒーローショーとかによく居る子になってるよ!目がキラッキラしてますよ!

 

「金獅子くんの言う通り、あたし達はこの屋敷に忍び込む。そして、魔王軍に対抗出来る切り札を手に入れる。もしキミが通報するなら止めないけれど、けど信じて欲しい、これは世界の為なんだよ!」

「信じます!信じますとも!通報なんてしません!……それでそのっ……代わりにお願いがあるのですが……」

 

何故か恥ずかしそうにモジついてるめぐみんは何かを取り出した。

 

「是非これを呼んで下さい!御三方がどれだけ格好良いか、どれだけ魅力的かを綴ったファンレターです!受け取って下さい!」

 

そう言っためぐみんはファンレターを差し出して来た。

 

あらまぁ、俺が受け取る訳にはいかないよなぁ?

 

「我は受け取れん、どちらか受け取ってやれ」

「ありがとう。この仕事が終わったら大事に読ませ──」

「ちょっと何やってんですかお頭、それは俺にくれたもんですよ!?」

 

クリスとカズマは手紙を巡って争い始めた、めぐみんは再び頭を下げる。

 

「受け取って頂いてありがとうございます。今日は花火大会後で約束があったのですがダメになってしまい落ち込んでたんですが、御三方に会えて少し元気が出ました」

 

そう言っためぐみんは無邪気な笑顔を浮かべる。

 

その後、めぐみんは別れを告げながら離れて行き、何度も振り返ったりしていた。

 

なんかカズマ帰して上げても良さそう……

 

「サトウカズマ、今日はもう帰っても良いぞ?」

「マジすか金獅子さん、俺も今そう思ってました。今夜帰ればめぐみんイベント発動しそうなんですけど!?」

「いやダメだよ、今日は色んな意味で侵入するのがベストなんだよ!ってかめぐみんイベントって何さ!?せめてダクネスかめぐみんのどっちかに絞りなよ!」

「お頭も帰ってリュウジイベント発動させた方がいいですよ?このままだとリュウジがウィズイベントやペコリーヌイベントや、リーンイベント発動させますよ?」

「だからイベントって何!?とにかく、ファンレターは仕事の後でジャンケンして決めよ!」

「そうっすね、とっととケリを付けましょう」

 

そう言って見張りをどうするか再び偵察していると、屋敷からもう1人出て来た。その1人も黒ずくめで顔を隠していた。

 

「おい、見張りが増えたぞ?」

「3人になろうが余裕ですよ、さっさと無力化しちゃいましょうよ。瞬殺しましょうか?」

「もしかしてキミも魔族なの?王城の時もテンション凄かったよね?」

「人間ですから、潜伏で近付き、壁に張り付いて行きましょう」

 

そう作戦を立てて近付いて行くと、2人の見張りは雑談をしている、俺は一番奥にいるのでよく聞こえなかった。すると、一番前にいたカズマが急に走り出して雑談している見張りに襲いかかった。

 

「『ダブルドレインタッチ』!!」

 

カズマは2人の見張りの口元に手で押さえていた。それを見たクリスは慌てる。

 

「助手くん!まだ1人残ってるよ!」

「あと1人っ!」

 

カズマは最後の1人の見張りにも襲いかかる。見張りも反応し、トンファー?の様な棒状の武器を抜いて戦闘態勢に入っていた。

 

「!?」

「『ドレインタッ──』」

 

顔の見えない見張りはカズマの手を避けて一瞬で回り込み、カズマの背中を攻撃した。

 

「『闇黒の曙光(よなかのよあけ)』」

 

ドスドスドス!とカズマを返り討ちにして吹っ飛ばした。慌てて俺とクリスは駆け寄る。

 

「助手くん!?」

「おいっ、大丈夫かっ!?なんだアイツは!?」

 

俺は背中の模造刀に手を掛け、構える。クリスに支えられながらカズマは警棒のお掛げか、直ぐに立ち上がった。

 

「いてて……アイツ強っ……」

「もしかして、最近噂になってる…『黒き夜の疾風』!?」

 

は?誰それ!?

 

「ここは我に任せろ、2人は先に進め!」

「すまねぇ、金獅子さん」

「ごめんね、先に行ってるよ!?」

 

ガキーン!

 

そう言って俺は『黒き夜の疾風』と呼ばれる人物と鍔迫り合いになってカズマ達を先に進ませた。

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