まぁパネルミッションで誘われただけでしょうけど……。
一方その頃、リュウジが家出してムフフな夢を見ている時、女神ことエリスは、カズマが御用達してる殺風景な場所で溜まりに溜まった書類に目を通しながら書類整理に追われていた。エリスは肩をトントンと叩きながら椅子に座りながらため息を吐いた。
「はぁ…書類多いなぁ…全然地上に行けないし、皆どうしてるのかなぁ?ちょっと息抜きに覗いて見ようかな?」
そう思ったエリスはおもむろにモニターを呼び出した。テレビのチャンネルをザッピングするように様々な人の様子を伺い出す。そして、カズマ、ミツルギの様子を見ていた。
「うんうん、助手くんもミツルギさんもちゃんとしてるね。なんか地上に降りたくなっちゃったなぁ…定時も過ぎてるし、統一神界に帰らず地上で皆とご飯でも食べてこようかな!」
思い立ったら即行動のエリス様は椅子から立ち上がってタイムカードをタイムレコードに挿入し、クリスの姿に着替えようとしたその時。
「お疲れ様」
「お疲れ〜、はぁ疲れたよ」
「大変だな、こんなに書類の山にして」
「まったくだよ、ねぇリュウジ?、これから皆とご飯食べにこうよ」
「良いけど、その前に俺死んでるよ?」
「死んでるんだ、ふーん。あっペコリーヌの手料理でも……え?」
そう、何故か目の前にエリスが着替えており、尚且つ下着姿で俺の目の前にいた。エリス、もといクリスは突然現れた俺を見て口をパクパクさせて指を刺しだした。
「えっ!?えぇっ!?ちょっキミ、何してんの!?こんな所で!?」
「いや俺に言われても…目を開けたらここに居るのだが?」
「えぇ!?リュウジがここに居るってことは……死んだの!?」
「そうみたいだな、いやはや寝込みを襲われたか」
俺はアッハッハッと頭をパンと叩きながら笑い出すと、エリスは「軽いなぁ」と言わんばかりの顔をしながら慌てふためく。
「何呑気な事言ってんのさ!殺されたの!?」
「殺されたからここに居るんだろ?。けど、もうすぐ朝方だから俺が部屋から出てこないと不審に思って宿の人が気が付くだろ」
「宿?なんでキミ宿に泊まってたの?」
おっと、口が滑った!
「あはは、ちょっと色々ありまして。ってかここで監視してるんなら俺のプライベート丸わかりじゃん?俺を殺した犯人見てたんじゃないの?」
「見てないよ!この状況見たら分かるでしょ!?。それに、あたしだって暇じゃないんだからね?書類整理に追われてたし、今からちょっと息抜きに地上に降りて皆とご飯食べようかと準備してたんだから!」
「だから下着姿なのね、さっさと着替えたら?」
「あのさ、ってか少しは気をつかってくれる?目を隠すなり、後ろを向くなり普通するでしょ!?」
そう吐きながらエリスはカーテンを創造させてカーテンに隠れながら着替え始めた。
「あーごめんごめん、久しぶりにお前に会ったからつい夢中になって話してたわ」
(久しぶりに会えたから気にも止めなかったな、エリスだからか?それとも賢者タイムだからか?全然性欲を感じねぇ…)
「まったく、でも魔王軍幹部をなんとか皆で倒せた見たいだね?」
「あー、ハンスの事か?」
「キミは負けちゃってたけどね?」
あーそうですよ、負けましたよ!
「コイツ…傷口に塩どころかタバスコ塗りやがって…」
「あはは…けど最近のキミは無茶しすぎだよ?」
そうかな?無茶しすぎかな?
ふと思い出し、俺は途端に静かになり、俯き始めた。エリスは急に静かになった俺を不審に思い、カーテンから覗き始めた。
「どーしたの?なんか急に静かになったけど?」
「俺、今地上では眼が悪いんだよ…白内障ってやつになってる」
「はぁ!?」
衝撃の事実を知ったエリスは着替えを中途半端にしながらカーテンから出て来た。その姿は、頭はエリス、体はクリスと言ったアンバランスな格好をしていた。それを目の当たりにした俺はブッと吹き出す。
「ブフッ……なんちゅうかっこしてんだお前は!」
「そんな事良いから!どうして眼がそんな状態なのさ!」
「いや、コッコロちゃんやアクアにヒール掛けてもらったんだけどダメでさ、アクア曰く治らない見たいなんだよ。それもこれもハンスとの戦闘が祟った見たいでね…。 ってか止めてそのカッコ…くくくくっ…」
俺は必死に心配してくれてるエリスを他所に、アンバランスな姿を見て必死に笑いを堪えていた。
「何笑ってんのさぁ!人が心配してんのに!」
「いや、だって普段そんなカッコしないじゃん?。だから余計沸点が…ブフフフフ」
「フクヤマリュウジさん、いい加減にしないと今度は底知れぬ天罰を与えますよ?」
やべっ怒った。なんとか誤魔化さないと!
俺は頬っぺを膨らませながら怒ってるエリスに寂しそうな顔をしながら見つめて呟いた。
「あーおかし、やっぱりお前といると楽しいなぁ」
「へ?」
「流石は俺の相棒だよ。素になれてストレス感じねぇし楽しいし」
「えっ…えっちょっと、やめてよ照れくさいじゃん!恥ずかしい!」
「はぁ…久しぶりの再会がこことはねぇ…皮肉なもんだ」
ドンヨリと落ち込んだフリをすると、エリスは困った顔をしてポリポリとの頬をかき始める。
「助手くんとはまた別な感じでキミもグイグイ来るんだね…。分かったよ、ちょっと待ってて!」
そう言って、エリスはまたカーテンの影に隠れて身なりを整え始めた。すると、今度は完全な盗賊クリスに変身を遂げていた。
「はいっ、コレで良いかな?」
クリスはやれやれと言わんばかりの顔をしながら出て来た。
やっと戻ったか。やっぱり女神姿よりこっちの方が落ち着くし可愛いな、久しぶりに2人きりだからなんかドキドキして来た…。
俺はクリスを舐めます様に見つめると、ある事に気付いた。
「ん?おい」
「ん?何?」
「ここ、ないよ?」
俺は頬っぺをツンツンと指さしながら教えると、クリスは「あっ!」と声を上げて傷を付け加えた。
「危ない危ない!」
「気をつけろよ、ダクネスにバレたら大変だろ?」
「あはは…キミと助手くんにはバレてるんだけどね?」
「お前は肝心な時に詰めが甘いんだよ!。んで?どこで地上の状況が見れるんだ?俺の体は無事なんだろうな?」
「そうだね、ちょっと見てみようか?」
辺りをキョロキョロ見渡して地上の様子が気になった俺を見てクリスはモニターを呼び出して俺が泊まっていた部屋を映し出す。俺はモニターの所まで椅子を引きずって座りながら確認すると、そこには宿の店主やセナ、警察が入って来ており、捜査が行われていた。
いやもうコレ殺人事件として扱われてんじゃん!
「あー!めちゃくちゃ大騒ぎになってんじゃん!どーすんのよコレ!?」
「あはは…けど、身元引受人として誰か来てくれるよ。そうすればアクア先輩に蘇生して貰えるから」
「まぁそうなんだけども、うわぁ…俺心臓に”ナイフ”刺さってんじゃん、あー痛そう…」
「あのさ、キミ立場分かってる?自分殺されてるのに随分落ち着いてるね?殺されたショックとか無いの?」
「お前さ、俺にそんなの求めて来んなよ?、元魔王よ?。魔王の頃は不死身の呪いに掛かってて何回死んでると思ってんの?あんなの屁でもねぇよ」
「そうだね、キミに聞いたあたしがバカだったよ」
モニターから顔を離し、俺は椅子に寄りかかって背伸びをした。
「あーあ、アクアが来るまで退屈だなぁ。お前よく飽きずにいるな」
「仕方ないよ、コレがあたしの仕事だもん。それに、退屈な事はいい事なんだよ?それだけ平和だって証になるんだよ?」
「まぁそれもそうだな……まだ仕事かかるのか?」
「えっ?うーん、まだまだ掛かるね」
「そうか………」
蘇生したらまた会えなくなるのか…寂しいような物足りないような…モヤモヤする…やっぱり俺コイツの事好きなんだろうなぁ……。この際、ちょっとスキンシップも兼ねてじゃれてみるか
クリスがモニターをジーッと夢中に見ていた隙に俺はおもむろにクリスの脇腹を人差し指で突っついて見た。
「………デュクシ!」
「うひゃぁ!?なっ何!?」
クリスはびっくりしたのか、ビクッと体を震えさせる。
おー、いいリアクションするな。もっかい!
「デュクシ!デュクシ!デュクシ!」
「やっ、やだっ!ちょっと!やめて!くすぐったい!」
「デュクシ!デュクシ!デュクシ!デュクシ!」
「あはははは!くすぐったいからやめてぇ!」
「デュク────」
「しつこいよ、いい加減にしてよ」
「…………すいません」
「ってかその「デュクシ」ってなに?魔法?」
クリスは脇腹を擦りながら俺を睨み付け、デュクシの事を尋ねて来た。
なんだ、知らないのか?
「これはな?俺やカズマ、ミツルギが生まれ故郷の日本で子供の頃に習得する武術『デュクシ』だ。男の子だったら人生に一度は使うんだぞ?まぁ大抵の男の子はミソギ達くらいの歳にはもう習得してるかな?」
「ぶっ、武術なの?コレが?役に立つの?」
「あったり前だ!現にびっくりしただろ?」
「いやしたけども、けど、そんな痛くもないし?」
「まぁ実戦にはまったく使わないけど」
「意味ないじゃん!習得する意味あるの!?」
「ある!大いにある!クリス、お前もやって見ろ!」
「えぇ!?」
俺はクリスに『デュクシ』偉大さを熱く語った。そして、蘇生されるまでの間の暇を持て余した魔王と女神が遊び始めた。俺はクリスに日本男児が必ず習得する『デュクシ』を伝授し始めた。
「まぁそんな難しい事じゃない、指や手を相手にぶつけた時に『デュクシ』!と叫ぶんだ」
「そっそうなの?、ってかそれだけ?」
「そう、それだけ。さぁ!やってごらんなさい!」
「デュ……デュクシ?」
クリスは弱々しく俺の脇腹を突っつき始めた。
「なんだ!恥ずかしいのか?このたわけ!」
俺はクリスに向かってクワッと怒りを露わにする。
「そっそんなに怒らなくても…なんか恥ずかしいよ…デュクシ!」
「まだまだ!もっかい!」
「デュ……デュクシ!」
「違う違う!なんと言うか…、あっそうだ!カズマに悪戯した時ややり返した時の様な感じにしてみな?」
「ほうほう、助手くんに悪戯する感じか……」
えーそこで理解しちゃうんだ…なんか悲しい…。
クリスはイメージ出来たのか、先程とは打って変わってニヤニヤしながら俺の脇腹に人差し指で突っつき始めた。
「デュクシ!」
かっかわいい…
「あー、おう、うん……良いんじゃ…ないかな?」
「えー散々言っといてそれだけ〜?」
「そんな事ない、良いスジしてたよ?」
可愛すぎて顔が見れん、ニヤニヤしてしまう。
俺は顔を横に逸らしながらプルプル震えてると、クリスが不思議そうに見つめてくる。
「あのさ、なんでそっち向いてるの?プルプル震えてるよ?」
「大丈夫ですよ!なんでもないですよ!」
「どーしたのさー!デュクシ!」
「おふっ…」
「ちょっ、変な声出さないでよ。ってかさ?コレ好きな人にしたらいいんじゃない?あたしじゃ物足りないでしょ?」
お前が本命なのだが……?えっ何?この子、鈍感なの!?
と言いたいのを何とか堪えて顔を引きつらせながら俺は答えた。
「おっ俺はすっ好きな人なんか…いねっ、いねーし?誰もいねーし?」
「ふーん…そうなの?ホントに?」
「まずもってそんな余裕すら無かったしね?」
「まぁそうだろうね、キミはどこ行ってもトラブル続きだしねぇ?」
すいませんね疫病神で!
「あっ!身元引受人誰か来たみたいだよ?」
「え?誰?」
クリスとモニターを確認して見ると、ウィズがセナに連れられて宿の部屋にやって来ていた。俺の死体を見た途端ウィズは泣き崩れる様に座り込んでしまった。それに釣られたのか、セナも悲しい顔をし始める。
「ウィズさん…泣いちゃってるね」
「ああ…なんか悪い事しちゃったな」
「まぁ、でもこれでウィズさんがアクア先輩の元に連れて行ってくれるよ!良かったね!」
「はぁ…一時はどうなるかと思ったわ」
俺とクリスは安心したのか、同じ椅子に同時に座る。それによりクリスとの距離が一気に近くなり、俺は咄嗟に顔を赤くさせてしまった。
めっちゃ近い…ドキドキするんですけど…
「あっ、ごめん!これキミが座ってた椅子だったね、あたしの椅子はコッチだった!あはは♪」
「おっおう…あれ?ウィズ、俺を運び出したぞ?」
ウィズは泣きながら宿から俺の死体を運び出してリアカーに乗せて、えぐえぐと泣きながら進む。
あっ、アクアの元に運んでくれるんだろうな。
「きっと、アクア先輩の所に運んでくれるんだろうね」
「だろうな、アクアはウィズを嫌ってるけど、今回は大目に見てくれるだろうな」
「もう、次からは気を付けなよ?今夜リュウジにシュワシュワ奢って貰おっかなぁ〜♪」
「はいはい、分かりましたよ。さて帰ろ帰ろ」
安心し切った俺とクリスは何も心配せずに地上に帰る支度を始めた。何時でも蘇生されても良いように身構えてると、俺は異変に気付いた。
「あっあれ?カズマの屋敷…過ぎちゃったんだけど?」
「なんか変だね?、どこ行こうとしてるんだろう……」
リアカーを止めたウィズをモニターで様子を伺っていると、ウィズは身寄りの無い人が埋葬されている共同墓地に辿り着いた。そのまま俺の死体を再び運び出し、墓地に囲まれた場所に寝かせた。
え?もしかして埋葬する気!?
俺とクリスは互いに顔を見合わせると嫌な予感がしたのか、冷や汗がぶわっと浮き上がって来た。
「音声!これ音声出ないの!?」
「ちょっと待って!えーっと、コレで出るはずだよ!」
クリスがモニターを操作するとウィズの音声が聞こえ始めた。
《ぐすっ……リュウジさん…待ってて下さいね?今私が…リュウジさんを不死王にさせて甦して差し上げますからね……》
おいおいおい!なんか変なワードが聞こえて来たんだけど!?
「ちょっ!ウィズは俺をリッチーにさせる気だよ!?」
「どっどうしよう!ねぇリュウジどうしよう!」
「ちょっと待て!今考えてるから!」
俺は頭をぐしゃぐしゃに掻きむしって考え始めた。
落ち着いてよく考えよう、今この状況を整理するとこうだ。ウィズは今俺を蘇らせようとしている。ウィズは不死王でアンデッドの王と呼ばれている魔王軍幹部。ちょっと待てよ?、アンデッドとして蘇ったら俺はまた不死身になれるという事だよな?。アンデッドになる、それ即ち再び魔物になれる=正義を司る魔王に返り咲けるということになる。嫌だけどまた不死身の魔王になれば死ぬ事も疲れる事も無い、上手く行けば俺一人で魔王を倒せるんじゃないか?
結論に至った俺はクリスに報告した。
「クリス、俺…リッチーになって魔王に─────」
「それ以上言ったらリュウジとはもう”絶交”するからね?仮にリッチーになって浄化されて死んでも蘇生は受け付けないよ?」
クリスは腰にぶら下げていたダガーを抜いて俺の喉元に突き付けてながらガチのトーンで警告して来た。
oh......マジな目付きで怒ってらっしゃる。
「じょっ冗談だよ……」
「ねぇ?世の中笑えない冗談があるって知ってるよね?」
「はい、ご存知です。そんなに俺が魔物になるのが嫌?」
恐る恐るクリスに尋ねると、クリスは泣きそうな顔をしながら俯く。
「なんでそういう事言うんだよ…バカ…」
「あっ、ゴメン…そんな真剣に考えると思ってなかったから…ゴメンんて、そんな顔すんなよ……ってこのままじゃマジで俺リッチーになっちまうよ、クリス!お前がウィズを止めてきてくれよ!」
「確かに、アクア先輩呼んでる暇なんて無さそうだしね。ちょっと行ってくるからこのゲートに触っちゃダメだからね?アクア先輩が合図を出したら入るんだよ!?」
「分かったから!早く!!」
クリスは俺を置いてゲートを開いて地上に向かった。俺はモニターを確認すると、少し離れた場所にクリスが到着していた。
《ウィズさぁぁぁぁん!ちょっと待ったぁぁぁ!》
クリスはウィズにタックルして羽交い締めにしてウィズの動きを止めた。驚いたウィズは振り返りる。
《ほえぇっ!?クックリスさん!?なぜここに!?》
《何してるの!?リュウジが死んだって聞いてあちこち探してたんだよ!?何をするつもりだったの!?》
《はっ離して下さい!リュウジさんを不死王にしてパワーアップさせるんです!そして、末永く店を────》
《何言ってるんですか!とにかくアクアさんの所に運びましょうよ!》
クリスの必死な説得により、ウィズは俺のアンデッド化をするのを諦め、カズマの屋敷に運び出した。屋敷に着くとリビングで寛いでいたカズマ、めぐみん、ダクネス、アクアにクリスとウィズは俺の死体を差し出した。状況を把握したのか、アクアは俺の死体に治療を施し、蘇生を始めた。
数分後、アクアの声が聞こえてきた。
《ちょっと、リュウジ聞こえるー?》
「はーい、聞こえるよ〜」
《あんた、なんで心臓刺されたりしたのよ?また誰かのお風呂覗いたりして刺されたの〜?あんたも懲りないわねぇ》
「ちょっと待て!違うから!その話は今は止めてくれ!」
《あっちょっと!クリス!?急にリュウジからマウントとってどうしたの!?ダメよ!そんなにボコボコに殴ったら!起きた途端激痛が走るわよ!?カズマ!止めて!クリスを止めてちょうだい!ウィズも!》
うわぁぁぁ!クリスにバレたっ!!
「やめろ!この罰当たり共め!俺に触るな!今起きるから!」
《ほらクリス!もうそれくらいにしときなさいな!リュウジが来るって、時間切れよ!ブレイク!ブレーレイク!》
俺はアクアの合図を確認してクリスが用意していたゲートを蹴破った。
─────────────────────
「このっ!このっ!変態っ!へんたいふしんしゃ!」
俺は再び白いモヤの映る景色を右左に揺らされながら眺めていた。白くて見えないが恐らくクリスが殴っているのだろう。どれくらい殴ったのだろうか、めちゃくちゃ激痛が走って来た。
「いだい、ごめん!ごへんなさい!目は止めへ!目は!!」
「クリス、もう良いだろ?その辺にしてやれ」
「これだけ痛め付けられれば二度としませんよ」
「うわぁ…お頭もう良いだろ、アン〇ンマン見たいに腫れてるぞ」
「ちょっと罰としてこのままにしとこうかしら?」
「クリスさん!また死んじゃいます!リュウジさんがまた死んじゃいます!」
ダクネスとウィズの制止により、クリスによるタコ殴りがようやく止まった。俺は腫れぼったい顔をさせながら立ち上がった。
口の中がズタズタだよ……。
「ごひんはいはへまひた。これへかんへんしへふははい」
「アクアさん、ホントに迷惑かけてすいませんでした。うんと聞かせておくので許して下さい」
「何言ってんのか分かんねぇよ!気を付けて帰れよ!?」
「ふぁい」
「んじゃ、あたし達は帰ります。お邪魔しました」
「おひゃまひまひた」
俺とクリスは夕方になった街を歩き始めた。その道中、クリスに手を引かれながらガミガミと説教をされていた。
「まったく!助手くん以上の事してどうすんのさ!」
「ふひまへん」
「眼を見せて?」
「ふぁい」
腫れぼったい顔をクリスに預けると、何かいい案でもあるのかうんうんと頷いた。
「これくらいなら大丈夫そうだね、準備して出発するよ?」
「ほほへ?」
「どこって?、行き先は…”統一神界”だよ」
何でしょうか、俺はまた死ぬんですかね?