────その後、すぐに立ち上がって来た変態クルセイダーから鎧を着たまま潜伏を駆使して逃げ回り、なんとかダクネスを撒いたリュウジは再びウィズ姐さんの店に戻ってきた。
めんどくせぇ奴に目をつけられたもんだ……けどまだ彼女には魔法耐性を習わないと行けない……辛いがまた会わなきゃない…憂鬱だ……。今はウィズ姐さんから魔法を教えて貰うのが先だ。
「姐さん……戻りましたぁ……」
「あっリュウジさん!逃げ……戻ってきたんですね!」
ハッキリ逃げて来たんですか?って言えばいいのに……
「まぁなんとかなりました、話戻しますけど姐さん、俺魔法覚えたいんですよ、色々教えて貰えませんか?」
「良いですよ?魔法関係なら自信を持って教えれます!」
流石はアークウィザード、彼女こそThe魔法使いって思えるな……。
さてどんな魔法があるのやら……。
「姐さんはどんな魔法使えるんですか?」
「中級魔法から特殊魔法まで使えますよ?……リュウジさんに教えれますけど……」
ウィズは心配そうに俺を見つめる。
うん、何を言いたいのか大体分かる
「はい、スキルポイントがめちゃくちゃ足りないですよね〜」
「はい…ですが今からスキルポイントを貯めれば覚えられますよ!」
《前の世界とは大違いですね……色々覚えてたのに……》
ウィズは何かを感じ取ったのか、周りをキョロキョロし始めた。
えっ……まさか……魔竜の存在に気付いたのか!?
「あの、さっきも聞こえたんですが、今誰か喋りませんでした?」
「あっやっぱり気付いてたんですね、はい、俺の体の中にもう1つの魂が入ってます」
「え!?あの、人間……では無さそうですね……?」
「おおー!そこまで分かるんですね、流石はアンデッドの王様……、ほらマリュー?出て来いよ」
俺が魔竜を呼び出すと俺の体から魔竜の魂が出てきた。魔竜の魂は青白い火の玉の様になっており、ウィズに挨拶をした。
「初めましてウィズ様、私は魔竜と申します、今後はマリューとお呼びください、元はリュウジ様の鎧を務めていました!」
「あっ!マリューさんと言うんですね?初めまして!リッチーのウィズと申します!よろしくお願いいたします!」
ウィズはペコッと頭を下げた。
礼儀正しいなぁ……魔王軍の幹部にしとくのが勿体無い……。
ウィズは手をポンと叩いて俺に尋ねた。
「あっ!リュウジさん何かお飲みになりますか?」
「え?良いんですか?」
「はい!紅茶とコーヒーどちらがいいですか?」
「んじゃ〜コーヒーで!」
「はい!わかりました!」
ウィズは裏手に向かって行くと、ポットを持って来た。ポットの中にはコーヒーが入っており、カップに注いでくれた。
「どーぞ!召し上がって下さい!」
「でわ早速…頂きます…ズズ……」
俺はコーヒーの美味さに一瞬止まった。
え……バリくそ美味いんだけど……香りもめちゃくちゃ良いし……高級なコーヒ豆でも使ってんのかな……?
「姐さん!めっちゃ美味いですよ!」
「ホントですか!良かったです!」
「こんだけ美味けりゃこの店にもお客さん来るんじゃないっすか?」
「いえ、お客さんはあまり来ないですよ?」
微笑ましい笑顔でウィズは俺に答えた。
にこやかに言う話しじゃないんだけどな……いっそのこと喫茶店にすれば良いのに……。
俺が窓の外を見ると夕方を迎えていた。
あっもうこんな時間か……。
「そろそろ帰らなきゃなぁ……」
「あっもう帰りますか?」
「ない、あんまり長居するとお店に迷惑なので……」
「いえ、そんな事ないですよ!?」
そんなことを話していると店にガラの悪い男達が入って来た。
なんだコイツら?お客さんには見えないな……?
「ポンコツ店主〜いるかい?」
「あっ……借金取りさん……」
「店の借金、500万エリス……今日が期限ですぜ?」
「えっ……今日でしたか?」
「そうだよ、耳揃えて払ってもらおうか?」
「待って下さい!今月、今月まで待って下さい!」
穏やかな話じゃねぇな……助けるか……ウィズ姐さんには借りがあるしな、コーヒーもご馳走になったし……いっちょやるか。
借金取りはウィズの手を掴んで店から連れ出そうとしていた。
「払えないなら……サキュバスの喫茶店で稼いでもらうぜ!?」
「そっそんな!?待って下さい!」
「おい」
俺は借金取りの腕をガシッと掴んだ。
「なっなんだ!?てめぇ!!」
「姐さんを何処に連れてこうとしてんだ?」
俺はギリギリと腕を掴み始めた。
こんなひょろひょろな腕なんかへし折ってやろうか…?
「ぐぅあっ!はっはなせ!」
「たった500万だろ?今月末までに俺が払ってやるから今日は失せろ」
「リュウジさん!?何を言ってるのですか!?」
ウィズは慌てて俺を宥めた。
恩人には徹底的に恩返しをするのが俺のモットー、ましてや人間じゃないウィズ姐さんとはなにやら親近感があるしな。
「姐さん、店取られちゃいますよ?ならコーヒーのお礼に俺が稼げば良いだけの話ですよ、ちょっとこの人達と外でお話しして来ますね?」
「はっはなせよ!おい!」
俺は店の外に追い出して借金取り達を睨み付けた。
「俺が穏やかなウチにさっさと失せろ、ぶっとばすぞ?……」
「おっおい!お前らやっちまえ!」
「「おう!」」
借金取り達は俺を囲い始め、俺は両手をゴキゴキ鳴らせた。
「おら、かかって来いよチンピラ共……」
「「うおおおお!」」
俺は殴りかかって来た借金取りの拳を受け止め、そのまま投げ飛ばし、もう1人に右ストレート、もう1人には後ろ回し蹴りを繰り出して迎撃した。
「なんなんだ!てめぇわ!?」
「俺は…そうだな…鋼のリュウジと名乗って置こうか?」
「にっにげるぞ!覚えてろよ!」
借金取り達はよろよろと退散して行った。
けっ、クソ共が……さて500万エリスかぁ……どーしよ……
俺が悩んでるとウィズが恐る恐る店から出て来た。
「リュウジさん?大丈夫でしたか?」
「はい?大丈夫ですよ?」
「あの……/////ありがとうございます/////助かりました/////」
「いえ、騒いじゃってすいませんでした、そろそろ帰りますね?」
「あっあの!待って下さい!」
俺が帰ろうとした時、ウィズに引き止められた。
「はい?なんですか?」
「あの、お礼に何かさせて貰えませんか?」
「え?お礼ですか……?けど良いんですか?」
「はい、今夜はちょっと用事がありますけど、もし宜しければ明日お店お休みしますのでリュウジさんのお手伝いをさせて下さい!」
そこまでしてくれるのか、なら……クエストに付いてきて貰おうかな?
「んじゃ〜お言葉に甘えて、明日クエスト行きませんか?魔法も教えて貰いたいですし、良いですか?」
「お安い御用ですよ!マリューさんともお話ししたいですから!」
《ホントですか!ウィズ様!》
「良かったな、マリュー?」
《はい!友達が出来たような気持ちですよ!》
「良かったらマリューさん、私で良ければ友達になりますか?」
《良いんですか!?》
マリューはハイテンションで騒ぎ始めた。
滅多に聞かないなコイツのテンション高い声……そういえば夜用事があるって言ってたけど何するんだろ?聞いてみるか
「姐さん?今夜何かあるんですか?」
「大した事じゃないんですけど、墓地に行くんです、迷える魂達を天に還してあげたいんです!」
えっ墓地?魂を還す?
「なるほど、リッチーならではの仕事ですね、あの、ついて行って良いですか?」
「良いですよ?んじゃ夜になったらまたこの店に来てくださいね?」
「了解っす!んじゃ、また後で!」
「はい!お待ちしてます!」
俺は1度宿に戻り、食事を済ませた。
ーーーーー真夜中ーーーーー
俺は約束通り、ウィズの店にやってきた。ウィズは籠を手に持ち今か今かと俺を待っていた。
「姐さん!お待たせしました!」
「こんばんはリュウジさん、では行きますか?」
「うぃっす!行きましょう!」
街から外れた丘の上。そこには、お金の無い人や身寄りの無い人がまとめて埋葬される共同墓地がある。
この世界の埋葬方法は土葬の様だ。
「おお……なんかめちゃくちゃ落ち着くのは気の所為か?」
「うふふ………気の所為かと思いますよ?リュウジさんは今は人間なのですから」
「ですよね〜、これから何をするんですか?」
「見ててくださいね?」
ウィズは墓地の真ん中に立ち、魔法陣を展開させた。すると……ウィズの周りに青白い火の玉の様な物がホタルの光の様に集まりだした。
すごい……これが不死王の力か……青い光に照らされてるウィズ姐さんはとても綺麗だ……
「うふふ……楽しい?」
《リュウジ様……ウィズ様を見てると……とても落ち着きます……》
《そうなのか?魂だからじゃないのか?それにしても……》
俺が見とれていると……遠くから叫び声が聞こえて来た。
あ?なんか近付いてくるぞ?この声からすると……女か?
「あっーーーー!リッチーがノコノコこんな所に現れるとは不届きなっ!この私が成敗してやるわっ!」
「や、やめやめ、やめてええええええ!誰ですか!?いきなり現れて、なんで私の魔法陣を壊そうとするのですか!?やめて!やめてください!リュウジさぁぁん!助けてくださぁい!」
なんだなんだ!?暗くてよく見えないけど青い髪の毛の女が走って来てウィズ姐さんに突っ込んで行って魔法陣をゲシゲシと壊してるぞ!?止めなきゃ!!
「コラァァァァ!何やってんだテメェ!ウィズ姐さんから離れろ!」
「何よあんた!?ちょっと!離しなさいよ!」
「やかましい!今忙しいんだよ!なんだテメェ!?」
謎の女は俺に羽交い締めされてても暴れている。
あれ?こいつ……資料の奴に似てるな?
女は足を伸ばしてグリグリと魔法陣を消そうとしている。
「どうせこの妖しげな魔法陣でロクでもない事企んでるんでしょ、なによ、こんなもの!」
「やめて下さい!お願いします!この魔法陣は、未だ成仏できない迷える魂達を、天に還してあげる為の物です!ほら!?たくさんの魂達が魔法陣から空に昇って行くでしょう!?」
フワフワと青白い魂達は空に登って言っている。
なぜウィズ姐さんを苛めるんだ?訳が分からん。
「おいお前、ウィズ姐さんはモンスターじゃねぇぞ!?いい加減大人しくしねぇとテメェぶっ飛ばすぞ!?」
俺が謎の女にファイテングポーズを構えた。
「待ってくれぇ!そこの人ぉぉぉ!!」
俺は声を掛けられ、後ろを振り返った。
次回カズマ一行登場します!