このすばの推しキャラが変わりつつある……あるえが可愛い……
感謝祭も終わり打ち上げの翌日、クリスを相棒としては無く1人の女性として意識し始めた俺は二日酔い状態で昼過ぎに起きて俺は起き上がり早々頭を抑える。
「うーん……頭いてぇ……」
リビングに向かって歩いていると、クリスがパジャマ姿で風呂場から出て来た、突然の登場で俺は咄嗟に顔を逸らしてしまった。
「はよ〜昨日はご苦労さま」
「おっおう……お疲れ」
「どうしたの?具合い悪いの?」
クリスは下を向いている俺の顔を覗き込むよう近付いて来た。
はわわわ……!アカンッ!
「なっなんでもねぇよ!」
「そっそう?」
俺は早歩きをしながら部屋に戻ってベッドに座り、頭をぐしゃぐしゃにする。クリスは首を傾げながら見送っていた。
「やばいやばいやばい!顔が見れなくなった!どうしよう……」
コンコン
悩んでいる時にドアがノックされる。
もしかしてクリスだろうか?
「誰?」
「私です、リュウジ様」
「なんだ、マリューか、入っていいよ」
ドアを開けると、エプロンを身に付けたマリューが入って来た。
マリューは腰に手を当てながら俺に声を掛ける。
「おはようございます。昨日は随分飲んだらしいですね?」
「あっああ……」
「ん?どうしたのですか?」
マリューは心配そうに見つめる。
マリューなら……聞いてくれるかな?
「なぁ?マリュー……」
「はい?」
高鳴る鼓動を抑えながら、首を傾げるマリューに対して俺は覚悟を決めて言い放った。
「どうしよう……クリスの事、好きになっちゃった……」
「へぇ〜、今更ですか?」
「えっ待って、知ったふうに言うなよ!」
「いや、やっぱりなって感じの方が正しいですね。そりゃこんだけ一緒にいれば恋愛感情湧かない方が心配でしたよ!」
そんなに目立たった行動してたかな!?
「はぁ……どうしよ」
「ここはやっぱり男らしく告白したら宜しいじゃないですか」
「えっいや、そうだけど……なんだろう年取ったのかな?、フラれるのが恐いんだよね」
弱音を吐いた途端、マリューは俺の背中をバンッと叩く。
「何言ってるんですか!正義を司る魔王と呼ばれた男が情けない事言わないで下さいよっ!」
「そうだけどさぁ……もう魔王と名乗るつもりもないし、ましてはアイツは女神、恋愛なんて無理に決まってるよ」
「いや彼女も女神ですけど……なんか、女神と魔王の恋愛だなんてなんかロマンチックですね!やばいですね☆」
何言ってんの?バカにしてんの?
俺は顔を真っ赤にさせ、顔を隠した。
「あぅ〜〜、恥ずかしい……」
「乙女かっ!けど、何がきっかけで好きになっちゃったんですか?」
「昨日、俺の影武者と話してただろ?」
「ええ、それが?」
「その間、俺とクリス一緒にいたじゃん?」
「はい、いましたね」
「キスしちゃった……」
マリューは一瞬ピタッと止まった。
「ええ!?しちゃったんですか!?」
「うっうん、挑発したのは俺なんだけど……」
「返り討ちされたんですね、はぁ……エリス様って大胆なんですねぇ」
「伊達に魔王にタイマン張る女じゃねぇよな、あーどうしよ、さっきも顔を合わせただけで動悸息切れが激しくて……」
「いや、年寄り見たいな言い方しないで下さいよ。それはアレですね、本気で恋してるって事ですねぇ。キャー♡」
女子高生の様にはしゃぐマリュー。
俺はどうしたらいいのか分からず、項垂れる。
ラフタリアの時と似て来たな、ドキドキが止まんない。けどパーティー内で恋愛はあまり良くないんだよな、ここは何とかして普通に接しなきゃみんなにバレちまう……。
俺はそう自分に言い聞かせ、俺は私服に着替え始める。今日はダクネスとシュナイダーとの約束していた紳士服仕立てやバルターとの会合の機会を作りに行く為だからだ。
「俺は今日ダクネスの所に行って紳士服を仕立てに行くからな?」
「はい、分かりました」
「クリスは?」
「クリス様なら、ペコリーヌ様と一緒にリビングに居ますよ?感謝祭も無事に終わりましたし、近々しばらく天界に行くらしいですよ?」
「そっそうなのか?あいつ…いなくなっちゃうのか?」
乙女の様に寂しそうな目をする俺。
それを見たマリューはあちゃーという感じでため息を吐いた。
「とにかく!もうすぐ行ってしまうのですから声をかけてあげたら宜しいじゃないですか、変に意識しますとクリス様に悟られちゃいますよ?」
「そっそうだな、気を付けないとな」
着替え終えた俺はマリューと共にリビングに向かった。リビングに向かうと、ペコリーヌとクリスが楽しそうに話しをしていた。クリスの顔を見た途端胸が高鳴るのがわかった。それを抑え、普段通りに声を掛けた。
「おはよう……」
「おいっす〜☆おはようございます!リュウジくん!」
「リュウジ二日酔い?大丈夫?」
「だっ大丈夫」
無意識に俺はクリスに顔を逸らしてしまう。
ダメだぁ!可愛すぎる…、意識するなと思えば思う程変な感じになるぅ!
「Chris」
ぎこちない呼び方をした瞬間、クリスはビクッとする。
「なっなにその発音!?変な呼び方しないでよ!」
「どうしたんですか?具合悪いんですか?」
「どうやら二日酔いが後を引いてる見たいですねぇ!」
「うっん゛ん゛っ!」
マリューは俺の足を思い切り踏む、激痛で俺は蹲る。
しっかりしろ!俺!
マリューから離れ自分で自分の頬を叩き、気合いを入れる。
「っしっ!今日は俺、不動産屋やらダクネスの実家やらギルドやらに行かなきゃないから相手してられねぇからな?」
「ほえ?そうなんですか?」
「へぇ〜、一緒に行こうか?」
「いっいや、いい、今日はマリューに付き添って貰うから」
「その方が良さそうですね、ペコリーヌ様とクリス様は昨晩からお疲れでしょうから、ごゆっくりなさって下さい」
「はーい☆クリスちゃん、たまには2人でクエストでも行きますか?」
「うん!いいよ!今日はヘルプも無いし、行こっか?」
「はい!いざ!しゅっぱーつ!」
「よし、マリュー。俺達も行くぞ?」
「はい、リュウジ様」
俺達は各自用事を済ませる為にギルドに向かった。ギルドに辿り着き、クリス達とは別れ、俺はルナさんに声を掛けられた。
「あっ!リュウジさん!丁度今呼びに行こうとおもってたんですよ」
「え?ルナさんどうしたんですか?」
「リュウジさんに支払われる10億がまとまったのでお支払いの件です」
おんっ!?遂に俺も大金持ちかっ!?
俺とマリューは受け付けに付くと、ルナから説明を受ける。
「えーっと、まずは…魔王軍討伐報酬ですね、対象は〜……ゴブリンロードですね。報酬は4億5000万エリスです。」
えっ!?そんなに貰えるの!?たかが、ゴブリンだぞ!?
「エルフの森での一件ですよね!?ゴブリン軍団でそんなに貰えるんですか!?」
「マジですかリュウジ様、やばいですよ!大金持ちですよ!」
大興奮を他所にルナは淡々と説明する。
「はい!この世界でのゴブリンの大群は異常な繁殖力が脅威なので倒せば倒す程金額が傘増しされます。それにその親玉のゴブリンロードを倒したとすれば妥当の金額だとギルドの判断です」
マジですか!?
ドン!っと4億5000万エリスが受け付けに用意させる。その大金を見た俺とマリューはブルブル震え出した。
えっ怖い怖い、こんな大金一気に出されると何かオチがあるんじゃないかって思っちゃうよ、ドッキリでしょ?これドッキリなんでしょ?どーせ皆で笑いながらどっかでモニタリングしてるんでしょ?
俺は思わず辺り周辺をキョロキョロと見渡す、天井、受け付けのテーブル、食堂のテーブル、隠し水晶玉がないか確認した。
うん、ドッキリじゃなさそうだ。
「続いては前領主に支払っていた約10億エリス、正確の金額は10億3500万エリスが返却されます」
「えっ」
「えっ」
俺は再度ルナさんに聞き返した。
「ごっごめんなさい、もう一度言って貰えますか?」
「はい、もう一度言います。10億3500万です、凄いですね!大金持ちじゃないですか!総合金額14億8500万エリスですよ!」
ふぁわぁぁぁぁ!
4億エリスに更に10億エリスが追加された。よく映画でマフィアがラッピングした現金のブロックをよく見るが、ホントにそれが出来る金額だった。俺は持って帰るのが怖いので、その場で銀行に貯金する事にした。
ちなみに、現在の貯金額は16億100万エリス。もはや〇鉄レベルだ。
「ちなみにこの街の税金とかはどうなってるんですか?この際支払いますよ」
「そうですか、リュウジさんが滞納していた分と、リュウジさんご自身の納税する気なら……5億エリス支払いをお願いしたいのですが?」
「あっはい、なら……5億エリス支払います」
俺は報酬で滞納していた税金を支払い、一括払いで税金を支払った。
これで税金問題は解決だ、お役所はこういうのを嗅ぎ付けるのが早いからな!
「よし、マリュー!次だ!今度はダクネスの家に行くぞ!」
「フヒヒヒ大金持ちや、大金持ちやでぇ─っあはい、行きましょう!」
俺達は次の用事でダクネスの元に向かった。用事というのは祭りの警備をする報酬としてスーツを作ってもらう手筈になってるからだ。俺はそのままダクネスの実家に足を運び、実家に入れてもらった。
「ダクネス!ダクネェス!」
「ん?リュウジじゃないか、丁度よかった、今仕立て屋が来ていた所だぞ?」
「マジでか!?んじゃ、作ってくれるのか?」
「ああ、こっちに来て採寸してくれ」
俺はダクネスに案内されると、仕立て屋がおり、準備を始めていた。俺は仕立て屋と挨拶を交わし、採寸を始めた。
リッチな男になった気分だ……
「ミスターリュウジ、これはフォーマル用ですか?社交用ですか?」
「社交用でお願いします」
「お召になるのは昼ですか?夜ですか?」
「昼と夜を一着ずつお願いします」
「スタイルは?」
「紳士風で」
「ボタンの数は?」
「2つで大丈夫です」
「パンツは?」
「細身でお願いします」
「裏地はどうしますか?防犯用も可能ですが?」
「はい、出来れば防犯、又は実戦用で」
「かしこまりました、ちなみにこのスーツの裏地にはアダマンタイトを含ませた生地を縫い込ませます。防刃には有効ですが、打撃攻撃や魔法攻撃は多少……激痛が走ります」
試しに仕立て屋はスーツとなる服にナイフを突き立てると、布地は貫通していなかった。
アダマンタイトを含ませるとすげぇな!
「ミスターリュウジ、試着をお願いします」
「あっはい」
俺は手渡された社交用のスーツを試着した。
「どう?ダクネス?マリュー?変かな?」
「なかなか似合ってるではないか」
「ほぉ……いやはや男っぷりが増しましたねぇ、これクリス様に見せたらどうですか?」
「うるさいっ!ここぞとばかりにクリスを出すなっ!」
「はいはい」
顔を真っ赤にした俺とマリューが駄弁っていると仕立て屋さんはあっという間に作り終え、残りのスーツを渡された。
「お待たせ致しました。ご注文のお品でございます」
「こんなに早く出来るもんなんですか!?」
「我々は先祖代々続く仕立て屋、朝飯前でございます」
かっこええ!
「かっこええからこのまま帰るわ、ダクネスありがとね?」
「あっああ、これくらいならお易い御用だ」
「ありがとうございましたダクネス様」
「それはそうとさ、ダクネス?シュナイダーと連絡とれるか?」
「シュナイダー殿か?シュナイダー殿ならもうすぐここへやって来るぞ?感謝祭が上手く行った上にアクアの件もあるしな?それでケリを付けようと話し合いにくる手筈になっている」
あー、なんか飲んでる時アクア感謝祭を来年から正式に採用するとかしないないとか言ってたっけ、まぁどっちでもいいが……
「そうなのか?帰ろうかと思ったけど……んじゃ、待たせて貰っても良いか?俺もシュナイダーに用があるんだ」
「ああ、良いぞ?紅茶でもどうだ?」
「頂くよ」
「すいません、ダクネス様」
俺とマリューは結局帰らず、ダクネスの屋敷でシュナイダーを待つ事にした。
────────────────────────
数十分後、お目当てのシュナイダーがやって来た。
だが、シュナイダーは1人ではなく、もう1人貴族を連れて来ていた。
あれ?この人どっかで……?
「おや、リュウジさんではありませんか、丁度後で貴方の家に行こうと思ってたんですよ」
「お疲れ様、シュナイダーさん、えっとこの方は?」
「あっ、リュウジさんは初めてでしたね。このお方は前領主アルダープ殿の息子であるバルター殿です」
あっ!この人が”唯一まともな”貴族かっ!?
俺とマリューは慌てて頭を下げる。
「はっはじめまして!鋼のリュウジと申します」
「部下のマリューです」
「お初にお目に掛かります。僕の名前は、アレクセイ・バーネス・バルターと申します」
「なんだバルター殿、貴殿も来たのですか?あの時以来ですが?」
「あーいえ、今回は鋼のリュウジ殿とお会いするという手筈だったものですから」
バルターは愛想良くツンとしてるダクネスに挨拶を交わし、俺を見つめる。
「噂に聞いてる通りのお方ですね。さすがはエルフの森の第一王女と深い関係を築いていると」
「深い関係だとっ!?貴様!、ユースティアナ様と不埒な事を!?」
それを聞いたダクネスは俺に食ってかかる。
いや、言い方!
「何もして……ないよぉ?」
「おおぃ!なんだその腑抜けた返事は!したのか!?してないのか!?」
「しっしてないよぉ?」
心当たりがあり過ぎる!
見兼ねたシュナイダーは間に入ってダクネスを止める。
「まぁまぁ、話しが逸れてしまうのでその辺で、バルター殿?リュウジ殿と別室で”例の件”を進めて下さい」
「そうですね、でわララティーナお嬢様、部屋をお借りしますね?」
「あっ待て!リュウジ!貴様!後で覚えておけよ!?」
俺はそそくさとバルターと共に別室に入った。
「いや〜、ララティーナお嬢様はいつも元気ですねぇ!」
「いや単なる体力馬鹿だからでしょーよ!?」
「それもまた良いじゃないですか!」
バルターははにかむ様に歯を輝かせる。
カズマから聞いてたけど、ホントに気に入ったんだなぁ。
「それで?、先程シュナイダーさんが言ってた例の件ってのは?」
「ええ、ギルドから返金された慰謝料は頂きましたか?」
「はい、貰いましたよ?」
「それは何よりでしたね!、ですが……」
「ですが?」
バルターは急に難しい顔して頭を下げた。
「様々な手を使って知りました、僕の父があなたの大切な仲間を傷付け、命を奪おうとした事を……本当に申し訳ございません」
「あー、その事ですか?、もう気にしてませんよ?」
俺は手を出しブンブン振って返す。それに対してバルターは頭を下げ、意を決した様な顔をしながら更に言い放つ。
「それでは僕の気が済みません、ここはどうでしょうか?父の屋敷を貰ってくれませんか?」
「えっ……今なんて?」
「父の屋敷を貰って下さい!」
「いやいや、ちょっと待て!屋敷は別荘も含めて全て指し押されられたんですよね?俺の金は用意されてたけど、カズマが払った20億の返済がまだあるじゃないですか!、ダクネス……いや、ララティーナお嬢様から聞きましたけど、屋敷の家財道具や財産で売ってでも支払われると!」
あんなデカイ屋敷を4人で暮らせってか!?デカすぎんだろ!?
だが、バルターの意思は固く、頑なに拒否の言葉を聞き入れようとしなかった。
「その事でしたら問題ありません、僕が責任を持ってカズマさんにお支払いします。家財道具の趣味が合わないようでしたら僕が買い取ります!屋敷を物置部屋にしたって構いません!」
どこまで良い人なんだよ!!……あっ、いい事思いついた。
俺は閃いたかのように顔色を変えて、バルターを宥めた。
「分かりました、分かりましたから!貰います!」
「ホントですか!?」
「貰いますけど、バルターさん?、2つ程、お願い聞いて貰っても良いですか?」
「はい?」
「ひとつはリフォームとかに詳しいドワーフ族を紹介してもらう事、もう一つは……」
「もう一つとは?」
バルターは首を傾げながら俺と再び話し始めた。
────────────────────────
2時間後、俺とバルターは出て来ると、シュナイダーとダクネスが座って待っていた。何かを悟ったシュナイダーはバルターに尋ねる。
「随分盛り上がった様ですね?」
「ええ、噂通りのお方ですよ!」
「リュウジ、今度ゆっくり話そうな?」
「あっああ、んじゃ俺はこの後不動産屋さんに行かなきゃないから」
「そうでしてか、ではお気を付けて」
「では、バルターさん、例の件お願いしますね?」
「えぇ!任せて下さい!」
そのまま俺とマリューはダクネス達と別れ、不動産屋に向かった。その道中に、クエストに行ったはずのペコリーヌがやって来た。
「おいっす〜☆帰って来ちゃいました!あれ?その服どうしたんですか?」
「良いだろうー?それより、ペコリーヌどうしたんだ?」
「クリス様とクエストに向かったのでは無いのですか?」
「それがなんですけど、急にクリスちゃん急にヘルプが入っちゃいまして……何かあったんですかね?」
相変わらず忙しい奴だ。
「まぁ、そのうち帰って来るだろ?暇なら一緒に行くか?」
「ついて行って良いんですか?」
「構いませんよ?今から不動産屋さんに行って子供食堂の物件を探しに行く所でしたから」
「新しい物件ですか!?やばいですね☆」
ペコリーヌとも合流して不動産屋に向かう。そして家を買いに行った以来の店長と対面し、店長はニコニコと俺達を出迎えてくれてくれた。
「これはこれはリュウジさん、いらっしゃいませ!」
「ご無沙汰してます店長、実は飲食店と農場を開こうと思いまして、その物件を探しに来たんですよ」
「左様でございますか!いい物件がありますよ!」
そう言うと店長は数枚の物件のチラシを持って来てくれた。
「ご予算は幾らほどですか?」
「そうですねぇ〜、ふたつの土地で2億って所ですかね?」
金額を言った途端店長はピタッと止まる。
すると……事務の人に向かって大声を出した。
「君!何をボサっとしてるのかね!早くこの方々に高級なお茶とケーキをご用意しなさい!」
「はっはいぃ!」
言われた事務の人は慌てて何処かに行ってしまった。
あっ、買ってくるんだ
「いやはや失礼、それでしたらこんな物件じゃダメですね捨てましょう」
「いや捨てなくても……」
「この人、金に目がくらんでるんじゃないですか?」
「お金の力はやばいですねぇ……」
ドタバタしながら店長は別のチラシを持って来てくれた。そこは街の中心部、俗に言う一等地という物だった。
「飲食店ならここがベストでしょうね、農場は街から少し離れた場所に土地がありますのでそれにしましょう。川も流れてますし、モンスターも居ません」
「なるほど、ならここにします!」
「ご覧にならなくても宜しいのですか?」
「俺は見なくても構わないんですけど……ペコリーヌ、見てみる?」
「わたしがですか?」
急に話を振られたペコリーヌは驚きながら指を指す。
「子供食堂の店長をお前に任せたい、大丈夫か?」
「えぇ!?わたしがですか?」
「リュウジ様!?仮にもペコリーヌ様は王──」
「おめぇは黙ってろ!、金絡みは俺が引き受ける、やるか?」
真剣な眼差しをされたペコリーヌはニコッと笑って答える。
「はい!皆で食べる食事は楽しいですからね!分かりました!」
「話しは決まったな、んじゃ今すぐ契約します。契約後にその物件を見に行きましょう!」
────────────────────────
不動産屋から少し歩いて契約した物件の前に辿り着いた。元は高級レストランを営んで居たようだが持ち主が老いて引退した為空いた物件らしい、ペコリーヌは宝箱を開ける時の子供の様にはしゃぎだし、中をくるくる見回った。
「どう?ペコリーヌ、気に入った?」
「そうですねぇ、お店の雰囲気は気に入りましたよ!けど……」
ペコリーヌはふとテーブルを見つめる。
何か気に入らない事でもあるのだろうか?
「どうした?遠慮しないで言いなよ、何が物足りないんだ?」
「あの……このテーブルじゃ皆と楽しい食事が出来ないと思うんです!なのでテーブルを”作って”も良いですか!?」
ん?作る?
俺とマリューは首を傾げる。
「作るって?」
「どういう事でしょうか?」
「文字通り、わたしが作ります!皆が美味しく食べられるテーブルを!」
唸る人差し指、揺れる巨乳、ペコリーヌの意思は固かった。
「まさか……ゼロから作るって事!?」
「いやいや、ペコリーヌ様、お金の事は気にするなってリュウジ様が言ってるじゃ無いですか!?」
「良いんです!このお店はわたしが任されたんですから!ふんっ!やる気が湧いてきました!今から作って来ますね!?」
今から!?
俺は手を掴んでペコリーヌを止める。
「早い!早い!掃除やらなんやらあるだろ!?」
「いいえ!もう作っちゃいます!行ってきますね!」
そう言ってペコリーヌは颯爽と出て行き、斧を片手に森に出かけて行った。